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取り返しのつかない事
しおりを挟む「レオ~」
呼ばれた先を見るとルシアだった。この女はアイリと共によく俺に付き纏っていた。
アイリが学園を辞めた後もよく声をかけられたが、全て断っていた。
「なんだ?」
「遊びにいこっ、勉強ばかりじゃストレス溜まっちゃうよ。面白くないでしょ? せっかく王都にいるのに」
王都にいるのに! この甘い言葉に誘惑されてたんだよなぁ……。
「いや、やめておく。課題を出さないといけない」
「課題が終わったら遊んでくれる?」
「悪いな」
「ちょっと! レオってばぁ!!」
久しぶりにルシアに腕を組まれたけれど、あんなに香水臭かったか? それに化粧の匂いも鼻に付いた……
俺今まで何してたんだろう
******
「レオ~!」
「なんか用か?」
またルシアか……
「アイリに会いたくない?」
「アイリに?」
アイリのことは心配をしていた。あれからどうしているのか? 子供は誰の子なのか
「うん。会いにいかない?友達として」
「そうだな……行くか?」
「そうこなくっちゃ」
学園が終わりルシアと歩いていた。腕は組まないようにと注意すると、不満を言ってきたが、渋々分かった。と言われた
「あっ、噂の二人だ」
ルシアの言う方向を見ると、ウィルベルト・オリバスとセイラがいた。
セイラを見るとなんとも言えない感情が湧いてくる。ダメだ、ダメだ……
「オリバス様がセイラちゃんにぞっこんらしいわね、やるわねあの子。将来の伯爵夫人よ」
「……そうか」
あの二人を見たくなくて早々にこの場を離れた
「今更惜しくなったの?」
「なんのことだ?」
「セイラちゃんよ。いつもレオはセイラちゃんの事見てたでしょう?」
「そうだったか?」
「アイリも言っていたわ。レオに婚約者がいるみたいって聞いて、年下の幼馴染と婚約をしているんじゃないかって。
セイラちゃんはモテるから、どこの出身かすぐ分かっちゃった。レオの隣の領地だったわね。でもレオもセイラちゃんもそんな素振りないから」
「そんなこともあったか……もう俺は継ぐ領地もない」
アイリもルシアもセイラが俺の婚約者だと知っていたのか。
「可哀想よね、学園で婚約者と一緒に過ごせると思っていたのに、婚約者からは蔑ろにされていたなんて」
何も言えなかった。
「私たちもレオに婚約者がいるって知らなかったから、あの子に酷いことをしてしまったわ」
しばらく無言で、連れて行かれた場所は王都の街から少し外れたバーだった。
「ここにアイリが?」
バーの奥の扉には黒服の男が立っていた。
「待ち合わせなんだけど、来てる?」
黒服の男が扉を開け
「どうぞ」と声をかけた
扉を開けた先には広めの空間が……
「おい! ここはカジノじゃないか! ここにアイリがいるのか?」
「そうよ。待ってるはず」
「悪い、帰る」
「帰さないわよ、まだアイリにあってないもの」
腕を引っ張られてカジノへと足を踏み入れた。
「おい! やめてくれ」
「なんだなんだ! にいちゃんたち痴話喧嘩なら他所でやんな! 邪魔だよ邪魔」
目が完全にイッてるおっさんにドンッと押されて中に入ってしまった
「「いらっしゃいませ」」
黒服の数人の男たち。明らかに前に通った合法の場所ではない
ルシアはルーレットの方へ歩き出し
「レオも適当にしてて」
「はぁ? 勘弁してくれよ」
またなんでこんな所で待ち合わせなんてするんだよ…ルシアには悪いが帰ることにするか……
「おっ。にいさん、久しぶりだな」
以前カジノに来ていた際に、ポーカーをプレイしていた顔見知りの男に声をかけられた
「あぁ、そうだな」
「一緒にプレイしようぜ」
「いや、悪いがそんなつもりはない」
「持ち金が寂しいのか? それでも兄さんならすぐ取り返せるだろう? あの時負けたまんまだったからな」
「おいっ!」
無理やり席に座らされたが、立ち上がろうとする……これ以上ここにいたら危険だ
「……悪い、今日はそんなつもりはないんだ、」
「一回だけだよ、一回でやめておけばいいんだ」
にやっと笑う男
「いや、申し訳ない」
立ち上がると後ろにいた男に肩を押され椅子に座らされた
「何するんだっ!」
「一回だけ付き合ってやれよ、ここはこう言う所だ。分かって入ってきたんだろう?」
カードを切る音……
一回だけ……
******
「あれ~? レオどうしたの? 負けちゃった?」
「あぁ」
「ふーん、返せないほどの額? 親に頼んだら?」
「いや……それは出来ない」
「それじゃ元婚約者の家に泣きつく?」
「バカなこと出来るかっ!」
「じゃぁ、払ってあげる。そのかわりレオのことは頂戴」
「はっ? 何を言ってる?」
チラッとルシアが黒服の男に目をやった
「いくら?」
放心状態の俺の視界に入ったのはアイリだった。
「いたのか、アイリ……」
「レオっ」
そこから記憶がない……
******
気がつくと見知らぬ部屋で寝ていた
「……ここは?」
起き上がると服を着ていなかった。朝だと言うことは窓を見ると分かった。朝日が必要以上に眩しく感じた……
「うぅーん……レオ、おはよ……」
ベッドにはルシアが……服を着ていない
なんのことか分からずにベッドの周りを確認すると、酒の瓶が何本もテーブルの上に置いてあった……
だからこんなに頭が割れるように痛いのか……ずきずきと痛む頭を押さえる
生まれたままの姿のルシアに抱きつかれキスされた
「やっぱりレオは最高。これからレオは私のものだものね」
ルシアを離して、何があったか聞く
「昨日のカジノの借金も全部払ってあげたし、レオの婚約破棄の慰謝料も男爵家に返しておくね。だからレオは私のもの。
レオは私のうちの婿養子に入れば貴族のままだよ。こういう関係になったんだもん。もちろん責任取ってくれるよね?」
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