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15話
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説明を終えると王様はジッと黙り込んでいた。
このまま納得してくれればいいんだが……。
「まさか神獣が……いや、それも気になるが……リッツよ、王に依頼された薬とはなんだ」
きたか――。
「申し訳ありませんがそれはいえません。万が一、また俺が妄言を吐いていると判断されてしまえば身が危うくなる。そして……俺が作ったその薬が本物だという証明も、王様自身に信じてもらうしか判断材料がないんです」
「それほどまでに未知の薬か……面白い、ならば誓おう。話せば民を救った英雄として歓迎し、この国で新たに生活することを許可する。もちろん薬や出世についても他言はせぬ。だが、言わぬというのであればスパイ容疑、そしてそれを扇動したとして全員を捕らえるほかないな」
王様はニヤリと笑みをこぼす。
そうきたか……これだから権力者ってのは嫌いなんだよ! 俺だけならまだしもティーナたちを人質にとってくるとは、こいつ……!
「王様、失礼ですがお嬢様とリッツさんは無関係です。そもそも彼とは先日あったばかりで今まで一切の面識がありません。それにファーデン家に嫁ぐという理由も正式に公表されています」
「それがなんだというのだ? 人の心とは変わるもの、疫病の特効薬を前にし富や名声にくらんだ可能性もある。この男も以前の国でそうやって生きてきたのかもしれんな」
このやろう、言わせておけば――。
そのときティーナが俺たちの前に出ると王様へ食って掛かった。
「リッツさんはそんなことする人じゃありません! ただ純粋に人を助けようとしただけで……なんで悪者扱いされなくちゃいけないんですか! あなたには彼の心がわからないのですか!」
「お嬢様それ以上は……!!」
エレナさんが大慌てでティーナを下がらせるが王様はまたもや不敵な笑みを浮かべた。
「…………わかりました、話しますから約束は必ず守ってくださいよ」
俺は鞄の中からエリクサーを取り出しみんなに見せる。
「そ、それはあのときの……」
「見たこともない色だがそれはなんの薬なのだ?」
「これは、エリクサーです」
王様はその言葉に反応すると立ち上がりエリクサーを見つめた。
「俺はエリクサーを作れと以前いた国の王に言われていました。そして完成させ王に渡したところ、不老不死の薬ではないのかと問われ、違うといったら追放されたんです」
「本来の効果というのは?」
「これは単なる回復薬なんです。どんな傷だろうと一瞬で治せるほどの効果がありますが――それだけで、不死になる効果などありません」
「その話が真実であると何か説明はできるか?」
「エリクサーの素材の一つはとある草です。そして俺のスキル、あとはわかりますね」
一通り説明を終えると俺はエリクサーをしまう。
「ふむ……確かにお主の話は妄言に近いがすべての説明に納得がいく、信じよう」
「じゃ、じゃあリッツさんは捕まることはないんですね!?」
王様が頷くとティーナはホッと胸をなでおろした。
「そもそも、お主たちを捕らえる気など最初からなかった。こやつが強情そうだから脅しをかけさせてもらっただけだ」
……はっ? 王様が脅しとか洒落になんねぇよ!
「おい、ふざけんな! こっちは真剣なんだぞ!」
「リッツさん言葉が悪すぎます! すぐに謝罪を!!」
「よい、これに関しては我に非があるからな。疫病の件もある、我らだけの場であれば許そう」
「食えない王様だな……で、そんなことまでしてなんで知りたかったんだ」
「これから話すことは相手が誰であろうと喋ることは禁ずる、よいな?」
空気が変わったことを悟った俺たちは静かに頷く。
「私の父、先代国王は数年前、何者かによって殺害された。そしてリッツ……先ほどの言葉で此度の疫病は人為的なモノの可能性がでてきた」
「え、でもリッツさんはトウカ草の群生化が原因だって」
その通り、トウカ草一つ一つは害はないが、ある特定の条件下で――。
「ま、まさか…………」
「気づいたか」
「えっ、いったい何がわかったのですか?」
ティーナは俺たちを交互にみた。
「ティーナ、トウカ草が群生化するには条件が必要なんだ、そしてそれは……この国の環境ではありえないことなんだ」
「えっ、でも野草が豊富だって先ほど――」
「それだよ、トウカ草は野生じゃ群生化は絶対にしないんだ。群生化する条件、それは人為的に埋められるか、砂漠地帯のような辺り一面に何もない場合に限る――そして、今回の騒動――薬はなかったんじゃなくて、この国で今まで群生化が起きなかったから作る必要がなかったんだ」
俺が説明すると付け足すように王様が続けた。
「リッツの言うようにこの国は野草が豊富だ。だが我らとてすべてを把握することなど不可能、トウカ草にそのような特徴があったなどとは知らなかった。それに大量に生えてる草をわざわざ栽培する必要はない」
「えぇ!? それじゃあまだどこかに犯人が……」
そのとき、扉が叩かれ王を心配する声が広がる。
「長くなってしまったか……我は兵を使って群生地を探してみる。五日後の夜、教会に行け」
そういうと王様は扉の向こうに声をかけ側近や兵を中に入れた。
それから二日後、再度城に呼ばれた俺たちは疫病を止めたという形式上の報酬をもらうことになった。
ティーナは村人を先導し街を救ったことが評価され、多額の褒賞金と個人として子爵となり、俺は王様から草花と神獣が描かれた白い服をもらった。
これを着ていればほとんどの店の料金は国が支払ってくれるということで、これは村や街を救った者に対し人々の感謝の表れでもあるとのこと。
タダっていうのは気が引けるし本当にお財布がやばいときにだけ特権を使わせてもらうことにしよう……そう思った矢先、俺は自分の仕事がないことに気付いた。
このまま納得してくれればいいんだが……。
「まさか神獣が……いや、それも気になるが……リッツよ、王に依頼された薬とはなんだ」
きたか――。
「申し訳ありませんがそれはいえません。万が一、また俺が妄言を吐いていると判断されてしまえば身が危うくなる。そして……俺が作ったその薬が本物だという証明も、王様自身に信じてもらうしか判断材料がないんです」
「それほどまでに未知の薬か……面白い、ならば誓おう。話せば民を救った英雄として歓迎し、この国で新たに生活することを許可する。もちろん薬や出世についても他言はせぬ。だが、言わぬというのであればスパイ容疑、そしてそれを扇動したとして全員を捕らえるほかないな」
王様はニヤリと笑みをこぼす。
そうきたか……これだから権力者ってのは嫌いなんだよ! 俺だけならまだしもティーナたちを人質にとってくるとは、こいつ……!
