50 / 239
クッキー・センセーション ④
しおりを挟む
「ただいまぁ」
尚人の声が玄関から聞こえてきた。晃良が携帯で時刻を確認すると、夕方の5時だった。どうやら尚人は仕事が早めに終わったらしい。リビングに入ってきた尚人が、通夜のような顔をした晃良に気づいて尋ねてきた。
「あれ? どうしたの? なんか、暗いね」
暗くて話す気にもなれない晃良に代わり、涼が今までのいきさつを尚人に説明してくれた。説明が終わった途端、尚人があははと笑い出した。
「また来んの? あの2人」
「笑い事じゃない、尚人。あいつらが来ると、俺の神経がすり減って、疲労困憊になるのが嫌なんだよ」
せっかくの休みなのに。と晃良はブツブツ言いながら、持っていた携帯をリビングテーブルに置いた。
「えー、でもある意味楽しくない? あの2人が来ると」
「はあ?? 何言ってんだよ、尚人!!」
「あ、でも俺も分かるわ。なんか起きるんじゃね? って期待するよな」
「涼まで……」
この2人、もはや自分と黒埼の関係の行方を楽しんでいる節があるのは気のせいだろうか。
「これってさぁ、あれみたいだね。なんだっけ、あの、都市伝説の」
「都市伝説?」
「あれだって。電話してきて、段々近づいてくるやつ」
「ああ、分かった。あの、メリーさんのやつ?」
「それそれ! 涼ちゃん、よく名前出てきたね」
「なあ……それ、何?」
「晃良くん、知らないの? そういう話があるんだって。怖い話で」
尚人の説明によると、都市伝説の1つに「メリーさんの電話」という話があるらしい。女の子が捨てた「メリー」という名前の人形が、ある日女の子に電話をしてくることで始まる。その電話を受ける度に人形が女の子に近づいてきて、最後は真後ろに、という怪談だ。晃良は恐怖系が全くダメなので、その話を聞いただけでも、あまり良い気分にはならなかった。
「それと黒埼のが似てるってどういうこと?」
「だって。段々近づいてきてるじゃん。メールする度に」
「さっきのメールが車内だったからもう来んじゃね?」
「来るよ~晃良くん」
「ちょ……やめろって……」
晃良が抗議しようと声を上げたその瞬間。
ピンポーン、と間の抜けたインターホンの音が響いた。
尚人の声が玄関から聞こえてきた。晃良が携帯で時刻を確認すると、夕方の5時だった。どうやら尚人は仕事が早めに終わったらしい。リビングに入ってきた尚人が、通夜のような顔をした晃良に気づいて尋ねてきた。
「あれ? どうしたの? なんか、暗いね」
暗くて話す気にもなれない晃良に代わり、涼が今までのいきさつを尚人に説明してくれた。説明が終わった途端、尚人があははと笑い出した。
「また来んの? あの2人」
「笑い事じゃない、尚人。あいつらが来ると、俺の神経がすり減って、疲労困憊になるのが嫌なんだよ」
せっかくの休みなのに。と晃良はブツブツ言いながら、持っていた携帯をリビングテーブルに置いた。
「えー、でもある意味楽しくない? あの2人が来ると」
「はあ?? 何言ってんだよ、尚人!!」
「あ、でも俺も分かるわ。なんか起きるんじゃね? って期待するよな」
「涼まで……」
この2人、もはや自分と黒埼の関係の行方を楽しんでいる節があるのは気のせいだろうか。
「これってさぁ、あれみたいだね。なんだっけ、あの、都市伝説の」
「都市伝説?」
「あれだって。電話してきて、段々近づいてくるやつ」
「ああ、分かった。あの、メリーさんのやつ?」
「それそれ! 涼ちゃん、よく名前出てきたね」
「なあ……それ、何?」
「晃良くん、知らないの? そういう話があるんだって。怖い話で」
尚人の説明によると、都市伝説の1つに「メリーさんの電話」という話があるらしい。女の子が捨てた「メリー」という名前の人形が、ある日女の子に電話をしてくることで始まる。その電話を受ける度に人形が女の子に近づいてきて、最後は真後ろに、という怪談だ。晃良は恐怖系が全くダメなので、その話を聞いただけでも、あまり良い気分にはならなかった。
「それと黒埼のが似てるってどういうこと?」
「だって。段々近づいてきてるじゃん。メールする度に」
「さっきのメールが車内だったからもう来んじゃね?」
「来るよ~晃良くん」
「ちょ……やめろって……」
晃良が抗議しようと声を上げたその瞬間。
ピンポーン、と間の抜けたインターホンの音が響いた。
5
あなたにおすすめの小説
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【完結】エデンの住処
社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。
それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。
ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。
『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。
「兄さん、僕のオメガになって」
由利とYURI、義兄と義弟。
重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は――
執着系義弟α×不憫系義兄α
義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか?
◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·
俺だけ愛してよ!!!!!
ひな
BL
長内 春馬(24)
村上 大輔(23)
俺と春馬は付き合っている。
春馬は社内の人気者であり、俺の憧れだ。
幼馴染という関係だったが、ひょんなことから俺と春馬は付き合いだした。
春馬のことが好きすぎて、いつもヘラって春馬に迷惑をかけてしまう。
嫉妬でおかしくなりそう。
春馬のことが大好き。
離れないで欲しい。
そんな想いが膨らんで、俺は春馬を嫉妬させてみようとした。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる