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噂と言うのは早いものです。驚きです
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ウィルベルト様のお屋敷に遊びに行ったのが週末のことでした。週明けに学園へ行くと、クラスメイトの数人から
「ご婚約おめでとうございます」
と言われてしまいました。
「婚約……ですか?」
首を傾げてしまいました。なぜ知っている? まだ婚約していないのに……
「またまた、隠しても無駄ですわよ。ウィルベルト・オリバス様とご婚約をなさったんでしょう! おめでたいことですのに隠さなくてもよろしいのですよ。仲がよろしい事は周知の事実ですもの」
「は、はぁ……そうです、か」
また私の知らないところで話しが進んでしまったようです。
午前の授業を終えてフローラ様とランチに行こうとしたら、ウィルベルト様が教室に来られました。
「セイラ、話しがあるんだけど良い?」
なんだか分かりませんが、気分が乗りませんでした
「良くないです! 今からフローラ様とランチですので、邪魔をしないでくださいっ」
ふんっと顔を背けました。フローラ様は笑っていましたけれど、ウィルベルト様はそんな様子を見てとても焦っているようでした。
「セイラ時間をくれ。ちょっとここを離れよう、人目につきすぎる。アルヴィエラ侯爵令嬢も良い?」
学園の庭にあるベンチでお話をすることになりました。
「母上が、先日のアルヴィエラ侯爵夫人のお茶会で、私とセイラの事を話してしまったんだ。私も知らなかった、本当だよ。
登校して声をかけられたんだ。でもセイラとの婚約は私にとって嬉しい事だから、隠す事はしたくない」
「オリバス夫人はとても嬉しそうにお話をされていましたのよ。セイラ様のこともお話しされていてね、悪気はなかったのだと思います。それを言うなら、わたくしのお母様も、大袈裟に喜んでしまって噂が広がったのは我が家でのお茶会ですもの。
母に変わってお詫び致しますわ」
フローラ様が困ったように頭を下げようとしてきたので、慌てて止めました
「フローラ様おやめ下さい! 気にしていませんから。ただ、私の知らないところで、話しが進められて知らないことばかりで、周りからのおめでたいムードにどうすれば良いのか分からないだけなのです」
「ごめんね。セイラを無視するつもりはないんだよ。でも私との将来を考えて欲しいと思っているのは確かなんだ。セイラとちゃんと付き合いたいから、これからお互いに不安に思うようなことはしないでおこう」
手を優しく取られました、ウィルベルト様はズルイです。私が断れないのを知っているから。
「約束ですよ? 次は許しませんからね」
「約束するよ、セイラ」
取られていた手にキスをしてきました、心臓に悪いです。ぼっと顔から火が出そうなくらい顔が赤くなりました。
「わたくしがいる事を忘れておりませんわよね?」
フローラ様がおっしゃいました
「もちろん。ただこれ以上セイラに誤解されたくなくて」
「婚約式は、長期休暇中でしたわね?」
「フローラ様そこまでご存知でしたの? まだ正式に決まっていませんのに。伯爵様が先日おっしゃっていたのですが……」
ちらりとウィルベルト様を見ると、頭を押さえていました
「母上だね。おしゃべりだ、ごめん。今日は姉がお茶会に行っているから、また話のネタにされているかもしれない……」
「ベアトリス様が……そうですか」
「おっ。お揃いだな。ウィルベルト・オリバス、セイラ嬢婚約おめでとう」
「……先生まで、どこまで噂になっているのですか?」
「噂って? ユベールから聞いたんだけど、違うのか? 婚約するからと言って、君たちが学園でベタベタとしていたら止めるようにと言われたんだけど?」
「お兄様が……」
「セイラお互いの家族が公認だ、往生際が悪いよ」
両手で私の手を優しく包んで来ました。。
「ウィルベルト様のお隣にいるのが私で良いのか不安なだけです。それに正式に婚約をしていないのに、もしなにか問題があったら、」
「またそんな事を……セイラが良いんだ。何回も言わせないで」
繋いだ手を離したくないのに素直になれません。自信がないから
「まぁ、セイラ様ったら。オリバス様と一緒にいるから最近ではお手紙も貰わなくなったし、声をかけられる事も減りましたでしょう? オリバス様効果ですわよ。虫除けだと思えば良いのですよ」
ころころと美しく笑うフローラ様。虫除けって……
「そうだな。ウィルベルト・オリバスの名前だけで尻込みするだろ? これで健全な学園生活が送れるぞ。良かったな! ユベールが心配していたから私も気にしていたが、肩の荷が降りるようだ! 悪い話じゃない」
はっはっはっ……めでたいめでたい。と言いじゃあな。と先生は去って行きました
「アルヴィエラ侯爵令嬢も婚約式は出席してくれる? 招待状を出さなくてはならないからね」
ご機嫌なウィルベルト様が言います。令嬢からお手紙を貰わなくなったのはウィルベルト様も同様でしたから、逃げる事がなくなりました。
「もちろん参列いたしますわ。セイラ様の親友ですもの」
長期休暇には領地に帰るつもりでしたが、婚約式を行うことになりそうです。
オリバス家の領地内の伝統ある教会で行い、親族や仲の良い方達を招くとの事でした。衣装や段取りを覚えるために、しばらくはウィルベルト様のお屋敷に通うのだそうです。ダンスの披露もあるようで、特訓が始まります。
「ご婚約おめでとうございます」
と言われてしまいました。
「婚約……ですか?」
首を傾げてしまいました。なぜ知っている? まだ婚約していないのに……
「またまた、隠しても無駄ですわよ。ウィルベルト・オリバス様とご婚約をなさったんでしょう! おめでたいことですのに隠さなくてもよろしいのですよ。仲がよろしい事は周知の事実ですもの」
「は、はぁ……そうです、か」
また私の知らないところで話しが進んでしまったようです。
午前の授業を終えてフローラ様とランチに行こうとしたら、ウィルベルト様が教室に来られました。
「セイラ、話しがあるんだけど良い?」
なんだか分かりませんが、気分が乗りませんでした
「良くないです! 今からフローラ様とランチですので、邪魔をしないでくださいっ」
ふんっと顔を背けました。フローラ様は笑っていましたけれど、ウィルベルト様はそんな様子を見てとても焦っているようでした。
「セイラ時間をくれ。ちょっとここを離れよう、人目につきすぎる。アルヴィエラ侯爵令嬢も良い?」
学園の庭にあるベンチでお話をすることになりました。
「母上が、先日のアルヴィエラ侯爵夫人のお茶会で、私とセイラの事を話してしまったんだ。私も知らなかった、本当だよ。
登校して声をかけられたんだ。でもセイラとの婚約は私にとって嬉しい事だから、隠す事はしたくない」
「オリバス夫人はとても嬉しそうにお話をされていましたのよ。セイラ様のこともお話しされていてね、悪気はなかったのだと思います。それを言うなら、わたくしのお母様も、大袈裟に喜んでしまって噂が広がったのは我が家でのお茶会ですもの。
母に変わってお詫び致しますわ」
フローラ様が困ったように頭を下げようとしてきたので、慌てて止めました
「フローラ様おやめ下さい! 気にしていませんから。ただ、私の知らないところで、話しが進められて知らないことばかりで、周りからのおめでたいムードにどうすれば良いのか分からないだけなのです」
「ごめんね。セイラを無視するつもりはないんだよ。でも私との将来を考えて欲しいと思っているのは確かなんだ。セイラとちゃんと付き合いたいから、これからお互いに不安に思うようなことはしないでおこう」
手を優しく取られました、ウィルベルト様はズルイです。私が断れないのを知っているから。
「約束ですよ? 次は許しませんからね」
「約束するよ、セイラ」
取られていた手にキスをしてきました、心臓に悪いです。ぼっと顔から火が出そうなくらい顔が赤くなりました。
「わたくしがいる事を忘れておりませんわよね?」
フローラ様がおっしゃいました
「もちろん。ただこれ以上セイラに誤解されたくなくて」
「婚約式は、長期休暇中でしたわね?」
「フローラ様そこまでご存知でしたの? まだ正式に決まっていませんのに。伯爵様が先日おっしゃっていたのですが……」
ちらりとウィルベルト様を見ると、頭を押さえていました
「母上だね。おしゃべりだ、ごめん。今日は姉がお茶会に行っているから、また話のネタにされているかもしれない……」
「ベアトリス様が……そうですか」
「おっ。お揃いだな。ウィルベルト・オリバス、セイラ嬢婚約おめでとう」
「……先生まで、どこまで噂になっているのですか?」
「噂って? ユベールから聞いたんだけど、違うのか? 婚約するからと言って、君たちが学園でベタベタとしていたら止めるようにと言われたんだけど?」
「お兄様が……」
「セイラお互いの家族が公認だ、往生際が悪いよ」
両手で私の手を優しく包んで来ました。。
「ウィルベルト様のお隣にいるのが私で良いのか不安なだけです。それに正式に婚約をしていないのに、もしなにか問題があったら、」
「またそんな事を……セイラが良いんだ。何回も言わせないで」
繋いだ手を離したくないのに素直になれません。自信がないから
「まぁ、セイラ様ったら。オリバス様と一緒にいるから最近ではお手紙も貰わなくなったし、声をかけられる事も減りましたでしょう? オリバス様効果ですわよ。虫除けだと思えば良いのですよ」
ころころと美しく笑うフローラ様。虫除けって……
「そうだな。ウィルベルト・オリバスの名前だけで尻込みするだろ? これで健全な学園生活が送れるぞ。良かったな! ユベールが心配していたから私も気にしていたが、肩の荷が降りるようだ! 悪い話じゃない」
はっはっはっ……めでたいめでたい。と言いじゃあな。と先生は去って行きました
「アルヴィエラ侯爵令嬢も婚約式は出席してくれる? 招待状を出さなくてはならないからね」
ご機嫌なウィルベルト様が言います。令嬢からお手紙を貰わなくなったのはウィルベルト様も同様でしたから、逃げる事がなくなりました。
「もちろん参列いたしますわ。セイラ様の親友ですもの」
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オリバス家の領地内の伝統ある教会で行い、親族や仲の良い方達を招くとの事でした。衣装や段取りを覚えるために、しばらくはウィルベルト様のお屋敷に通うのだそうです。ダンスの披露もあるようで、特訓が始まります。
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