私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

文字の大きさ
52 / 81

デート?〜リアン〜

しおりを挟む

「ほら見てご覧なさいよ。私たちの年代に相手にされないからってあんな年上の方と仲良くしているわよ」

 くすくすくす……


「だって、あの方の侯爵令嬢って呼ばれていますもの」

 くすくすくす……

ですものね。田舎の暮らしがまだ恋しいのよ」


 なんだあの令嬢達は……

「あら、それにあちらの男性はこの国の人じゃないわよね。見たことないもの。歳が離れているからきっと後妻にでも入るおつもりなのかも」

「まぁ! それなら幸せじゃないの」

 ……良い加減にしろよ。マリアの顔を見る。悲しんではないだろうか?


「ねぇねぇ、次はあっちの道に行こうよ」

 俺の思いとは裏腹に、上着の袖を揺するマリア。

「なぁ、聞こえていたんだろ? 悔しくないのか?」

 首を傾げるマリア。

「うん。だって全部憶測でしょ? 気にしてたらキリがないよ? パパとママが放っておけば良いって言っていたよ。そう言うことを言う人にはちゃんと罰が下るんだって」

 しかし貴族が多くいる街中で聞いているものも少なくはない。罰は……下されるんじゃなくて下してるんだろうな。


 ……くすくすくすくすっ。

「きっと田舎貴族の後妻になるのね。お似合いだわよね。年齢が離れているだけでペットのように可愛がられたりして」


 これは黙って許された問題ではなくなった。


「マリア、悪いが俺は許せないかな、っておい」

 俺がそう言う前にマリアが令嬢達に向かっていった!


 
「リアンさんのことをバカにするような事言わないでっ!」

 仁王立ちした。おいおい……
 

「マリア! いいから俺に任せとけよ」
「なんで! 私の事は良いけどリアンさんは、」

 令嬢達の顔は明らかに悪くなった。

「な、なによ。婚約者がいないからって」
「そ、そうよ、みんなが言ってるもの……」
「侯爵家の力を使って脅す気でしょ!」

 はぁっ。こんな事を言いたくないがバカには言い聞かせる必要がある。


「私の名前はフロリアン・フォン・オットーと言う。君たちが知らなくても仕方がないよな。隣国の者だからな」
 
 流石にフルネームで言ったら分かるだろうか。顔は知らなくとも名前は知れている。


「オットー……大公家」

 令嬢ではなく周りがざわついて、一歩また一歩と後退りしていた。令嬢達は顔を青褪めた。どうやら名前は知っているようだな。



「君たちはどこの誰かな? 私は名乗ったのだが?」

 礼儀というものがある。名を名乗られたらきちんと返すものだ。


「あ、いえ、私たちは、失礼します」

 頭を下げるがマリアの侍女が出てきた。

「こちらはライリー伯爵令嬢・クックソン子爵令嬢・コール男爵令嬢でございます」

 この侍女普通の侍女ではないな。身のこなしが普通ではない。


「そうか、わかったよ。色々誤解があるようだが、」
「リアンさん、もう行こうよ。きっと反省してると思うよ?」


 ……女神のような優しさだな。しかし伯爵家に子爵家に男爵家の令嬢が侯爵令嬢によくもまぁ……
 

「はぁっ。親の顔が見たいと思ったのははじめての経験だ……酷いなこの国の教育は」

「「「……ひどっ、」」」


「酷いとかよく言えるな……酷いのは君達の顔だろう? 悪口を言う時の顔は嬉しそうでとても醜い。君達の様な者には分からないだろうが、私はこの国に招かれているんだ。国同士の問題に発展することが望みなのかな?」

 そこまで言うとふらっと令嬢が血の気を引いた真っ白な顔で倒れそうになる。後ろで控えていた令嬢の付き人らしき女が支えて転倒は免れた。

「……………………」

 無言で顔面蒼白。相手にする気はなかったのだが……

「ここで一つ訂正しておく。マリアベル嬢を四年間保護していたのは私だ。その縁もあって現在ロマーニ邸に世話になっている。。のではなく公表していないだけだ」

 周りがざわつく。さっきより人が増えていた……


「兎に角君たちの家に抗議させてもらうとするか……悪意のある噂は流してはいけないんだったよな? 周りも聞いていたなら今後マリアベル嬢の悪い噂を流そうものなら……分かるよな?」

 
 低くて穏やかに聞こえるが圧は伝わるだろう。周りにいた者達は一斉に頭を下げた。

 

 ……やり過ぎたか

 


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

処理中です...