「王様、失礼ですがお嬢様とリッツさんは無関係です。そもそも彼とは先日あったばかりで今まで一切の面識がありません。それにファーデン家に嫁ぐという理由も正式に公表されています」
「それがなんだというのだ? 人の心とは変わるもの、疫病の特効薬を前にし富や名声にくらんだ可能性もある。この男も以前の国でそうやって生きてきたのかもしれんな」
このやろう、言わせておけば――。
そのときティーナが俺たちの前に出ると王様へ食って掛かった。
「リッツさんはそんなことする人じゃありません! ただ純粋に人を助けようとしただけで……なんで悪者扱いされなくちゃいけないんですか! あなたには彼の心がわからないのですか!」
「お嬢様それ以上は……!!」
エレナさんが大慌てでティーナを下がらせるが王様はまたもや不敵な笑みを浮かべた。
「…………わかりました、話しますから約束は必ず守ってくださいよ」
俺は鞄の中からエリクサーを取り出しみんなに見せる。
「そ、それはあのときの……」
「見たこともない色だがそれはなんの薬なのだ?」
「これは、エリクサーです」
王様はその言葉に反応すると立ち上がりエリクサーを見つめた。
「俺はエリクサーを作れと以前いた国の王に言われていました。そして完成させ王に渡したところ、不老不死の薬ではないのかと問われ、違うといったら追放されたんです」
「本来の効果というのは?」
「これは単なる回復薬なんです。どんな傷だろうと一瞬で治せるほどの効果がありますが――それだけで、不死になる効果などありません」
「その話が真実であると何か説明はできるか?」
「エリクサーの素材の一つはとある草です。そして俺のスキル、あとはわかりますね」
一通り説明を終えると俺はエリクサーをしまう。
「ふむ……確かにお主の話は妄言に近いがすべての説明に納得がいく、信じよう」
「じゃ、じゃあリッツさんは捕まることはないんですね!?」
王様が頷くとティーナはホッと胸をなでおろした。
「そもそも、お主たちを捕らえる気など最初からなかった。こやつが強情そうだから脅しをかけさせてもらっただけだ」
……はっ? 王様が脅しとか洒落になんねぇよ!
「おい、ふざけんな! こっちは真剣なんだぞ!」
「リッツさん言葉が悪すぎます! すぐに謝罪を!!」
「よい、これに関しては我に非があるからな。疫病の件もある、我らだけの場であれば許そう」
「食えない王様だな……で、そんなことまでしてなんで知りたかったんだ」
「これから話すことは相手が誰であろうと喋ることは禁ずる、よいな?」
空気が変わったことを悟った俺たちは静かに頷く。
「私の父、先代国王は数年前、何者かによって殺害された。そしてリッツ……先ほどの言葉で此度の疫病は人為的なモノの可能性がでてきた」
「え、でもリッツさんはトウカ草の群生化が原因だって」
その通り、トウカ草一つ一つは害はないが、ある特定の条件下で――。
「ま、まさか…………」
「気づいたか」
「えっ、いったい何がわかったのですか?」
ティーナは俺たちを交互にみた。
「ティーナ、トウカ草が群生化するには条件が必要なんだ、そしてそれは……この国の環境ではありえないことなんだ」
「えっ、でも野草が豊富だって先ほど――」
「それだよ、トウカ草は野生じゃ群生化は絶対にしないんだ。群生化する条件、それは人為的に埋められるか、砂漠地帯のような辺り一面に何もない場合に限る――そして、今回の騒動――薬はなかったんじゃなくて、この国で今まで群生化が起きなかったから作る必要がなかったんだ」
俺が説明すると付け足すように王様が続けた。
「リッツの言うようにこの国は野草が豊富だ。だが我らとてすべてを把握することなど不可能、トウカ草にそのような特徴があったなどとは知らなかった。それに大量に生えてる草をわざわざ栽培する必要はない」
「えぇ!? それじゃあまだどこかに犯人が……」
そのとき、扉が叩かれ王を心配する声が広がる。
「長くなってしまったか……我は兵を使って群生地を探してみる。五日後の夜、教会に行け」
そういうと王様は扉の向こうに声をかけ側近や兵を中に入れた。
それから二日後、再度城に呼ばれた俺たちは疫病を止めたという形式上の報酬をもらうことになった。
ティーナは村人を先導し街を救ったことが評価され、多額の褒賞金と個人として子爵となり、俺は王様から草花と神獣が描かれた白い服をもらった。
これを着ていればほとんどの店の料金は国が支払ってくれるということで、これは村や街を救った者に対し人々の感謝の表れでもあるとのこと。
タダっていうのは気が引けるし本当にお財布がやばいときにだけ特権を使わせてもらうことにしよう……そう思った矢先、俺は自分の仕事がないことに気付いた。
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