【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの

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大人しくすることにした(クララ)

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 ジェラールが外出できることになったので、こっそりと食べ物を買ってきてもらう事に成功した。ジェラールはこの頃に不満口にするようになった。


 いつになったらまともな食事にありつけるのか、それにそろそろ懐が寂しくなってきたと言った。


 ジェラールも仕事をしているのに自由になるお金がないなんてそんなのおかしいわね。と伝えた。そうしたら、そうだな。と口ごもったような気がしたわ。


   とりあえずアナベル様の言う通り静かに過ごす事にした。看護師も一日二回は相変わらずくるし、三日に一度は医者も来る。


 苦い薬は飲むふりをして隠しておいた……。


 もっと栄養のあるものを食べないと身体に悪いのではないか。と医者に聞いたの。


「消化が悪いから体調不良なのではないかと思う」

 と言われたわ。やっぱりヤブ医者ね!

 力が出ないのよ! と言うと

「その割に肌艶も良く、ふっくらとされてきましたな」

 って言うのよ! セクハラヤブ医者!


 それならせめて散歩に行きたいわ。足の力が弱まってきそうだもの。

 それに……なんだか体が重いのよ。


「不思議な現象ですな。わしが渡したレシピでデトックスする事はあれど、体が重くなるとは……やはり謎の病気なのかもしれませんな」

 な! あのレシピの開発者! だからヤブなのね!!

 なによ! その顔は! 謎の病気って!

 澄んだ空気を吸いたいのよ。散歩に行かせて欲しいと言ったわ!


 そしたら看護師も連れてなら許可すると言われたの。庭の散歩が許された。

「確かに……重量を減らした方が健康に近づきますな」


 って、一言多いんだってば!


 見張りはいるけれど、散歩できるだけマシよね。


 今日もジェラールは出掛けていて居ないし、看護師が庭に出る許可を取ってくれた。


 本日はとても大事なお客様が来られますのでお部屋からは出ないように。と言われたけれど、何度もお願いすると北の庭だけなら許可します。だって!



 侯爵家の庭だもの。立派なはず!



 屋敷の中に使用人が少ないわね。大事なお客様とやらの準備かしら?


 看護師を二人連れて北の庭に来た。こじんまりしていて可愛らしい花が咲き誇っている。豪華ではないけれど落ち着く感じがした。もっとバーン! と薔薇でも咲いていれば良かったのだけど、仕方がないわね。



 それにしても広い庭ねぇ……。東屋を見つけて座った。はぁ。久しぶりにこんなに歩いたわ。体力だけは自信があったのに。

 絶対に足りていない。食事も栄養も何もかも!


 美味しいお茶を飲みたいわ。と言うと看護師が白湯を出してきた。そうじゃないわ。お茶よ、お茶! あと甘い蜂蜜をたっぷりと使ったお菓子。蜂蜜は滋養強壮にもいもの……。

 これはジェラールに買ってきてもらうわ。


 こんなに良い天気なのに自由がないなんて辛いわね。







「おや?」



 明らかに貴族! と言った感じの男性と目が合った。

 イケメンだわ……優しそうな顔にすらっとした身体。足が長い。黒髪に黒い瞳はオニキスを連想させる。


「貴方は……だぁれ?」


 イケメンは目の保養だわ。ジェラールもイケメンだけど、キラキラしたイケメンではなくて落ち着いた感じのイケメンと言った感じ。


 少し緊張した。でも私も子爵家の令嬢、貴族の娘ですもの。


「今日はアナベルに会いにきたんだ。少し早く来たから庭を散策させてもらっている」


 名前は名乗らないのね、それなら私から名乗らなきゃ。名乗ったら答えなくてはいけないのが貴族のルールだもの。


「私は、クラ、」


 名乗ろうとしたら彼の侍従っぽい人が


「そろそろお時間です。行きましょうか? 見るところによると、こちらのお嬢様は病気を患われているご様子……何かあっては困ります」


 そうよね……明らかに病衣にストールをかけているんだもの。そう見えても仕方が無いわ。


「ごめんなさい、私は体が弱くてこの屋敷で療養をさせてもらっているんですの」


 少し咳き込むようにコホコホ……


「看護師を二人も連れているなんて、アナベルの親戚か何かかな?」

 笑みを浮かべる名前も知らないイケメン


「……関係者ということは言っても差し支えはありませんわ」


「そうか、お大事に。では」



「はい、またお会いできることを祈っております。あっ、私の名前……」



 せめて名前を聞きたかったわ。名乗る前に急いで行くなんて! 

 それにアナベル様ったらあんなイケメンの知り合いがいるのね! 

 侯爵家に来るくらいだから貴族に間違いない……。かと言って私はメイドとして働いていたから貴族には詳しくない。


 ジェラールがアナベル様と結婚してこの屋敷の主人になったら、私ももっと良い生活ができるはずだけど、玉の輿……狙っても良いんじゃ無い? 


 この屋敷にいたらきっともっと出会えるはずだもの! 私って可愛いし、体の弱い子って守ってあげたくなるタイプで人気があると思うし……アナベル様は強そうだしね。


 なんて、考えていたらメイド長がこちらに来て


「クララさん! ここは西の庭ですよ! 貴方が散策して良いのは北の庭です」


 え? ここは西なの? もう広すぎて分からないわよ!


 その後一日中部屋から出ることは叶わなかった。

 お客様の前で咳をしたのを看護師に見られてしまったから身体に触りが……って言われたの! 眠く無いのに!


 何の薬よ! にっが!!












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