婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

文字の大きさ
78 / 93

面倒事はごめんです

しおりを挟む

 お父様に話がある。と言われた。今後の事についてでしょうね。クレマン子息が捕まりそれにより廃嫡となった。騒動に巻き込まれたカタチとなったけれど、王都に帰ってきてから碌なことがない。

 お父様からのお話はどこかに嫁がせるという話かもしれない。面倒な娘ですもの、まだ価値があるうちに嫁にやった方が家族に迷惑がかからないでしょうね。

「急な話なんだが、語学を活かした仕事をしてみないか?」

「え?!」

 驚いてポカンと口を開けてしまった。仕事をしても良いの? もちろん仕事をしている女性はいるけれど、貴族の令嬢が礼儀見習い以外で仕事をするのは聞いたことがない。結婚後夫と家を盛り立てるために、国のためにならよくある事だし、うちの両親もそうだから。

「王都で色々あったからしばらく領地でのんびりさせようかとも思ったが、王都を離れるなら別の領地でも良いのかもしれないと思ってな。ちょうど語学が有能な人物を探している方がいて、良かったら働いてみないか。と誘いがあったんだ」

「やってみたいですわ! お父様が話を持って来られるくらいだから、怪しい点はないのでしょう?」

「ん、まぁ、そう捉えてくれて構わないし、契約書も作成してくれるようだから悪い方ではない」

 語学を活かせるとなると今までの努力は無駄にならない。あれ、でもどこで?

「お父様の知り合いの家なのですよね? どこの家かお聞きしても良いですか?」

 王子妃になれなかった私が仕事に就いても良いと仰った器の広い方なのでしょう。

「ん、アリスもよくご存じだと思う。グレマン伯爵の領地内なんだが……悪くない話だと思うが、離れすぎていて心配だ……」

 アーネスト様が? そういえば語学が堪能な人を紹介して欲しいって聞いたわ。

「そうですか……」

「考える時間はあるし、断ることもできる。よく考えてみると良いよ」


 結婚の話を出されるかと思ったけれどまさか仕事の話をされるとは思っていなかったししかもグレマン領だとは。その後部屋に戻りベッドに横になった。メイドに怒られたけれど今だけは勘弁して……

 王都では色んなことがあって、なんとかグレマン領に到着することができた。グレマン領では王都にいた頃とは違いのびのび生活することができた。人の目も気にしないで屋台へ行ったりボートに乗ったり。

 私がグレマン領に行くことになったらいつかは噂になるだろうし迷惑にならないのかしら。一番気になるのはその点だった。

 数日考えて、仕事をしたいという旨を伝えた。でも聞きたいことがあるからアーネスト様とお話もしたい。それなら直接アーネスト殿に聞きに行こう。とお父様と二人出かける事になった。


 ******

 グレマン家王都の屋敷は立派だった。我が家の屋敷とは離れているので、こちらの方面には来たことがなかったので驚いた。手狭になって探していたところ褒美として与えられたのがこの屋敷って凄い! 陛下太っ腹だわね。って後から聞くと使わない屋敷を所有しているとお金がかかるんですって。住んでないのに修復費や使用人、それだけでも大変な額が出て行くのは王族も一緒なのね。

「私がアリス嬢に望むことは、書類の整理、通訳が主ですが、パートナーが必須のパーティーにも参加していただければ助かります。それと他国から招かれることもありますので出張というカタチで同行をしてくださると助かります。勿論拒否していただいても構いません」

 悪い話ではない。それから休暇や給料面でも悪いところはなかった。高待遇といえよう。

「よろしいのですか? 私がアーネスト様の近くにいるとよからぬ噂が立ってしまうことも想定されます。今後の結婚に支障は出ませんか?」

「それはアリス嬢も一緒ではないですか? 世の中には働きたい令嬢がいるけれど家の都合で働けない、希望の職につけない。という令嬢もいますよね? アリス嬢は周りに恵まれていますからやりたい事をして下さい。私が今回提示した内容で無理なら、お断りくださって結構ですよ」

「高待遇すぎてそれで良いのかと思うくらいです。まだ私の実力も分かりませんでしょう?」

「家族と離れて僻地に来るのですから、それくらいは問題ありません。他国との繋がりが国にとって重要ですから、争いを避けるために会談することもありますから責任は伴われます。上手く行くと陛下から褒美がもらえますからその時はボーナスも出しますよ。僻地に来てくれる人材は大事ですから」

「ふふっ。やりがいがありそうですね」

「その点は頑張っていただけたらと思います。もしよければ私は来月に戻ろうと思いますのでその時に一緒に行ってもらえれば助かります」


 グレマン領行きが決まった。お父様は寂しそうにしていたけれど頑張りなさい。と言った。グレマン領へ引っ越しするにあたり準備が始まるのだけど……

「こんなに必要ありません。ドレスも何枚持たせる気ですか!」

「パーティーにも参加するのでしょう? アーネスト様に恥ずかしい思いをさせる気? それに同じドレスばかり着てちゃ我が家の恥よ」

 大荷物になってしまったわ。アーネスト様に話すと問題ないですよ好きなだけお持ちください。と軽く言った。なんでも荷物は別便? で運び先に屋敷に着けるようにしておくそうだ。仕事先であるグレマン領には今回もショーンとミリーが付いてくるのだそうです。流石に一人では行かせられないとなり、お父様が二人に話したら二つ返事で付いて来てくれる事になったのだとか。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

セラフィーヌの幸せ結婚  ~結婚したら池に入ることになりました~

れもんぴーる
恋愛
貧乏子爵家のセラフィーヌは侯爵家嫡男のガエルに望まれて結婚した。 しかしその結婚生活は幸せなものではなかった。 ガエルは父に反対されている恋人の隠れ蓑としてセラフィーヌと結婚したのだ。 ある日ガエルの愛人に大切にしていたブローチを池に投げ込まれてしまうが、見ていた使用人たちは笑うだけで拾おうとしなかった。 セラフィーヌは、覚悟を決めて池に足を踏み入れた。 それをガエルの父が目撃していたのをきっかけに、セラフィーヌの人生は変わっていく。 *前半シリアス、後半コミカルっぽいです。 *感想欄で所々ネタバレしてしまいました。  感想欄からご覧になる方はご注意くださいませm(__)m *他サイトでも投稿予定です  

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん
恋愛
父が決めた結婚。 顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。 これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。 だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。 政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。 どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。 ※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。 最後はハッピーエンドで終えます。

とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、 屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。 そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。 母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。 そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。 しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。 メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、 財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼! 学んだことを生かし、商会を設立。 孤児院から人材を引き取り育成もスタート。 出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。 そこに隣国の王子も参戦してきて?! 本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡ *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

処理中です...