私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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デートだ!

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 天候に恵まれて本日は朝から快晴! 絶好のデート日和だ! 楽しみすぎて早起きしちゃった! リアンさんの部屋に行って起こしてあげたいけれど、ママと約束したからセーブしておくことにした。

 パパに明日リアンさんと出かけてデートくるね! って言ったらしばらくパパは無言で考えている様子だった。


「遅くならないように……卿は忙しいんだ。迷惑をかけないと言う約束ができるのなら許可する」

 譲歩したような感じ? だった。


 パパとママの事もあるし何かあると兄様が謹慎なんていうから、手を繋ぐのも腕を組むのも。…諦めた。せっかくのデートなのにね。
 ママが言うには過度なスキンシップは自分の価値を下げる? って言ってた。難しい……


「俺は街のことを知らないのだがどこへ行く? 何か欲しいものでもあるか?」


 邸の前に馬車が止まっていて、リアンさんがエスコートする形で手を貸してくれた! 嬉しい!

「えっとね、ぶらぶらしたい! それでその後カフェに行ってお茶を飲むの。公園も行きたいし、」

「分かった、分かった。マリアの行きたいところは行こう。欲しいものがあったら遠慮なく言えよ」

 屋敷から王都までは十数分。ちょっとお洒落してきちゃった。歩きやすいブーツも履いてきたし胸元にはスズランのネックレス。

 侍女達は可愛い可愛い。と褒めてくれたけどリアンさんもそう思ってくれるかな?

 リアンさんに合わせて大人っぽい服を着たいと思ったけど、背伸びするのはやめた。きっとそんな事誰も望んでないもん。

 そんなことを考えていたら、馬車が止まりリアンさんが先に降りて手を貸してくれた! 嬉しい!

「どうぞ」

っと手を差し出してくれて降りるのを手伝ってくれた。スマートだよね。いつもこんな感じなのかな……妬けちゃうよ

「ありがとう。リアンさん」

 馬車を降りてから手を離した。あ! リアンさんちょっとホッとした顔をしたよね! むぅ。でも我慢。

 デートって言っても付き人がいるから二人だけじゃ出歩けない。ちょっと離れてくれているのは嬉しい。

「さて、どこへ行こうか?」

 シャツと上着をさらっと着こなすリアンさんはやっぱり大人だ。私が隣にいてもデートって思われないかもしれない! でも手は繋げない。

「街の中を歩きたいの。ぶらぶらして良いなと思ったお店に入っても良い?」

「あぁ、そうしよう、助かるよ」

 リアンさんは王都の街を詳しく知らないって言っていた。私は兄さまと来たりアミーとジュリーと遊びに来たことはある。街の店は移り変わりが激しいから何度来ても飽きない。

 ぶらぶらと散策をしていたら新しい文具屋さんが出来ていた。

「ここ、入っても良い?」

「あぁ、良いぞ。何か気になるものでもあったか?」


 可愛い万年筆がたくさん並べられていた。男性用はシンプルなデザインが多いけれど女性用はカラフルでチャームなんかもついていて可愛い!

 季節ごとのお花に分かれて並べられている万年筆がお花畑のようで目を奪われた!

 勿論私の目当ては春の花のコーナー。

「あっ! あった。可愛い!」

 スズランの模様とチャームが揺れて可愛い! 学園でも使えるし飾ってあっても可愛いよね!

 お小遣いはママから貰ってきて侍女に渡してある。貴族の子女はお金を持ち歩かないんだって。一人で出かけることはないし、お金を持っていたら悪い人に狙われちゃうからなんだ。

「白も可愛いし、黄色も可愛い……迷っちゃう」

 うーん。と頭を悩ませていた。

「どっちも買えば良いんじゃないか? 実用品だからあっても困らないだろう?」

「うん。そうだね」

 小さい時にリアンさんと行った朝市ではひとつだけだぞー。って言っていたのに今はどっちも買えば良いだなんて……しかもそれを受け入れちゃったよ。それが今の普通なんだよね。不思議。

「このインク! 紺色の中にキラキラしたものが入っていて星空みたい」

 店の店主の人が言うにはこのお店のオリジナルで値段は張るけれど他にはない品物です。って言った。インクの壺も繊細でステキだった。この壺からして高いんじゃないの?

「普通のインクの三倍もするんだ! ……でも欲しいなぁ」

「たまたま入った店で気に入ったものがあったならそれも運命の出会いだ。それも買えば良いんじゃないか?」

 だって三倍だよ! でもこのインクでお手紙を書きたいと思ったんだよね。

「そっか。そうだよね。あとは……」

 キョロキョロと店内を見渡し紙のコーナーへと行った。

「あ、やっぱりあった。これも買おっと!」

 結局ここでは万年筆二本と、インクとレターセットを買うことにした。

 侍女に言ってお金を払おうとしたらリアンさんが出してくれた。

「え! 良いよ。お小遣いは貰ったしリアンさんに迷惑かけちゃダメって言われたもん」

「……お前なぁ、こう言う時は男に払わせれば良いんだよ。高いものでもあるまいし、レディはありがとうって言うだけで良いんだよ」

 ……スマートな大人って感じがした。やっぱりリアンさんは大人なんだ。

 お店を出て紙袋を渡されたからありがとう。って言った。その後は侍女が荷物を預かってくれる。

「このレターセットでリアンさんに手紙を書くね」
 
「あぁ、」

 すると学園の先輩? に見られていたみたいでヒソヒソとこちらを向いて聞こえるように何か言っていた。

 くすくすと笑っていたようでリアンさんは眉間に皺を寄せていた。


 
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