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シーズン前半
第09話「開幕」
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多喜城FCユースチームから一人。練習試合で対戦した地元の私立徳衛学園高校から一人、2種登録の高校2年生を獲得し、多喜城FCは18人体制となる。
清川監督は、本来なら最低限22人は必要だと思っていたが、チームの半分の9人がプロ契約となった現在、これ以上の選手獲得は予算的に難しいと言うのがチームの現状だった。
紅白戦も行えない所属人数のため、やはり試合形式の練習は対外試合と言うことになるが、さすがに開幕が近いこの時期に本気の試合に付き合ってくれるプロチームは居ない。
学生も社会人チームも年度の切れ目となるため、どうしても試合を組むことが出来ない日が増え、休日にはユースの選手を参加させて紅白戦を行っていたが、平日にはハーフコートを使った8対8や7対7のミニゲームが行われることが多くなっていた。
「まぁ怪我人が出ても困るし、ちょうどいい頃合いだろ」
フィジカルコーチやトレーナーと練習計画を立てながら、清川はうそぶく。
その言葉を受けて、トレーナーたちから一斉に「それです」と声が上がり、今までに何度もミーティングの議題に上がった「ペースが早過ぎる」と言う意見が、また繰り返された。
このペースのままではシーズン前半は良いとしても、後半には疲労が抜けきらず、コンディションの維持が難しくなると言うのだ。
しかし清川だって素人ではない。この練習メニューは、そんなことは百も承知の上でのペース配分だった。
「フィジカルのピークは開幕に持っていく。後半のことは今は考えるな」
ピシャリとそう言い切った清川の返事は、Jリーグチームの常識から言えば、考えられないものだった。
全21チームのホーム&アウェー総当り。清川の戦略は、最初の試合で相手にインパクトを与え、苦手意識をもたせると言う、なんとも精神論的なもので、プロのトレーナーチームとしては到底承服できかねた。
その意見を押し切るようにして清川は会議を切り上げる。
「俺たちは、去年ぶっちぎりの最下位チームだぜ? 今年だってアマチュア上がりとワケあり選手のごった煮だ。相手チームにインパクトを与えるのももちろんだが、本人たちが自信を持たなきゃどうしようもねぇ。それには、とにかく勝利が必要なんだよ」
普通にやってちゃ優勝は難しい。お前らの力を貸してくれと深々と頭を下げる清川に、トレーナーチームは皆一様に困惑して顔を見合わせ、最後には了承する以外どうしようもなかった。
そして、ついに迎えたJ3開幕戦。
多喜城FCは昨年7位のウォルス山梨をホーム多喜城スタジアムに迎える事になった。
満員とは行かないものの、8千人を越えるサポーターが訪れたスタンド、特に満員に近い状況になっているホームゴール裏を、伊達 雫は涙を浮かべながら写真に収めていた。
キックオフまでまだ1時間半以上の時間があるにも関わらず、ゴール裏では歌詞カードが配られ、チャントの練習も行われる。
応援を取り仕切るサポーターグループから多喜城FCのチームカラーの紙がサポーターに配られ、コレオグラフィも練習されていた。
「こいなぐいぎなし入ってくるっけえサポーター居だんだっちゃなあ。おどげでねえごだ」
清川の横に現れた、開幕戦のスピーチをする予定の社長が、相変わらず清川には理解し難い言葉で話しかけてくる。
「8千人超えてますよ! ほんと、すごいですね!」
どう答えたものかと難しい顔をしたまま腕を組んでいた清川の代わりに、顔を上気させながら戻って来た雫が答えてくれた。
なんでこれで言葉が通じるんだろうと首をひねりながら、清川は社長に頭を下げるとゆっくりとロッカールームへ戻った。
ロッカールームにまで地鳴りのように響く「多喜城FC!」のチームチャントを聞きながら、清川は選手たちの顔を見渡し、話し始める。
