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85話
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調べてみると幸いにも男性は監視されてるわけではなかった。連中からすれば人質が二人もいるため、下手なことはしないだろうと高を括っていたのだろう。
目覚めた男の子はこの男性と面識があったらしく自分が昼寝したと思い込んでいた。混乱を招くと悪いため、報告から戻ってきたクラーツさんに事情を説明し連れて帰ってもらったとこだ。
「期限が祭りの終わりまでというのは間違いないな?」
「はい、それまでに報告がなければ妻と娘の命はないと……私はいったいどうすれば……」
「理由はどうあれあんたがやった罪は消えない。だが、俺たちに協力してくれればあんたと家族の命は『紅蓮の風』の名に懸けて助けてやる」
「な、なんでも致します! だから、どうか妻と娘だけは助けてください!」
「よし、それじゃ今日の夜に教会へ来てくれ。下手に隠れたりすれば俺たちが接触したことがバレるかもしれないからな。難しいと思うが、堂々と下見をするつもりで正面から入るんだ」
「わかりました……必ず向かいます」
「もしあんたの身に何かあればできるだけ駆け付けるが、俺たちも神様じゃないからな。期待はしないでくれ」
男性が何度か頷くと俺はアンジェロを呼んだ。
「あ、あの! なぜ、私の話をここまで信じてくださったのですか……?」
「俺たちが子供を探してるといったとき、あんたは男の子が遊ぶような場所はないといった。女の子だった可能性もあったはずなのに。つまり、あの子が活発で行動力のある性格だと知っていたからだ。子供一人を対等に見ることができる人間が悪い人間なわけないからな」
とは言ってみたものの、この人の言ってることが間違いないとわかったのは毒を飲んだときだ。もし捨て駒のような形で扱われていたのであれば、家族のことよりも別のことを言ったはずだ。話が違うぞとか、俺は騙されたんだとか。
クラーツさんが見抜けなかったのも、多分だが、普段から遊んでいた感覚で子供のほうから近づいていったのかもしれない。
俺は倉庫を出るとニエたちと合流し師匠へ伝達を出した。
◇
「それじゃ師匠たちも『リモン商会』を警戒してたってことですか?」
「えぇ、組織に繋がっている可能性も高いとみてね。昨夜あった襲撃の一つは囮、もう一つが本命みたいだったけどそれにしては弱すぎる。方角からみて【ブレーオア】からやってきたのは間違いないけど、内側から崩すのがメインだったのかもしれないわ」
日も十分に落ちた頃、俺たちは教会で師匠と落ち合った。ニエとリヤンはアンジェロと静かに遊んでいるが、要点になると耳を傾けていた。
ある程度説明もすむと教会の扉が開かれ男性が入ってくる。
「何も問題はなかったか?」
「はい、向こうからの接触はなく、妻と娘の様子も変わったところはありませんでした」
「あなたのことは聞いたわ。不運だったとしか言いようがないけど、これからどうするかはあなた自身が決めること。進めば後戻りはできない、覚悟はできている?」
師匠の言葉に対し男性はしっかりと頷いた。
「私は一度死にました……ですが聖人様にこうしてチャンスを与えられた。皆様のお役に立ち、終わったら必ず罪を償うと誓います」
「決心は固いようね。それじゃあ作戦を組む前にいくつか確認をするわ。まず、誘拐の方法に関して、あなたは子供を木箱に隠したけどそれは指示されたこと?」
「いえ、どんな方法でもいいから一人捕まえてこいって言われただけで……私は物資を入れる木箱の貸し出しをしておりまして、人目につかない方法として選んだのがあのやり方だったのです」
「それなら色々と利用ができそうね。もう一つ、報告するというのはどういった形でするように言われてるか教えて」
「それに関しては『リモン商会』の本部に来いとしか言われておりません」
「なるほど……ならばこちらに利があるわね」
師匠はこちらをみていたリヤンを呼ぶ。
「だいたい察しはついたけど、どこまで泳がせる気?」
「いけるとこまでよ。ついでに『ヴェーダ』への手掛かりが見つかり次第潰していくわ」
「それじゃあ私はしばらく子供のふりってことね」
リヤンがやれやれと溜め息をつくと男性が慌てる。
「まさかこの子を囮にするつもりですか!? いくらなんでも……!」
「大丈夫、リヤンは普通の子供より何倍も大人だから。それよりあなたのほうも頼むわよ」
師匠の言葉に男性は不思議そうに自身を指差した。
「あなたにはできる限りあちらの要求通りの動きをしてもらいたいの。うまくいっているように見せれば、人質を取ったままあなたを利用しようとするはず。それを今度は私たちが利用させてもらうってわけ、できそうかしら?」
「わ、わかりました。やれるだけやってみます」
国中が盛り上がった収穫祭二日目が終わるといよいよ最終日がやってきた。
目覚めた男の子はこの男性と面識があったらしく自分が昼寝したと思い込んでいた。混乱を招くと悪いため、報告から戻ってきたクラーツさんに事情を説明し連れて帰ってもらったとこだ。
「期限が祭りの終わりまでというのは間違いないな?」
「はい、それまでに報告がなければ妻と娘の命はないと……私はいったいどうすれば……」
「理由はどうあれあんたがやった罪は消えない。だが、俺たちに協力してくれればあんたと家族の命は『紅蓮の風』の名に懸けて助けてやる」
「な、なんでも致します! だから、どうか妻と娘だけは助けてください!」
「よし、それじゃ今日の夜に教会へ来てくれ。下手に隠れたりすれば俺たちが接触したことがバレるかもしれないからな。難しいと思うが、堂々と下見をするつもりで正面から入るんだ」
「わかりました……必ず向かいます」
「もしあんたの身に何かあればできるだけ駆け付けるが、俺たちも神様じゃないからな。期待はしないでくれ」
男性が何度か頷くと俺はアンジェロを呼んだ。
「あ、あの! なぜ、私の話をここまで信じてくださったのですか……?」
「俺たちが子供を探してるといったとき、あんたは男の子が遊ぶような場所はないといった。女の子だった可能性もあったはずなのに。つまり、あの子が活発で行動力のある性格だと知っていたからだ。子供一人を対等に見ることができる人間が悪い人間なわけないからな」
とは言ってみたものの、この人の言ってることが間違いないとわかったのは毒を飲んだときだ。もし捨て駒のような形で扱われていたのであれば、家族のことよりも別のことを言ったはずだ。話が違うぞとか、俺は騙されたんだとか。
クラーツさんが見抜けなかったのも、多分だが、普段から遊んでいた感覚で子供のほうから近づいていったのかもしれない。
俺は倉庫を出るとニエたちと合流し師匠へ伝達を出した。
◇
「それじゃ師匠たちも『リモン商会』を警戒してたってことですか?」
「えぇ、組織に繋がっている可能性も高いとみてね。昨夜あった襲撃の一つは囮、もう一つが本命みたいだったけどそれにしては弱すぎる。方角からみて【ブレーオア】からやってきたのは間違いないけど、内側から崩すのがメインだったのかもしれないわ」
日も十分に落ちた頃、俺たちは教会で師匠と落ち合った。ニエとリヤンはアンジェロと静かに遊んでいるが、要点になると耳を傾けていた。
ある程度説明もすむと教会の扉が開かれ男性が入ってくる。
「何も問題はなかったか?」
「はい、向こうからの接触はなく、妻と娘の様子も変わったところはありませんでした」
「あなたのことは聞いたわ。不運だったとしか言いようがないけど、これからどうするかはあなた自身が決めること。進めば後戻りはできない、覚悟はできている?」
師匠の言葉に対し男性はしっかりと頷いた。
「私は一度死にました……ですが聖人様にこうしてチャンスを与えられた。皆様のお役に立ち、終わったら必ず罪を償うと誓います」
「決心は固いようね。それじゃあ作戦を組む前にいくつか確認をするわ。まず、誘拐の方法に関して、あなたは子供を木箱に隠したけどそれは指示されたこと?」
「いえ、どんな方法でもいいから一人捕まえてこいって言われただけで……私は物資を入れる木箱の貸し出しをしておりまして、人目につかない方法として選んだのがあのやり方だったのです」
「それなら色々と利用ができそうね。もう一つ、報告するというのはどういった形でするように言われてるか教えて」
「それに関しては『リモン商会』の本部に来いとしか言われておりません」
「なるほど……ならばこちらに利があるわね」
師匠はこちらをみていたリヤンを呼ぶ。
「だいたい察しはついたけど、どこまで泳がせる気?」
「いけるとこまでよ。ついでに『ヴェーダ』への手掛かりが見つかり次第潰していくわ」
「それじゃあ私はしばらく子供のふりってことね」
リヤンがやれやれと溜め息をつくと男性が慌てる。
「まさかこの子を囮にするつもりですか!? いくらなんでも……!」
「大丈夫、リヤンは普通の子供より何倍も大人だから。それよりあなたのほうも頼むわよ」
師匠の言葉に男性は不思議そうに自身を指差した。
「あなたにはできる限りあちらの要求通りの動きをしてもらいたいの。うまくいっているように見せれば、人質を取ったままあなたを利用しようとするはず。それを今度は私たちが利用させてもらうってわけ、できそうかしら?」
「わ、わかりました。やれるだけやってみます」
国中が盛り上がった収穫祭二日目が終わるといよいよ最終日がやってきた。
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