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第五部 第一章 若草物語
72話 若草四姉妹
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タッタッタッタッタッタッ
まだ夜明け前の暗い部屋に駆け足の音が聞こえる。
庭師が起きるには早過ぎるし通りに面しているのでも無い。
タッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ
次第に近づいて来る迷い無きリズム。
タッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ
ズルッ!ドテッ!
コケたっ!
「し、新~聞~~~ん」
閉まっている筈の窓をすり抜けて、一部の新聞が飛び込んで来る。
ちょっと汚れてる・・・
ま・・・まさかこれは!
「あら、精霊新聞だわ」
すっとルルナが拾い上げる。
不定期で送られて来る精霊界の業界新聞である。
「また何かあったのかしら?」
取り敢えずは一面のチェックである。
<デーデルン公国に聖女誕生!>
大見出しでトップを飾るに相応しい大ニュースだ!
「え!嘘でしょう?」
***
精霊契約を行うには祭壇に立ち契約の意思を示さなければならない。
祭壇は精霊教会の管理下に在り、使用するには許可が必要である。
当然に契約の内容は登記される。
だが教会の把握していない祭壇が存在する。
北の氷の大地エギ・キキル・デアル、北極圏に位置する大陸。
その奥地、前人未到の世界でも、ひっそりと祭壇は尋ね人を待っている。
「こげな所に祭壇ばあるちゃんねぇ。それにしてん寒かぁ~」
モコモコの防寒着を貫く寒さにデーデルン大公ドルフは辟易した。
同行させている法師の力では、この氷点下を遥かに下回る極寒に為す術も無かった。
まるで春のピクニックの様な軽装でこの地を闊歩したエルサーシアの魔力が、
如何に強力であるかが窺える。
「うふっ!まだ遠いのかな?」
「いえ、あの小山に入口が御座います」
洞窟を発見した調査隊の頭が答える。
「もう少しだからね。うふふふふ」
「はい!お父様!」
「このくらい平気ですわ!お父様!」
「楽しみですわ!お父様!」
「お、おしっこ~~~!」
「まぁ!エイミーったら!」
「出かける前に済ませなさいよ!」
「その辺でしなさいな!」
「漏れる~~~!」
え~~~っと・・・
そんなこんなで、わ~わ~言うてる内に洞窟の入り口に着いた。
洞窟自体は自然の物だが、整地されて道が出来ている。
「なんか人ば通ったごたるね」
「はい、我らが来た時にはすでに」
「うふ!まだ新しい道だね。うふふ」
そう!エルサーシア達が、リコアリーゼの精霊契約をするために訪れた所だ。
生れたばかりでも契約が出来る事を公に知られるとマズイかも?
と思ってこっそり来たのだ。
結局はバレてしまったが。
ハニーのせいで・・・
「滑るから気を付けるのだよ、うふふ」
「はい!お父様!」
暫く進むと、つららの様な鍾乳石やリムストーンと呼ばれる囲みに水が溜まり
棚田の様に重なり合っている景色が広がる。
「うわぁ~奇麗!」
「ねぇ!ここでチラロイドしましょう!」
「お父様は真ん中ねっ!」
「うふふふ、はいはい」
わ~わ~言いながら祭壇までやって来た。
「うふっ!さぁ、娘達よ。祭壇に登り祝詞を捧げるのだよ」
「はい!お父様!」
呪文は魔法を発動する為の依頼だが、祝詞は精霊に捧げる賛辞であると共に、
契約の意思表示となる。
『貴方と私のラブリーエンジェル!魔法少女は俺の嫁!月に誓ってお仕置きよ!』
四人姉妹の声がハーモニーとなり、洞窟内にこだまする。
空気そのものが光を発したかと思う程に眩い白に包まれる。
「はぁ~い!私リカちゃん!」
「私はイズミちゃん!」
「クルミちゃんだよぉ~!」
「吾輩はハルミちゃんであ~る!」
こんなん出ましたけどぉ~~~!
***
アーノルドは中位上級精霊と契約している。
そこそこに高い親和性を有しているので、サラアーミアの人見知り言語も
少しだけなら理解が出来る。
「おぉ~此処がモスクピルナスか!なんと美しい!」
聖女の初デートと言えば、やはり此処だよね!
「みゅ、みゅにゃらご?」
「いや!今のは違うのだ!もちろん姫の方が美しい!決まっているではないか!」
前言撤回!
まったく理解してなかった~
感で受け答えしてやがる~
「ふみゅもごふもふも」
「どうか機嫌を直しておくれ!」
「ごにょごにょぐにゅ」
「あぁ!姫を悲しませるなんて!私は駄目な男だ!」
「ふにゃふにゃもげらにょ」
「つ、つぐないをさせて欲しい」
「もごもごふにゃらふにゃ」
おもむろに四つん這いになるアーノルド。
「さぁ!姫!どうか気の済むまで!」
「も!もごふにゃごにゅら~!」
「踏んづけてあげなさいよ」
「それよりも百叩きが良いわ!」
「この枝なんか丁度良いわよ!」
「お!おしっこ~!」
「もげ?」
「まぁ!エイミーまたなの?」
「出かける前にしなさいっていつも言ってるでしょ!」
「だぁってぇ~」
「その辺でしなさいよ!」
「あぐもげら~」
ちびっ子サーシアちゃんが来てた!
まぁ聖女なのだから此処へもフリーパスで入れるわいな~
「ちょっと!何よ貴方達は!」
「達は!」
隠れて見守っていた双子が慌てて出て来た。
「可愛い子ね!何所から来たの!」
アルサラーラも飛び出して来た!
けど、なんか違う・・・
「おぉっとぉ~!これは大波乱の予感!」
「噂の闇の聖女よ!」
「大スクープだわ!」
「またバカ売れだねぇ~」
やっぱりこいつらも居た。
「あ!先輩~い、どうも~」
「あら、貴方達が今度の?」
「はい~来たばかりで~」
「色々と教えて下さぁい!」
リカちゃん達は世渡り上手!
「なかなか見所が有るわね!」
「どう?入る?同好会!」
「え?何ですか~?」
「儲かるわよ!」
「是非!!!!」
なんかもう・・・ぐちゃぐちゃだぁ~
「お母様は?来ていないの?」
「お母様?」
「ま?」
(何処かで見た様な・・・)
そりゃぁそうだ。
「えぇ、お母様よ!」
「誰の?」
「の?」
(気のせいかしら・・・)
いやいや気のせいでは無いよぉ。
「私達のお母様よ!」
「決まってるでしょう?」
「知りませんわよ!貴方達のお母様なんて!」
「なんて!」
(でも毎日見ているような・・・)
毎日見てるよぉ~
「あら!知らないの?有名よ!」
「だから誰ですの!」
「の!」
(何所で見たのかしら・・・)
お城に居るよぉ~
「うふっ!聞いて驚きなさい!」
「私達のお母様は、大聖女なの!」
「あら、そう・・・え?」
「え?」
「え?」
「大聖女エルサーシア!それが私達のお母様よ!」
「はぁ~?」
「思い出した!お母様ですわ!」
その通~~~り!
「あぁ~すっきりしたぁ~あれ?どうしたの?」
その辺でして来たな・・・エイミー・・・
「も!もごふにゃごにゅら~!」
***
「か!閣下!何所にも居ません!」
「うふっ!困ったな・・・何所へ行ったのかな?うふふふふふふふふ。
まったく勝手気ままだねぇ、あの子達は。うふふふふふふふふふ」
だってサーシアのクローンだもの。
***
「私が貴方達のお母様なの?」
カイエント城に幾つかある応接の間。
その内の一つでエルサーシアと、ちびっ子サーシア達は対面した。
なるほどっ!
若草の頃のエルサーシアだ!
当然だけれど。
「あぁ、お母様・・・そうです」
「やっと・・・やっと会えた・・・」
「夢にまで見た、お母様!」
「お母様ぁ~~~」
はらはらと駆け寄り足元に崩れる。
教会で買い求めた肖像画に向かい、朝な夕なに語り掛けた。
その人が今は目の前に居る。
「サーシアのクローン体ですね。波形が同じです。デーデルンの聖女と言うのが、
この子達なのでしょう」
ルルナが冷静に分析する。
「今までどうしていたの?聞かせて頂戴な」
「はい!お母様!」
デーデルンの研究施設で育てられた事。
カヒ・ゲライスを父親だと思っている事。
聖女一家と戦って勝利すれば、母親と一緒に暮らせるようになると教えられて来た事
などを語った。
「でもお母様と戦うなんて嫌!」
うんうん、嫌だよね。
「だから迎えに来たの!」
そうかそうか、迎えに来たんだね・・・あれ?
「一緒に帰りましょう!お母様!」
「これからはずっと一緒ね!」
話が変な方向に曲がったぞ!
おぅ!サイコパ~ス!
さすが!サーシアのクローン!
どうする?サーシア!
答えはいかに!
「嫌よ、面倒くさい」
イエ~ィ!クイ~ン・オブ・サイコパ~ス!
「駄目よ!そんな事させないから!」
「ふにゃげらもごげろ!」
「邪魔しないで!殺すわよ!」
「『グシャリ』」
エルサーシアの重力魔法が若草姉妹を押しつぶす。
「うげっ!」
「お、お母様~」
「つ、潰れる~」
「も、漏れる~」
「私の可愛い娘になんて事を言うの?」
虎の尾を踏んでしまった。
「御免なさい~」
「許してお母様~」
「リカちゃん助けて~」
「いやぁ~無理ですぅ」
格が違い過ぎる。
確かに彼女達は非常に優れた資質を持っている。
サーシアのクローンだけの事はある。
だが違うのだ。
彼女達は転生者では無い。
死を経験し蘇った半精霊、それが転生者だ。
クローンと雖も正味の人間では、能力を全開放する事は叶わない。
遺伝子の発現率だけでは無いのだ。
魔法は奥が深いのだぁ~
「私の娘になりたいのなら良い子になさい」
「なります!」
「良い子にします!」
「お願いお母様!」
「漏れちゃったぁ~」
「いいのですか?サーシア」
「えぇ、構わないわよ」
どうにも他人とは思えない。
実際に歳の離れた五つ子の様なものだ。
家族に迎え入れるのも吝かでは無い。
「ここで一緒に暮らせば良いわ」
だが、そうするには一つ片付けなければならない事が有る。
その問題を避けて通れはしない。
そう・・・
「パンツは朝昼晩で履き替えなさい。もちろんお手洗いへ行ったらその都度に
履き替えるのよ。良いわね?」
「はい!お母様!」
いや!それじゃないからぁ~
「うごみゃ!」
「どうしたの?」
「ふにゃむにゃごにゅ!」
***
「ま・・・まだかな?随分と長いな・・・でも・・・これはこれで・・・」
モスクピルナスで放置プレイ!
まだ夜明け前の暗い部屋に駆け足の音が聞こえる。
庭師が起きるには早過ぎるし通りに面しているのでも無い。
タッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ
次第に近づいて来る迷い無きリズム。
タッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ
ズルッ!ドテッ!
コケたっ!
「し、新~聞~~~ん」
閉まっている筈の窓をすり抜けて、一部の新聞が飛び込んで来る。
ちょっと汚れてる・・・
ま・・・まさかこれは!
「あら、精霊新聞だわ」
すっとルルナが拾い上げる。
不定期で送られて来る精霊界の業界新聞である。
「また何かあったのかしら?」
取り敢えずは一面のチェックである。
<デーデルン公国に聖女誕生!>
大見出しでトップを飾るに相応しい大ニュースだ!
「え!嘘でしょう?」
***
精霊契約を行うには祭壇に立ち契約の意思を示さなければならない。
祭壇は精霊教会の管理下に在り、使用するには許可が必要である。
当然に契約の内容は登記される。
だが教会の把握していない祭壇が存在する。
北の氷の大地エギ・キキル・デアル、北極圏に位置する大陸。
その奥地、前人未到の世界でも、ひっそりと祭壇は尋ね人を待っている。
「こげな所に祭壇ばあるちゃんねぇ。それにしてん寒かぁ~」
モコモコの防寒着を貫く寒さにデーデルン大公ドルフは辟易した。
同行させている法師の力では、この氷点下を遥かに下回る極寒に為す術も無かった。
まるで春のピクニックの様な軽装でこの地を闊歩したエルサーシアの魔力が、
如何に強力であるかが窺える。
「うふっ!まだ遠いのかな?」
「いえ、あの小山に入口が御座います」
洞窟を発見した調査隊の頭が答える。
「もう少しだからね。うふふふふ」
「はい!お父様!」
「このくらい平気ですわ!お父様!」
「楽しみですわ!お父様!」
「お、おしっこ~~~!」
「まぁ!エイミーったら!」
「出かける前に済ませなさいよ!」
「その辺でしなさいな!」
「漏れる~~~!」
え~~~っと・・・
そんなこんなで、わ~わ~言うてる内に洞窟の入り口に着いた。
洞窟自体は自然の物だが、整地されて道が出来ている。
「なんか人ば通ったごたるね」
「はい、我らが来た時にはすでに」
「うふ!まだ新しい道だね。うふふ」
そう!エルサーシア達が、リコアリーゼの精霊契約をするために訪れた所だ。
生れたばかりでも契約が出来る事を公に知られるとマズイかも?
と思ってこっそり来たのだ。
結局はバレてしまったが。
ハニーのせいで・・・
「滑るから気を付けるのだよ、うふふ」
「はい!お父様!」
暫く進むと、つららの様な鍾乳石やリムストーンと呼ばれる囲みに水が溜まり
棚田の様に重なり合っている景色が広がる。
「うわぁ~奇麗!」
「ねぇ!ここでチラロイドしましょう!」
「お父様は真ん中ねっ!」
「うふふふ、はいはい」
わ~わ~言いながら祭壇までやって来た。
「うふっ!さぁ、娘達よ。祭壇に登り祝詞を捧げるのだよ」
「はい!お父様!」
呪文は魔法を発動する為の依頼だが、祝詞は精霊に捧げる賛辞であると共に、
契約の意思表示となる。
『貴方と私のラブリーエンジェル!魔法少女は俺の嫁!月に誓ってお仕置きよ!』
四人姉妹の声がハーモニーとなり、洞窟内にこだまする。
空気そのものが光を発したかと思う程に眩い白に包まれる。
「はぁ~い!私リカちゃん!」
「私はイズミちゃん!」
「クルミちゃんだよぉ~!」
「吾輩はハルミちゃんであ~る!」
こんなん出ましたけどぉ~~~!
***
アーノルドは中位上級精霊と契約している。
そこそこに高い親和性を有しているので、サラアーミアの人見知り言語も
少しだけなら理解が出来る。
「おぉ~此処がモスクピルナスか!なんと美しい!」
聖女の初デートと言えば、やはり此処だよね!
「みゅ、みゅにゃらご?」
「いや!今のは違うのだ!もちろん姫の方が美しい!決まっているではないか!」
前言撤回!
まったく理解してなかった~
感で受け答えしてやがる~
「ふみゅもごふもふも」
「どうか機嫌を直しておくれ!」
「ごにょごにょぐにゅ」
「あぁ!姫を悲しませるなんて!私は駄目な男だ!」
「ふにゃふにゃもげらにょ」
「つ、つぐないをさせて欲しい」
「もごもごふにゃらふにゃ」
おもむろに四つん這いになるアーノルド。
「さぁ!姫!どうか気の済むまで!」
「も!もごふにゃごにゅら~!」
「踏んづけてあげなさいよ」
「それよりも百叩きが良いわ!」
「この枝なんか丁度良いわよ!」
「お!おしっこ~!」
「もげ?」
「まぁ!エイミーまたなの?」
「出かける前にしなさいっていつも言ってるでしょ!」
「だぁってぇ~」
「その辺でしなさいよ!」
「あぐもげら~」
ちびっ子サーシアちゃんが来てた!
まぁ聖女なのだから此処へもフリーパスで入れるわいな~
「ちょっと!何よ貴方達は!」
「達は!」
隠れて見守っていた双子が慌てて出て来た。
「可愛い子ね!何所から来たの!」
アルサラーラも飛び出して来た!
けど、なんか違う・・・
「おぉっとぉ~!これは大波乱の予感!」
「噂の闇の聖女よ!」
「大スクープだわ!」
「またバカ売れだねぇ~」
やっぱりこいつらも居た。
「あ!先輩~い、どうも~」
「あら、貴方達が今度の?」
「はい~来たばかりで~」
「色々と教えて下さぁい!」
リカちゃん達は世渡り上手!
「なかなか見所が有るわね!」
「どう?入る?同好会!」
「え?何ですか~?」
「儲かるわよ!」
「是非!!!!」
なんかもう・・・ぐちゃぐちゃだぁ~
「お母様は?来ていないの?」
「お母様?」
「ま?」
(何処かで見た様な・・・)
そりゃぁそうだ。
「えぇ、お母様よ!」
「誰の?」
「の?」
(気のせいかしら・・・)
いやいや気のせいでは無いよぉ。
「私達のお母様よ!」
「決まってるでしょう?」
「知りませんわよ!貴方達のお母様なんて!」
「なんて!」
(でも毎日見ているような・・・)
毎日見てるよぉ~
「あら!知らないの?有名よ!」
「だから誰ですの!」
「の!」
(何所で見たのかしら・・・)
お城に居るよぉ~
「うふっ!聞いて驚きなさい!」
「私達のお母様は、大聖女なの!」
「あら、そう・・・え?」
「え?」
「え?」
「大聖女エルサーシア!それが私達のお母様よ!」
「はぁ~?」
「思い出した!お母様ですわ!」
その通~~~り!
「あぁ~すっきりしたぁ~あれ?どうしたの?」
その辺でして来たな・・・エイミー・・・
「も!もごふにゃごにゅら~!」
***
「か!閣下!何所にも居ません!」
「うふっ!困ったな・・・何所へ行ったのかな?うふふふふふふふふ。
まったく勝手気ままだねぇ、あの子達は。うふふふふふふふふふ」
だってサーシアのクローンだもの。
***
「私が貴方達のお母様なの?」
カイエント城に幾つかある応接の間。
その内の一つでエルサーシアと、ちびっ子サーシア達は対面した。
なるほどっ!
若草の頃のエルサーシアだ!
当然だけれど。
「あぁ、お母様・・・そうです」
「やっと・・・やっと会えた・・・」
「夢にまで見た、お母様!」
「お母様ぁ~~~」
はらはらと駆け寄り足元に崩れる。
教会で買い求めた肖像画に向かい、朝な夕なに語り掛けた。
その人が今は目の前に居る。
「サーシアのクローン体ですね。波形が同じです。デーデルンの聖女と言うのが、
この子達なのでしょう」
ルルナが冷静に分析する。
「今までどうしていたの?聞かせて頂戴な」
「はい!お母様!」
デーデルンの研究施設で育てられた事。
カヒ・ゲライスを父親だと思っている事。
聖女一家と戦って勝利すれば、母親と一緒に暮らせるようになると教えられて来た事
などを語った。
「でもお母様と戦うなんて嫌!」
うんうん、嫌だよね。
「だから迎えに来たの!」
そうかそうか、迎えに来たんだね・・・あれ?
「一緒に帰りましょう!お母様!」
「これからはずっと一緒ね!」
話が変な方向に曲がったぞ!
おぅ!サイコパ~ス!
さすが!サーシアのクローン!
どうする?サーシア!
答えはいかに!
「嫌よ、面倒くさい」
イエ~ィ!クイ~ン・オブ・サイコパ~ス!
「駄目よ!そんな事させないから!」
「ふにゃげらもごげろ!」
「邪魔しないで!殺すわよ!」
「『グシャリ』」
エルサーシアの重力魔法が若草姉妹を押しつぶす。
「うげっ!」
「お、お母様~」
「つ、潰れる~」
「も、漏れる~」
「私の可愛い娘になんて事を言うの?」
虎の尾を踏んでしまった。
「御免なさい~」
「許してお母様~」
「リカちゃん助けて~」
「いやぁ~無理ですぅ」
格が違い過ぎる。
確かに彼女達は非常に優れた資質を持っている。
サーシアのクローンだけの事はある。
だが違うのだ。
彼女達は転生者では無い。
死を経験し蘇った半精霊、それが転生者だ。
クローンと雖も正味の人間では、能力を全開放する事は叶わない。
遺伝子の発現率だけでは無いのだ。
魔法は奥が深いのだぁ~
「私の娘になりたいのなら良い子になさい」
「なります!」
「良い子にします!」
「お願いお母様!」
「漏れちゃったぁ~」
「いいのですか?サーシア」
「えぇ、構わないわよ」
どうにも他人とは思えない。
実際に歳の離れた五つ子の様なものだ。
家族に迎え入れるのも吝かでは無い。
「ここで一緒に暮らせば良いわ」
だが、そうするには一つ片付けなければならない事が有る。
その問題を避けて通れはしない。
そう・・・
「パンツは朝昼晩で履き替えなさい。もちろんお手洗いへ行ったらその都度に
履き替えるのよ。良いわね?」
「はい!お母様!」
いや!それじゃないからぁ~
「うごみゃ!」
「どうしたの?」
「ふにゃむにゃごにゅ!」
***
「ま・・・まだかな?随分と長いな・・・でも・・・これはこれで・・・」
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