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第三章 多治比元就の初陣
27 多治比血戦
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「多治比少輔次郎元就、参る!」
多治比元就は、大喝と共に、まっしぐらに敵将・熊谷元直の首を目指し、刀を振りかぶった。
「来い!」
元直もまた、抜き身の刀を突き出し、元就の刀を弾き飛ばそうとする。
刀剣の光。
一閃。
二閃。
飛び散る火花を、兜の眉庇で受けながら、元就は必死になって刀を振った。
「……くっ」
熊谷元直は、元就の剣勢の意外な烈しさに苦戦していた。
なんだ、こいつは。
こじき若殿と呼ばれて、ばかにされていた男か、これが。
こいつの剣は……危険だ。
「…………」
こじき若殿と蔑まれていた多治比元就だが、だがそれゆえに、山野を駆けめぐり、鳥獣を相手に狩りをし、時には山賊や偸盗相手に戦うことも辞さない生活を送らされていた。
食わねば、食われる。
やらなければ、やられる。
そのぎりぎりの暮らしが、しかも継母の食い扶持も稼がなければならないという焦燥感が。
元就の弓を、そして刀を、磨き上げていた。
それは、我流であり、野獣の戦い方である。
しかし今、まともな国人として武芸を鍛え上げた熊谷元直を、それは凌駕しつつあった。
「……くっ」
熊谷元直の野性の勘が、元就の刀から逃げろと告げていた。
元直もまた、京へ従軍し、船岡山の激戦を経験していた。
だから分かる。
そのときも、同じような勘が働いたことを思い出していた。
元直がわずかに引く。
その隙を、元就の言葉が撃つ。
「……逃げるな!」
「小癪な……!」
野性の勘と武士の意地がせめぎ合った結果、後者が勝った。
元直の剣と、元就の剣が、かみ合う。
鍔迫り合いだ。
馬上、互いに歯を剥き出しにして、押し合う元直と元就。
*
「……よし」
多治比元就と熊谷元直の一騎打ちの行方を見守っていた長井新九郎は、多治比の軍に声をかける。
「見よ! 多治比どのは言ったとおり! 熊谷元直を討ちに行った! つづけ! 皆の衆! つづけ!」
わっと叫び声をあげ、多治比の、毛利の一文字三星紋の旗印の軍が進む。
大将の一騎打ちに固唾を飲んでいた熊谷軍は虚を突かれ、先手を許してしまう。
「……うろたえるな! 所詮は小勢よ! 持ちこたえよ!」
元直が、元就の連撃にこらえながらも、必死に呼びかけ、熊谷軍は勢いを盛り返そうとした。
しかし、元就もまた、その機に大音声を上げる。
「熊谷の衆は動揺しているぞ! われらの故郷に火をつけた侵略者に報いを!」
多治比軍は、当然、多治比の山里を住まいとしている。ゆえに、目前で家々を田畑を燃やされるという屈辱を与えられ、怒りに燃えていた。
「かかれ!」
長井新九郎が槍を突き出し、熊谷軍の部将をひとり、あっという間に斃した。
そこを切り口に、多治比軍は一気呵成に熊谷軍へと突撃する。
故郷を守ろうと必死になる多治比軍と、侵略者となじられた熊谷軍。
多治比軍と熊谷軍の兵数の差は、一対四であるが、今、多治比元就と長井新九郎の奮闘により、両者は拮抗しつつあった。
*
……戦いは乱戦の様相を示し、もはや、多治比元就と熊谷元直も馬を下り、組み打ちをして、兵たちの間で相争っていた。
元直としては、こうなっては元就から一瞬でも離れ、自軍と合流して、一挙に攻め寄せたいところであるが、あと少しというところで、いつも元就が食らいついてきて、満足な指揮が取れないでいた。
「……くそっ、離せ!」
「おや? 逃げるか? 熊谷?」
これだ。
厭らしい挑発を忘れない。
しかも大声でだ。
これでは、兵に聞かれ、うかつに離れられない。
逃げたと思われては、この熊谷元直、沽券にかかわる。
焦る元直の様子を見た、部将である板垣が、兵を叱咤する。
「熊谷どのに合力せよ! そしてそのまま押せ!」
元々、熊谷軍の方が多いのだ。その数に物を言わせて、押せば勝てる。
板垣はそう主張し、前進を命じる。
しかし。
「くっ……この地形……」
山里である多治比は、時に隘路を為して、つまり、迫る山肌により、平地が狭まるところがある。それが、戦場だ。
兵数を限らねば、進むに、進めぬ。
板垣は、今さらながらに元就が迎撃地点をこの場所にしたことに思いを至し、舌を巻いた。
「敵は戸惑っておるぞ! かかれ! かかれ!」
それに、さっきから多治比の兵を激励している、あの見知らぬ侍。
誰だ、あれは。
要所要所で、適確に声をかけている。
しかも。
「おっ、お前……一廉の将と見た。ひと勝負、所望!」
なんだ、この早く鋭く、正確な槍さばきは。
板垣が必死に槍を振るう。
だが、その手を、指を、槍の穂先が刺す。
「……ぐっ」
「この長井新九郎、その程度の間合いなら、銭の穴をも刺し貫いてみせるわ!」
板垣は指をやられてしまい、槍を取り落とした。
長井新九郎――斎藤道三は槍の名手としても知られており、離れたところに吊るした銭の穴を穿つ、という鍛錬を積んだと言われている。
「多治比どの!」
板垣が周りの兵に援護され、一時撤退していく様を見送りながら、長井新九郎は叫んだ。
多治比元就もまた、熊谷元直と取っ組み合いながら、叫ぶ。
「応!」
「……光政は、井上光政は、間に合うか!?」
長井新九郎の問いに、多治比元就は少し間を置いてから、こたえた。
「……まだまだ!」
「分かった!」
長井新九郎は槍をひと振りすると、熊谷軍の中へ消えた板垣を追って、猛然と突進していった。
一方で、多治比元就と組み合う、熊谷元直は、その問答の意味するところを推し量っていた。
井上光政。
多治比元就の腹心。
それが……間に合う?
そういえば、光政の姿らしき影は見えない。
代わりに、あの長井新九郎とかいう怪しげな侍が徘徊している。
毛利家の重臣・井上一族である光政を差し置いて。
毛利家重臣の一族。
毛利……。
「……まさか」
元直の脳裏に、一つの答えが浮かび上がった。
「貴様! まさか、井上光政を毛利本家、吉田郡山にッ」
「答える必要はない」
元就は、熊谷元直の顔面に拳を入れる。動揺していた元直にそれは、ものの見事に当たった。
「がっ」
鼻血を流しながらも、元直は、元就に刀を振るう隙を与えず、巧みに後退る。
「……うぬぅ」
元直の頭の中は、今、憶測が渦巻いていた。
井上光政が毛利本家から援軍――別動隊を引き出してくる。
それならば、この多治比元就の奮戦も納得がいく。
元就は、井上光政が連れて来る別動隊を当てにしているのだ。
だが、毛利本家・吉田郡山城は、石見の高橋久光に占拠され、牛耳られていると聞く。
もしかして……まやかしか?
熊谷元直の脳内に葛藤が生まれ、それを見透かしたかのように、元就は無表情に、元直の目を、じっと見ていた。
「おのれぇ……」
「…………」
元直の憶測は、半分、当たっていた。
実際は、井上光政は別動隊を率いて、多治比の山の、杣道を歩いて、熊谷軍を大きく迂回するかたちで、その背後に回っていた。
多治比の山野を駆けめぐって生きてきた元就と、多治比で生まれ育った光政でなければ、できない作戦だった。
ただし、危険は伴う。
ただでさえ寡兵である多治比軍の、それも選りすぐりの兵を割いていること。
また、割いたといっても、さらに少数の兵であり、別動隊は、おそらく、一回しか効果を発揮できない。一度攻めたら、その兵数を悟られ、殲滅されるであろう。
加えて、「毛利本家からの援軍」と思わせることも別動隊の使命であるが、前述のとおり、兵数の少なさから、それもまやかしであることが露見してしまう。
「井上光政は、間に合うか!?」
長井新九郎の、その問い。
「まだまだ!」
多治比元就の、その答え。
長井新九郎の「間に合う」は、そろそろ光政に背後から襲いかからせろ、という符丁である。
多治比元就の「まだまだ」は、まだまだ光政は待機させ、機を待たせるべき、という暗号である。
……絶妙の機を以て、別動隊をぶつけ、毛利本家からの援軍と思わせ、熊谷軍を撤退に追い込む。
それが、多治比元就の策であり、それと悟られぬよう、彼は、自ら敵将・熊谷元直に一騎打ちを挑み、思考を狭め、策があることを悟られないように努めたのである。
「……くっ、このままでは」
熊谷元直の目に、自身が命令してつけた火が、燎原の火が、あたりをなめ尽くしていくのが映った。
もし、別動隊が、援軍が、来るのだとしたら……逡巡している暇は、無い。
毛利本家からの援軍が来るのか、来ないのか。
実のところは分からない……が、はっきりと言えることがある。
「それは今……突撃して、この多治比の衆を蹴散らせば良いということだッ」
元直は、今度はこちらからと元就に向かって突進し、それが周囲の将兵に、全軍突撃を命じていることを教えた。
熊谷軍の部将の山中が叫ぶ。
「熊谷どのにつづけ! 今こそ、数を活かして敵を殲滅するのだ!」
この頃になると、熊谷軍の前衛と後衛の位置を交代することに成功し、多治比軍は、入れ替わって無傷の方の熊谷軍の部隊と当たることになった。
一方の多治比軍も、多治比元就も、ここが正念場と、気合を入れる。
「かかれ! 熊谷の衆を蹴散らせ! お味方は、吉田郡山から間もなく、間もなく参るぞ!」
多治比にて、方々に火が燃え盛るその山野にて、熊谷軍と多治比軍の、最大の激突がはじまる。
多治比元就は、大喝と共に、まっしぐらに敵将・熊谷元直の首を目指し、刀を振りかぶった。
「来い!」
元直もまた、抜き身の刀を突き出し、元就の刀を弾き飛ばそうとする。
刀剣の光。
一閃。
二閃。
飛び散る火花を、兜の眉庇で受けながら、元就は必死になって刀を振った。
「……くっ」
熊谷元直は、元就の剣勢の意外な烈しさに苦戦していた。
なんだ、こいつは。
こじき若殿と呼ばれて、ばかにされていた男か、これが。
こいつの剣は……危険だ。
「…………」
こじき若殿と蔑まれていた多治比元就だが、だがそれゆえに、山野を駆けめぐり、鳥獣を相手に狩りをし、時には山賊や偸盗相手に戦うことも辞さない生活を送らされていた。
食わねば、食われる。
やらなければ、やられる。
そのぎりぎりの暮らしが、しかも継母の食い扶持も稼がなければならないという焦燥感が。
元就の弓を、そして刀を、磨き上げていた。
それは、我流であり、野獣の戦い方である。
しかし今、まともな国人として武芸を鍛え上げた熊谷元直を、それは凌駕しつつあった。
「……くっ」
熊谷元直の野性の勘が、元就の刀から逃げろと告げていた。
元直もまた、京へ従軍し、船岡山の激戦を経験していた。
だから分かる。
そのときも、同じような勘が働いたことを思い出していた。
元直がわずかに引く。
その隙を、元就の言葉が撃つ。
「……逃げるな!」
「小癪な……!」
野性の勘と武士の意地がせめぎ合った結果、後者が勝った。
元直の剣と、元就の剣が、かみ合う。
鍔迫り合いだ。
馬上、互いに歯を剥き出しにして、押し合う元直と元就。
*
「……よし」
多治比元就と熊谷元直の一騎打ちの行方を見守っていた長井新九郎は、多治比の軍に声をかける。
「見よ! 多治比どのは言ったとおり! 熊谷元直を討ちに行った! つづけ! 皆の衆! つづけ!」
わっと叫び声をあげ、多治比の、毛利の一文字三星紋の旗印の軍が進む。
大将の一騎打ちに固唾を飲んでいた熊谷軍は虚を突かれ、先手を許してしまう。
「……うろたえるな! 所詮は小勢よ! 持ちこたえよ!」
元直が、元就の連撃にこらえながらも、必死に呼びかけ、熊谷軍は勢いを盛り返そうとした。
しかし、元就もまた、その機に大音声を上げる。
「熊谷の衆は動揺しているぞ! われらの故郷に火をつけた侵略者に報いを!」
多治比軍は、当然、多治比の山里を住まいとしている。ゆえに、目前で家々を田畑を燃やされるという屈辱を与えられ、怒りに燃えていた。
「かかれ!」
長井新九郎が槍を突き出し、熊谷軍の部将をひとり、あっという間に斃した。
そこを切り口に、多治比軍は一気呵成に熊谷軍へと突撃する。
故郷を守ろうと必死になる多治比軍と、侵略者となじられた熊谷軍。
多治比軍と熊谷軍の兵数の差は、一対四であるが、今、多治比元就と長井新九郎の奮闘により、両者は拮抗しつつあった。
*
……戦いは乱戦の様相を示し、もはや、多治比元就と熊谷元直も馬を下り、組み打ちをして、兵たちの間で相争っていた。
元直としては、こうなっては元就から一瞬でも離れ、自軍と合流して、一挙に攻め寄せたいところであるが、あと少しというところで、いつも元就が食らいついてきて、満足な指揮が取れないでいた。
「……くそっ、離せ!」
「おや? 逃げるか? 熊谷?」
これだ。
厭らしい挑発を忘れない。
しかも大声でだ。
これでは、兵に聞かれ、うかつに離れられない。
逃げたと思われては、この熊谷元直、沽券にかかわる。
焦る元直の様子を見た、部将である板垣が、兵を叱咤する。
「熊谷どのに合力せよ! そしてそのまま押せ!」
元々、熊谷軍の方が多いのだ。その数に物を言わせて、押せば勝てる。
板垣はそう主張し、前進を命じる。
しかし。
「くっ……この地形……」
山里である多治比は、時に隘路を為して、つまり、迫る山肌により、平地が狭まるところがある。それが、戦場だ。
兵数を限らねば、進むに、進めぬ。
板垣は、今さらながらに元就が迎撃地点をこの場所にしたことに思いを至し、舌を巻いた。
「敵は戸惑っておるぞ! かかれ! かかれ!」
それに、さっきから多治比の兵を激励している、あの見知らぬ侍。
誰だ、あれは。
要所要所で、適確に声をかけている。
しかも。
「おっ、お前……一廉の将と見た。ひと勝負、所望!」
なんだ、この早く鋭く、正確な槍さばきは。
板垣が必死に槍を振るう。
だが、その手を、指を、槍の穂先が刺す。
「……ぐっ」
「この長井新九郎、その程度の間合いなら、銭の穴をも刺し貫いてみせるわ!」
板垣は指をやられてしまい、槍を取り落とした。
長井新九郎――斎藤道三は槍の名手としても知られており、離れたところに吊るした銭の穴を穿つ、という鍛錬を積んだと言われている。
「多治比どの!」
板垣が周りの兵に援護され、一時撤退していく様を見送りながら、長井新九郎は叫んだ。
多治比元就もまた、熊谷元直と取っ組み合いながら、叫ぶ。
「応!」
「……光政は、井上光政は、間に合うか!?」
長井新九郎の問いに、多治比元就は少し間を置いてから、こたえた。
「……まだまだ!」
「分かった!」
長井新九郎は槍をひと振りすると、熊谷軍の中へ消えた板垣を追って、猛然と突進していった。
一方で、多治比元就と組み合う、熊谷元直は、その問答の意味するところを推し量っていた。
井上光政。
多治比元就の腹心。
それが……間に合う?
そういえば、光政の姿らしき影は見えない。
代わりに、あの長井新九郎とかいう怪しげな侍が徘徊している。
毛利家の重臣・井上一族である光政を差し置いて。
毛利家重臣の一族。
毛利……。
「……まさか」
元直の脳裏に、一つの答えが浮かび上がった。
「貴様! まさか、井上光政を毛利本家、吉田郡山にッ」
「答える必要はない」
元就は、熊谷元直の顔面に拳を入れる。動揺していた元直にそれは、ものの見事に当たった。
「がっ」
鼻血を流しながらも、元直は、元就に刀を振るう隙を与えず、巧みに後退る。
「……うぬぅ」
元直の頭の中は、今、憶測が渦巻いていた。
井上光政が毛利本家から援軍――別動隊を引き出してくる。
それならば、この多治比元就の奮戦も納得がいく。
元就は、井上光政が連れて来る別動隊を当てにしているのだ。
だが、毛利本家・吉田郡山城は、石見の高橋久光に占拠され、牛耳られていると聞く。
もしかして……まやかしか?
熊谷元直の脳内に葛藤が生まれ、それを見透かしたかのように、元就は無表情に、元直の目を、じっと見ていた。
「おのれぇ……」
「…………」
元直の憶測は、半分、当たっていた。
実際は、井上光政は別動隊を率いて、多治比の山の、杣道を歩いて、熊谷軍を大きく迂回するかたちで、その背後に回っていた。
多治比の山野を駆けめぐって生きてきた元就と、多治比で生まれ育った光政でなければ、できない作戦だった。
ただし、危険は伴う。
ただでさえ寡兵である多治比軍の、それも選りすぐりの兵を割いていること。
また、割いたといっても、さらに少数の兵であり、別動隊は、おそらく、一回しか効果を発揮できない。一度攻めたら、その兵数を悟られ、殲滅されるであろう。
加えて、「毛利本家からの援軍」と思わせることも別動隊の使命であるが、前述のとおり、兵数の少なさから、それもまやかしであることが露見してしまう。
「井上光政は、間に合うか!?」
長井新九郎の、その問い。
「まだまだ!」
多治比元就の、その答え。
長井新九郎の「間に合う」は、そろそろ光政に背後から襲いかからせろ、という符丁である。
多治比元就の「まだまだ」は、まだまだ光政は待機させ、機を待たせるべき、という暗号である。
……絶妙の機を以て、別動隊をぶつけ、毛利本家からの援軍と思わせ、熊谷軍を撤退に追い込む。
それが、多治比元就の策であり、それと悟られぬよう、彼は、自ら敵将・熊谷元直に一騎打ちを挑み、思考を狭め、策があることを悟られないように努めたのである。
「……くっ、このままでは」
熊谷元直の目に、自身が命令してつけた火が、燎原の火が、あたりをなめ尽くしていくのが映った。
もし、別動隊が、援軍が、来るのだとしたら……逡巡している暇は、無い。
毛利本家からの援軍が来るのか、来ないのか。
実のところは分からない……が、はっきりと言えることがある。
「それは今……突撃して、この多治比の衆を蹴散らせば良いということだッ」
元直は、今度はこちらからと元就に向かって突進し、それが周囲の将兵に、全軍突撃を命じていることを教えた。
熊谷軍の部将の山中が叫ぶ。
「熊谷どのにつづけ! 今こそ、数を活かして敵を殲滅するのだ!」
この頃になると、熊谷軍の前衛と後衛の位置を交代することに成功し、多治比軍は、入れ替わって無傷の方の熊谷軍の部隊と当たることになった。
一方の多治比軍も、多治比元就も、ここが正念場と、気合を入れる。
「かかれ! 熊谷の衆を蹴散らせ! お味方は、吉田郡山から間もなく、間もなく参るぞ!」
多治比にて、方々に火が燃え盛るその山野にて、熊谷軍と多治比軍の、最大の激突がはじまる。
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