告げられたスタメンは以下の様なものだった。
GK片端 則夫
DFはCBにバリッチ、山市 義人、SBは仁藤 克行、そして2種登録の高校生、森尾 雄介
MF、守備的な位置にキャプテンの森 一と千賀 直樹のダブルボランチ、攻撃的な位置には福石 泰、石元 輝夫
FWにアリオス、平山 聡
基本フォーメーションは4-4-2。
実にスタメン11人中5人が新戦力と言う「新生多喜城FC」に相応しい陣容となった。
「キヨさん、僕ベンチですか?」
元日本代表の山田 芳裕が不満気に手を上げる。清川はそちらにチラッと視線を向けると、大げさにため息をついて見せた。
「お前は体重落としきれてねぇからなぁ。それじゃあ90分走れねぇだろ。そう言うことは、あと7kg体重をキッチリ落としてから言えよ」
「今がベストウェイトですよ!」
吹き出した石元をじろりと睨んで、山田は即座に言い返す。
さらに何か言葉を重ねようとした山田へ、清川は厳しい目を向けると手で制した。
「元日本代表だか何だかしらねぇがよ、今のお前よりフク(福石)の方が評価が高いって事だ。なんか文句あるか?」
「……いえ、ありません」
悔しそうに俯いた山田は、後ろで長い金髪を縛っていたゴムバンドを外し、そのゴムをぱちんと手首に巻いた。
試合前の練習時間が始まり、選手とトレーナー、コーチがピッチへと走りだす。未だ不服そうに最後尾をタラタラと歩く山田を清川が呼び止めた。
「ヨシヒロ、前半終了までに相手の選手とゲームプランを全部分析しろ。俺の考えと同じ答えを持ってたら、後半から行かせてやるよ」
山田は真顔で清川を見つめる。少し逡巡した後、腰に手を当ててゆっくりと口を開いた。
「……キヨさん、僕、キヨさんと同じ答えは無理です」
「なんだよ、無理なら出せねぇな」
「いや、どう考えてもキヨさんより良い答えを出しちゃいますから」
不敵に笑った山田の尻を清川も笑って叩く。
サイドラインで一度立ち止まり、芝を一本ムシって口付けた山田は、ピッチへと駆け出す。
ピッチ上から反対サイドで練習を続ける相手選手へと鋭い視線を向け、ボールを扱う際の癖、コミュニケーションの取り方、コーチ達の指示など、取りうる限りの情報を集め始めた。
山田と同じような目つきでピッチの外から選手たちを見つめる清川に、スーツ姿のままドリンクボトルなどの配置を手伝っていた雫が近づき、話しかける。
「あの、……監督はどうして山田選手と千賀選手に対して厳しい対応をするんですか?」
雫の質問に清川は首をひねって腕を組む。そもそも清川はそんなに深く考えて選手への対応を決めているわけではない。しかしそう質問されて、それに分かりやすく答えようと考え直してみれば、やはりしっかりした理由は心の中にあるものだった。
「……あぁ、ヨシヒロは才能がありすぎるんだろうな。手抜きしてもそこそこやれちまうから、追い詰められねぇと本気でやらねぇんだ。本気になってもらわなきゃ困るし、それにあいつはピッチ内での第2の監督の仕事をしてもらわなくちゃならねぇからな。俺の指示を待ってられるのも困る。だから常に突き放すくらいでちょうどいいのさ」
ふと見ると雫はリクルートスーツに何故かスニーカーを履いている。それを指差して「みっともねぇな」と笑いながら、清川はそう説明した。
「なるほど……あ、じゃあ千賀選手も?」
感心しながら真顔で質問を重ねる雫に、清川は盛大に吹き出した。
「ナオキを買いかぶりすぎだ。アイツがそんな器用なこと出来るわけねぇだろ。ただアイツは努力の仕方をしらねぇんだ。自分で出来る範囲を勝手に決めてるのさ。本当はアイツだってもっとやれるのにな。だから俺は、常にアイツの勝手に決めた限界の、その一歩上の目標を与えてやってるって訳だ」
コーチや選手に質問されれば「プロなんだから分かってて当たり前」と考え、ここまで詳しく説明はしない。
しかし、理解してもらおうと噛み砕いて説明してみれば、自分でも雰囲気でしか捉えていないことにも分かりやすい理由があるものだという事に清川は気づいた。
横浜アルマーダでの選手やフロントとの確執も、自身の頑なな考え方に問題があったのかもしれないと、初めてそう言う可能性に思い至ったのだった。
「もう少し言葉で説明することも必要かもな……」
「え? なんですか?」
とどまること無く鳴り響くサポーターのコールに遮られて、清川のつぶやきを聴き逃した雫が耳に手を添えて顔を近づける。
「なんでもねぇ。いいから靴履き替えてこい。セレモニーにスニーカーで出るつもりかよ」
娘ほども年の違う女の子に大切なことを気付かされた清川は、照れ隠しにそう言って雫の背中を押してやる。肩をすくめてペロッと舌を出し、元気良く返事をした雫は、ロッカールームの方へ駆けて行った。
「――J2昇格へ向けて、私たち多喜城FCは、力を合わせて全力で立ち向かっていきます。サポーターの皆様も、我々とともに頂上を目指して戦っていただけますよう、よろしくお願い致します」
地鳴りのようなサポーターの多喜城FCコールと拍手に送られ、相良社長の挨拶が終わった。
頭を下げた社長が、中央の選手入口ゲートをくぐる。
「いやあ、こえごだこえごだ。腰いでくてちゃんとしゃべらいねがったっちゃ。おしょすいごだ」
「いえ、とっても素敵な挨拶でしたよ! 社長」
挨拶は見事な標準語だったが、戻って来た社長の言葉はやはり清川には理解できない。標準語とポルトガル語に加えて宮城弁をも使いこなす雫を、清川は尊敬の眼差しで見つめた。
「では、行ってきます」
バイリンガルの社長にも多少の尊敬の念を抱きながら、清川は選手通路で社長と握手を交わす。
その周りにいつの間にか集まっていた選手、コーチ陣に加え、運営スタッフに社長と清川も加え、全員で背中に手を回すと円陣を組んだ。
「行くぞ! J3優勝への第一歩だ!」
「おう!」
清川の激に全員の声が一つに揃い、気合の入った咆哮として追いかける。そこから弾けるようにそれぞれの持場へ駆け出すスタッフと別れ、清川を先頭に選手とコーチ陣はピッチへのゲートを潜り抜ける。
1万5千人収容の多喜城スタジアムが歓声に揺れ、周囲の温度が2~3度上がったように清川には感じられた。
清川監督は、本来なら最低限22人は必要だと思っていたが、チームの半分の9人がプロ契約となった現在、これ以上の選手獲得は予算的に難しいと言うのがチームの現状だった。
紅白戦も行えない所属人数のため、やはり試合形式の練習は対外試合と言うことになるが、さすがに開幕が近いこの時期に本気の試合に付き合ってくれるプロチームは居ない。
学生も社会人チームも年度の切れ目となるため、どうしても試合を組むことが出来ない日が増え、休日にはユースの選手を参加させて紅白戦を行っていたが、平日にはハーフコートを使った8対8や7対7のミニゲームが行われることが多くなっていた。
「まぁ怪我人が出ても困るし、ちょうどいい頃合いだろ」
フィジカルコーチやトレーナーと練習計画を立てながら、清川はうそぶく。
その言葉を受けて、トレーナーたちから一斉に「それです」と声が上がり、今までに何度もミーティングの議題に上がった「ペースが早過ぎる」と言う意見が、また繰り返された。
このペースのままではシーズン前半は良いとしても、後半には疲労が抜けきらず、コンディションの維持が難しくなると言うのだ。
しかし清川だって素人ではない。この練習メニューは、そんなことは百も承知の上でのペース配分だった。
「フィジカルのピークは開幕に持っていく。後半のことは今は考えるな」
ピシャリとそう言い切った清川の返事は、Jリーグチームの常識から言えば、考えられないものだった。
全21チームのホーム&アウェー総当り。清川の戦略は、最初の試合で相手にインパクトを与え、苦手意識をもたせると言う、なんとも精神論的なもので、プロのトレーナーチームとしては到底承服できかねた。
その意見を押し切るようにして清川は会議を切り上げる。
「俺たちは、去年ぶっちぎりの最下位チームだぜ? 今年だってアマチュア上がりとワケあり選手のごった煮だ。相手チームにインパクトを与えるのももちろんだが、本人たちが自信を持たなきゃどうしようもねぇ。それには、とにかく勝利が必要なんだよ」
普通にやってちゃ優勝は難しい。お前らの力を貸してくれと深々と頭を下げる清川に、トレーナーチームは皆一様に困惑して顔を見合わせ、最後には了承する以外どうしようもなかった。
そして、ついに迎えたJ3開幕戦。
多喜城FCは昨年7位のウォルス山梨をホーム多喜城スタジアムに迎える事になった。
満員とは行かないものの、8千人を越えるサポーターが訪れたスタンド、特に満員に近い状況になっているホームゴール裏を、伊達 雫は涙を浮かべながら写真に収めていた。
キックオフまでまだ1時間半以上の時間があるにも関わらず、ゴール裏では歌詞カードが配られ、チャントの練習も行われる。
応援を取り仕切るサポーターグループから多喜城FCのチームカラーの紙がサポーターに配られ、コレオグラフィも練習されていた。
「こいなぐいぎなし入ってくるっけえサポーター居だんだっちゃなあ。おどげでねえごだ」
清川の横に現れた、開幕戦のスピーチをする予定の社長が、相変わらず清川には理解し難い言葉で話しかけてくる。
「8千人超えてますよ! ほんと、すごいですね!」
どう答えたものかと難しい顔をしたまま腕を組んでいた清川の代わりに、顔を上気させながら戻って来た雫が答えてくれた。
なんでこれで言葉が通じるんだろうと首をひねりながら、清川は社長に頭を下げるとゆっくりとロッカールームへ戻った。
ロッカールームにまで地鳴りのように響く「多喜城FC!」のチームチャントを聞きながら、清川は選手たちの顔を見渡し、話し始める。
告げられたスタメンは以下の様なものだった。
GK片端 則夫
DFはCBにバリッチ、山市 義人、SBは仁藤 克行、そして2種登録の高校生、森尾 雄介
MF、守備的な位置にキャプテンの森 一と千賀 直樹のダブルボランチ、攻撃的な位置には福石 泰、石元 輝夫
FWにアリオス、平山 聡
基本フォーメーションは4-4-2。
実にスタメン11人中5人が新戦力と言う「新生多喜城FC」に相応しい陣容となった。
「キヨさん、僕ベンチですか?」
元日本代表の山田 芳裕が不満気に手を上げる。清川はそちらにチラッと視線を向けると、大げさにため息をついて見せた。
「お前は体重落としきれてねぇからなぁ。それじゃあ90分走れねぇだろ。そう言うことは、あと7kg体重をキッチリ落としてから言えよ」
「今がベストウェイトですよ!」
吹き出した石元をじろりと睨んで、山田は即座に言い返す。
さらに何か言葉を重ねようとした山田へ、清川は厳しい目を向けると手で制した。
「元日本代表だか何だかしらねぇがよ、今のお前よりフク(福石)の方が評価が高いって事だ。なんか文句あるか?」
「……いえ、ありません」
悔しそうに俯いた山田は、後ろで長い金髪を縛っていたゴムバンドを外し、そのゴムをぱちんと手首に巻いた。
試合前の練習時間が始まり、選手とトレーナー、コーチがピッチへと走りだす。未だ不服そうに最後尾をタラタラと歩く山田を清川が呼び止めた。
「ヨシヒロ、前半終了までに相手の選手とゲームプランを全部分析しろ。俺の考えと同じ答えを持ってたら、後半から行かせてやるよ」
山田は真顔で清川を見つめる。少し逡巡した後、腰に手を当ててゆっくりと口を開いた。
「……キヨさん、僕、キヨさんと同じ答えは無理です」
「なんだよ、無理なら出せねぇな」
「いや、どう考えてもキヨさんより良い答えを出しちゃいますから」
不敵に笑った山田の尻を清川も笑って叩く。
サイドラインで一度立ち止まり、芝を一本ムシって口付けた山田は、ピッチへと駆け出す。
ピッチ上から反対サイドで練習を続ける相手選手へと鋭い視線を向け、ボールを扱う際の癖、コミュニケーションの取り方、コーチ達の指示など、取りうる限りの情報を集め始めた。
山田と同じような目つきでピッチの外から選手たちを見つめる清川に、スーツ姿のままドリンクボトルなどの配置を手伝っていた雫が近づき、話しかける。
「あの、……監督はどうして山田選手と千賀選手に対して厳しい対応をするんですか?」
雫の質問に清川は首をひねって腕を組む。そもそも清川はそんなに深く考えて選手への対応を決めているわけではない。しかしそう質問されて、それに分かりやすく答えようと考え直してみれば、やはりしっかりした理由は心の中にあるものだった。
「……あぁ、ヨシヒロは才能がありすぎるんだろうな。手抜きしてもそこそこやれちまうから、追い詰められねぇと本気でやらねぇんだ。本気になってもらわなきゃ困るし、それにあいつはピッチ内での第2の監督の仕事をしてもらわなくちゃならねぇからな。俺の指示を待ってられるのも困る。だから常に突き放すくらいでちょうどいいのさ」
ふと見ると雫はリクルートスーツに何故かスニーカーを履いている。それを指差して「みっともねぇな」と笑いながら、清川はそう説明した。
「なるほど……あ、じゃあ千賀選手も?」
感心しながら真顔で質問を重ねる雫に、清川は盛大に吹き出した。
「ナオキを買いかぶりすぎだ。アイツがそんな器用なこと出来るわけねぇだろ。ただアイツは努力の仕方をしらねぇんだ。自分で出来る範囲を勝手に決めてるのさ。本当はアイツだってもっとやれるのにな。だから俺は、常にアイツの勝手に決めた限界の、その一歩上の目標を与えてやってるって訳だ」
コーチや選手に質問されれば「プロなんだから分かってて当たり前」と考え、ここまで詳しく説明はしない。
しかし、理解してもらおうと噛み砕いて説明してみれば、自分でも雰囲気でしか捉えていないことにも分かりやすい理由があるものだという事に清川は気づいた。
横浜アルマーダでの選手やフロントとの確執も、自身の頑なな考え方に問題があったのかもしれないと、初めてそう言う可能性に思い至ったのだった。
「もう少し言葉で説明することも必要かもな……」
「え? なんですか?」
とどまること無く鳴り響くサポーターのコールに遮られて、清川のつぶやきを聴き逃した雫が耳に手を添えて顔を近づける。
「なんでもねぇ。いいから靴履き替えてこい。セレモニーにスニーカーで出るつもりかよ」
娘ほども年の違う女の子に大切なことを気付かされた清川は、照れ隠しにそう言って雫の背中を押してやる。肩をすくめてペロッと舌を出し、元気良く返事をした雫は、ロッカールームの方へ駆けて行った。
「――J2昇格へ向けて、私たち多喜城FCは、力を合わせて全力で立ち向かっていきます。サポーターの皆様も、我々とともに頂上を目指して戦っていただけますよう、よろしくお願い致します」
地鳴りのようなサポーターの多喜城FCコールと拍手に送られ、相良社長の挨拶が終わった。
頭を下げた社長が、中央の選手入口ゲートをくぐる。
「いやあ、こえごだこえごだ。腰いでくてちゃんとしゃべらいねがったっちゃ。おしょすいごだ」
「いえ、とっても素敵な挨拶でしたよ! 社長」
挨拶は見事な標準語だったが、戻って来た社長の言葉はやはり清川には理解できない。標準語とポルトガル語に加えて宮城弁をも使いこなす雫を、清川は尊敬の眼差しで見つめた。
「では、行ってきます」
バイリンガルの社長にも多少の尊敬の念を抱きながら、清川は選手通路で社長と握手を交わす。
その周りにいつの間にか集まっていた選手、コーチ陣に加え、運営スタッフに社長と清川も加え、全員で背中に手を回すと円陣を組んだ。
「行くぞ! J3優勝への第一歩だ!」
「おう!」
清川の激に全員の声が一つに揃い、気合の入った咆哮として追いかける。そこから弾けるようにそれぞれの持場へ駆け出すスタッフと別れ、清川を先頭に選手とコーチ陣はピッチへのゲートを潜り抜ける。
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