婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

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フランツ

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「近々公表するつもりだからそれまでは内密にしてほしい。さて、今後の事も話しておくとするか」

「はい」

 今後とは? 陛下達の引退話以外だとしたらフランツ殿下の事ですよね。



「フランツは王都から追放。身分の剥奪を言い渡す予定だ。確かそうじゃったな? 間違いはないか?」
 
 あの時フランツ殿下に命令された事ですね。発言を許された。

「陛下“100キロ離れた場所に追放”を忘れておりますわ。場所はクレマン子爵領でしたわ」

「すまん、大事なところじゃったな」

 だけどクレマン子爵領は二人を受け入れてくれないだろう。問題が増えるもの……


「陛下、フランツ殿下は何かしらの罰を受けなくてはいけないと思いますが、わたくしの時と状況が違います。陛下やお父様がお戻りになられると、わたくしの追放、身分剥奪は無かったことになると思っておりましたから、そこまで重く受け止めていなくて……旅行感覚で出掛けてしまいました。本当に心配してくださる方もいましたのに、陛下や王妃様が引退まで考えているとは存じず浅はかな自分を……恥じております」

 何が作戦よ! 遅らせて困らせてやろう。だなんて烏滸がましい……最低だわ。本当に最低で泣けてきそうだけど、ここで泣く資格なんてない。


「しかし罰は受けさせる。令嬢をたくさんの前で辱めた罪は大きいぞ? 王族のスキャンダルは民達の好物じゃし、フランツとよりを戻そうとは思わないじゃろう?」
 
 よりを戻すのは無理です。元通りにはならないもの。


「ここにフランツを呼んでも良いか? 会いたくないのならフランツに決定事項を告げるのみにしても構わん」


 会うのは最後になるだろう。長い間婚者として一緒にいたのだから結末はこの目でしっかりと見届けよう。

「はい」


「フランツを呼んできてくれ」

 陛下が声をかけると程なくしてフランツ殿下が来た。



「来たな。アリスフィア嬢の追放と身分剥奪は、国王であるわしの権限でなかった事になり本日王宮まで足を運んでもらった」

 久しぶりに見る殿下はやつれていた。艶のあった顔も髪も心なしかくすんで見える。私がいなくなってからどのような暮らしをしていたかなんとなくだけど想像がついた。

 殿下が部屋に入ってきたことで挨拶をしようと私たち家族は立ち上がろうとしたのだけど、陛下や王妃様に止められ立ったままのフランツ殿下を見上げる形になっている。想像していたよりも居心地が悪いわ……

「アリス……」

「おまえとの婚約は既に白紙となっておるから名前を気安く呼ばぬように。さてとアリスフィア嬢が王都に戻ってきてくれたからおまえの謹慎も取り消す事にする」

「……はい」

「アリスフィア嬢がおまえの相手のお嬢さんを虐めると思い王都から100キロ離れたクレマンへ追放したのだったな?」

「……はい。ですが100キロと言っただけで場所はクレマンではなくて、その、どこでも、」

 しどろもどろと言い訳をするフランツ殿下。言えないわよね。レイラの代わりに私をクレマン子息に当てがおうとしていたなんて。

「ではなぜクレマンと?」

「そ、それは、100キロ先だとクレマンが一番過ごしやすいのではと思って……王都暮らしの令嬢を急に田舎に追放しては流石に、その、」

 見え見えの御託を並べるけれど、ここにいる皆は誰も納得などしていない。

「ははは、最後に優しさをみせてくださったのですな。元婚約者としての」

 お父様が嫌味を挟む。フランツ殿下は下を向いて黙ってしまった。下を向いていても立ったままだからお顔が見えてしまい顔色がとても悪い。

「くだらない理由で身分を剥奪すると言うたのはなぜじゃ?」

「それは、その、本気ではなく、クレマン家が、助けてくれるかと、
「ははは、まさか第五王子のフランツ殿下に身分を剥奪するような権利があるとは思いませんでしたな。そのような行き過ぎた権利を主張すると王族自体を信用できなくなってしまいますな。生意気だと身分を剥奪ですか? それなら現在私はあなたを批判している生意気なジジィですが、どうしますか? ブラック伯爵家を潰しますか」

 お父様が饒舌になった時は攻撃的になるってお兄様が言ってた! 

「おや? 返事がありませんな。では陛下にお尋ねします。うちの娘が生意気で申し訳ございませんでした。それは親である私の責任になります。伯爵という地位を剥奪されますか?」

「そんなわけないだろう。それに第五王子どころか、王子達にそのような権限はない」

「そうですか、私からは以上です」

 にこりと足を組み替えるお父様。それが何かの合図とかじゃないですよね?!

「しかし私にはその権限がある」

 フランツ殿下はギュッと拳を握りしめた。


「アリスフィア嬢はお前とその相手にそこまでの罰は求めないと言うた。しかし王族とは皆の手本になるものだ。お前は単なるわがままで自分の気持ちだけで浅はかな行動に出た。それが許されればまた同じ事を繰り返してしまうだろう。愚かな行動とは自分に返ってくるものなのだ」


 それから陛下はフランツ殿下の今後を言い渡すと言った。














 
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