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情けない
しおりを挟む~アーネスト~
なぜもっとスマートにかっこよく告白できないのだろうか。と送っていった後に落ち込む……
せっかく良い感じのレストランに行き、贈り物も渡せたのに……逆に気を遣わせることになった。
こういう時にスマートに告白出来ない自分が本当に情けない。返事を聞くのが怖い。領地へ戻るまでの一週間は生きた心地がしないだろう。
アリス嬢も呆れただろうな……
~アリスフィア視点~
「姉様帰ってきたの? 顔が赤いよ」
弟のジェレミーに声をかけられた。
「え、えぇ。ただいま。ちょっと暑いみたい」
手でパタパタと顔を仰ぎ少し話をして部屋に戻った。そして着替えを済ませお風呂に入る。
アーネスト様が私を好きだと言ってくれた。夢ではないのよね?
グレマン領で生活をして、穏やかな時間が流れていた。ずっとこのままいられたら良いな。なんてぼんやりと思っていた。穏やかな時間を過ごせたのはアーネスト様の人柄だった。自然豊かで人目を気にすることもなくなりストレスフリーな生活。
通訳として隣国に行くこともあったし、隣国に行けばいろんな国の人と話をすることもある。本で見たり人から聞いた事とは違い自分で経験する事によりやりがいを感じた。
アーネスト様は共通語を話せるので、外国の人ともコミュニケーションは取れる。ただそれぞれの文化となると私の方が詳しかったりするので役に立っていると思う。
婚約破棄をされた可哀想なお荷物令嬢のままだとアーネスト様の隣にいられない。アーネスト様が同情をしているから私を拾ったなんて噂もあるようだもの。私はアーネスト様に惹かれているのだ。それなら私は両親にこの事を話してグレマン領へ行く事を許してもらいたい。私の居場所はグレマン領なのだと伝えたい。
お風呂に入ったおかげで身も心もサッパリとした。考えは纏まった! 明日両親に話をしよう。
******
翌朝、朝食の場でお父様とお母様に話がある。と言うと“分かった”と返事が返ってきた。
「話とは何かな?」
約束通り朝食が終わるとお父様の執務室で話をする。
「一週間後に私はグレマン領に戻ります」
「理由を聞かせてもらおうか? 王都での仕事はアリスがやりたかった事だろう?」
きちんと説明をしないとアーネスト様とグレマン領へ戻ることが出来ない。
「はい。ですが今でも十分やりがいを感じますし私はグレマン領が好きなのです。グレマン領の発展をお手伝いしたいと思っています」
「国で働くのと、一領地で働くのではスケールも給料も違うぞ。王宮で働くことにより知名度も上がる。それに是非に。と言われているんだぞ? 今の説明では天秤にかける意味があるかな?」
すぅーと呼吸を整える。
「私は……アーネスト様とグレマン領でお仕事をしたいのですわ。アーネスト様の人柄に惹かれています」
「ふむ。アーネスト殿ねぇ。王都の貴族たちに娘を是非。と言われて人気なんだが、婚約破棄をされた娘を相手にするかい?」
嫌な言い方!
「もうっ! 分かりましたわ! 私はアーネスト様が好きなのです。昨日アーネスト様に告白されました。そのお気持ちに応えたいのでわすわ」
「初めからそう言えば良い。まどろっこしい。勿体無い話だが王宮での話は断っておこう。王宮で働く事は悪いことではないが、好き勝手噂をされるのは私も好かない」
好き勝手噂とは、女性が未婚で働く事や婚約破棄をされたから貰い手がないとか面白おかしく言われる事だと思う。お父様も悔しい思いをしたのかも知れない。だから私を王都から避難させたのだから。
「その節はご心配をおかけしました」
「その話はもう良い。アーネスト殿がアリスを思っている気持ちはよく理解できた」
ん? どうしてかしら? 告白された。としか言ってないのに。首を傾げると、とんとんとご自分の首を叩くので私の胸元に何かあるのかしら? と胸元を触る。
「これは……昨日アーネスト様に卒業のお祝いに頂きましたの」
コンクパールの首飾りだった。
「希少なパールだね。よく手に入ったものだと感心するよ」
「偶然見つけたと聞いています」
宝石展で見かけたと言っていたからわざわざ探したわけではなさそう。
「探すとないものなんだ。私も卒業祝いに贈りたかったんだ。王都の宝石商や知り合いにも聞いたのだが手に入らなかった」
そこまでとは知らなかった……お父様とお母様がくださったパールも素晴らしい物だった。
「そのパールはアリスに似合うと思ったんだ。アーネスト殿はよく理解をしているようだね、私は反対しないよ。ただし!」
「はい」
「きちんと向こうの両親にも理解してもらい、早々に婚約を結びなさい! 良い歳をした婚約者でもない娘をいつまでも他所に置いとけない」
「そうですね。そうなりますよね……」
好きで付き合うとその先がある。アーネスト様も理解しての事だと思う。アーネスト様が将来夫になると言うことよね。
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