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47話
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教会の護衛も決まり子供たちが何度か畑の手伝いに来る頃、青々としていた山にも紅葉が見え隠れしていた。
「そろそろ秋か~、どこかで紅葉の絨毯に埋もれるなんてこともできるかもしれないな」
「ふふふ、冷える時期なので体調管理にも気を付けないといけませんね」
まだ日が出るうちは暑さが強い、だが一転して冷えるときはグッと冷えるからな。早めに冬支度のことも考えておくか。
大事な薬草たちにハウスを建てようか悩んでいると街道に面した道からティーナとエレナさんが歩いてくる。
「やぁティーナ! 来てくれたんだ!」
「リッツさん、あの……こんにちは」
なんとなく元気がなさそうに返事をするティーナに代わって、エレナさんがやってくる。
「リッツさん、急で申し訳ないのですがご相談したいことがあります」
「わかった、とりあえず家に入ってくれ。ちょうどみんな出ているし遠慮しないでいい」
客間に通すとニエが手際よくみんなの分のお茶を出してくれた。
「ありがとう」
二エはいつもの笑顔で反応すると俺の隣に座る。
「それで相談ってのは?」
ティーナは何度か俺から目を逸らすと重い口を開いた。
「それが、私の兄の行方がわからなくなったと……手紙が届いたんです」
「そ、それはいつ来たんだ?」
「昨日です……ファーデン家の皆様にはまだ言っておりません」
「どうしてだよ。みんな心配するだろ」
ティーナは顔を伏せるとエレナさんが俺に手紙を差し出した。
「これをお読みください」
手紙を受け取りエレナさんが頷くと俺は中身を読んだ。
――――
「――な、なんだこの内容は……!」
手紙にはティーナの兄が『紅蓮の風』に誑かされたのではないかとほのめかす言葉と、ファーデン家による捜索の支援を寄こせとのことだった。
「百歩譲って師匠たちが疑われるのはいいとしよう――いやよくはないけど。それよりもなぜファーデン家がここで出てくるかだ。まったく関係ないじゃないか」
「すべての元凶はお嬢様のせいだと言いたいのです。ファーデン家に嫁いだせいでこうなったのだと、あの方々は悪いことが起こるとお嬢様のせいにしてきました。今回もわざわざ手紙を送ってまで知らせてきたことを考えると間違いないでしょう」
エレナさんの言葉は心なしか怒気が含まれている。
まさか肉親がそこまでするとは……。
「それで、ティーナはどうしたいんだ」
「こんなこと……ファーデン家の皆様に知らせるわけにはいきません」
「俺が言うのもなんだけど一応血の繋がった兄貴なんだろ」
「……私が幼い頃のお兄様は優しく勇敢でした。だからせめて安否だけでも知りたいのです」
エレナさんは俯くティーナの手を握ると俺をみた。
「リッツさんにお願いがあります。お嬢様と一緒にレブラント家へいき、捜索を手伝ってもらえないでしょうか。今まで散々ご迷惑をお掛けしてきたというのは重々承知しております。ですが私たちが頼れるのはあなたしかいないのです……どうか、ご検討を……」
ん~俺も色々助けてもらってるしそれはいいんだが。
「捜索する分にはアンジェロが匂いを辿れるから大丈夫だろう。だけど師匠たちにこのことを話すのは絶対にダメだ」
「なぜでしょうか……?」
「いいか、万が一この話が『紅蓮の風』に知れたとしよう。初めは君のためだと銘打ってお兄さんを探すはずだ、だが問題はその後――見つかろうが見つかるまいが君の家はよくて没落貴族、悪ければ魔物の餌になる」
「い、いくらなんでもそこまでは」
「エレナさん、師匠たちは貴族だろうと容赦しない。『紅蓮の風』のメンバーには元々名のある貴族や冒険者もいるんだ。そして一部の貴族には彼らのファンまでいる……だからどうにかして俺たちだけで見つけ出すしかない」
俺が本気だということをわかってくれたのか二人は小さく頷いた。
「ところでさ、ずっと黙ってるけど、もしかしなくても来るつもり?」
隣に座っていたニエはわざとらしく反応する。
「何を言ってるんですか。私はリッツ様と運命共同体、当たり前です」
「さ、さすがにニエさんは危険じゃないでしょうか?」
「この子、魔物の群れを前にしてもついてきたからね」
