34 / 45
第34話 人間とサキュバスの違い
しおりを挟む
どこに誰がいるのかドクターポンピーノにもわからないので工藤珠希は誰も連れていくことが出来なかった。戦う力を持たない工藤珠希に出来ることは誰かを連れてくるという事だけだったのだが、それすらも出来ずに時間だけが過ぎていた。
「みんなどこに行ったのかわからないんだけど、あの子なら助けを呼ばなくても大丈夫なんじゃないかな。もしも、死んでいたとしてもココに連れてきたら生き返らせてあげることも出来るんだし。出来れば、全身揃った完全な状態が望ましいんだけどね」
冗談のつもりで言ったと思われるのだが、工藤珠希にはドクターポンピーノの思いは正確に伝わることはなかった。
そもそも、イザーがやられるかもしれないという事で仲間を探すことに必死になっている工藤珠希に対してそんな冗談を言うこと自体が間違っていると思われるのだが、ドクターポンピーノは相手が誰であれイザーが負けるとは思っていない。前提からして異なってしまっているのでお互いの考えを理解する事など出来やしないのだ。
「イザーちゃんが死んでたとして、その死体を私一人で持ってくるなんて無理だと思うんですけど。それに、イザーちゃんが殺されているんだとしたらその体も無事だとは思えないんですよね」
「そうかもしれないけど、それは仮の話だろ。相手がどれくらい強いのか私には想像もつかないけれど、あの子がそんな簡単に負けるとは思えないんだけどね。いくら強いって言ったって二人くらいなら相手にならないでしょ。それくらいあの子は強いと思うよ」
「でも、あの人たちがここに攻める準備をしているんだとしたらですよ。それ以外にもたくさんの仲間を集めてやってくるんじゃないですかね。それこそ、この学校を壊そうとしているくらいなんだからとんでもない数になると思うんですけど」
「確かに。それは君のいう事が一理あるかもしれないね。でも、それでも私はあの子が負けるところは想像できないね。あの子に勝つために必要な戦力は、この学校にいるサキュバスとレジスタンスが共闘したうえで重火器で完全武装して反撃させないくらいの事はしないとスタートラインに立てないと思うんだよ」
「さすがにそれは言い過ぎだと思いますよ。もしそれが本当だとしたら、誰かを呼びに行くって行為自体が無駄なことになるじゃないですか」
「無駄ではないと思うよ」
無駄ではないと言われても工藤珠希には納得出来なかった。
仮に、ドクターポンピーノの言っていることが正しいのだとすればわざわざ相手についていく必要もないわけだし、工藤珠希が誰かを呼びに行くという行動自体も無駄なことで片付けられてしまうだろう。
誰かを呼んで来いとイザーに言われたわけではないのだけれど、そうなると野城君が何かを企んでいるという事にもなるかもしれない。
工藤珠希はますます頭が混乱してしまっていた。
「無駄ではないという事に関して考えてしまっているみたいだけど、私がなぜ無駄だと思わないのかの理由を説明させてもらうね。まず、大前提として理解してもらいたいのが、あの子は戦闘に関して言えば誰よりも優れていてどんな相手でも苦にならないという事と、君はあの子とは対照的にいたって普通の人間なので誰かと戦う事なんて慣れていないしそんな経験だってないだろう。誰かと命のやり取りをした経験ってあるのかな?」
「無いです。殴り合いの喧嘩だってしたことないです。ふざけて叩いたことくらいはありますけど喧嘩とかはしたことないです」
「だろうね。普通の人はそうだと思うよ。この学校に通ってる子たちは別だろうけど、普通にこの国で暮らしていたら命のやり取りをしたことがある人なんてそうそう見つかるものではないだろうね」
中学でもそんな経験はなかったし、小学校でも誰かと喧嘩した記憶はなかった。
もっと古い記憶、幼稚園時代にまで遡ればオモチャか何かを巡って喧嘩をしたことがあるような気もしていたが、相手を殺そうなどと思った事は無かったと思う。
そう考えると、工藤珠希はやはり誰とも命のやり取りをした経験はないのであった。
善良な日本人も悪い日本人もこの国に暮らしている大半の者は誰かと命のやり取りなんて行った経験はないだろう。
「この学校では日常的に命のやり取りを行っているわけなんだけど、君がそれに関わろうとする気持ちは持たなくてもいいんじゃないかなと私は思っている。もちろん、君が戦闘に巻き込まれて命を落としてしまったとしたら完璧に蘇らせることを誓うけれど、出来ることなら君は戦闘に関わらないでほしいと思っているんだよ。正直に言うと、私は誰も死んでほしいなんて思っていないんだ。いくら完璧に蘇らせたところで手当てがついて給料が増えることも無いからね。だからと言って手を抜くことはないけれどね」
「私も死にたいとは思ってないです。生き返らせてもらえるってわかってても、死ぬのは怖いです」
「それは普通の考えだと思うよ。私だって生き返れるって知ってるのに死ぬのは怖いからね。それはレジスタンスのみんなも同じだと思うよ。戦い方を見ていたらわかると思うんだけど、レジスタンスの子たちはなるべく怪我もしないようにって立ち回っているからね。サキュバスの子たちは怪我をする事だけじゃなく死ぬことも恐れてないみたいだけどさ」
「命の価値が軽いって思ってるって事ですか?」
「どうなんだろうね。そうかもしれないし、別の考えがあるからなのかもしれないね。ただ、イザーちゃんに関してはどちらも当てはまらないんじゃないかな。あの子は、自分が誰かに殺されるなんて考えてないと思うよ」
「みんなどこに行ったのかわからないんだけど、あの子なら助けを呼ばなくても大丈夫なんじゃないかな。もしも、死んでいたとしてもココに連れてきたら生き返らせてあげることも出来るんだし。出来れば、全身揃った完全な状態が望ましいんだけどね」
冗談のつもりで言ったと思われるのだが、工藤珠希にはドクターポンピーノの思いは正確に伝わることはなかった。
そもそも、イザーがやられるかもしれないという事で仲間を探すことに必死になっている工藤珠希に対してそんな冗談を言うこと自体が間違っていると思われるのだが、ドクターポンピーノは相手が誰であれイザーが負けるとは思っていない。前提からして異なってしまっているのでお互いの考えを理解する事など出来やしないのだ。
「イザーちゃんが死んでたとして、その死体を私一人で持ってくるなんて無理だと思うんですけど。それに、イザーちゃんが殺されているんだとしたらその体も無事だとは思えないんですよね」
「そうかもしれないけど、それは仮の話だろ。相手がどれくらい強いのか私には想像もつかないけれど、あの子がそんな簡単に負けるとは思えないんだけどね。いくら強いって言ったって二人くらいなら相手にならないでしょ。それくらいあの子は強いと思うよ」
「でも、あの人たちがここに攻める準備をしているんだとしたらですよ。それ以外にもたくさんの仲間を集めてやってくるんじゃないですかね。それこそ、この学校を壊そうとしているくらいなんだからとんでもない数になると思うんですけど」
「確かに。それは君のいう事が一理あるかもしれないね。でも、それでも私はあの子が負けるところは想像できないね。あの子に勝つために必要な戦力は、この学校にいるサキュバスとレジスタンスが共闘したうえで重火器で完全武装して反撃させないくらいの事はしないとスタートラインに立てないと思うんだよ」
「さすがにそれは言い過ぎだと思いますよ。もしそれが本当だとしたら、誰かを呼びに行くって行為自体が無駄なことになるじゃないですか」
「無駄ではないと思うよ」
無駄ではないと言われても工藤珠希には納得出来なかった。
仮に、ドクターポンピーノの言っていることが正しいのだとすればわざわざ相手についていく必要もないわけだし、工藤珠希が誰かを呼びに行くという行動自体も無駄なことで片付けられてしまうだろう。
誰かを呼んで来いとイザーに言われたわけではないのだけれど、そうなると野城君が何かを企んでいるという事にもなるかもしれない。
工藤珠希はますます頭が混乱してしまっていた。
「無駄ではないという事に関して考えてしまっているみたいだけど、私がなぜ無駄だと思わないのかの理由を説明させてもらうね。まず、大前提として理解してもらいたいのが、あの子は戦闘に関して言えば誰よりも優れていてどんな相手でも苦にならないという事と、君はあの子とは対照的にいたって普通の人間なので誰かと戦う事なんて慣れていないしそんな経験だってないだろう。誰かと命のやり取りをした経験ってあるのかな?」
「無いです。殴り合いの喧嘩だってしたことないです。ふざけて叩いたことくらいはありますけど喧嘩とかはしたことないです」
「だろうね。普通の人はそうだと思うよ。この学校に通ってる子たちは別だろうけど、普通にこの国で暮らしていたら命のやり取りをしたことがある人なんてそうそう見つかるものではないだろうね」
中学でもそんな経験はなかったし、小学校でも誰かと喧嘩した記憶はなかった。
もっと古い記憶、幼稚園時代にまで遡ればオモチャか何かを巡って喧嘩をしたことがあるような気もしていたが、相手を殺そうなどと思った事は無かったと思う。
そう考えると、工藤珠希はやはり誰とも命のやり取りをした経験はないのであった。
善良な日本人も悪い日本人もこの国に暮らしている大半の者は誰かと命のやり取りなんて行った経験はないだろう。
「この学校では日常的に命のやり取りを行っているわけなんだけど、君がそれに関わろうとする気持ちは持たなくてもいいんじゃないかなと私は思っている。もちろん、君が戦闘に巻き込まれて命を落としてしまったとしたら完璧に蘇らせることを誓うけれど、出来ることなら君は戦闘に関わらないでほしいと思っているんだよ。正直に言うと、私は誰も死んでほしいなんて思っていないんだ。いくら完璧に蘇らせたところで手当てがついて給料が増えることも無いからね。だからと言って手を抜くことはないけれどね」
「私も死にたいとは思ってないです。生き返らせてもらえるってわかってても、死ぬのは怖いです」
「それは普通の考えだと思うよ。私だって生き返れるって知ってるのに死ぬのは怖いからね。それはレジスタンスのみんなも同じだと思うよ。戦い方を見ていたらわかると思うんだけど、レジスタンスの子たちはなるべく怪我もしないようにって立ち回っているからね。サキュバスの子たちは怪我をする事だけじゃなく死ぬことも恐れてないみたいだけどさ」
「命の価値が軽いって思ってるって事ですか?」
「どうなんだろうね。そうかもしれないし、別の考えがあるからなのかもしれないね。ただ、イザーちゃんに関してはどちらも当てはまらないんじゃないかな。あの子は、自分が誰かに殺されるなんて考えてないと思うよ」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる