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4-4. 火口の神殿
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「領主様――――!」
遠くで宰相がルイーズを呼んでいる。魔物の脅威は去ったが、麦畑は全滅、混乱からの出発となったルイーズにはやる事が山積みだった。
「落ち着いた頃にまた来るよ」
ヴィクトルはそう言ってルイーズに右手を出した。
「ありがとう。その時には祝勝会でもやろう!」
ルイーズはガッシリと握手をする。
「急用があったら王都のギルドの『子供』に言付けをたのんで」
「子供で通じるの?」
「ふふっ、ちょっと活躍しちゃったからね」
ヴィクトルは自嘲気味に言った。
「目に浮かぶようだよ」
ルイーズはうれしそうに笑う。
そして、
「ではまた!」
と、名残惜しげに駆けていった。
「祝勝会か、ええのう」
レヴィアがポツリとつぶやく。
「三人でやりますか?」
ヴィクトルはニコッと笑って言った。
「やっちゃう?」
ニヤッと笑うレヴィア。
「やりましょう!」
ルコアがノリノリで手をあげる。
「じゃあ、我の神殿でエールでも飲むとするかのう!」
レヴィアはうれしそうに空間を裂き、神殿へとつなげた。
◇
神殿は総大理石造りの荘厳なものだった。広間の周りには幻獣をかたどった今にも動き出しそうな石像群が宙に並び、揺れる魔法の炎の間接照明で幻想的に演出されている。
ヴィクトルは不死鳥の石像に近づき、その不思議な石像を観察しながら触ってみた。すると目が動いてにらまれる。
「えっ!?」
驚いていると、
「そいつは強いからあまり刺激せん方がいいぞ」
そう言ってレヴィアはニヤッと笑った。
「生きているんですか!?」
「仮死状態でスタンバっておるんじゃ。何かあったら動き出すぞ。ちなみに、ルコアも千年前はここに並んでおったんじゃ」
「うふふ、懐かしいです」
ルコアは目を細め、微笑んだ。
「えっ? ではこの不死鳥も人になるんですか?」
「赤毛の女の娘じゃ、可愛いぞ。まぁ、まだ意識はないがな」
ヴィクトルは常識の通じない世界の話に、どう理解していいか分からず眉をひそめる。
「主様こっちよ! いいもの見せてあげる!」
ルコアがヴィクトルの手を取って神殿の出口に引っ張った。
「えっ? ちょ、ちょっと!」
ヴィクトルが連れられるがままに神殿を出るとそこは洞窟となっており、さらに向こうにまぶしい出入口が見える。
どうやら神殿はどこかの洞窟内に造られたものらしい。
出入口まで行くと、なんとそこは断崖絶壁だった。見下ろすとオレンジ色に光りながらぐつぐつと煮えたぎっており、蒸気が上がっている。熱線を浴びて顔が熱くなってきた。マグマだ……。
足元の石が崩れ、パラパラと火口へと落ちて行く。
ヴィクトルはどこかの活火山の火口にいることに気がつき、思わず背筋が凍った。
「綺麗でしょ?」
ルコアはうれしそうに言うが、噴火したら神殿ごと吹き飛んでしまうのではないだろうか?
「いや、これ……、危ないよね?」
ヴィクトルが眉をひそめながらそう言うと、
「レヴィア様は『誰も来ないから安全じゃ』って言ってましたよ?」
と、不思議そうに返事をする。
確かに火口の断崖絶壁の洞窟を目指そうとする物好きはいないだろう。しかし、そういう問題だろうか……?
ヴィクトルは火口の形に大きく丸く切り抜かれた青空を見上げ、ため息をついた。
「おーい、始めるぞー!」
奥からレヴィアの声が響く。
◇
神殿の小部屋でレヴィアがジリジリとして二人を待っていた。
テーブルの上には酒樽と料理が山のように用意されている。
「はよう座れ!」
二人はレヴィアの向かいに座り、早速乾杯をする。
「二人とも、ご苦労じゃった。勝利を祝して、カンパーイ!」
嬉しそうに酒樽を持ち上げるレヴィア。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」
ルコアは酒樽を、ヴィクトルはビン入りのサイダーをゴツゴツとぶつけ、勝利を喜んだ。
遠くで宰相がルイーズを呼んでいる。魔物の脅威は去ったが、麦畑は全滅、混乱からの出発となったルイーズにはやる事が山積みだった。
「落ち着いた頃にまた来るよ」
ヴィクトルはそう言ってルイーズに右手を出した。
「ありがとう。その時には祝勝会でもやろう!」
ルイーズはガッシリと握手をする。
「急用があったら王都のギルドの『子供』に言付けをたのんで」
「子供で通じるの?」
「ふふっ、ちょっと活躍しちゃったからね」
ヴィクトルは自嘲気味に言った。
「目に浮かぶようだよ」
ルイーズはうれしそうに笑う。
そして、
「ではまた!」
と、名残惜しげに駆けていった。
「祝勝会か、ええのう」
レヴィアがポツリとつぶやく。
「三人でやりますか?」
ヴィクトルはニコッと笑って言った。
「やっちゃう?」
ニヤッと笑うレヴィア。
「やりましょう!」
ルコアがノリノリで手をあげる。
「じゃあ、我の神殿でエールでも飲むとするかのう!」
レヴィアはうれしそうに空間を裂き、神殿へとつなげた。
◇
神殿は総大理石造りの荘厳なものだった。広間の周りには幻獣をかたどった今にも動き出しそうな石像群が宙に並び、揺れる魔法の炎の間接照明で幻想的に演出されている。
ヴィクトルは不死鳥の石像に近づき、その不思議な石像を観察しながら触ってみた。すると目が動いてにらまれる。
「えっ!?」
驚いていると、
「そいつは強いからあまり刺激せん方がいいぞ」
そう言ってレヴィアはニヤッと笑った。
「生きているんですか!?」
「仮死状態でスタンバっておるんじゃ。何かあったら動き出すぞ。ちなみに、ルコアも千年前はここに並んでおったんじゃ」
「うふふ、懐かしいです」
ルコアは目を細め、微笑んだ。
「えっ? ではこの不死鳥も人になるんですか?」
「赤毛の女の娘じゃ、可愛いぞ。まぁ、まだ意識はないがな」
ヴィクトルは常識の通じない世界の話に、どう理解していいか分からず眉をひそめる。
「主様こっちよ! いいもの見せてあげる!」
ルコアがヴィクトルの手を取って神殿の出口に引っ張った。
「えっ? ちょ、ちょっと!」
ヴィクトルが連れられるがままに神殿を出るとそこは洞窟となっており、さらに向こうにまぶしい出入口が見える。
どうやら神殿はどこかの洞窟内に造られたものらしい。
出入口まで行くと、なんとそこは断崖絶壁だった。見下ろすとオレンジ色に光りながらぐつぐつと煮えたぎっており、蒸気が上がっている。熱線を浴びて顔が熱くなってきた。マグマだ……。
足元の石が崩れ、パラパラと火口へと落ちて行く。
ヴィクトルはどこかの活火山の火口にいることに気がつき、思わず背筋が凍った。
「綺麗でしょ?」
ルコアはうれしそうに言うが、噴火したら神殿ごと吹き飛んでしまうのではないだろうか?
「いや、これ……、危ないよね?」
ヴィクトルが眉をひそめながらそう言うと、
「レヴィア様は『誰も来ないから安全じゃ』って言ってましたよ?」
と、不思議そうに返事をする。
確かに火口の断崖絶壁の洞窟を目指そうとする物好きはいないだろう。しかし、そういう問題だろうか……?
ヴィクトルは火口の形に大きく丸く切り抜かれた青空を見上げ、ため息をついた。
「おーい、始めるぞー!」
奥からレヴィアの声が響く。
◇
神殿の小部屋でレヴィアがジリジリとして二人を待っていた。
テーブルの上には酒樽と料理が山のように用意されている。
「はよう座れ!」
二人はレヴィアの向かいに座り、早速乾杯をする。
「二人とも、ご苦労じゃった。勝利を祝して、カンパーイ!」
嬉しそうに酒樽を持ち上げるレヴィア。
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