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第四章 死して屍拾う者無し
27話 黄昏
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梅雨の時期に小さな花が密集した手毬状の姿で魅せるアジサイ。
土の酸性度によって色が変化し、また同じ個体でも時間の経過で変色する。
“七変化”の異名を持つ。
花や葉には毒が有るとされ、実際に食べると嘔吐や眩暈などの中毒症状を起こす。
エルサーシアはこの花が好きだ。
幾つもの顔を持ち、食べると危険な在り様を好ましく思う。
***
はぁ~雨ですわぁ~
雨は好きですのよ!草も樹も花も、景色の全てが色濃く艶めいて。
庭を眺めているとショパンの調べが聞こえて来ますわ。
カルアンが弾いていますの。
ショパンの「別れの曲」。
夜明けにカルアンを叩き起こして、私がスキャットで歌い丸暗記させましたのよ!
「雨の日の私は寂しんぼうですの」
と言ったら雨が降る度に弾きますのよ。
もう飽きてしまいましたわ・・・
10日も降り続いていますので洗濯物のパンツが溜まっていますの。
パンツだけは自分の手で洗うのが私の拘りですのよ。
殆どの淑女の皆様は使い捨てにする様ですが、
愛しいパンツを捨てるなんて私には出来ませんわ!
替えのパンツは十分に有りますし、魔法で乾かす事も出来るのですけれど
やっぱりパンツは天日干しですわよね!
朝に干したパンツが2~3枚無くなっているのを見つけるとゾクゾクしますの。
すぐさまカルアンの近くで独り言の様に言いますのよ。
「あれぇ~おかしいですわねぇ~確か10枚干した筈ですのにぃ~」
「どどどどうしたんだぁ~い?サ、サーシアぁ~」
オロオロと目が泳いで挙動不審になりますのよ!
雉も鳴かずんば撃たれま~い!
「『コセムしてますかぁ~?』」
ピピッ!ピピッ!ピピッ!
「おんやぁ?何の音かしらぁ~?」
ポフッとカルアンの背中に被さって豊かになる予定の胸を押し付けますの。
カクカクと無意識に動く胸騒ぎの腰つきに畜生の趣がありますわ。
警告音の発生源であるカルアンの胸の内ポケットに手を滑り込ませて、
スルスルとパンツを取り出しますの。
繋ぎ合わされた3連パンツが出て来ましたわ!
掛布団の材料にする積りでしたのね・・・
“太陽に萌えろ”の八曲警察署取調室を再現した小部屋で、
裸電球スタンド風の照明をカルアンの顔に向けてルルナが問い詰めましたの。
「何じゃこりゃあ~!!!」
ジーパン刑事ですわね!
「つい・・・出来心で・・・」
あっさり白状しましたわ・・・
もう少し粘って下さらないといけませんことよ?
色々と用意していたセリフが無駄になってしまいましたわ。
お仕置きで大広間のシャンデリアに逆さ吊りにして差し上げましたの。
伝統の亀甲縛りですのよ!
お母様に見つかってお叱りを受けました・・・
やり過ぎたのかしら?
けれどカルアンも嬉しそうにしていましたのよ!
***
クリステル王太后陛下から御呼出しが掛かりましたの。
後宮パッサント宮殿の敷地内に在る離れ屋敷で暮らして居られますのよ。
離れに続く道沿いにアジサイの花が咲いていて物悲しくも美しいですわ。
案内されたお部屋の中にはハイラムのお使者の方々がいらっしゃいましたの。
「此方へおいでなさい」
「ご機嫌麗しゅう御座いますわ陛下。そちらの皆様はハイラムのお方ですの?」
陛下の隣へ座る様に勧められましたが先ずはご挨拶ですわね。
ハイラムの前宰相閣下と王太子殿下、第一王女殿下だと聞いて少々驚きましたわ。
通常なら国賓でお迎えする相手ですわよ?
なんでもお忍びで参られたとか。
それも私に用があるのだと。
厄介事の匂いがしますわ~
一通りご挨拶が済んで席に着きましたの。
それにしても閣下は良い男ですわぁ~
紳士風ですけれど鋭い眼光と隙のない佇まいが燻銀ですわ~
さすがは修羅の国のお方ですわね!