ニエがいう冗談くらいはわかってきたが、逆にどこまで本気なのかがもうわからない。
出発の日取りを決めると俺はティーナに一つだけ約束をしてもらった。
「そろそろ秋か~、どこかで紅葉の絨毯に埋もれるなんてこともできるかもしれないな」
「ふふふ、冷える時期なので体調管理にも気を付けないといけませんね」
まだ日が出るうちは暑さが強い、だが一転して冷えるときはグッと冷えるからな。早めに冬支度のことも考えておくか。
大事な薬草たちにハウスを建てようか悩んでいると街道に面した道からティーナとエレナさんが歩いてくる。
「やぁティーナ! 来てくれたんだ!」
「リッツさん、あの……こんにちは」
なんとなく元気がなさそうに返事をするティーナに代わって、エレナさんがやってくる。
「リッツさん、急で申し訳ないのですがご相談したいことがあります」
「わかった、とりあえず家に入ってくれ。ちょうどみんな出ているし遠慮しないでいい」
客間に通すとニエが手際よくみんなの分のお茶を出してくれた。
「ありがとう」
二エはいつもの笑顔で反応すると俺の隣に座る。
「それで相談ってのは?」
ティーナは何度か俺から目を逸らすと重い口を開いた。
「それが、私の兄の行方がわからなくなったと……手紙が届いたんです」
「そ、それはいつ来たんだ?」
「昨日です……ファーデン家の皆様にはまだ言っておりません」
「どうしてだよ。みんな心配するだろ」
ティーナは顔を伏せるとエレナさんが俺に手紙を差し出した。
「これをお読みください」
手紙を受け取りエレナさんが頷くと俺は中身を読んだ。
――――
「――な、なんだこの内容は……!」
手紙にはティーナの兄が『紅蓮の風』に誑かされたのではないかとほのめかす言葉と、ファーデン家による捜索の支援を寄こせとのことだった。
「百歩譲って師匠たちが疑われるのはいいとしよう――いやよくはないけど。それよりもなぜファーデン家がここで出てくるかだ。まったく関係ないじゃないか」
「すべての元凶はお嬢様のせいだと言いたいのです。ファーデン家に嫁いだせいでこうなったのだと、あの方々は悪いことが起こるとお嬢様のせいにしてきました。今回もわざわざ手紙を送ってまで知らせてきたことを考えると間違いないでしょう」
エレナさんの言葉は心なしか怒気が含まれている。
まさか肉親がそこまでするとは……。
「それで、ティーナはどうしたいんだ」
「こんなこと……ファーデン家の皆様に知らせるわけにはいきません」
「俺が言うのもなんだけど一応血の繋がった兄貴なんだろ」
「……私が幼い頃のお兄様は優しく勇敢でした。だからせめて安否だけでも知りたいのです」
エレナさんは俯くティーナの手を握ると俺をみた。
「リッツさんにお願いがあります。お嬢様と一緒にレブラント家へいき、捜索を手伝ってもらえないでしょうか。今まで散々ご迷惑をお掛けしてきたというのは重々承知しております。ですが私たちが頼れるのはあなたしかいないのです……どうか、ご検討を……」
ん~俺も色々助けてもらってるしそれはいいんだが。
「捜索する分にはアンジェロが匂いを辿れるから大丈夫だろう。だけど師匠たちにこのことを話すのは絶対にダメだ」
「なぜでしょうか……?」
「いいか、万が一この話が『紅蓮の風』に知れたとしよう。初めは君のためだと銘打ってお兄さんを探すはずだ、だが問題はその後――見つかろうが見つかるまいが君の家はよくて没落貴族、悪ければ魔物の餌になる」
「い、いくらなんでもそこまでは」
「エレナさん、師匠たちは貴族だろうと容赦しない。『紅蓮の風』のメンバーには元々名のある貴族や冒険者もいるんだ。そして一部の貴族には彼らのファンまでいる……だからどうにかして俺たちだけで見つけ出すしかない」
俺が本気だということをわかってくれたのか二人は小さく頷いた。
「ところでさ、ずっと黙ってるけど、もしかしなくても来るつもり?」
隣に座っていたニエはわざとらしく反応する。
「何を言ってるんですか。私はリッツ様と運命共同体、当たり前です」
「さ、さすがにニエさんは危険じゃないでしょうか?」
「この子、魔物の群れを前にしてもついてきたからね」
ニエがいう冗談くらいはわかってきたが、逆にどこまで本気なのかがもうわからない。
出発の日取りを決めると俺はティーナに一つだけ約束をしてもらった。
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