エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬

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21話

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「ここまでくればさすがに追ってこないだろう」

「――ったく、まさかこんなガキ一人を連れて帰るとはな」

 森の中、隠れた俺の目には、男四人とティーナが映っていた。

 ……縛られているが怪我をしている様子はないな。もう少しだけ我慢してくれ。

「こいつが噂通りの聖女ならエリクサーのことも知ってるだろう。それよりあいつはどうした? 便所にしては遅すぎないか」

「でけぇもんでも詰まってるんだろうよ。あの野郎、図体だけで燃費がわりぃからな!」

 男たちが笑い声をあげているとアンジェロの遠吠えが森に響く。

「ッ!? お、おい……今の声、さっきより近くなかったか?」

「ただの野犬だろ、気にするなって」

 遠吠えがしてから数秒数えると俺は男たちの前に気絶している大柄な男を放り投げた。

「――おい、忘れもんだ」

「ッ!?」

 固まっている男たちの前に出ていくと俺に気付いたティーナは必死に首を振る。

「ティーナ、心配なら少しだけ目をつむっててくれ」

 ティーナは俺をジッと見つめると一度だけ頷きギュッと目を閉じた。

 恐かっただろうに……本当に強い子だ。

「な、なんだ若造じゃねぇか。驚かせやがって!」

「どうやってここまできたかしらねぇが、不意打ちでこいつをやったくらいで一端の英雄気取りとは笑いがでるぜ」

「……貴様らだけは絶対に許さん」

「何をぶつぶついってんだコラァ!」

 男はナイフを抜くとこちらに走ったが、同時に走った俺の拳はすでに男の腹に迫っていた。

「ぐほっ……!」

 意識を失った男が地面に倒れると仲間は慌ててナイフを取り出す。

「て、てめぇ! それ以上動いたら女の命が――」

「アンジェロ!! お手ぇっ!!」

「ワン!」

 背後からアンジェロの大きな手が男に迫る。

「ッ!? あびゃッ!」

 男はアンジェロの大きな手と地面に挟まれると意識を失った。

「ひっ……ば、バケモノーーー!!」

「アンジェロ、おかわりっ!!」

「ワフッ」

 逃げた男の前にアンジェロが素早く回り込む。

「あっ……あ、あ、ああああああへぶし!」

「――さて、残るはお前だけだな」

「くそ、こんなバケモンがいるなんて聞いてねぇぞ……聖女の騎士かてめぇ」

「さぁな、あとは牢屋のなかでゆっくり考えるんだな」

「ちっ、やってらんねぇぜ……!」

 男はナイフを取り出し襲ってくるが木に投げ飛ばすとそのまま意識を失った。

「ティーナ、怪我はないか?」

「…………」

 縄を解くとジッと黙っていたティーナは俺に抱き着いてくる。受け止めるとその身体は震えており、俺の服をギュッと掴んだ。

「まったく、無茶をして……よく頑張ったな」

 こんなときくらい泣けばいいものを……淑女は涙をみせないか……。

「お前もありがとな」

「ワフッ」

 アンジェロは静かに歩いてくると俺とティーナをその真っ白な巨体で包みこんだ。
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