60 / 93
フランツ
しおりを挟む
「近々公表するつもりだからそれまでは内密にしてほしい。さて、今後の事も話しておくとするか」
「はい」
今後とは? 陛下達の引退話以外だとしたらフランツ殿下の事ですよね。
「フランツは王都から追放。身分の剥奪を言い渡す予定だ。確かそうじゃったな? 間違いはないか?」
あの時フランツ殿下に命令された事ですね。発言を許された。
「陛下“100キロ離れた場所に追放”を忘れておりますわ。場所はクレマン子爵領でしたわ」
「すまん、大事なところじゃったな」
だけどクレマン子爵領は二人を受け入れてくれないだろう。問題が増えるもの……
「陛下、フランツ殿下は何かしらの罰を受けなくてはいけないと思いますが、わたくしの時と状況が違います。陛下やお父様がお戻りになられると、わたくしの追放、身分剥奪は無かったことになると思っておりましたから、そこまで重く受け止めていなくて……旅行感覚で出掛けてしまいました。本当に心配してくださる方もいましたのに、陛下や王妃様が引退まで考えているとは存じず浅はかな自分を……恥じております」
何が作戦よ! 遅らせて困らせてやろう。だなんて烏滸がましい……最低だわ。本当に最低で泣けてきそうだけど、ここで泣く資格なんてない。
「しかし罰は受けさせる。令嬢をたくさんの前で辱めた罪は大きいぞ? 王族のスキャンダルは民達の好物じゃし、フランツとよりを戻そうとは思わないじゃろう?」
よりを戻すのは無理です。元通りにはならないもの。
「ここにフランツを呼んでも良いか? 会いたくないのならフランツに決定事項を告げるのみにしても構わん」
会うのは最後になるだろう。長い間婚者として一緒にいたのだから結末はこの目でしっかりと見届けよう。
「はい」
「フランツを呼んできてくれ」
陛下が声をかけると程なくしてフランツ殿下が来た。
「来たな。アリスフィア嬢の追放と身分剥奪は、国王であるわしの権限でなかった事になり本日王宮まで足を運んでもらった」
久しぶりに見る殿下はやつれていた。艶のあった顔も髪も心なしかくすんで見える。私がいなくなってからどのような暮らしをしていたかなんとなくだけど想像がついた。
殿下が部屋に入ってきたことで挨拶をしようと私たち家族は立ち上がろうとしたのだけど、陛下や王妃様に止められ立ったままのフランツ殿下を見上げる形になっている。想像していたよりも居心地が悪いわ……
「アリス……」
「おまえとの婚約は既に白紙となっておるから名前を気安く呼ばぬように。さてとアリスフィア嬢が王都に戻ってきてくれたからおまえの謹慎も取り消す事にする」
「……はい」
「アリスフィア嬢がおまえの相手のお嬢さんを虐めると思い王都から100キロ離れたクレマンへ追放したのだったな?」
「……はい。ですが100キロと言っただけで場所はクレマンではなくて、その、どこでも、」
しどろもどろと言い訳をするフランツ殿下。言えないわよね。レイラの代わりに私をクレマン子息に当てがおうとしていたなんて。
「ではなぜクレマンと?」
「そ、それは、100キロ先だとクレマンが一番過ごしやすいのではと思って……王都暮らしの令嬢を急に田舎に追放しては流石に、その、」
見え見えの御託を並べるけれど、ここにいる皆は誰も納得などしていない。
「ははは、最後に優しさをみせてくださったのですな。元婚約者としての」
お父様が嫌味を挟む。フランツ殿下は下を向いて黙ってしまった。下を向いていても立ったままだからお顔が見えてしまい顔色がとても悪い。
「くだらない理由で身分を剥奪すると言うたのはなぜじゃ?」
「それは、その、本気ではなく、クレマン家が、助けてくれるかと、
「ははは、まさか第五王子のフランツ殿下に身分を剥奪するような権利があるとは思いませんでしたな。そのような行き過ぎた権利を主張すると王族自体を信用できなくなってしまいますな。生意気だと身分を剥奪ですか? それなら現在私はあなたを批判している生意気なジジィですが、どうしますか? ブラック伯爵家を潰しますか」
お父様が饒舌になった時は攻撃的になるってお兄様が言ってた!
「おや? 返事がありませんな。では陛下にお尋ねします。うちの娘が生意気で申し訳ございませんでした。それは親である私の責任になります。伯爵という地位を剥奪されますか?」
「そんなわけないだろう。それに第五王子どころか、王子達にそのような権限はない」
「そうですか、私からは以上です」
にこりと足を組み替えるお父様。それが何かの合図とかじゃないですよね?!
「しかし私にはその権限がある」
フランツ殿下はギュッと拳を握りしめた。
「アリスフィア嬢はお前とその相手にそこまでの罰は求めないと言うた。しかし王族とは皆の手本になるものだ。お前は単なるわがままで自分の気持ちだけで浅はかな行動に出た。それが許されればまた同じ事を繰り返してしまうだろう。愚かな行動とは自分に返ってくるものなのだ」
それから陛下はフランツ殿下の今後を言い渡すと言った。
「はい」
今後とは? 陛下達の引退話以外だとしたらフランツ殿下の事ですよね。
「フランツは王都から追放。身分の剥奪を言い渡す予定だ。確かそうじゃったな? 間違いはないか?」
あの時フランツ殿下に命令された事ですね。発言を許された。
「陛下“100キロ離れた場所に追放”を忘れておりますわ。場所はクレマン子爵領でしたわ」
「すまん、大事なところじゃったな」
だけどクレマン子爵領は二人を受け入れてくれないだろう。問題が増えるもの……
「陛下、フランツ殿下は何かしらの罰を受けなくてはいけないと思いますが、わたくしの時と状況が違います。陛下やお父様がお戻りになられると、わたくしの追放、身分剥奪は無かったことになると思っておりましたから、そこまで重く受け止めていなくて……旅行感覚で出掛けてしまいました。本当に心配してくださる方もいましたのに、陛下や王妃様が引退まで考えているとは存じず浅はかな自分を……恥じております」
何が作戦よ! 遅らせて困らせてやろう。だなんて烏滸がましい……最低だわ。本当に最低で泣けてきそうだけど、ここで泣く資格なんてない。
「しかし罰は受けさせる。令嬢をたくさんの前で辱めた罪は大きいぞ? 王族のスキャンダルは民達の好物じゃし、フランツとよりを戻そうとは思わないじゃろう?」
よりを戻すのは無理です。元通りにはならないもの。
「ここにフランツを呼んでも良いか? 会いたくないのならフランツに決定事項を告げるのみにしても構わん」
会うのは最後になるだろう。長い間婚者として一緒にいたのだから結末はこの目でしっかりと見届けよう。
「はい」
「フランツを呼んできてくれ」
陛下が声をかけると程なくしてフランツ殿下が来た。
「来たな。アリスフィア嬢の追放と身分剥奪は、国王であるわしの権限でなかった事になり本日王宮まで足を運んでもらった」
久しぶりに見る殿下はやつれていた。艶のあった顔も髪も心なしかくすんで見える。私がいなくなってからどのような暮らしをしていたかなんとなくだけど想像がついた。
殿下が部屋に入ってきたことで挨拶をしようと私たち家族は立ち上がろうとしたのだけど、陛下や王妃様に止められ立ったままのフランツ殿下を見上げる形になっている。想像していたよりも居心地が悪いわ……
「アリス……」
「おまえとの婚約は既に白紙となっておるから名前を気安く呼ばぬように。さてとアリスフィア嬢が王都に戻ってきてくれたからおまえの謹慎も取り消す事にする」
「……はい」
「アリスフィア嬢がおまえの相手のお嬢さんを虐めると思い王都から100キロ離れたクレマンへ追放したのだったな?」
「……はい。ですが100キロと言っただけで場所はクレマンではなくて、その、どこでも、」
しどろもどろと言い訳をするフランツ殿下。言えないわよね。レイラの代わりに私をクレマン子息に当てがおうとしていたなんて。
「ではなぜクレマンと?」
「そ、それは、100キロ先だとクレマンが一番過ごしやすいのではと思って……王都暮らしの令嬢を急に田舎に追放しては流石に、その、」
見え見えの御託を並べるけれど、ここにいる皆は誰も納得などしていない。
「ははは、最後に優しさをみせてくださったのですな。元婚約者としての」
お父様が嫌味を挟む。フランツ殿下は下を向いて黙ってしまった。下を向いていても立ったままだからお顔が見えてしまい顔色がとても悪い。
「くだらない理由で身分を剥奪すると言うたのはなぜじゃ?」
「それは、その、本気ではなく、クレマン家が、助けてくれるかと、
「ははは、まさか第五王子のフランツ殿下に身分を剥奪するような権利があるとは思いませんでしたな。そのような行き過ぎた権利を主張すると王族自体を信用できなくなってしまいますな。生意気だと身分を剥奪ですか? それなら現在私はあなたを批判している生意気なジジィですが、どうしますか? ブラック伯爵家を潰しますか」
お父様が饒舌になった時は攻撃的になるってお兄様が言ってた!
「おや? 返事がありませんな。では陛下にお尋ねします。うちの娘が生意気で申し訳ございませんでした。それは親である私の責任になります。伯爵という地位を剥奪されますか?」
「そんなわけないだろう。それに第五王子どころか、王子達にそのような権限はない」
「そうですか、私からは以上です」
にこりと足を組み替えるお父様。それが何かの合図とかじゃないですよね?!
「しかし私にはその権限がある」
フランツ殿下はギュッと拳を握りしめた。
「アリスフィア嬢はお前とその相手にそこまでの罰は求めないと言うた。しかし王族とは皆の手本になるものだ。お前は単なるわがままで自分の気持ちだけで浅はかな行動に出た。それが許されればまた同じ事を繰り返してしまうだろう。愚かな行動とは自分に返ってくるものなのだ」
それから陛下はフランツ殿下の今後を言い渡すと言った。
230
あなたにおすすめの小説
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』
鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」
王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。
感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、
彼女はただ――王宮を去った。
しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。
外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、
かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。
一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。
帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、
彼女は再び“判断する側”として歩み始める。
やがて明らかになるのは、
王国が失ったのは「婚約者」ではなく、
判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。
謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。
それでも――
選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。
これは、
捨てられた令嬢が声を荒げることなく、
世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。
セラフィーヌの幸せ結婚 ~結婚したら池に入ることになりました~
れもんぴーる
恋愛
貧乏子爵家のセラフィーヌは侯爵家嫡男のガエルに望まれて結婚した。
しかしその結婚生活は幸せなものではなかった。
ガエルは父に反対されている恋人の隠れ蓑としてセラフィーヌと結婚したのだ。
ある日ガエルの愛人に大切にしていたブローチを池に投げ込まれてしまうが、見ていた使用人たちは笑うだけで拾おうとしなかった。
セラフィーヌは、覚悟を決めて池に足を踏み入れた。
それをガエルの父が目撃していたのをきっかけに、セラフィーヌの人生は変わっていく。
*前半シリアス、後半コミカルっぽいです。
*感想欄で所々ネタバレしてしまいました。
感想欄からご覧になる方はご注意くださいませm(__)m
*他サイトでも投稿予定です
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます
よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」
婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。
「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」
「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」
両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。
お姉様からは用が済んだからと捨てられます。
「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」
「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」
ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。
唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。
ここから私の人生が大きく変わっていきます。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる