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【番外編①】1
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まだ早朝だというのに、ついたて越しに、もう何度目かもわからない重苦しいため息が聞こえた。
髪をまとめてもらっている途中の私は動けず、プルトン様が何をしているのか聞き耳を立てるしかない。
私の準備を手伝ってくれている2人のメイドは苦笑しながらもテキパキと手を動かしている。
ライムグリーンのドレスに身を包み、メイクアップとヘアセットを終えると、そのメイドたちが1番に目を輝かせた。
「とてもお似合いですお嬢様。あ、すみません、公爵夫人、もう奥様でございましたね。」
「幼少の頃からお綺麗でございましたが、ますます魅力に磨きがかかったようにございますね。」
母方の祖父の邸宅で仕える2人のメイドは、ここに遊びに来る度に世話をしてくれていた馴染のメイドだった。
雨のように褒め言葉を降り注ぐ2人に満面の笑みでお礼を言って、さっそくプルトン様に見せようとついたてから出た。
「どうですか?」
スカートを軽くつまんで広げて見せる。
プルトン様はすでに黒の狩猟服に着替え、ソファに座り優雅にお茶を飲んでいた。
憂鬱そうにいつも以上に窪んで見える目がこちらを向けば、「とても綺麗です。」とは言ってくれたものの、その表情には精気がない。
元気の無いプルトン様の隣に座り、こほっこほっ、と乾いた咳をする彼の黒い髪を撫でてあげた。最近、私が気に入って仕入れたオイルで一緒にお手入れをしている為、以前よりも艶がある。
「そんなに嫌なんですか?」
「あの、銃の音と衝撃が、どうしても苦手なのです。」
肩を痛めますし、とぼそり。
もう1度、重々しく息が溢れた。床がプルトン様のため息でいっぱいになっているようだった。
「いつもは断固お断りさせてもらっているのですが、今回は先に手回しをされてしまって。」
プルトン様は項垂れながら、黒髪を撫でる私の手を取り自身の頬に擦り充てた。熱が伝わる指の背に連動して、自分の頬まで熱くなる。
メイドたちがいけないものでも見てしまったかのように手で顔を隠して、そそくさと出ていってしまった。
事の発端は国王陛下だった。
プルトン様大好き国王陛下が、私について調べ上げ、母方の祖父が狩猟地を徹底管理していると知られてしまった。
別に隠していたわけでもないけれど。
問題は陛下がそれを利用したことだ。
プルトン様とは違い、陛下は狩猟を好み度々行っていた。陛下に気に入られた貴族や騎士等がよく呼ばれ、プルトン様はその都度断っていたのだ。
しかし今回は、陛下がプルトン様を誘う前に私のお祖父様と連絡を取り、バルバストル夫妻も参加をする体で予定を組まれてから声が掛かった。
陛下だけであればいつも通り断れたのだろうが、お祖父様から正式に領地へ招待されたので、孫の夫としては断りにくくなってしまったようだった。
孫にも会いたいと言われれば、プルトン様は「はい。」としか答えられなかった。
無理しなくてもいいとは伝えたが、「そういうわけにはいきません。」と頑なだった。
そうして私たちバルバストル夫妻と国王夫妻で、お祖父様の管理する狩猟地へと赴くプチ旅行をする事になったのだ。
私の家族を丁重に扱おうと努力をしてくれるプルトン様が愛しくて、私の手にキスを落としたプルトン様の目元に、キスを返した。
すると、プルトン様の頭が僅かに持ち上がり、呼吸をするように唇が重なった。
ちゅっ、ちゅっ、と短いリップ音が続く間に私の頬にはプルトン様の白い手が添えられ、空気を求めた少しの隙間を縫って舌が侵入して来ると、私のそれも優しく絡め取られた。
そして気がつく。苦い。
突然冷静になった頭でこの苦味について検索をかけるが、この独特な苦みの正体は見当もつかない。
そっと唇を離すと、プルトン様が眉尻を下げて私の輪郭を撫でた。
「すみません、整えたばかりなのに。」
大丈夫ですと答え、プルトン様の鼻先にキスをしてから、ちらりとテーブルに乗る茶器に目を配る。
ポットからはまだ湯気が見えるが、カップは空だ。先ほどまで口にしていた物ならば、今のキスの苦みはお茶によるものだろうか。
私はポットに手を伸ばした。
「私も少し、お茶を頂きますね。」
するとその手は、がしりと白くて骨っぽい手に掴まれた。プルトン様らしからぬ力強さが手にも声にも表れている。
「いけません!」
自然と私の口角が上がる。
随分と必死ではありませんか。
「なぜですか?」
「私の飲みかけですし、貴女の飲み慣れない物なので。」
「大丈夫です。」
「いえ、フローラには新しいお茶を用意してもらいましょう。」
どうやらお茶に何かあるのは間違いないようだ。
「大丈夫ですから。」
私は手首をくるりと返し、掴まれた手を払うと再びポットに手を伸ばした。プルトン様が慌てて止めようとするのをこちらも抵抗しながら、強引に手を伸ばす。
しかし、突如としてポットは遠のいた。もはや視界にも入っていない。
私の目に映っているのは焦る形相のプルトン様と天井、それから天井から下がるシンプルなキャンドルのシャンデリア。
私はソファの上で押し倒されたのだ。
こんな力任せで強引なのはプルトン様じゃない。そう思うのに心臓が早鳴り顔がのぼせるのが自分でも分かった。
「す、すみません、フローラ。でも、飲まないでください。」
真上から降る影と低い声にときめきが止まらないが、置き場所に迷った手を口元に当て、絆されるものかと懸命に目に力を込めた。
「あれは何ですか?」
「あれとは?」
「ティーポットの中身です。」
「お茶です。」
「何のお茶ですか?」
プルトン様のひびの入った薄い唇が静かに閉まる。
でも、黙秘はさせませんよ。
「プルトン様、私とケンカをしたいですか?そうでないのなら正直に話した方が平和的だと思いませんか?誤魔化そうとすればするほど、私は追及しますよ。」
黒い瞳を真っ直ぐに見つめれば、プルトン様は観念したように私の首元に顔を埋めた。それでも相当言いにくいのか、なかなか口を割らないプルトン様の背に腕を回し、子供を落ち着かせるように優しく撫でてあげると、ようやくぼそりと声を発した。
「センナです。」
「え?」
「効果を出すためにより濃く抽出しました。」
センナ。前にプルトン様と植物園に行った時に見た記憶がある。
規則正しく並んだ葉っぱに小ぶりの黄色い花をつけた植物だ。確か、葉が生薬として使われ、瀉下効果があると言っていた。
要するに、下剤だ。
「センナ?!」
私が驚きの声を上げると、プルトン様は上体を起こし、バツが悪そうに目線を逸らした。
私も体を起こし、どうすれば良いか分からず、とりあえずプルトン様の額や頬をぺたぺたと触れた。もはや隠し事だとかはどうでもいい。
「体調が悪いのですか?便秘でもされているのですか?大丈夫ですか?」
「いえ、そういうわけでは…。」
「ではなぜ…。」
まさかと思った。
本気で体の心配をしたが、体調は悪くないと言う。それなのになぜセンナを飲んだのか。
今日は、ここのところずっと憂慮していた狩猟の日だ。
「もしかして…お腹を下したかったのですか?それで狩を休もうと?」
「休もうと思ったわけではありません。ただ、獲物が獲れなかった時の言い訳くらいにはなるかと…。」
呆れると同時に気が抜けて、プルトン様の肩にもたれかかる。
「この地がお体に触ったかと、心配しました。」
「ち、違います。ここは緑がたくさんあってとても落ち着きます。森もしっかり管理されているようですし、それを見物できるのはとても楽しみです。」
プルトン様のお腹を温めるように手を充てた。
「大丈夫ですか?」
「生薬を飲んだわけではありませんので。葉ではなく、効果の薄い茎の部分を使ったお茶を濃いめに入れたのです。効果が出過ぎても嫌ですので。なので、処方されるような下剤程の効果は無いと思います。」
まだ1杯ですし、という言葉を聞いて眉間に力が入った。いくらお茶といえど、そんな効能のある物を多量に飲ませるわけにはいかない。
私は目を三角に吊り上げ、すぐにベルを鳴らしてメイドにティーポットを持って下がらせた。
髪をまとめてもらっている途中の私は動けず、プルトン様が何をしているのか聞き耳を立てるしかない。
私の準備を手伝ってくれている2人のメイドは苦笑しながらもテキパキと手を動かしている。
ライムグリーンのドレスに身を包み、メイクアップとヘアセットを終えると、そのメイドたちが1番に目を輝かせた。
「とてもお似合いですお嬢様。あ、すみません、公爵夫人、もう奥様でございましたね。」
「幼少の頃からお綺麗でございましたが、ますます魅力に磨きがかかったようにございますね。」
母方の祖父の邸宅で仕える2人のメイドは、ここに遊びに来る度に世話をしてくれていた馴染のメイドだった。
雨のように褒め言葉を降り注ぐ2人に満面の笑みでお礼を言って、さっそくプルトン様に見せようとついたてから出た。
「どうですか?」
スカートを軽くつまんで広げて見せる。
プルトン様はすでに黒の狩猟服に着替え、ソファに座り優雅にお茶を飲んでいた。
憂鬱そうにいつも以上に窪んで見える目がこちらを向けば、「とても綺麗です。」とは言ってくれたものの、その表情には精気がない。
元気の無いプルトン様の隣に座り、こほっこほっ、と乾いた咳をする彼の黒い髪を撫でてあげた。最近、私が気に入って仕入れたオイルで一緒にお手入れをしている為、以前よりも艶がある。
「そんなに嫌なんですか?」
「あの、銃の音と衝撃が、どうしても苦手なのです。」
肩を痛めますし、とぼそり。
もう1度、重々しく息が溢れた。床がプルトン様のため息でいっぱいになっているようだった。
「いつもは断固お断りさせてもらっているのですが、今回は先に手回しをされてしまって。」
プルトン様は項垂れながら、黒髪を撫でる私の手を取り自身の頬に擦り充てた。熱が伝わる指の背に連動して、自分の頬まで熱くなる。
メイドたちがいけないものでも見てしまったかのように手で顔を隠して、そそくさと出ていってしまった。
事の発端は国王陛下だった。
プルトン様大好き国王陛下が、私について調べ上げ、母方の祖父が狩猟地を徹底管理していると知られてしまった。
別に隠していたわけでもないけれど。
問題は陛下がそれを利用したことだ。
プルトン様とは違い、陛下は狩猟を好み度々行っていた。陛下に気に入られた貴族や騎士等がよく呼ばれ、プルトン様はその都度断っていたのだ。
しかし今回は、陛下がプルトン様を誘う前に私のお祖父様と連絡を取り、バルバストル夫妻も参加をする体で予定を組まれてから声が掛かった。
陛下だけであればいつも通り断れたのだろうが、お祖父様から正式に領地へ招待されたので、孫の夫としては断りにくくなってしまったようだった。
孫にも会いたいと言われれば、プルトン様は「はい。」としか答えられなかった。
無理しなくてもいいとは伝えたが、「そういうわけにはいきません。」と頑なだった。
そうして私たちバルバストル夫妻と国王夫妻で、お祖父様の管理する狩猟地へと赴くプチ旅行をする事になったのだ。
私の家族を丁重に扱おうと努力をしてくれるプルトン様が愛しくて、私の手にキスを落としたプルトン様の目元に、キスを返した。
すると、プルトン様の頭が僅かに持ち上がり、呼吸をするように唇が重なった。
ちゅっ、ちゅっ、と短いリップ音が続く間に私の頬にはプルトン様の白い手が添えられ、空気を求めた少しの隙間を縫って舌が侵入して来ると、私のそれも優しく絡め取られた。
そして気がつく。苦い。
突然冷静になった頭でこの苦味について検索をかけるが、この独特な苦みの正体は見当もつかない。
そっと唇を離すと、プルトン様が眉尻を下げて私の輪郭を撫でた。
「すみません、整えたばかりなのに。」
大丈夫ですと答え、プルトン様の鼻先にキスをしてから、ちらりとテーブルに乗る茶器に目を配る。
ポットからはまだ湯気が見えるが、カップは空だ。先ほどまで口にしていた物ならば、今のキスの苦みはお茶によるものだろうか。
