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〜第五章 ファーブラ・神話の始まり〜
95話✡︎✡︎師弟✡︎✡︎
しおりを挟むエレナがセレス女王になり二年が経とうとしていた。
クリタス平原は約束通り、パルセスから再興したクリタス王国に返還され、ベルリス温泉の都市開発は全てパルセスに受注され、まだ予定の三分の一程度の完成度だが既に賑わいを見せ始めている……
クリタス王国の首都は、返還されたクリタス平原にある、過去の首都クリタスに戻され、一部の遺跡を残し都市開発がゆっくりと進められている。
ここには記憶の棚がある為に、地下都市トールからわざわざ首都を移しているのだ。
パルセスもベルリス温泉開発の代金……セレスからの金塊が流入し以前よりも、賑わい活気が溢れている。
ドワーフ達も次から次へと舞い込む仕事に慌ただしく、稼ぎ時と見て商売根性を見せ次々と仕事をこなしていく。
アグドはベルリス平原の農地開拓が進み食料生産量が増加し始める。
食料不足はまだ見られるが、セレスからの支援量も以前より少なく済むようになり、鉱山開発も進められ、確実に国として立ち直りつつある。
エレナは女王としての責務に追われるが、その仕事ぶりは今まで手をこまねいていた国内の問題にも積極的にこなしている。
ベルリス温泉に出資している膨大な資金を感じさせない程、セレスは国として更に輝きを増して行く……
無論、過去にユリナとカナが想像した通り大臣達の仕事も増えた事は言うまでもない。
こうして新しい時代は各国に富をもたらし、国を豊かにし平穏な時を迎えていた……
そしてエレナの娘ユリナが、女神への道を歩み始める。
「ウァァーーーー‼︎」
ユリナがエルドの王宮の庭で、星屑の劔を振りそれをトールが普通の斬馬刀で受け止め激しい音が響き渡る……
トールが力強く押し返し、素早く下から上に切り上げるが、ユリナは身軽にかわし鋭い突きを入れ僅かに届くかと思ったが、トールはその瞬間ニヤッと笑みを見せ、かなり早く跳び星屑の劔の上に跳び乗り、ユリナの首に斬馬刀の刃を寸止めした。
「今日も俺の勝ちだな」
そう言い余裕の笑みを見せる、ユリナは悔しそうな顔をしながら言う。
「ちょと重いんだけど早く降りてくれない?」
かなり悔しそうだ……
トールは降りることなく、そのままウィンダムになりパタパタと跳びながら、暗黒の持ち手に止まると暗黒が消えた、トールの魂に納められたようだ。
「でも、ユリナ本当に大剣使える様になったね、それは先生が良いからかな?」
エレナが紅茶を飲みながらそう聞いて来た、確かにある程度ならトールと斬りあえる程の腕前に成長している。
「まだまだよ、一回も勝ったことない……」
「そう言わないの、ユリナはまだ練習して二年ちょとだよ、トールは二千年近く振り続けたんだから、ユリナもこれからだよ」
「ユリナはかなり筋がいいよ、グーダよりいいと思うよ。」
ウィンダムが言う。
「グーダってトールの時代のオーバーロードだよね?」
ユリナが聞く。
「そうだよグーダの剣は俺に届かなかったよ。
あいつはオークなのにかなり社交的だったな……ユリナの剣は俺に届きそうって事だよ」
そんな話をしながら時が経ちユリナは屋敷に帰る事にした。
ユリナも今では姫君であり僅かな護衛だけ連れて屋敷に帰る、
今エレナの屋敷はユリナの物になっている、ガーラはサランに帰り、ピリアと召使いと警備兵がいる。
ユリナが帰宅してピリアと食事をしている時にふとユリナが思い出した。
「ピリア、明日記憶の棚に行ってみようか?」
「え?……あ!」
この二年間エレナの手伝いが忙しくて、クリアスの石板まで気が回らなかった……
ベルリス温泉の開発、セレスの新しい制度、新しい鉱山開発、アグドの農地開発支援と食料支援の調整、クリタス王国の訪問……
アグド国王ベルガルの訪問などなど……
極め付けは、二月に一度くらい記憶の棚を使いパルセスのフェルミン女王が遊びに来る……
ユリナにもお見合いの話が何度かあったが、それはエレナが一方的に全て断った。
過去にエレナ自身が苦しんだ為に、ユリナに同じ想いはさせたく無く、ユリナが本当に愛せる人に出会えるのをエレナはゆっくり待ってくれている。
最近やっと余裕が出てきたので、二年前に出来なかった事を考えていた。
「お母さんが居なくても、トールが居るしピリアも居るから大丈夫だよ」
「そうですね、私も何かあれば戦えますから」
ピリアがそう言い久しぶり記憶の棚に行く事にした。
これが新しい冒険の始まりになる事を、まだ誰も知らなかった……
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