田舎者とバカにされたけど、都会に染まった婚約者様は破滅しました

さこの

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お茶会です

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「フローラ様これ宜しかったら」

 本日はラフォール家の屋敷にフローラ様を招いてお茶会をしました。


「まぁ! ポーチですの?」

 嬉しそうに受け取って下さいました。

「はい。ちょっとした物を入れるのに良い大きさかと思いまして」

「まぁ、とてもかわいいキツネですわね」

「……ネコです」

「あ、あらいやだ。かわいいネコちゃんですこと」

「うまく行ったと思ったんですけど……やっぱりダメでした。侍女にもキツネと言われたんです……目が鋭すぎましたね。フローラ様に失礼ですから作り直します」

 フローラ様に返して欲しいと言うと

「いいえ、気に入りましたわよ。愛らしいですもの、このネコちゃん」

 キツネって言ったのに……フローラ様はお優しい方です。

「もし、フローラ様に悲しいことがあったらこのキツネを見て笑って下さい」

「まぁ、そんなこと……ふふっ、オリバス様が仰った事ですわね? 仲がよろしい事」

「やめてください、ウィルベルト様に迷惑がかかります」

「寧ろ喜ばしい事だとお喜びになられますわよ?」


******


「わぁ……なんて大きなお屋敷……」

 ウィルベルト様のお母様のお茶会にお呼ばれをされました。
 フローラ様にはお茶会にお呼ばれされたら何を持っていけばいいか、何を着ていけば良いかと相談をさせて貰いました。

 王都に来てお友達以外のお茶会に招かれたのは初めての事でした。

『セイラ様はいつも通りでよろしいと思います。わたくしはセイラ様がお作りになるお菓子は大好きですもの』



 お兄様にも相談しました。
『焼き菓子は喜ばれるものの一つだけど、得意な物を作ってお持ちしたらどうだ』

 フローラ様とお兄様のアドバイスを聞いて、マカロンとクッキーを作りました。


「お招きいただきありがとうございます」


「セイラさんいらっしゃい、どうぞくつろいでくださいね」


「ありがとうございます。宜しかったらこちらをどうぞ」

 お土産と言うには物足りないけれど、手ぶらで来るわけにはいけませんもの。


 伯爵夫人はメイドさんにお菓子を預けて並べるようにと言ってくださりました


「ようこそ」

「ウィルベルト様、お招きいただきましてありがとうございます」

 ウィルベルト様は私服もビシッと決まっていた。制服と正装以外は見たことないから、ドキッとしました。




 丸テーブルにお菓子を並べてお茶会がスタートしました。
 さすが伯爵家です。ティーセットも家具も素敵です。

 アンティークな物と、新しいものが見事に融合されていて夫人の趣味の良さが伝わってきました。


 緊張しながらお茶を口に入れました。芳醇な香りが、鼻腔にまで……


「とても美味しいです」




「そうでしょう? わたくしのとっておきですのよ。良かったわ、お口にあったみたいね。ウィルなんていつもはお茶に付き合ってくれないのに、今日は朝からそわそわしちゃって」


「母上、あまり余計な事は言わないように」

 ウィルベルト様は私が作ってきたクッキーを口にした。


「ウィルがお菓子を口にするなんて……驚きだわ! 子供の頃以来に見たわ」


「セイラが作る菓子は甘さが控えめで、私の好みなんですよ」

「まぁ! ふふっ。わたくしもいただきますね」

 なんだろうドキドキする。田舎娘が作ったお菓子を伯爵夫人に食べていただくなんて、畏れ多い……


「とても美味しいわね。初めていただくお味だわ」

 驚いたように口に手を当てた

「お口に合いましたでしょうか?」

「えぇ。セイラさん良かったら作り方を教えてくださらない? このお茶にも合いますね」


「はい。もちろんです。気に入ってくださってとても嬉しいです」


 その後はウィルベルト様の子供の頃や、伯爵家のお話を聞かせて貰った。


「セイラさんとお話をしていると楽しいわね。ウィルが好きになるのが分かったわ」
 

「まぁ、反論はしませんよ」


 ウィルベルト様がこちらを見て優しく微笑んでくださったので、照れながらも微笑み返しました




「ところで婚約式はいつにするの? 盛大に、」

「母上! 余計な事は言わないように」



「……こんにゃく式」

 こんやくしき? だれの?


「ほら……」


 はぁっとため息を一つ吐くウィルベルト様


「あら、まだそこまで行ってなかったの? それはごめんなさいね。そうねぇ……ウィル、セイラさんをお庭にご案内したら?」

「そうします。行こうセイラ」

「え、えぇ」


 急に手を繋いで庭に連れて行かれた。さすが伯爵家、使用人が多いです。軽くうちの数倍はいます。
 お屋敷もとても広くてここは迷路なのかもしれません……



「迷子になりそうなお庭ですね」

 キョロキョロと広い庭を眺める

「屋敷の上の階から庭を見ると分かりやすい。今度教える」


「今度?」

「覚えてもらわなくては困る」

「迷子になるから?」


「……それもあるけど、いずれは伯爵夫人になって欲しいから」

「伯爵夫人……? えっ?」

 私ですか?と言う意味を込めて自分を指差してみた


「なんで驚くんだよ! ただ付き合うと言うわけにはいかない。将来も含めて付き合っていきたい。じゃないと家族に紹介なんかするか!」


「私の一存では決めれません! まずはお兄様に相談しないと、お父様やお母様にも、」


「そこは大丈夫だ。ラフォール夫妻もユベール殿も了承してくれたから、何も気にしなくて良い」


「えっ? いつの間に!」

「この前セイラの家に行った時」

「聞いていませんよ!」

「そうなのか? 私の中では両家公認だと思っていたよ」


 動きを止めてしまった。両家公認??


「せっかく思いが通じたのだから将来を見据えた交際を望んでいるんだけど? セイラは違うのか」



「うっ……違わないのかもしれません」



「だよね」





















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