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3-14. テロリストの凶行
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班長に連れられ、二人は馬車へと歩く。
「主さまにはしっぽ攻撃、見切られてましたねぇ」
ルコアが口をとがらせて言う。
「いやいや、見せてもらってたからね。初見だとあれは厳しいよ」
「さすがです~」
ちょっと悔しいルコア。
「しっぽだけ出せるんだね」
「うふふ、どこから出るか見ます?」
ルコアはワンピースのすそを少し持ち上げて、いたずらっ子の顔をする。
「な、何言ってるんだ! 見ないよ!」
ヴィクトルは真っ赤になった。
「うふふ、見たくなったら言ってくださいね」
ルコアはうれしそうに笑う。
ヴィクトルは何も言えず、ただ首を振るばかりだった。
◇
二人は隊列の最後尾、幌馬車の硬い木製の座席に乗せられて、一行は出発した。
幌馬車はがたがたと揺れ、乗り心地は極めて悪い。
「主さま、これ、酷くないですか?」
ルコアは不満顔だ。警備計画を作った奴がギルドを軽視している表れでもあり、文句を言いたくなるのは仕方ないだろう。ただ、ヴィクトルとしては最後尾は不意打ちを食らいにくい位置であって都合が良かった。
「飛行魔法をね、軽くかけてごらん」
ヴィクトルはニコッと笑って言う。
軽く浮いて、後は手すりを持っていれば振動は気にならないのだ。
「さすが主さま!」
ルコアはうれしそうにふわりと浮いた。
「襲ってくるとしたらテノ山だ。しばらくはゆっくりしてていいよ」
ヴィクトルは大きくあくびをする。
◇
騎馬四頭を先頭に警備の馬車、国王の馬車、警備の馬車、ヴィクトルの乗った幌馬車という車列が、パッカパッカという音を立てながら川沿いを淡々と進んでいく。
澄みとおる清々しい青空が広がり、白い雲が流れるさまを眺めながらルコアがぼやいた。
「こんないい天気の日は、のんびりと山の上で日向ぼっこが一番なのに……」
「ゴメンな。もうすぐテノ山だ。そろそろ準備して」
ヴィクトルは警備につき合わせたことを申し訳なさそうに言った。
「大丈夫です。悪い奴捕まえましょう!」
ルコアはニッコリと笑い、ヴィクトルはうなずく。
その直後、ヴィクトルの索敵魔法に反応があった。
「いよいよ来なすった! ルコア、行くぞ!」
ヴィクトルはそう言って立ち上がる。
「え? どこ行くんです?」
同乗していた班長が慌てる。
「敵襲です。戦闘態勢に入ってください」
そう言い残すと、ヴィクトルは馬車から飛び出し、ルコアが続いた。
ズン!
激しい地鳴りが響き、見上げると車列の前方上空に紫色の巨大魔法陣が展開されている。重力魔法だった。
ヒヒーン! ヒヒーン!
転倒した馬の悲痛な声が辺りに響く。
騎馬の騎士と警備の馬車が重力魔法に囚われて動けなくなる。騎士は転がって這いつくばったまま重力に押しつぶされていた。
と、そこに真紅の魔法陣がさらに重ね書きされ、炎の嵐が一帯を覆った。
「ぐわぁぁ!」「助けてくれぇ!」
騎士たちは炎に巻かれてしまう。
後続の警備の馬車から騎士と魔導士が出てきて対抗しようとしたが、山のあちこちから弓矢が一斉に放たれ、彼らを次々と襲った。
「うわぁぁ!」「シールドを早く!」「何やってんだ! こっちだ!」
混乱が広がり、一方的にやられていく。敵はかなり練度の高いテロリスト集団のようだ。
「ルコアは弓兵をお願い。僕は魔導士を叩く!」
ヴィクトルはそう言って、索敵の魔法を巧みに使って魔導士を探す。
しかし、敵は相当な手練れだった。高度な隠ぺいでバレないように隠れている。こんな事ができる魔導士は賢者の塔でも数えるほどしかいない。ヴィクトルは気が重くなった。
「隠れても無駄だぞ!」
ヴィクトルはそう言うと、緑色の魔法陣をババババッと無数展開し、
「風刃!」
と、叫び、風魔法を山の中腹一帯に手当たり次第に乱射した。風魔法を受けた木々は次々と枝を落とし、丸裸になり、果たして、一人の黒装束の男がシールドで身を守っているのが露わになった。
男はキッとヴィクトルを見上げると、
「氷弾!」
と、叫び、無数の氷の刃をヴィクトルに向けて放つ。
ヴィクトルはすかさず、
「炎壁!」
と、叫んで巨大な豪炎の壁を作り出し、男へ向かって放った。
炎の壁はまばゆいばかりのその灼熱で氷の刃を溶かしながら男に襲いかかり、男は這う這うの体で逃げ出す。
「逃がさないよ!」
ヴィクトルはホーリーバインドを唱え、光の鎖を放った。
男はシールドを展開して回避しようとしたが、ヴィクトルはそれを予測してたかのようにシールドを妨害する魔法で無効化し、光の鎖で男をグルグル巻きに縛り上げて転がす。
車列を襲っていた魔法陣が消えたところを見ると、はやりこの男が襲っていた魔導士だったようだ。
ヴィクトルは男の脇に降り立つ。
「お前はどこの者だ!? そんな魔法さばきができる者など王都にはいないはずだ!」
男は喚いた。
ヴィクトルは、大きく息をつくと、
「ただのギルドの新人だよ」
そう言いながら男の顔を覆っていた黒い布をはぎ取った……。
「主さまにはしっぽ攻撃、見切られてましたねぇ」
ルコアが口をとがらせて言う。
「いやいや、見せてもらってたからね。初見だとあれは厳しいよ」
「さすがです~」
ちょっと悔しいルコア。
「しっぽだけ出せるんだね」
「うふふ、どこから出るか見ます?」
ルコアはワンピースのすそを少し持ち上げて、いたずらっ子の顔をする。
「な、何言ってるんだ! 見ないよ!」
ヴィクトルは真っ赤になった。
「うふふ、見たくなったら言ってくださいね」
ルコアはうれしそうに笑う。
ヴィクトルは何も言えず、ただ首を振るばかりだった。
◇
二人は隊列の最後尾、幌馬車の硬い木製の座席に乗せられて、一行は出発した。
幌馬車はがたがたと揺れ、乗り心地は極めて悪い。
「主さま、これ、酷くないですか?」
ルコアは不満顔だ。警備計画を作った奴がギルドを軽視している表れでもあり、文句を言いたくなるのは仕方ないだろう。ただ、ヴィクトルとしては最後尾は不意打ちを食らいにくい位置であって都合が良かった。
「飛行魔法をね、軽くかけてごらん」
ヴィクトルはニコッと笑って言う。
軽く浮いて、後は手すりを持っていれば振動は気にならないのだ。
「さすが主さま!」
ルコアはうれしそうにふわりと浮いた。
「襲ってくるとしたらテノ山だ。しばらくはゆっくりしてていいよ」
ヴィクトルは大きくあくびをする。
◇
騎馬四頭を先頭に警備の馬車、国王の馬車、警備の馬車、ヴィクトルの乗った幌馬車という車列が、パッカパッカという音を立てながら川沿いを淡々と進んでいく。
澄みとおる清々しい青空が広がり、白い雲が流れるさまを眺めながらルコアがぼやいた。
「こんないい天気の日は、のんびりと山の上で日向ぼっこが一番なのに……」
「ゴメンな。もうすぐテノ山だ。そろそろ準備して」
ヴィクトルは警備につき合わせたことを申し訳なさそうに言った。
「大丈夫です。悪い奴捕まえましょう!」
ルコアはニッコリと笑い、ヴィクトルはうなずく。
その直後、ヴィクトルの索敵魔法に反応があった。
「いよいよ来なすった! ルコア、行くぞ!」
ヴィクトルはそう言って立ち上がる。
「え? どこ行くんです?」
同乗していた班長が慌てる。
「敵襲です。戦闘態勢に入ってください」
そう言い残すと、ヴィクトルは馬車から飛び出し、ルコアが続いた。
ズン!
激しい地鳴りが響き、見上げると車列の前方上空に紫色の巨大魔法陣が展開されている。重力魔法だった。
ヒヒーン! ヒヒーン!
転倒した馬の悲痛な声が辺りに響く。
騎馬の騎士と警備の馬車が重力魔法に囚われて動けなくなる。騎士は転がって這いつくばったまま重力に押しつぶされていた。
と、そこに真紅の魔法陣がさらに重ね書きされ、炎の嵐が一帯を覆った。
「ぐわぁぁ!」「助けてくれぇ!」
騎士たちは炎に巻かれてしまう。
後続の警備の馬車から騎士と魔導士が出てきて対抗しようとしたが、山のあちこちから弓矢が一斉に放たれ、彼らを次々と襲った。
「うわぁぁ!」「シールドを早く!」「何やってんだ! こっちだ!」
混乱が広がり、一方的にやられていく。敵はかなり練度の高いテロリスト集団のようだ。
「ルコアは弓兵をお願い。僕は魔導士を叩く!」
ヴィクトルはそう言って、索敵の魔法を巧みに使って魔導士を探す。
しかし、敵は相当な手練れだった。高度な隠ぺいでバレないように隠れている。こんな事ができる魔導士は賢者の塔でも数えるほどしかいない。ヴィクトルは気が重くなった。
「隠れても無駄だぞ!」
ヴィクトルはそう言うと、緑色の魔法陣をババババッと無数展開し、
「風刃!」
と、叫び、風魔法を山の中腹一帯に手当たり次第に乱射した。風魔法を受けた木々は次々と枝を落とし、丸裸になり、果たして、一人の黒装束の男がシールドで身を守っているのが露わになった。
男はキッとヴィクトルを見上げると、
「氷弾!」
と、叫び、無数の氷の刃をヴィクトルに向けて放つ。
ヴィクトルはすかさず、
「炎壁!」
と、叫んで巨大な豪炎の壁を作り出し、男へ向かって放った。
炎の壁はまばゆいばかりのその灼熱で氷の刃を溶かしながら男に襲いかかり、男は這う這うの体で逃げ出す。
「逃がさないよ!」
ヴィクトルはホーリーバインドを唱え、光の鎖を放った。
男はシールドを展開して回避しようとしたが、ヴィクトルはそれを予測してたかのようにシールドを妨害する魔法で無効化し、光の鎖で男をグルグル巻きに縛り上げて転がす。
車列を襲っていた魔法陣が消えたところを見ると、はやりこの男が襲っていた魔導士だったようだ。
ヴィクトルは男の脇に降り立つ。
「お前はどこの者だ!? そんな魔法さばきができる者など王都にはいないはずだ!」
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