35 / 184
第一部 転生編
第35話 解錠
しおりを挟む
応接室ではブランドが姉妹と黄金の風のメンバーに先程の奴隷商とのやりとりの顛末を話し、今後の対応について相談していた。
アレン 「閣下、発言よろしいでしょうか? 話を聞く限り、既に令嬢に嵌められた隷属の首輪の効力は発動してしまっているようです。幸い、命令を一切受けていない白紙の状態で救出できたので今は自由ですが、もし所有者である奴隷商が現れ直接命令されたら、令嬢は逆らえないと思われます」
ノウズ 「それこそ、その場で死ねと言われたら自ら命を断つしかない…」
パティ 「ケイト…お嬢様の命を、人質に取られているのと同じね」
ブランド 「つまり、ケイトを絶対に奴隷商人の声が届くところに行かせてはならないと言うことだ」
トニー 「ちょっといいですか? そもそも、ラーズ子爵が認めていないなら、その契約自体が違法なのではないですか?」
ブランド 「それは微妙なところだろうな。イザベラは一応、現在のラーズ子爵家の正妻という立場だ。当主が不在であれば、その代理として家を取り仕切る権限があると認められる可能性が高いだろう。そのイザベラと取引したのだから、正当な取引であったと奴隷商人も主張するだろう。
まぁ実の娘を継母が勝手に売り払うなど許されない事。争えば勝てなくはないだろうが、法的な手続きによる解決には時間が掛かるだろう。その間にケイトが奴隷商の手に渡ったら、どんな処遇を受けるか分からん。そうなる前に、金を払って買い戻すほうが現実的だろうな。
だが……普通ならば、買取金額に色をつけて払ってやれば商人も嫌とは言わないだろう。だが、先ほどの商人は王都の商人だと言っていた。わざわざ王都からここまで来たという事は、おそらく背後にはセヴラル侯爵が居るのだろう。そうなると、買い取ると言っても素直に応じるとは思えんな…」
アラン 「何にしても、ケイトの身柄を奴隷商人に渡さないほうが良さそうですね」
トニー 「この街の領主としての権限で、奴隷契約を無効にしてしまう事はできないのですか? この街にも奴隷商人は居ますよね? 領主命令って事で首輪を解錠させてしまえば…」
ブランド 「そんな権利が仮にあったとしても、それは難しい。なにせこの街には奴隷商は居ないからな。私の領地では、奴隷商売は禁止しているのだ」
アラン 「そうだったんですか…我々は最近この街に来たので知りませんでした」
パティ 「そういえば、街の中に奴隷が少ないなぁと思ったのよね。少ないんじゃなくて居なかったのね」
ブランド 「うむ。重罪を犯した者の刑罰としての奴隷落ちまでは禁じてはいないが、そのような者は多くはないから、見かける事はほとんどないだろうな。
奴隷も必要だと言う意見もあるが、あまりに違法奴隷が多い事を憂いて、祖父の代で禁止したのだ。
とは言え、国が認めている制度なので違法扱いまではできん。領内で奴隷の売買を禁じるのがせいぜいなのだがな」
その時、応接室の扉をノックする者が居た。
クレイ 「クレイです、入ってもよろしいですか?」
ブランド 「入れ…
…何をしていた? まぁお前が部屋に籠もっているのはいつものことだが…」
クレイ 「ケイトの首輪の魔法陣の解析を行っていました」
ブランド 「ほう? それで?」
クレイ 「試してみてもよいですか?」
クレイは応接室でも船を漕いでいたケイトに近づくと首輪に触れた。クレイにはあまり多くの魔力がないが、流す魔力は微量で十分である。それにより、首輪の魔法の鍵が解錠され、首輪はあっさりと外れてしまった。
アラン 「おお!」
ノウズ 「馬鹿な! 隷属の首輪は、解錠呪文を知らなければ外せないはずだぞ?」
クレイ 「多分、本物の古代遺物の隷属の首輪だったら、こうは簡単に外せなかったような気がする。でもこれは…」
ブランド 「ふん、王都の奴隷商人とか言っていたが、使っているのは安物か。程度が知れるな」
クレイ 「解読できたのは施錠部分だけ、契約魔法の内容については一切手つかずのままなんだけどね。まぁそれについては今後じっくり時間を掛けて解析してみるよ」
ブランド 「まさか……そのうちそれも、作れるようになるのか? 奴隷ギルドに苦情を言われそうだな」
クレイ 「うーん、あまり積極的に解析しようとは思えないんだけどね。マジックバッグと違って、役に立つ事はあまりなさそうだからね…」
アレン 「閣下、発言よろしいでしょうか? 話を聞く限り、既に令嬢に嵌められた隷属の首輪の効力は発動してしまっているようです。幸い、命令を一切受けていない白紙の状態で救出できたので今は自由ですが、もし所有者である奴隷商が現れ直接命令されたら、令嬢は逆らえないと思われます」
ノウズ 「それこそ、その場で死ねと言われたら自ら命を断つしかない…」
パティ 「ケイト…お嬢様の命を、人質に取られているのと同じね」
ブランド 「つまり、ケイトを絶対に奴隷商人の声が届くところに行かせてはならないと言うことだ」
トニー 「ちょっといいですか? そもそも、ラーズ子爵が認めていないなら、その契約自体が違法なのではないですか?」
ブランド 「それは微妙なところだろうな。イザベラは一応、現在のラーズ子爵家の正妻という立場だ。当主が不在であれば、その代理として家を取り仕切る権限があると認められる可能性が高いだろう。そのイザベラと取引したのだから、正当な取引であったと奴隷商人も主張するだろう。
まぁ実の娘を継母が勝手に売り払うなど許されない事。争えば勝てなくはないだろうが、法的な手続きによる解決には時間が掛かるだろう。その間にケイトが奴隷商の手に渡ったら、どんな処遇を受けるか分からん。そうなる前に、金を払って買い戻すほうが現実的だろうな。
だが……普通ならば、買取金額に色をつけて払ってやれば商人も嫌とは言わないだろう。だが、先ほどの商人は王都の商人だと言っていた。わざわざ王都からここまで来たという事は、おそらく背後にはセヴラル侯爵が居るのだろう。そうなると、買い取ると言っても素直に応じるとは思えんな…」
アラン 「何にしても、ケイトの身柄を奴隷商人に渡さないほうが良さそうですね」
トニー 「この街の領主としての権限で、奴隷契約を無効にしてしまう事はできないのですか? この街にも奴隷商人は居ますよね? 領主命令って事で首輪を解錠させてしまえば…」
ブランド 「そんな権利が仮にあったとしても、それは難しい。なにせこの街には奴隷商は居ないからな。私の領地では、奴隷商売は禁止しているのだ」
アラン 「そうだったんですか…我々は最近この街に来たので知りませんでした」
パティ 「そういえば、街の中に奴隷が少ないなぁと思ったのよね。少ないんじゃなくて居なかったのね」
ブランド 「うむ。重罪を犯した者の刑罰としての奴隷落ちまでは禁じてはいないが、そのような者は多くはないから、見かける事はほとんどないだろうな。
奴隷も必要だと言う意見もあるが、あまりに違法奴隷が多い事を憂いて、祖父の代で禁止したのだ。
とは言え、国が認めている制度なので違法扱いまではできん。領内で奴隷の売買を禁じるのがせいぜいなのだがな」
その時、応接室の扉をノックする者が居た。
クレイ 「クレイです、入ってもよろしいですか?」
ブランド 「入れ…
…何をしていた? まぁお前が部屋に籠もっているのはいつものことだが…」
クレイ 「ケイトの首輪の魔法陣の解析を行っていました」
ブランド 「ほう? それで?」
クレイ 「試してみてもよいですか?」
クレイは応接室でも船を漕いでいたケイトに近づくと首輪に触れた。クレイにはあまり多くの魔力がないが、流す魔力は微量で十分である。それにより、首輪の魔法の鍵が解錠され、首輪はあっさりと外れてしまった。
アラン 「おお!」
ノウズ 「馬鹿な! 隷属の首輪は、解錠呪文を知らなければ外せないはずだぞ?」
クレイ 「多分、本物の古代遺物の隷属の首輪だったら、こうは簡単に外せなかったような気がする。でもこれは…」
ブランド 「ふん、王都の奴隷商人とか言っていたが、使っているのは安物か。程度が知れるな」
クレイ 「解読できたのは施錠部分だけ、契約魔法の内容については一切手つかずのままなんだけどね。まぁそれについては今後じっくり時間を掛けて解析してみるよ」
ブランド 「まさか……そのうちそれも、作れるようになるのか? 奴隷ギルドに苦情を言われそうだな」
クレイ 「うーん、あまり積極的に解析しようとは思えないんだけどね。マジックバッグと違って、役に立つ事はあまりなさそうだからね…」
2
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる