【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの

文字の大きさ
13 / 17

俺には無理だ

しおりを挟む

 よし! 俺はアナベルの応援団だ。


 アナベルが仕事をする時は邪魔をせず、応援していよう。そして疲れたら優しい言葉を掛けて、茶を淹れよう。


 今読んでいる書類は難しい言葉が羅列されていて、いちいち辞書で調べなければならない。
 まだ計算をしている方が全然マシだ……。


 しかしこの書類の三枚目はよく分からない数値に単位……お手あげだった。


 これをアナベルはやっていると言うのか? それなら可愛げのない女だと思った。

 女だてらに侯爵家を継ぐくらいだもんな。俺は侯爵家の当主? として、どんっと構えておくくらいで後は奥さんにお任せだな。

 パーティーに出たり顔を繋いでおく必要しか無さそうだ。
 どうせ俺は侯爵家の種馬でしか無いんだろう。




 それから二日後アナベルに執務室へ呼び出された。


「書類に目お通してくださいましたか?」


「あぁ。勿論だよ」


 書類を渡すとアナベルの顔色が変わった


「出来ていないではありませんか……」


「目は通したよ。その上でこの仕事は私がする事べきでは無いと判断した」


「仕事放棄という事ですか?」


「いや、考えたんだ。私の仕事とは何か? その答えが出た」


 アナベルの近くへと寄った。


「な、なんですの……」


「私の仕事は将来のクレマン侯爵家の後継を作る事だという事だ!」


「何を……きゃあ」



 大事な話し合いがあると言って侍女を隣の部屋に待機させた。この辺でスキンシップをとっておくのも悪くない。
 男の俺が上だと言うことをわからせておく必要がある。


 アナベルの腰に手を遣り俺の胸へと抱き寄せた。腰は細く、髪の毛は柔らかく、とにかく良い匂いがした。


 アナベルは美人だし侯爵家の娘で後継。


 どうせ結婚は決まっているのだから少し事が早くなっても問題はないだろう。
 学園を卒業できなくとも、優秀なんだし、令嬢は途中で結婚が決まり辞めるものも多い。


 私はアナベルよりも二学年上で学園のことはよく知っている!


「さぁ、アナベル」


「いやぁー!!」


 キスをしようとしたら、悲鳴をあげられてしまった。早く口を塞がないと! 何事ですか! と隣の部屋に控えさせていた侍女が飛び出してきた。




「お嬢様! あ! 何をして! お嬢様から離れて下さい」




「おいおい……私はアナベルの婚約者だぞ? スキンシップをして何が悪いんだ」


 空気の読めない侍女だ……。アナベルも嫌がるふりをしているだけだろう。


「私がいないと将来の侯爵家の後継が出来なくなるだろう……。もう年頃の優秀な男で婿に来ても良いなんてやつなんて居ないだろう?」


「離してっ!」


 侍女が来たところで驚き力が弱まったところ、アナベルが離れた。ちっ。油断した!
  



「もう……! この家から出て行って!」




 アナベルが扉を指差して俺に出ていけと言う。


「は? 出て行かないさ。婚約者なんだからここに住むようにと言ったのは、侯爵だろ? 侯爵がいないのにそんな勝手な真似出来るかっての」


 半ば呆れたように言った。ここに呼んだのは侯爵だからな。


 流石に娘であっても勝手な真似はできないだろう。


「もう我慢できません。クララさんもジェラール様も出て行かないのなら、私が出て行きます!」


「はぁ? お前が出ていくのか? ……好きにしろ。俺も好きにさせてもらう! 出ていけば良い! そして頭を冷やしてから謝りにきたら許してやるよ」


 小娘に何が出来るか分からないが、アナベルが屋敷から出ていくと言うことは、アナベルが帰ってくるまでは俺がここの主人になるんだ。悪く無いな。



 その後アナベルは出て行った。




 


しおりを挟む
感想 89

あなたにおすすめの小説

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓
恋愛
 子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。  激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。  婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。  婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。  翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。

婚約者から「君のことを好きになれなかった」と婚約解消されました。えっ、あなたから告白してきたのに? 

四折 柊
恋愛
 結婚式を三か月後に控えたある日、婚約者である侯爵子息スコットに「セシル……君のことを好きになれなかった」と言われた。私は驚きそして耳を疑った。(だってあなたが私に告白をして婚約を申し込んだのですよ?)  スコットに理由を問えば告白は人違いだったらしい。ショックを受けながらも新しい婚約者を探そうと気持ちを切り替えたセシルに、美貌の公爵子息から縁談の申し込みが来た。引く手数多な人がなぜ私にと思いながら会ってみると、どうやら彼はシスコンのようだ。でも嫌な感じはしない。セシルは彼と婚約することにした――。全40話。

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません

ゆうき
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。 そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。 婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。 どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。 実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。 それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。 これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。 ☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

婚約破棄?ああ、どうぞお構いなく。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢アミュレットは、その完璧な美貌とは裏腹に、何事にも感情を揺らさず「はぁ、左様ですか」で済ませてしまう『塩対応』の令嬢。 ある夜会で、婚約者であるエリアス王子から一方的に婚約破棄を突きつけられるも、彼女は全く動じず、むしろ「面倒な義務からの解放」と清々していた。

婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ! 王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。 だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。 「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」 突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。 「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」 伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。 不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。 そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き―― 「君のような女性こそ、王国に必要だ。」 そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!? 婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!? 元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!

処理中です...