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第一部 転生編
第36話 侵入者
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セバス 「おや? これは一体…?」
屋敷の塀に仕掛けられていた警報装置が反応し、セバスの部屋の受信機が警報を鳴らす。クレイが屋敷にいた頃に研究の過程で作った試作品である。
ただ、結局、それが発動する事態はその後一度もなかった。ヴァレット子爵の領地は治安が良い事もあり、領主の屋敷に侵入しようなどという者はそうそう居るわけがないのである。
設置した時にどのような音がするのかクレイはセバスに実演して聞かせていたのだが、それでも長らく鳴る事のなかった警報機の存在は忘れられており、それが侵入者があった事を示しているのにセバスが気づくのに少し時間が掛かったのは仕方がない事だろう。
セバス 「……侵入者!?」
時刻は深夜。ヴァレット子爵邸に忍び込んで来る者達。もちろん、奴隷商の手下達である。
賊は屋敷の塀を乗り越え裏庭に侵入すると、すぐに二手に分かれた。侵入の手並みは鮮やかであったが、警報装置のために残念ながら塀を超えた時点でセバスに気づかれている。
セバスは常駐している警備隊長のアレスを呼ぶと、既に賊に侵入されている事を伝え、夜勤以外の衛士も叩き起こし臨戦態勢を取るよう命じた。
* * * *
賊の目的はケイトを発見し連れ去る事である。誰にも発見されずに秘密裏に事を成せば最高であるが、賊のリーダー、パンハヤはそれほど慎重に行動していたわけでもなかった。バレたらバレたで構わないと思っていたのである。
なぜなら、この屋敷にケイトが居るのは間違いのない事であり、ケイトがセヴラル侯爵の所有物である以上、ヴァレット子爵がケイトを匿ったということは、侯爵の所有物をヴァレット子爵が盗んだ、という事が言えるからである。
実はまだ侯爵との売買契約は成立していないのではあるが、ほぼ確定と聞いているので、そのように強弁してしまえば良いと奴隷商のコルニクが言っていたのである。
そしてパンハヤはどちらかというと、侵入がバレて荒事になる事を期待する気持ちがあった。
パンハヤは今はコルニクに高額で雇われ用心棒や汚れ仕事を引き受けているが、元貴族でその実力は相当なものなのだ。ただ、あまりに好戦的で素行が荒かったため、何度もトラブルを起こし、あげくに上級貴族の子弟を傷つけたため、追放されたという身の上であった。
貴族は皆、魔力量が多い。それ故、貴族の家を襲うのはそれなりに危険を伴う。貴族の屋敷は、使用人も下級貴族である事が多い。上級貴族ほどではないが、平民に比べれば魔力量も多い者が多いのだ。
奴隷商人に雇われた賊はほとんどが平民出身である。まともに戦っては勝てないだろう。そこで、もし屋敷の貴族に気付かれた場合は、パンハヤがその相手を引き受ける事になっていた。
もし気付かれた場合、パンハヤが目立つように行動し屋敷の者の注意を引き付け、その間に別働隊に屋敷の奥を捜索させる作戦なのだ。
とは言え、気付かれないに越した事はないのだが、パンハヤはむしろ気付かれたら良いと思っていた。戦闘狂のパンハヤは、おそらくこの屋敷で一番強い魔力を持つであろうヴァレット子爵と戦う事になったなら、そのほうが嬉しいのであった。
そのため、パンハヤは大胆な行動に出る。屋敷の正面にまわり、玄関から堂々と侵入したのである。(パンハヤと一緒に行動していた賊の仲間はとんだとばっちりなのだが、パンハヤに逆らう事もできず、生きて脱出できる事を祈るしかないのであった。)
さすがに正面玄関から賊が侵入したとなると、警備の騎士達もあっという間に集まってくる。そして当然戦闘になるが、パンハヤの実力は本物で、所詮は下級貴族に雇われている警備の騎士・衛士などでは相手にならないのであった。
セバス 「何者だ?! 一体何が目的だ!」
何人かの騎士が倒されたところへ、警備隊長アレスと執事のセバスが到着し、賊を誰何する。
パンハヤ 「何者? そりゃぁ、泥棒に決まってるだろう? 金持ちの屋敷らしいから侵入しただけだ」
セバス 「正面から堂々と侵入してきたら泥棒ではなく強盗だろうが…」
パンハヤ 「そうか、そうだな」
パンハヤが不敵に笑う。
アレスが剣でパンハヤに斬りかかる。受け止めるパンハヤ。
アレスも当然、魔力によって身体強化をしているのだが、アレスの両手剣はパンハヤの片手剣で軽々と受け流されている。それを見るだけでもパンハヤの身体強化は相当のものである事が伺える。
しかもパンハヤは切り結びながら呪文を詠唱していた。それに気づいたアレスが慌てて飛び退き防御に魔力を回す。
次の瞬間、パンハヤの手から火球が撃ち出されアレスを襲う。直径1メートルもあろうか、かなりの魔力が込められている火球であった。
なんとかその攻撃を耐えきったアレスであったが、それだけで魔力のほとんどを削られてしまった。
パンハヤ 「おや、今の耐えるか? やるな」
そもそもアレスの魔力で防げる攻撃ではなかったのだが、背後からセバスが魔力で支援したので、なんとか防ぎ切れただけである。もう後がない。
その時、屋敷の奥からパンパンと破裂音がしたのが聞こえた。
パンハヤ 「…なんの音だ?」
屋敷の塀に仕掛けられていた警報装置が反応し、セバスの部屋の受信機が警報を鳴らす。クレイが屋敷にいた頃に研究の過程で作った試作品である。
ただ、結局、それが発動する事態はその後一度もなかった。ヴァレット子爵の領地は治安が良い事もあり、領主の屋敷に侵入しようなどという者はそうそう居るわけがないのである。
設置した時にどのような音がするのかクレイはセバスに実演して聞かせていたのだが、それでも長らく鳴る事のなかった警報機の存在は忘れられており、それが侵入者があった事を示しているのにセバスが気づくのに少し時間が掛かったのは仕方がない事だろう。
セバス 「……侵入者!?」
時刻は深夜。ヴァレット子爵邸に忍び込んで来る者達。もちろん、奴隷商の手下達である。
賊は屋敷の塀を乗り越え裏庭に侵入すると、すぐに二手に分かれた。侵入の手並みは鮮やかであったが、警報装置のために残念ながら塀を超えた時点でセバスに気づかれている。
セバスは常駐している警備隊長のアレスを呼ぶと、既に賊に侵入されている事を伝え、夜勤以外の衛士も叩き起こし臨戦態勢を取るよう命じた。
* * * *
賊の目的はケイトを発見し連れ去る事である。誰にも発見されずに秘密裏に事を成せば最高であるが、賊のリーダー、パンハヤはそれほど慎重に行動していたわけでもなかった。バレたらバレたで構わないと思っていたのである。
なぜなら、この屋敷にケイトが居るのは間違いのない事であり、ケイトがセヴラル侯爵の所有物である以上、ヴァレット子爵がケイトを匿ったということは、侯爵の所有物をヴァレット子爵が盗んだ、という事が言えるからである。
実はまだ侯爵との売買契約は成立していないのではあるが、ほぼ確定と聞いているので、そのように強弁してしまえば良いと奴隷商のコルニクが言っていたのである。
そしてパンハヤはどちらかというと、侵入がバレて荒事になる事を期待する気持ちがあった。
パンハヤは今はコルニクに高額で雇われ用心棒や汚れ仕事を引き受けているが、元貴族でその実力は相当なものなのだ。ただ、あまりに好戦的で素行が荒かったため、何度もトラブルを起こし、あげくに上級貴族の子弟を傷つけたため、追放されたという身の上であった。
貴族は皆、魔力量が多い。それ故、貴族の家を襲うのはそれなりに危険を伴う。貴族の屋敷は、使用人も下級貴族である事が多い。上級貴族ほどではないが、平民に比べれば魔力量も多い者が多いのだ。
奴隷商人に雇われた賊はほとんどが平民出身である。まともに戦っては勝てないだろう。そこで、もし屋敷の貴族に気付かれた場合は、パンハヤがその相手を引き受ける事になっていた。
もし気付かれた場合、パンハヤが目立つように行動し屋敷の者の注意を引き付け、その間に別働隊に屋敷の奥を捜索させる作戦なのだ。
とは言え、気付かれないに越した事はないのだが、パンハヤはむしろ気付かれたら良いと思っていた。戦闘狂のパンハヤは、おそらくこの屋敷で一番強い魔力を持つであろうヴァレット子爵と戦う事になったなら、そのほうが嬉しいのであった。
そのため、パンハヤは大胆な行動に出る。屋敷の正面にまわり、玄関から堂々と侵入したのである。(パンハヤと一緒に行動していた賊の仲間はとんだとばっちりなのだが、パンハヤに逆らう事もできず、生きて脱出できる事を祈るしかないのであった。)
さすがに正面玄関から賊が侵入したとなると、警備の騎士達もあっという間に集まってくる。そして当然戦闘になるが、パンハヤの実力は本物で、所詮は下級貴族に雇われている警備の騎士・衛士などでは相手にならないのであった。
セバス 「何者だ?! 一体何が目的だ!」
何人かの騎士が倒されたところへ、警備隊長アレスと執事のセバスが到着し、賊を誰何する。
パンハヤ 「何者? そりゃぁ、泥棒に決まってるだろう? 金持ちの屋敷らしいから侵入しただけだ」
セバス 「正面から堂々と侵入してきたら泥棒ではなく強盗だろうが…」
パンハヤ 「そうか、そうだな」
パンハヤが不敵に笑う。
アレスが剣でパンハヤに斬りかかる。受け止めるパンハヤ。
アレスも当然、魔力によって身体強化をしているのだが、アレスの両手剣はパンハヤの片手剣で軽々と受け流されている。それを見るだけでもパンハヤの身体強化は相当のものである事が伺える。
しかもパンハヤは切り結びながら呪文を詠唱していた。それに気づいたアレスが慌てて飛び退き防御に魔力を回す。
次の瞬間、パンハヤの手から火球が撃ち出されアレスを襲う。直径1メートルもあろうか、かなりの魔力が込められている火球であった。
なんとかその攻撃を耐えきったアレスであったが、それだけで魔力のほとんどを削られてしまった。
パンハヤ 「おや、今の耐えるか? やるな」
そもそもアレスの魔力で防げる攻撃ではなかったのだが、背後からセバスが魔力で支援したので、なんとか防ぎ切れただけである。もう後がない。
その時、屋敷の奥からパンパンと破裂音がしたのが聞こえた。
パンハヤ 「…なんの音だ?」
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