18 / 97
18話
しおりを挟む
授業が終わり友人達と昼食を終えて、裏庭のベンチで話していると、一つ年上の先輩達がわたし達の前に現れた。
「ふーん、貴女がアイシャ様?」
「噂ほどではないわよね」
「あら?ご両親に似ていないどこの生まれか分からないと噂されているお方よね?」
わたしを見下ろしながら、楽しそうに微笑み、話しかけてきた。
どう答えるべきか。
無視するべきか。
この人達は王子の取り巻きだ。
まだ婚約者がいない王子の横を狙っている人達。
「アイシャ、行きましょう」
アリアがわたしの腕を掴んでさっさとその場から去ろうとした。
「う、うん」
わたしはアリアに引っ張られながらベンチから立つと囲まれた先輩達の間をすり抜けようとした。
「あら、失礼?」
先輩達の間を通ろうとしたので先輩達がニヤけながら隙間を開けてくれた。
先輩達の間を通る時の視線が怖かった。
それでもそこを通らなければ帰ることができない。
い、痛っ!!
足を引っ掛けられた。
アリアの手を慌てて払いのけて、わたしは一人で転んだ。
勢いあまり地面に両膝を叩きつけられてかなりの衝撃だった。
「あらあ、大丈夫?公爵令嬢も転ぶと惨めね」
そう言いながら誰かがわたしを助けようとして屈んできて、わたしのお腹を蹴り上げた。
ぐっ……
かなりの痛みがさらにきて声が出なかった。
アリア達は先輩の壁でわたしの姿は見えない。
さらに他の人たちも楽しそうにわたしの太ももを踏んだりお腹を蹴ってきた。
立ち上がることもできず声を出そうとしたら、髪を鷲掴みにされて、
「あんたさぁ、殿下のお気に入りだからっていい気にならないで」
「なに可愛こぶってるの、どこの子かもわからない、偽物の公爵令嬢のくせに」
そう言うとわたしの髪を離して、わたしは地面に叩きつけられて、頭を蹴られた。
あー、偽物の公爵令嬢……
以前は『金食い虫』だったかしら……
わたしはどこにいてもやはり嫌われて過ごすのね……
わたしは体の痛みと、心が壊れていく痛みでそのまま意識を手放した。
遠くからアリアとスピナがわたしを呼ぶ声が聞こえたけど、もうわたしの心には届かなかった。
何故、わたしはここに居るの?
死んで楽になったはずなのに………
何故、こんな酷い仕打ちを受けなければいけないの……
ここはどこだろう?
『貴女が食事をしたいのならわたし達と同じように働いてください。食べるために働くのは当たり前のことです』
侍女長に言われて5歳の時から床掃除を始めた。
力もないし背も足りないわたしはそれくらいしか出来なかった。
掃除をした日は食事を貰える。
いつの間にか服は使用人用のものに変わっていた。
何枚かのドレスは家族が帰ってきたりお客様が来た時だけ着せてもらえた。
そんなわたしを不憫に思ったわたし付きの使用人達は家令や侍女長達に見つからないように、こっそりと助けてくれた。
みんなの前ではわたしに辛く当たった。
たぶんわたしが他の使用人達に酷い事をされないようにわたしの味方の使用人達があえて先にわたしに意地悪な事を言ったり、態とに少ない量の食事しか与えないようにしていた。
でも彼らが先にわたしに嫌がらせをしてくれたお陰で他の使用人はそこまで酷い事をしなかった。
彼らはいつも悲しそうに済まなさそうにしていた。
そしてこっそり夜中に食事を運んでくれたり、部屋に来て勉強を教えてくれた。
使用人の中には男爵家の三男や娘たちもいて、わたしの勉強が遅れないようにと算数や歴史、ダンスにマナーなど最低限の事を少しずつ教えてくれた。
偶に帰って来るお父様になんとか話しかけようとするもマークや侍女長に邪魔をされて、挨拶程度の会話しかさせてもらえなかった。
お兄様も寮に入ってからはほとんど帰ってこなかった。
そう、わたしは忘れ去られた公爵令嬢だった。
少しでも仕事が捗らなければムチで叩かれた。
もちろん服で隠れる場所に。
『貴女に使うお金などありません。旦那様は貴女には一切予算は出してくれないのです。金食い虫なんだから慈悲で置いてあげているのだから少しでもわたし達のために働いてください』
と言われ続けた。
お父様はわたしを慈悲で置いてくれていた。わたしは邪魔で要らない存在。
わたしを助けてくれる使用人達が罰を受けないようにするためにも、他の人にバレないようにひっそりと息をして隠れるように暮らした。
歩いているだけで態とにぶつかってきてよろけて転ぶ。
それが面白いのか馬鹿にしたようにクスクス笑われた。
時には転んでいる上にバケツの水をかけられた。
『喉が渇いたでしょう?』とクスクス笑う意地悪な使用人もいた。
侍女長は食事に腐った野菜を入れて、食べれないと言うと無理やり口に流し込め食べさせられた。
熱を出して寝込んでいても、無理矢理叩き起こされて洗濯をするように命じられて一人で朝から夕方まで洗濯をさせられたこともあった。
そしてさらに熱が上がりそのまま放って置かれた。
もちろんわたしを助けてくれる使用人達がこっそりと薬を持ってきてくれて看病してくれた。
あの屋敷ではわたしは使用人以下の扱いだった。
まるで奴隷のようだった。
(もう生きるのが辛い………早く死にたい)
わたしはずっとそう思って生きてきたんだった。
これは何?
夢の中で何度もみた。
辛くて苦しくて現実ではないのに現実のようで……
あの人は誰?
お兄様って誰?
お父様って……あの人は誰?
わからない、わからない、もしかしたらわたしの本当の両親は違うの?
誰か助けて……ロウト……メリッサ……助けて!
お願い、鞭は痛いの。
お腹が空いた……
疲れた……
どうして生きていないといけないの?
もうわたしは死にたい。
なのにどうしてわたしは生きているの?
もう一人の年上のアイシャが泣いている。
でもわたしの心ももう限界になっていた。
お祖父様のそばなら穏やかに居られると思ったのに……
わたしはどうして両親に似ていないの?
誰か教えて……
◆ ◆ ◆
本日追加で投稿しました。
話がなかなか進まずすみません。
アイシャの辛い日々もう少しだけ、グッと我慢していただけると助かります。
「ふーん、貴女がアイシャ様?」
「噂ほどではないわよね」
「あら?ご両親に似ていないどこの生まれか分からないと噂されているお方よね?」
わたしを見下ろしながら、楽しそうに微笑み、話しかけてきた。
どう答えるべきか。
無視するべきか。
この人達は王子の取り巻きだ。
まだ婚約者がいない王子の横を狙っている人達。
「アイシャ、行きましょう」
アリアがわたしの腕を掴んでさっさとその場から去ろうとした。
「う、うん」
わたしはアリアに引っ張られながらベンチから立つと囲まれた先輩達の間をすり抜けようとした。
「あら、失礼?」
先輩達の間を通ろうとしたので先輩達がニヤけながら隙間を開けてくれた。
先輩達の間を通る時の視線が怖かった。
それでもそこを通らなければ帰ることができない。
い、痛っ!!
足を引っ掛けられた。
アリアの手を慌てて払いのけて、わたしは一人で転んだ。
勢いあまり地面に両膝を叩きつけられてかなりの衝撃だった。
「あらあ、大丈夫?公爵令嬢も転ぶと惨めね」
そう言いながら誰かがわたしを助けようとして屈んできて、わたしのお腹を蹴り上げた。
ぐっ……
かなりの痛みがさらにきて声が出なかった。
アリア達は先輩の壁でわたしの姿は見えない。
さらに他の人たちも楽しそうにわたしの太ももを踏んだりお腹を蹴ってきた。
立ち上がることもできず声を出そうとしたら、髪を鷲掴みにされて、
「あんたさぁ、殿下のお気に入りだからっていい気にならないで」
「なに可愛こぶってるの、どこの子かもわからない、偽物の公爵令嬢のくせに」
そう言うとわたしの髪を離して、わたしは地面に叩きつけられて、頭を蹴られた。
あー、偽物の公爵令嬢……
以前は『金食い虫』だったかしら……
わたしはどこにいてもやはり嫌われて過ごすのね……
わたしは体の痛みと、心が壊れていく痛みでそのまま意識を手放した。
遠くからアリアとスピナがわたしを呼ぶ声が聞こえたけど、もうわたしの心には届かなかった。
何故、わたしはここに居るの?
死んで楽になったはずなのに………
何故、こんな酷い仕打ちを受けなければいけないの……
ここはどこだろう?
『貴女が食事をしたいのならわたし達と同じように働いてください。食べるために働くのは当たり前のことです』
侍女長に言われて5歳の時から床掃除を始めた。
力もないし背も足りないわたしはそれくらいしか出来なかった。
掃除をした日は食事を貰える。
いつの間にか服は使用人用のものに変わっていた。
何枚かのドレスは家族が帰ってきたりお客様が来た時だけ着せてもらえた。
そんなわたしを不憫に思ったわたし付きの使用人達は家令や侍女長達に見つからないように、こっそりと助けてくれた。
みんなの前ではわたしに辛く当たった。
たぶんわたしが他の使用人達に酷い事をされないようにわたしの味方の使用人達があえて先にわたしに意地悪な事を言ったり、態とに少ない量の食事しか与えないようにしていた。
でも彼らが先にわたしに嫌がらせをしてくれたお陰で他の使用人はそこまで酷い事をしなかった。
彼らはいつも悲しそうに済まなさそうにしていた。
そしてこっそり夜中に食事を運んでくれたり、部屋に来て勉強を教えてくれた。
使用人の中には男爵家の三男や娘たちもいて、わたしの勉強が遅れないようにと算数や歴史、ダンスにマナーなど最低限の事を少しずつ教えてくれた。
偶に帰って来るお父様になんとか話しかけようとするもマークや侍女長に邪魔をされて、挨拶程度の会話しかさせてもらえなかった。
お兄様も寮に入ってからはほとんど帰ってこなかった。
そう、わたしは忘れ去られた公爵令嬢だった。
少しでも仕事が捗らなければムチで叩かれた。
もちろん服で隠れる場所に。
『貴女に使うお金などありません。旦那様は貴女には一切予算は出してくれないのです。金食い虫なんだから慈悲で置いてあげているのだから少しでもわたし達のために働いてください』
と言われ続けた。
お父様はわたしを慈悲で置いてくれていた。わたしは邪魔で要らない存在。
わたしを助けてくれる使用人達が罰を受けないようにするためにも、他の人にバレないようにひっそりと息をして隠れるように暮らした。
歩いているだけで態とにぶつかってきてよろけて転ぶ。
それが面白いのか馬鹿にしたようにクスクス笑われた。
時には転んでいる上にバケツの水をかけられた。
『喉が渇いたでしょう?』とクスクス笑う意地悪な使用人もいた。
侍女長は食事に腐った野菜を入れて、食べれないと言うと無理やり口に流し込め食べさせられた。
熱を出して寝込んでいても、無理矢理叩き起こされて洗濯をするように命じられて一人で朝から夕方まで洗濯をさせられたこともあった。
そしてさらに熱が上がりそのまま放って置かれた。
もちろんわたしを助けてくれる使用人達がこっそりと薬を持ってきてくれて看病してくれた。
あの屋敷ではわたしは使用人以下の扱いだった。
まるで奴隷のようだった。
(もう生きるのが辛い………早く死にたい)
わたしはずっとそう思って生きてきたんだった。
これは何?
夢の中で何度もみた。
辛くて苦しくて現実ではないのに現実のようで……
あの人は誰?
お兄様って誰?
お父様って……あの人は誰?
わからない、わからない、もしかしたらわたしの本当の両親は違うの?
誰か助けて……ロウト……メリッサ……助けて!
お願い、鞭は痛いの。
お腹が空いた……
疲れた……
どうして生きていないといけないの?
もうわたしは死にたい。
なのにどうしてわたしは生きているの?
もう一人の年上のアイシャが泣いている。
でもわたしの心ももう限界になっていた。
お祖父様のそばなら穏やかに居られると思ったのに……
わたしはどうして両親に似ていないの?
誰か教えて……
◆ ◆ ◆
本日追加で投稿しました。
話がなかなか進まずすみません。
アイシャの辛い日々もう少しだけ、グッと我慢していただけると助かります。
316
あなたにおすすめの小説
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる