大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記

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第五部 第一章 若草物語

74話 涙の波動砲

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聖女としての仕事は、まず朝のお祈り。
教会の祭壇で精霊に感謝を捧げる。
そして参拝者に”祝福のあめちゃん”を配る。
参拝者は多額の寄付金をして参列を許された貴族や豪商たちだ。
昔から行われているが、聖女から手渡しで飴ちゃんが貰える様になってからは、
寄付金の額が倍増した。

ウハウハである!
費用対効果がハンパない!
教会の大切な収入源になっている。

そこのあなたっ!
今、悪どいとか思いませんでしたか?
物事を表面だけで見てはなりませんよ。
教会の事業は多岐に渡るのです。

ひとつは教育。
各地の教会では基礎的な学習はもちろん、
生活魔法の習得まで教えている。
平民は無料ですよ!タダですよ!タダ!
療養所も教会が運営している。
ここも平民は無料!タダですよ!タダ!

孤児院、養老院、職業安定所。
社会福祉的な事業は教会が担っている。

国は何をしているか?

国は国で様々に仕事をしている。
例えば軍事、例えばインフラ整備。
外交だって国の仕事だ。

唯、福祉が国家事業だと言う考えが無い。
それを教会がおぎなっているのだ。
お金がいくらあっても足りないよぉ~ん。

思えば上手なやり方だ。
国が福祉をすると不平不満が湧き起こるが、教会が行うとそれが不十分なものでも
感謝されるのだ。
人の心のあやと言うものだろうか。

「教会の屋根を修理したいな」
「教科書がボロボロだから新しくしたい!」
「戦争で孤児が増えた!」

そんな時には聖女様に来て貰って”飴ちゃん”をバラ撒けば、ガッポガッポと
寄付金が舞い込む。
世界中の教会から「ウチに来てお呉れやすぅ~」と嘆願たんがんが寄せられている。

***

ぐもらごにょへにょ!なんでついて来るのよ!

ムーランティス大陸の西側を統治しているドーモン王国。
そこの教会から招かれてサラアーミアが訪れていた。

「別に良いじゃないの」
「ないの」

双子がくっついて来た。

「それに貴方みたいな人見知りが一人でちゃんと出来るの?」
「の?」
うぐ・・・うぐ・・・

「私達が居れば安心でしょう?」
「でしょう?」
ふにゃふにゃらごにょ・・・ひとりじゃないもん・・・

空いた時間にデートでもしようかと、アーノルドも連れて来た。

「はっ!こんなの役に立たないわよ!」
「わよ!」

エルレイラの指さす先でアーノルドがモジモジしている。

むにゃら・・・そんなことは・・・
「せいぜい椅子よ!いえ椅子以下よ!背もたれが無いもの!」
「無いもの!」
ひ、酷いなぁ~私だってやる時はやるよ~今日は言葉責めか・・・3人がかりで・・・

ドッカァ~~~ン!
バリバリバリ~~~!
ズドンッズドンッ!
ガガガガガァ~~~!

魔子の防御が無かったら命は無かった。
それ程に強力な攻撃だった。

「な!何なの?みんな無事?」
「私は大丈夫よ、レイラ!アーミアは?」
みゃごみゃご!私も大丈夫!

アーノルドは!
満足そうな顔で気絶していた・・・

げろにゃご!うにゃげろ!いったい誰が!許さない!

なんだかんだ言いながらもアーノルドの事を結構お気に入りだ。
きっ!と空を見上げれば、太陽を背に四つの影が浮いているのを捉えた。
逆光で顔は見えない。
だがサラアーミアには分かってしまった。

にゃろめ?どうして?
若草の四姉妹だ!

「ごめんなさい」
影の口元がそう動いたような気がした。

ズドドドドドドドドド~~~!
ドカンッ!ドカンッ!ドカンッ!

「いやぁ~これはキツイ~」

さすがの魔子も音をあげた。
格下であっても聖女の攻撃だ。
防御が破られそうになる。

「もう無理かも~」
ふもごにょふにゃふにゃ・・・家族になれたと思ったのに・・・
「そんな事を言ってる場合じゃ無いわよ!」
「こっちも攻撃しないと死ぬわよ!」

双子の言う通りだ!
この攻撃に対抗できるのはサラアーミアだけだ!

「ふうぅぅぅ~~~」

深呼吸をして精神を統一する。
迷いを断ち切るためだ。

カチッ!
スイッチが切り替わった。
エルサーシア直伝のサイコパスモードだ。

『波動砲発射用意!   はっしゃよぉ~い!
エネルギー弁閉鎖!   へいさぁ~!
 エネルギー充填開始!   かいしぃ~!
セイフティーロック解除!   かいじょぉ~!
ターゲットスコープオープン!シャッキィ~~~ン!
エネルギー充填70%!ウィ~~~ンウィ~~~ン
80%!    ウィ~~~ンウィ~~~ン
90%!   ウィ~ンウィ~ンウィ~ンウィ~ン
100%!    ウィンウィンウィンウィン
エネルギー充填120%!ギュルギュルギュルギュル
最終セイフティー解除!ガッコンッ!

波動砲!発射!』

ジュドォォォォォ~~~~~~~ン!!!バリバリバリバリバリバリ~~~!!!


空に穴が開いた・・・
深淵の中に煌めく星が一瞬だけ見えた。

「何・・・今の・・・」
「・・・」

双子もあっけに取られてしまった。

ふにゃごにゅら・・・殺しちゃった・・・
例え一週間でも家族として過ごした、母にそっくりな姉妹たち・・・

「いやぁ、ギリギリで逃げたよぉ。さすが聖女だけの事はあるねぇ~」
うごみゃ・・・へにゃろ・・・そう・・・良かった・・・

***

「まぁ!それで波動砲を撃ったの?」

若草姉妹と対戦したと言う報告を聞いたエルサーシアは、
アーミアが特級魔法を使った事に驚いた。

「はい・・・お母様・・・」

逃げられたとは言え、もしかしたら殺していたかも知れない。
いや、むしろそのつもりで撃った事が後ろめたい・・・

「ちゃんと撃てた?」
あれ?

「怒らないのですか?お母様?」
「え?どうして怒るの?」
「だって・・・」

母は身内に対してとても情が深く、そして若草姉妹を娘として受け入れた。
きっと怒られると思っていた。

「お姉ちゃんなのだから、失敗なんかしたら恰好が悪いでしょう?」

確かにサラアーミアは13歳で若草姉妹は11歳だからお姉ちゃんだけど、
そう言う問題か?

「家族でも喧嘩くらいするわよ」
「あれは喧嘩ではありませんわ!お母様!」
「どうして?」
「死ぬところでしたもの!」
「死んでいないでしょう?」
「・・・そうですけれど・・・」
「ちゃんと仲直りしなさいね、家族なのだから」
「は・・・はい・・・分かりました」

そうだ、彼女達はもう家族なんだ。
どうしてあんな事をしたのか?
ちゃんと話を聞かなければ・・・

「それにしてもあの子達・・・反抗期かしら?」


違うと思います!

「サスケちゃん、ヤツフサちゃん」
「ウキッ!」
「バウッ!」
「あの子達の様子を見て来てちょうだいな」
ウキャキャ~!了解~!
ワフワフ!任せといて!

「子供の喧嘩に親が出るのは良くないけれど、きっと甘えたいのに恥ずかしいのね。
素直になれないお年頃なのだわ。」

違うと思います!

***

「四人がかりで聖女ひとり殺せんとね?ほんなこつ頼りなかねぇ」
ひじ掛けの付いた長椅子にでぇ~んと横たわりながらあざけるる様にドルフは吐き捨てた。

「仕方が無いでしょっ!」
「あんなの反則よ!」
「死ぬかと思った!」
「おしっこ漏れた!」

リカちゃんファミリーの必死の防御で間一髪にける事が出来た。
危うく蒸発する所であった。

「きさんらじゃぁ二女ば無理やけん、次は三女ば襲いんしゃい」
「サラーラを!」
「一番の仲良しなのに・・・」
「髪の毛を編んで呉れた・・・」
「嫌だぁ~~~」

城では至れり尽くせりで世話を焼いて呉れた。
一緒に遊んで、一緒に歌った。
一緒にお風呂にも入った。
体も洗いっこした。

下心の爆発したアルサラーラであった。

「カヒがどげんなっても良かね!」
そう、人質を取られているのだ。

「お父様に酷いことしないで!」
「お願い!会わせてちょうだい!」
「三女ば始末したら会わしぇちゃるけん」

ドルフよ、お前は分かっていないのだ。
先の大戦が何故に一週間で終わったのか。
もしその場で降伏しなかったら、ムーランティスがどうなっていたかを。

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