タイプですわ~
「聖女様には是非ともハイラムに御越し頂きとうござんす」
不器用そうな口調に胸がときめきますわね!
「私の一存ではお答え出来ませんわ」
「それなら大丈夫よ!私が話を通すわ!」
「えぇ、それでしたら私に否やは御座いませんわ」
随分と前のめりですわね陛下・・・
うっとりと少女の様な眼差しで閣下を見つめていらっしゃいますわねぇ。
あっ!
もしや例の初恋の・・・
ほぉ~~~
左様で御座いましたかぁ~
ここはひとつ私がお手伝い致しましょう!
「陛下も御一緒に参りませんこと?」
***
デンデス山脈を源流としバルドー帝国を南北に貫く大河シアラム。
幾度も王朝が盛衰し都も度々に流転したがこの大河の辺から外れる事は無かった。
河口では対岸が遠く霞み何所までが河で何所からが海なのか判らなくなる。
古来よりバルドーの民は内陸部を好み海風を嫌う。
激しい気象や潮気による腐食を忌避したのだ。
現ガンビ王朝の帝都パーリゾンはバルドー史上初の河口にある都である。
海軍力を戦力の柱に据える為だ。
陸路では軍を侵攻させられる経路は限られる。
敵は各要所で応戦すれば良い。
しかし海路での侵略に対しては何所で待ち構えれば良いのか分からない。
上陸されてからの対応では既に後手なのである。
ハイラムを除く大陸の南部諸国は瞬く間に侵略され属国となった。
「そうか、次はハイラムへ行くのか」
報告を受けた丞相は考え込む。
何十年も掛けてジョンソン家を抱き込んだ。
王を堕落させ操り人形も用意した。
だが気が付くと全て無駄になっていた。
何時もその中心にいるのは、あの娘だ。
あれが絡むと結んだ糸が解ける様に、仕留めた筈の獲物が搔き消える。
「一体あの娘は何者だ?」
答えは“聖女”だ、それは解っている。
そうでは無い!そんな事では無いのだ!
ただ強力な魔法が使えるだけでは、こうは成らない。
巡る因果の糸車が紡ぐ、あの娘の物語がそうさせるのだ。
だが邪魔はさせぬ!
一族の夢“千年王朝”を築くのだ!
「黒のジャガーに伝えよ、聖女を殺せと」
今度は手違いでは無い、明確に殺せと命じるのだ。
「承りまして御座います」
(シアラムよ、其方に見せて進ぜようぞ!千年の都を)
***
「へぇ~!聖女を手に掛けるざんすか?下手すりゃ戦争ざんすよ」
「応否や如何に」
「応ざぁ~んす」
黒のジャガーは終始軽薄な態度で受け答える。
「聖女を弾いた後の絵図をどうするのか丞相と話つけるざんす」
大事になるのは間違いない。
単なる諜報活動とはわけが違う。
事が済んだ後は速やかに国外へ脱出し新たな生業を構築しなければならない。
「半端な見返りじゃぁ踊れねぇざんすよ」
「伝えておく」
それだけ言うと使いの者は姿を消した。
「本当に聖女の命取れるざんすかい?」
後ろに控えていた手下が不安げに聞く。
「密林はワシらの庭ざんすよ?嬲り殺しざんす」
「ガキの体じゃあんまり楽しめないざんすねぇ」
「アホタレ!聖女付きの侍女たら女中たら上玉に決まっちょるざんす!」
「あぁ!そうざんすよねぇ~!」
「儂ゃぁガキの方がえぇざんすよ~」
「鬼畜よのぉ~」
「ぎゃははははははは!」
下卑た笑い声が密林に響く。
とっても嬉しそうだ。
彼らは知らない、誰の庭であろうとエルサーシアにとっては、
何の差し障りも無い事を。
***
アダーレン城のワイナリーで醸造しているのは貴腐葡萄を使った王家の甘露である。
広大な農園で栽培されている葡萄の中から厳選された房のみを使う。
この広さを以てしても収穫量は多くは無い。
完璧と判断できる房は全体の百分の一程である。
だからこそ“至高の一品”と成り得るのだ。
元より採算など考えられてはいない。
とてもではないが商売として成立はしない。
王家の威光を示す為の事業である。
この時期のアダーレンでの作業は間引いた実を使ってのジャム作りである。
王宮に収められる他は王都の高級料理店に卸される。
離宮には今、アナマリアとフリーデル親子、そしてマルキスが滞在している。
「もう一つ如何ですか?」
アナマリアが手作りの菓子を勧める。
勿論、甘さは控え目の焼き菓子である。
「あぁ頂くよマリア」
湖畔のテラスに大きな楓の枝が影を作り、避暑地の風が
涼やかにマルキスの髪を揺らす。
(あぁ・・・気持ちが良いな・・・)
こんなにも穏やかな心で居るのは初めてかも知れないとマルキスは思った。
絶望的な状況であるにも関わらず、自然と微笑みを浮かべていられる。
「変だと思うかも知れないけれどねマリア」
「あら何ですの?」
「私は今、幸せなのかも知れないのだよ」
「まぁ!気が合いますわね、私もですのよ!」
マルキスは笑った。
アナマリアも笑った。
先週はパトラシアとバロッサも娘を連れて遊びに来ていた。
忍者ごっことやらで大騒ぎしていた。
フリーデルが大きな凧に括りつけられて空に吊り上げられた時は、
落ちやしないかと心配したが、何やらお尻を押さえて激怒している
エルサーシアが怖くて止める事は出来なかった。
ハイラムへ旅立つ前に王后陛下から特別講義を受けるのだとかで、
週末に王都へ戻って行った。
フリーデルがぐずっていたが、エルサーシアが耳元で何事かを囁いた途端に
顔を真っ赤にして聞き分けが良くなった。
木漏れ日の光と影のその中の、彼女が笑う夏に思う。
(なんだ・・・そうだったのか)
自分はこの二人を愛していたのだと。
長い熟成期間が終わりを告げ、アナマリアの愛は遂にグラスに注がれた。
***
生まれてから3歳くらいでは
自分が何者であるかと考える事も無い。
5歳で周りと比べて違いに気付く。
10歳ともなると立ち位置が判る様になり、
20歳で世の中に憤る。
30歳の春に若さを懐かしみ、
40歳の夏に溜息を付き、
50歳の秋の夜長に人生を振り返る。
冬に体が軋む60歳、
残りの時間を数える70歳、
自分が何者であるのか分からなくなる80歳。
そして死ぬ間際になって漸く、
自分は何者でも無かった事を人は思い出す。
どの様な境遇に生まれ、どの様な人生を歩み、
どの様な最後を迎えるにしても、
誰もが同じような感慨に浸る。
ただ生まれて生きて死ぬ。
命とはその様なものである。
だからこそ元来にして自由なのだ。
***
「お嬢、この先に小川が在るざんす。そこで休憩するざんす」
「ケーンサン、私はもう“お嬢”ではなくてよ。ひ孫もいますもの」
「ワ!ワシにはお嬢は、ずっとお嬢のままざんす!」
「まぁ!ケーンサン・・・」
いい加減にして欲しいですわ・・・
同じやり取りを繰り返されるとレコードの溝掃除を想い出しますわ。
あれって何故か絶妙のタイミングで音が飛びますのよねぇ。
金太負けるな~♪金太負けるな~♪
金太まブツッ!金太まブツッ!金太まブツッ!
懐かしいですわぁ~
はぁ~我慢もそろそろ限界ですわ。
「やはり私は後ろの馬車に----」
「あら駄目よサーシア、此処に居て頂戴な。
「左様で御座いますか・・・」
なじょしてぇ~~~
幼気な少女に老楽の恋を見せ付ける積りですわね。
「どうして貴方は跡目を継が無かったの?」
「ぼんが居るざんすから。」
そう言えば先代の若頭でしたわね。
”ぼん”と言うのは現国王の事ですわね。
「兄様は貴方に継がせたかったのよ?」
「ワシはそんな器じゃぁ無ぇざんす」
「そんな事は無いわ、誰もが認めていたわ」
「不器用ざんすから」
うっとりする程の渋さですわねぇ~
ハイラムは実力主義ですものね。
必ずしも世襲ではありませんわね。
義理堅いですわねぇ。
ゲートを使えばこの様な黄昏劇場からも解放されるのですが、
ルルナと私の特級魔法はプライベートな用事にしか使わないと決めて居りますの。
公私混同は致しませんわ!
***
やっと・・・やっと着きましたわ!
勢いで接吻するかとドキドキする毎日でしたわ。
私が居なければ最後までしていましたわね確実に。
歯止め役にされましたわ。
自由ですわ~~~~~~
目の前にはハイラムの代紋が描かれた扉が在りますの。
これから国王陛下と謁見致しますの。
この時の為に王后陛下に特訓を受けましたのよ!
ハイラムは仁義にうるさいお国柄ですの。
特に初対面の挨拶で切る仁義をしくじると相手を侮辱した事になりますの。
場合によってはその場で落とし前を付ける羽目になりますのよ。
怖いですわぁ~
もし失敗したら証拠隠滅の為に目撃者を全員皆殺しですわね。
開始を知らせる太鼓の音が響きますわ。
ドド~ンド~ン!
「御免下さりなされませ~どなた様も御無礼御容赦願いまする~」
ド~ンド~ン!
「お入りなされ~お入りなされ~」
ド~ンド~ン!
「失礼様に~御座んす~」
ド~ンド~ン!
「近こうに~近こうに~」
ド~ンド~ン!
「有難う様に御座んす~お控ぇなさって~お控ぇなさって~」
ド~ンド~ン!」
「申しませ~申しませ~」
ドド~ンド~ン!
「ハイラム国王クロビー陛下とお見受け致しまする~」
ドド~ンド~ン!
「如何にも~クロビーで~あ~~~る!」
ドド~ンドド~ンドド~ン!
「お初にお目通り叶いまする~手前生国はオバルト~
北はラーアギル山脈の麓~ダモンの里に生まれし者にて~
ダモンの棟梁ヘイルマの娘ぇ~縁あってチャーフ家の門を潜りぃ~
カルアン・チャーフ・レイサンの妻と成りて~
姓はレイサン~名をエルサーシアと~名乗りし者にてぇ~御座んす~
向後万端宜しきの計らい~
御願い申し上げまする~~~」
ドンドンドンドン!
ドドォ~~~~~ン!
「お客人!お見事ざんす!」
「恐れ入りまして御座んす!」
はぁ~~~~~~
無事に乗り切りましわわぁ~
***
労働者の町キュポーラ。
バルドー連の酒場では何時もの通り賑わい、
嬌声と時に怒号とが入り混じっている。
「相変わらず此処はうるせぇ店だな」
カイビンドは舌を刺す程の強い蒸留酒を好む。
「下町の酒屋なんて何所も同じでしょうよ」
例の特徴の無い男が言葉を返す。
「で?決まったのかい?」
こんな顔だったか?とカイビンドは思う。
「降節の日で仕掛ける事に成りました」
エルサーシア襲撃の話だ。
「こっちは王都で騒ぎになってからだな?」
少しくらいはズレるかと思案する。
「えぇ、タイミングはお任せしますよ」
「何人寄越せる?」
バルドーの戦闘員にも手を貸して貰う約束だ。
「手練れ30ですね」
足手まといは返って邪魔になる。
「良いだろう、こっちは20だ」
あの娘さえ居なければ十分な数だ。
「御庭番の方は大丈夫なのですか?」
「今残っている奴らは戦闘員じゃねぇよ、この前のでやられたからな」
手強いのはモルガンくらだ。
「間違って人形まで殺さないで下さいよ」
フリーデルは大事な駒なのだ。
「分かってるさ、ヘマはしねぇよ」
カイビンドは、ほろ酔いで店を出た。
「まったく騒がしい店だ。話が入って来ねぇじゃねぇか!」
土の酸性度によって色が変化し、また同じ個体でも時間の経過で変色する。
“七変化”の異名を持つ。
花や葉には毒が有るとされ、実際に食べると嘔吐や眩暈などの中毒症状を起こす。
エルサーシアはこの花が好きだ。
幾つもの顔を持ち、食べると危険な在り様を好ましく思う。
***
はぁ~雨ですわぁ~
雨は好きですのよ!草も樹も花も、景色の全てが色濃く艶めいて。
庭を眺めているとショパンの調べが聞こえて来ますわ。
カルアンが弾いていますの。
ショパンの「別れの曲」。
夜明けにカルアンを叩き起こして、私がスキャットで歌い丸暗記させましたのよ!
「雨の日の私は寂しんぼうですの」
と言ったら雨が降る度に弾きますのよ。
もう飽きてしまいましたわ・・・
10日も降り続いていますので洗濯物のパンツが溜まっていますの。
パンツだけは自分の手で洗うのが私の拘りですのよ。
殆どの淑女の皆様は使い捨てにする様ですが、
愛しいパンツを捨てるなんて私には出来ませんわ!
替えのパンツは十分に有りますし、魔法で乾かす事も出来るのですけれど
やっぱりパンツは天日干しですわよね!
朝に干したパンツが2~3枚無くなっているのを見つけるとゾクゾクしますの。
すぐさまカルアンの近くで独り言の様に言いますのよ。
「あれぇ~おかしいですわねぇ~確か10枚干した筈ですのにぃ~」
「どどどどうしたんだぁ~い?サ、サーシアぁ~」
オロオロと目が泳いで挙動不審になりますのよ!
雉も鳴かずんば撃たれま~い!
「『コセムしてますかぁ~?』」
ピピッ!ピピッ!ピピッ!
「おんやぁ?何の音かしらぁ~?」
ポフッとカルアンの背中に被さって豊かになる予定の胸を押し付けますの。
カクカクと無意識に動く胸騒ぎの腰つきに畜生の趣がありますわ。
警告音の発生源であるカルアンの胸の内ポケットに手を滑り込ませて、
スルスルとパンツを取り出しますの。
繋ぎ合わされた3連パンツが出て来ましたわ!
掛布団の材料にする積りでしたのね・・・
“太陽に萌えろ”の八曲警察署取調室を再現した小部屋で、
裸電球スタンド風の照明をカルアンの顔に向けてルルナが問い詰めましたの。
「何じゃこりゃあ~!!!」
ジーパン刑事ですわね!
「つい・・・出来心で・・・」
あっさり白状しましたわ・・・
もう少し粘って下さらないといけませんことよ?
色々と用意していたセリフが無駄になってしまいましたわ。
お仕置きで大広間のシャンデリアに逆さ吊りにして差し上げましたの。
伝統の亀甲縛りですのよ!
お母様に見つかってお叱りを受けました・・・
やり過ぎたのかしら?
けれどカルアンも嬉しそうにしていましたのよ!
***
クリステル王太后陛下から御呼出しが掛かりましたの。
後宮パッサント宮殿の敷地内に在る離れ屋敷で暮らして居られますのよ。
離れに続く道沿いにアジサイの花が咲いていて物悲しくも美しいですわ。
案内されたお部屋の中にはハイラムのお使者の方々がいらっしゃいましたの。
「此方へおいでなさい」
「ご機嫌麗しゅう御座いますわ陛下。そちらの皆様はハイラムのお方ですの?」
陛下の隣へ座る様に勧められましたが先ずはご挨拶ですわね。
ハイラムの前宰相閣下と王太子殿下、第一王女殿下だと聞いて少々驚きましたわ。
通常なら国賓でお迎えする相手ですわよ?
なんでもお忍びで参られたとか。
それも私に用があるのだと。
厄介事の匂いがしますわ~
一通りご挨拶が済んで席に着きましたの。
それにしても閣下は良い男ですわぁ~
紳士風ですけれど鋭い眼光と隙のない佇まいが燻銀ですわ~
さすがは修羅の国のお方ですわね!
タイプですわ~
「聖女様には是非ともハイラムに御越し頂きとうござんす」
不器用そうな口調に胸がときめきますわね!
「私の一存ではお答え出来ませんわ」
「それなら大丈夫よ!私が話を通すわ!」
「えぇ、それでしたら私に否やは御座いませんわ」
随分と前のめりですわね陛下・・・
うっとりと少女の様な眼差しで閣下を見つめていらっしゃいますわねぇ。
あっ!
もしや例の初恋の・・・
ほぉ~~~
左様で御座いましたかぁ~
ここはひとつ私がお手伝い致しましょう!
「陛下も御一緒に参りませんこと?」
***
デンデス山脈を源流としバルドー帝国を南北に貫く大河シアラム。
幾度も王朝が盛衰し都も度々に流転したがこの大河の辺から外れる事は無かった。
河口では対岸が遠く霞み何所までが河で何所からが海なのか判らなくなる。
古来よりバルドーの民は内陸部を好み海風を嫌う。
激しい気象や潮気による腐食を忌避したのだ。
現ガンビ王朝の帝都パーリゾンはバルドー史上初の河口にある都である。
海軍力を戦力の柱に据える為だ。
陸路では軍を侵攻させられる経路は限られる。
敵は各要所で応戦すれば良い。
しかし海路での侵略に対しては何所で待ち構えれば良いのか分からない。
上陸されてからの対応では既に後手なのである。
ハイラムを除く大陸の南部諸国は瞬く間に侵略され属国となった。
「そうか、次はハイラムへ行くのか」
報告を受けた丞相は考え込む。
何十年も掛けてジョンソン家を抱き込んだ。
王を堕落させ操り人形も用意した。
だが気が付くと全て無駄になっていた。
何時もその中心にいるのは、あの娘だ。
あれが絡むと結んだ糸が解ける様に、仕留めた筈の獲物が搔き消える。
「一体あの娘は何者だ?」
答えは“聖女”だ、それは解っている。
そうでは無い!そんな事では無いのだ!
ただ強力な魔法が使えるだけでは、こうは成らない。
巡る因果の糸車が紡ぐ、あの娘の物語がそうさせるのだ。
だが邪魔はさせぬ!
一族の夢“千年王朝”を築くのだ!
「黒のジャガーに伝えよ、聖女を殺せと」
今度は手違いでは無い、明確に殺せと命じるのだ。
「承りまして御座います」
(シアラムよ、其方に見せて進ぜようぞ!千年の都を)
***
「へぇ~!聖女を手に掛けるざんすか?下手すりゃ戦争ざんすよ」
「応否や如何に」
「応ざぁ~んす」
黒のジャガーは終始軽薄な態度で受け答える。
「聖女を弾いた後の絵図をどうするのか丞相と話つけるざんす」
大事になるのは間違いない。
単なる諜報活動とはわけが違う。
事が済んだ後は速やかに国外へ脱出し新たな生業を構築しなければならない。
「半端な見返りじゃぁ踊れねぇざんすよ」
「伝えておく」
それだけ言うと使いの者は姿を消した。
「本当に聖女の命取れるざんすかい?」
後ろに控えていた手下が不安げに聞く。
「密林はワシらの庭ざんすよ?嬲り殺しざんす」
「ガキの体じゃあんまり楽しめないざんすねぇ」
「アホタレ!聖女付きの侍女たら女中たら上玉に決まっちょるざんす!」
「あぁ!そうざんすよねぇ~!」
「儂ゃぁガキの方がえぇざんすよ~」
「鬼畜よのぉ~」
「ぎゃははははははは!」
下卑た笑い声が密林に響く。
とっても嬉しそうだ。
彼らは知らない、誰の庭であろうとエルサーシアにとっては、
何の差し障りも無い事を。
***
アダーレン城のワイナリーで醸造しているのは貴腐葡萄を使った王家の甘露である。
広大な農園で栽培されている葡萄の中から厳選された房のみを使う。
この広さを以てしても収穫量は多くは無い。
完璧と判断できる房は全体の百分の一程である。
だからこそ“至高の一品”と成り得るのだ。
元より採算など考えられてはいない。
とてもではないが商売として成立はしない。
王家の威光を示す為の事業である。
この時期のアダーレンでの作業は間引いた実を使ってのジャム作りである。
王宮に収められる他は王都の高級料理店に卸される。
離宮には今、アナマリアとフリーデル親子、そしてマルキスが滞在している。
「もう一つ如何ですか?」
アナマリアが手作りの菓子を勧める。
勿論、甘さは控え目の焼き菓子である。
「あぁ頂くよマリア」
湖畔のテラスに大きな楓の枝が影を作り、避暑地の風が
涼やかにマルキスの髪を揺らす。
(あぁ・・・気持ちが良いな・・・)
こんなにも穏やかな心で居るのは初めてかも知れないとマルキスは思った。
絶望的な状況であるにも関わらず、自然と微笑みを浮かべていられる。
「変だと思うかも知れないけれどねマリア」
「あら何ですの?」
「私は今、幸せなのかも知れないのだよ」
「まぁ!気が合いますわね、私もですのよ!」
マルキスは笑った。
アナマリアも笑った。
先週はパトラシアとバロッサも娘を連れて遊びに来ていた。
忍者ごっことやらで大騒ぎしていた。
フリーデルが大きな凧に括りつけられて空に吊り上げられた時は、
落ちやしないかと心配したが、何やらお尻を押さえて激怒している
エルサーシアが怖くて止める事は出来なかった。
ハイラムへ旅立つ前に王后陛下から特別講義を受けるのだとかで、
週末に王都へ戻って行った。
フリーデルがぐずっていたが、エルサーシアが耳元で何事かを囁いた途端に
顔を真っ赤にして聞き分けが良くなった。
木漏れ日の光と影のその中の、彼女が笑う夏に思う。
(なんだ・・・そうだったのか)
自分はこの二人を愛していたのだと。
長い熟成期間が終わりを告げ、アナマリアの愛は遂にグラスに注がれた。
***
生まれてから3歳くらいでは
自分が何者であるかと考える事も無い。
5歳で周りと比べて違いに気付く。
10歳ともなると立ち位置が判る様になり、
20歳で世の中に憤る。
30歳の春に若さを懐かしみ、
40歳の夏に溜息を付き、
50歳の秋の夜長に人生を振り返る。
冬に体が軋む60歳、
残りの時間を数える70歳、
自分が何者であるのか分からなくなる80歳。
そして死ぬ間際になって漸く、
自分は何者でも無かった事を人は思い出す。
どの様な境遇に生まれ、どの様な人生を歩み、
どの様な最後を迎えるにしても、
誰もが同じような感慨に浸る。
ただ生まれて生きて死ぬ。
命とはその様なものである。
だからこそ元来にして自由なのだ。
***
「お嬢、この先に小川が在るざんす。そこで休憩するざんす」
「ケーンサン、私はもう“お嬢”ではなくてよ。ひ孫もいますもの」
「ワ!ワシにはお嬢は、ずっとお嬢のままざんす!」
「まぁ!ケーンサン・・・」
いい加減にして欲しいですわ・・・
同じやり取りを繰り返されるとレコードの溝掃除を想い出しますわ。
あれって何故か絶妙のタイミングで音が飛びますのよねぇ。
金太負けるな~♪金太負けるな~♪
金太まブツッ!金太まブツッ!金太まブツッ!
懐かしいですわぁ~
はぁ~我慢もそろそろ限界ですわ。
「やはり私は後ろの馬車に----」
「あら駄目よサーシア、此処に居て頂戴な。
「左様で御座いますか・・・」
なじょしてぇ~~~
幼気な少女に老楽の恋を見せ付ける積りですわね。
「どうして貴方は跡目を継が無かったの?」
「ぼんが居るざんすから。」
そう言えば先代の若頭でしたわね。
”ぼん”と言うのは現国王の事ですわね。
「兄様は貴方に継がせたかったのよ?」
「ワシはそんな器じゃぁ無ぇざんす」
「そんな事は無いわ、誰もが認めていたわ」
「不器用ざんすから」
うっとりする程の渋さですわねぇ~
ハイラムは実力主義ですものね。
必ずしも世襲ではありませんわね。
義理堅いですわねぇ。
ゲートを使えばこの様な黄昏劇場からも解放されるのですが、
ルルナと私の特級魔法はプライベートな用事にしか使わないと決めて居りますの。
公私混同は致しませんわ!
***
やっと・・・やっと着きましたわ!
勢いで接吻するかとドキドキする毎日でしたわ。
私が居なければ最後までしていましたわね確実に。
歯止め役にされましたわ。
自由ですわ~~~~~~
目の前にはハイラムの代紋が描かれた扉が在りますの。
これから国王陛下と謁見致しますの。
この時の為に王后陛下に特訓を受けましたのよ!
ハイラムは仁義にうるさいお国柄ですの。
特に初対面の挨拶で切る仁義をしくじると相手を侮辱した事になりますの。
場合によってはその場で落とし前を付ける羽目になりますのよ。
怖いですわぁ~
もし失敗したら証拠隠滅の為に目撃者を全員皆殺しですわね。
開始を知らせる太鼓の音が響きますわ。
ドド~ンド~ン!
「御免下さりなされませ~どなた様も御無礼御容赦願いまする~」
ド~ンド~ン!
「お入りなされ~お入りなされ~」
ド~ンド~ン!
「失礼様に~御座んす~」
ド~ンド~ン!
「近こうに~近こうに~」
ド~ンド~ン!
「有難う様に御座んす~お控ぇなさって~お控ぇなさって~」
ド~ンド~ン!」
「申しませ~申しませ~」
ドド~ンド~ン!
「ハイラム国王クロビー陛下とお見受け致しまする~」
ドド~ンド~ン!
「如何にも~クロビーで~あ~~~る!」
ドド~ンドド~ンドド~ン!
「お初にお目通り叶いまする~手前生国はオバルト~
北はラーアギル山脈の麓~ダモンの里に生まれし者にて~
ダモンの棟梁ヘイルマの娘ぇ~縁あってチャーフ家の門を潜りぃ~
カルアン・チャーフ・レイサンの妻と成りて~
姓はレイサン~名をエルサーシアと~名乗りし者にてぇ~御座んす~
向後万端宜しきの計らい~
御願い申し上げまする~~~」
ドンドンドンドン!
ドドォ~~~~~ン!
「お客人!お見事ざんす!」
「恐れ入りまして御座んす!」
はぁ~~~~~~
無事に乗り切りましわわぁ~
***
労働者の町キュポーラ。
バルドー連の酒場では何時もの通り賑わい、
嬌声と時に怒号とが入り混じっている。
「相変わらず此処はうるせぇ店だな」
カイビンドは舌を刺す程の強い蒸留酒を好む。
「下町の酒屋なんて何所も同じでしょうよ」
例の特徴の無い男が言葉を返す。
「で?決まったのかい?」
こんな顔だったか?とカイビンドは思う。
「降節の日で仕掛ける事に成りました」
エルサーシア襲撃の話だ。
「こっちは王都で騒ぎになってからだな?」
少しくらいはズレるかと思案する。
「えぇ、タイミングはお任せしますよ」
「何人寄越せる?」
バルドーの戦闘員にも手を貸して貰う約束だ。
「手練れ30ですね」
足手まといは返って邪魔になる。
「良いだろう、こっちは20だ」
あの娘さえ居なければ十分な数だ。
「御庭番の方は大丈夫なのですか?」
「今残っている奴らは戦闘員じゃねぇよ、この前のでやられたからな」
手強いのはモルガンくらだ。
「間違って人形まで殺さないで下さいよ」
フリーデルは大事な駒なのだ。
「分かってるさ、ヘマはしねぇよ」
カイビンドは、ほろ酔いで店を出た。
「まったく騒がしい店だ。話が入って来ねぇじゃねぇか!」
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