私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

文字の大きさ
56 / 81

抱き止めてくれた

しおりを挟む

 ……リアンさん、リアンさん、リアンさんに会いたい!


「お嬢様! また走って! いけませんよ、奥様に怒られますよ!」


 執事に言われた。でも急いでいるの。


「いいの! ねぇリアンさんは?」

「……図書館に行かれましたよ。私は注意しましたよ」

 
 
「ありがとっ!」

「あ! お嬢様!!!」

 小言は後で聞こう。図書館に向かって走った!



「リアンさんっ」

 扉を開けてリアンさんの名前を読んだ。


「どうした? ジェラール殿下と話があったんじゃないのか?」

 リアンさんは本を読んでいた。


「リアンさんっ!」

 リアンさんの胸に飛び込んだらちゃんとキャッチしてくれた。

「……どうかしたのか? ジェラール殿下に嫌なことでも言われたのかー?」


「リアンさん……」

「なんだ?」

「やっぱりリアンさんのことが好きみたい。マリアじゃ子供すぎて相手にならない? すぐに大人にはなれないけれどリアンさんの隣に立っても恥ずかしくないように頑張るから、マリアのこと好きになって」


「…………ちょ、ちょっと待て、マリアは身分的には殿下の婚約者にもなれるし、傷物だとか言う汚名は無くなったんだぞ! 何も俺みたいなおっさんを選ばなくても良いんだって!」

 私を離そうとするから。ぎゅうっとリアンさんの上着を握りしめた。


「年齢は関係ないもん。リアンさんはリアンさんだし平等に歳をとるでしょ。年齢差は埋まらないってそんなの知ってる。マリアが我儘だから嫌い?」

 リアンさんの顔を見ると顔が赤くなっていた。目も逸らされたし……



「嫌いなわけない……マリアの将来を潰すようで怖いんだよ。若いんだからまだやりたい事とかあるだろう? それに俺と結婚したらこの国から出なくちゃならない。ロマーニ侯爵家の皆さんが悲しむだろう」

「パパやママが悲しむからリアンさんと結婚しちゃダメなの? そこに私の意見は存在しちゃダメなの? パパとママが許してくれたらリアンさんは結婚してくれるの? リアンさんの意見はないの?」


「……痛いところを付いてくるな」



「マリアはリアンさんと出会えて良かった……そしてまた会うことが出来て嬉しい。一時の感情なんかじゃなくてずっと恋しかったよ……リアンさんの顔を見たら一気に感情が溢れたの。マリアはリアンさんの家族でしょう? リアンさんは若いからやりたいことあるって言ったけど、リアンさんがマリアを助けてくれたのって今の私くらいの歳でしょう? リアンさんの青春は全部マリアが潰しちゃった? マリア今四歳の子を助けてもリアンさんみたいに一人でお世話してあげられないもの。今のマリアがあるのはリアンさんのおかげだよ。マリアがリアンさんの家族だもん。お父さんやお母さんやお姉ちゃんにはなれないし子供は嫌だけど……奥さんになって本当の家族になるの」







「……熱烈な告白だな」



「まだ足りない? リアンさんは頼り甲斐があるでしょう? 優しいでしょう? それに守ってくれるし、博識だし、お顔も凛々しくてカッコいいし、後ろ姿もカッコいいよ! 背中は広いし、強いし、手も大きくて温かいし、」

 指折り数えた。

「……分かったから、もういい……恥ずかしくなる」

「本当に伝わった?! 本気で言ってるんだよ!」



「……伝わった」


「パパとママは好きな人と結婚して幸せになってほしいって言うんだよ。兄さまも!」

「そうだな……」


「好きな人が結婚してなくて、婚約者もいなくてチャンスだよね!」

「前向きだな……おまえ」


「じゃあマリアが他の人と結婚しても良いの? マリアはリアンさんに他の人と結婚してほしくないよ」


「…………」




「ね! 結婚しよ!」


 にっこり笑ってリアンさんの顔を見上げた。




「……まだそう言う目で見られない」



「大丈夫! あと1~2年もあればちゃんとレディになれるよ! ママの子だもん」


「夫人は夫人だろ? おまえはおまえらしくしてろ」


「ふふっ。そう言うところも好き!」

  ギュッと腕にしがみついた。


「あ――――考えていても無駄だな……おまえには敵わない」

 頭をかき上げるリアンさん。照れてるね!


「リアンさんがそうしたんだから、責任取ってもらわなきゃね!」


 やった!! 落ちるよ――! 押せ押せだ!!






 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

処理中です...