私はポットに手を伸ばした。
「私も少し、お茶を頂きますね。」
するとその手は、がしりと白くて骨っぽい手に掴まれた。プルトン様らしからぬ力強さが手にも声にも表れている。
「いけません!」
自然と私の口角が上がる。
随分と必死ではありませんか。
「なぜですか?」
「私の飲みかけですし、貴女の飲み慣れない物なので。」
「大丈夫です。」
「いえ、フローラには新しいお茶を用意してもらいましょう。」
どうやらお茶に何かあるのは間違いないようだ。
「大丈夫ですから。」
私は手首をくるりと返し、掴まれた手を払うと再びポットに手を伸ばした。プルトン様が慌てて止めようとするのをこちらも抵抗しながら、強引に手を伸ばす。
しかし、突如としてポットは遠のいた。もはや視界にも入っていない。
私の目に映っているのは焦る形相のプルトン様と天井、それから天井から下がるシンプルなキャンドルのシャンデリア。
私はソファの上で押し倒されたのだ。
こんな力任せで強引なのはプルトン様じゃない。そう思うのに心臓が早鳴り顔がのぼせるのが自分でも分かった。
「す、すみません、フローラ。でも、飲まないでください。」
真上から降る影と低い声にときめきが止まらないが、置き場所に迷った手を口元に当て、絆されるものかと懸命に目に力を込めた。
「あれは何ですか?」
「あれとは?」
「ティーポットの中身です。」
「お茶です。」
「何のお茶ですか?」
プルトン様のひびの入った薄い唇が静かに閉まる。
でも、黙秘はさせませんよ。
「プルトン様、私とケンカをしたいですか?そうでないのなら正直に話した方が平和的だと思いませんか?誤魔化そうとすればするほど、私は追及しますよ。」
黒い瞳を真っ直ぐに見つめれば、プルトン様は観念したように私の首元に顔を埋めた。それでも相当言いにくいのか、なかなか口を割らないプルトン様の背に腕を回し、子供を落ち着かせるように優しく撫でてあげると、ようやくぼそりと声を発した。
「センナです。」
「え?」
「効果を出すためにより濃く抽出しました。」
センナ。前にプルトン様と植物園に行った時に見た記憶がある。
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要するに、下剤だ。
「センナ?!」
私が驚きの声を上げると、プルトン様は上体を起こし、バツが悪そうに目線を逸らした。
私も体を起こし、どうすれば良いか分からず、とりあえずプルトン様の額や頬をぺたぺたと触れた。もはや隠し事だとかはどうでもいい。
「体調が悪いのですか?便秘でもされているのですか?大丈夫ですか?」
「いえ、そういうわけでは…。」
「ではなぜ…。」
まさかと思った。
本気で体の心配をしたが、体調は悪くないと言う。それなのになぜセンナを飲んだのか。
今日は、ここのところずっと憂慮していた狩猟の日だ。
「もしかして…お腹を下したかったのですか?それで狩を休もうと?」
「休もうと思ったわけではありません。ただ、獲物が獲れなかった時の言い訳くらいにはなるかと…。」
呆れると同時に気が抜けて、プルトン様の肩にもたれかかる。
「この地がお体に触ったかと、心配しました。」
「ち、違います。ここは緑がたくさんあってとても落ち着きます。森もしっかり管理されているようですし、それを見物できるのはとても楽しみです。」
プルトン様のお腹を温めるように手を充てた。
「大丈夫ですか?」
「生薬を飲んだわけではありませんので。葉ではなく、効果の薄い茎の部分を使ったお茶を濃いめに入れたのです。効果が出過ぎても嫌ですので。なので、処方されるような下剤程の効果は無いと思います。」
まだ1杯ですし、という言葉を聞いて眉間に力が入った。いくらお茶といえど、そんな効能のある物を多量に飲ませるわけにはいかない。
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