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俺には無理だ
しおりを挟むよし! 俺はアナベルの応援団だ。
アナベルが仕事をする時は邪魔をせず、応援していよう。そして疲れたら優しい言葉を掛けて、茶を淹れよう。
今読んでいる書類は難しい言葉が羅列されていて、いちいち辞書で調べなければならない。
まだ計算をしている方が全然マシだ……。
しかしこの書類の三枚目はよく分からない数値に単位……お手あげだった。
これをアナベルはやっていると言うのか? それなら可愛げのない女だと思った。
女だてらに侯爵家を継ぐくらいだもんな。俺は侯爵家の当主? として、どんっと構えておくくらいで後は奥さんにお任せだな。
パーティーに出たり顔を繋いでおく必要しか無さそうだ。
どうせ俺は侯爵家の種馬でしか無いんだろう。
それから二日後アナベルに執務室へ呼び出された。
「書類に目お通してくださいましたか?」
「あぁ。勿論だよ」
書類を渡すとアナベルの顔色が変わった
「出来ていないではありませんか……」
「目は通したよ。その上でこの仕事は私がする事べきでは無いと判断した」
「仕事放棄という事ですか?」
「いや、考えたんだ。私の仕事とは何か? その答えが出た」
アナベルの近くへと寄った。
「な、なんですの……」
「私の仕事は将来のクレマン侯爵家の後継を作る事だという事だ!」
「何を……きゃあ」
大事な話し合いがあると言って侍女を隣の部屋に待機させた。この辺でスキンシップをとっておくのも悪くない。
男の俺が上だと言うことをわからせておく必要がある。
アナベルの腰に手を遣り俺の胸へと抱き寄せた。腰は細く、髪の毛は柔らかく、とにかく良い匂いがした。
アナベルは美人だし侯爵家の娘で後継。
どうせ結婚は決まっているのだから少し事が早くなっても問題はないだろう。
学園を卒業できなくとも、優秀なんだし、令嬢は途中で結婚が決まり辞めるものも多い。
私はアナベルよりも二学年上で学園のことはよく知っている!
「さぁ、アナベル」
「いやぁー!!」
キスをしようとしたら、悲鳴をあげられてしまった。早く口を塞がないと! 何事ですか! と隣の部屋に控えさせていた侍女が飛び出してきた。
「お嬢様! あ! 何をして! お嬢様から離れて下さい」
「おいおい……私はアナベルの婚約者だぞ? スキンシップをして何が悪いんだ」
空気の読めない侍女だ……。アナベルも嫌がるふりをしているだけだろう。
「私がいないと将来の侯爵家の後継が出来なくなるだろう……。もう年頃の優秀な男で婿に来ても良いなんてやつなんて居ないだろう?」
「離してっ!」
侍女が来たところで驚き力が弱まったところ、アナベルが離れた。ちっ。油断した!
「もう……! この家から出て行って!」
アナベルが扉を指差して俺に出ていけと言う。
「は? 出て行かないさ。婚約者なんだからここに住むようにと言ったのは、侯爵だろ? 侯爵がいないのにそんな勝手な真似出来るかっての」
半ば呆れたように言った。ここに呼んだのは侯爵だからな。
流石に娘であっても勝手な真似はできないだろう。
「もう我慢できません。クララさんもジェラール様も出て行かないのなら、私が出て行きます!」
「はぁ? お前が出ていくのか? ……好きにしろ。俺も好きにさせてもらう! 出ていけば良い! そして頭を冷やしてから謝りにきたら許してやるよ」
小娘に何が出来るか分からないが、アナベルが屋敷から出ていくと言うことは、アナベルが帰ってくるまでは俺がここの主人になるんだ。悪く無いな。
その後アナベルは出て行った。
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