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34話 ロウト編
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俺たち二人はカイザ様に呼ばれた。
「アイシャから夢の話を聞いた」
「はい、わたし達も聞きました」
「カイザ様から聞いた話によく似ています」
俺が答えると、カイザ様は顎に手を置き、何度も触りながら考え込んでいた。
「そうだな…もう隠すことは出来ない。アイシャに伝える時出来ればお前達二人にも一緒にいて欲しい」
「わたし達がそばに居てもよろしいのですか?」
メリッサの問いにカイザ様は頷いた。
「アイシャがパニックになった時に寄り添って欲しいんだ。もちろんわたしも出来るだけそばにいるつもりではいるが仕事も忙しい、すまないが頼まれてくれないか」
「カイザ様……全てを話されるのですか?」
「怖い夢といい夢が同じ場所だと言っていた。へんに隠すと嘘を吐かなければいけなくなる。嘘は吐いた者への信頼を失くすことになる。ならば包み隠さず話すことにした……夢を見ていなければ心臓病で亡くなり転生したことだけを伝えるつもりだった。
だが隠すことは出来ない」
「……アイシャ様のそばで寄り添い守ります」
「頼む」
カイザ様は使用人の俺たちに頭を下げた、
元王弟、そして公爵閣下でもあるカイザ様が頭を下げる。
それはアイシャ様への揺るぎない愛情があるからこそだ。
そして……
数日後アイシャ様とカイザ様はお茶の時間を取り、話をすることになった。
アイシャ様はカイザ様のいつもと違う様子を見て何か感じたのか……
「ロウト……お祖父様はわたしとお茶をしたいと仰っていたけど、何かあったのかしら?」
「どうしてそんなことを言うんですか?」
「だって、少しお顔が怖かったんだもの」
「カイザ様の顔はいつも強面なんでよくわからないですね」
俺がニヤッと笑うとアイシャ様はプッと笑い出した。
「ふふっ、そうかも。お祖父様が聞いたらショックを受けてしまうわ」
アイシャ様の緊張が少し取れたようだ。
これからのアイシャ様のことを考えたら気が重い。
俺たちが聞いてもかなりショックな話だった。
本人が聞いたらどうなるのだろう。
しばらくは夜も目を離さないようにしよう。
俺一人では難しいのでもちろんメリッサとも協力しあうつもりだ。
そして学園ではヴィズにも深くは伝えるつもりはないが簡単に話しておくつもりだ。
ああ、俺たちの大事な主をもうこれ以上辛い思いなんかさせたくなかった。
屋敷でのアイシャ様は家族の中で一人いつも浮いていた。
旦那様は娘二人に愛情を注ぐ優しいお方だが、父上である公爵様から当主として仕事を受け継いでいる真っ最中で忙しすぎた。
さらに領地での事故処理などに追われて家族の本当の姿を見ることができなかった。
今になってアイシャ様とターナ様のことを調べ始めているが遅い。
アイシャ様の心が壊れる前とは言え、俺からすれば遅すぎだ。
そしてリサ様。
リサ様が一番タチが悪い。
自分はアイシャ様に愛情を注いで大切にしているつもりだ。
だが俺から見たら違う。
娘を見る目ではない。
いや、幼い頃は確かに娘として可愛がっていた。でもアイシャ様の膨大な魔力、魔法の才能を知ってからは変わっていった。
娘に酷い態度をとるわけでも言葉の暴言を吐くわけでもない。
ただ、たまに目に嫉妬心が浮かんでいるのだ。
アイシャ様の容姿は誰もが振り返りたくなるほどの美しさだ。11歳とはいえ誰もが溜息をつきたくなる顔立ち。
そして魔力。
リサ様はこの国でも優秀だと持て囃される魔法使い。
そのリサ様が、娘の魔力にそして容姿に負けて嫉妬するのだ。
アイシャ様は、たぶんこの国でいちばんの魔力を持ち、稀にいると言われている無属性の持ち主だ。
火、水、地、風全てを難なくこなす。
そしてリサ様と同じ光魔法もこなす。
このまま成長すれば攻撃魔法・防御魔法・回復魔法・補助強化魔法も使えてしまうかもしれない。
俺たち魔力のある者にとって一番欲して、でも得られるものではない無属性。
リサ様の嫉妬心がアイシャ様を遠ざけていた。
アイシャ様は本能的に気が付いていて、少し遠慮がちに接していた。
屋敷の中であまり使用人達とも関わらないようにして部屋に閉じこもりがちだった。
だからと言って使用人に冷たくしたりキツイ言葉を言ったりする人ではなかった。
アイシャ様の貰い子だという噂が使用人の中で噂されてもアイシャ様は使用人を責めなかった。
ターナ様が新しい使用人達を自分のモノのように扱い、自分の思い通りに動かして、アイシャ様にもキツい態度を取らせた。
わざとに使用人に命令して手紙を渡さないようにして友達との約束を破らせたり、お風呂のお湯をぬるめにして風邪を引かせようとしたり、アイシャ様に聞こえるところで「貰い子らしい」と噂話をさせたり……
子どもとしては結構底意地の悪いことばかりだ。
本人にも意地の悪いことを言って、周りにいる使用人達と共に馬鹿にして笑う。
ターナ様の態度や使用人達の態度は、リサ様のアイシャ様への無言の無関心が招いている気がする。
リサ様がアイシャ様を妬み嫉妬しているからそれが周りにも自然と伝わっている気がする。
カイザ様の屋敷に来てからのアイシャ様は変わられた。
笑顔が自然で無理して笑わなくなった。
使用人に対してもビクビクしなくなった。
やっと笑えるようになったのに……
あの笑顔をお守りしたい。
「アイシャから夢の話を聞いた」
「はい、わたし達も聞きました」
「カイザ様から聞いた話によく似ています」
俺が答えると、カイザ様は顎に手を置き、何度も触りながら考え込んでいた。
「そうだな…もう隠すことは出来ない。アイシャに伝える時出来ればお前達二人にも一緒にいて欲しい」
「わたし達がそばに居てもよろしいのですか?」
メリッサの問いにカイザ様は頷いた。
「アイシャがパニックになった時に寄り添って欲しいんだ。もちろんわたしも出来るだけそばにいるつもりではいるが仕事も忙しい、すまないが頼まれてくれないか」
「カイザ様……全てを話されるのですか?」
「怖い夢といい夢が同じ場所だと言っていた。へんに隠すと嘘を吐かなければいけなくなる。嘘は吐いた者への信頼を失くすことになる。ならば包み隠さず話すことにした……夢を見ていなければ心臓病で亡くなり転生したことだけを伝えるつもりだった。
だが隠すことは出来ない」
「……アイシャ様のそばで寄り添い守ります」
「頼む」
カイザ様は使用人の俺たちに頭を下げた、
元王弟、そして公爵閣下でもあるカイザ様が頭を下げる。
それはアイシャ様への揺るぎない愛情があるからこそだ。
そして……
数日後アイシャ様とカイザ様はお茶の時間を取り、話をすることになった。
アイシャ様はカイザ様のいつもと違う様子を見て何か感じたのか……
「ロウト……お祖父様はわたしとお茶をしたいと仰っていたけど、何かあったのかしら?」
「どうしてそんなことを言うんですか?」
「だって、少しお顔が怖かったんだもの」
「カイザ様の顔はいつも強面なんでよくわからないですね」
俺がニヤッと笑うとアイシャ様はプッと笑い出した。
「ふふっ、そうかも。お祖父様が聞いたらショックを受けてしまうわ」
アイシャ様の緊張が少し取れたようだ。
これからのアイシャ様のことを考えたら気が重い。
俺たちが聞いてもかなりショックな話だった。
本人が聞いたらどうなるのだろう。
しばらくは夜も目を離さないようにしよう。
俺一人では難しいのでもちろんメリッサとも協力しあうつもりだ。
そして学園ではヴィズにも深くは伝えるつもりはないが簡単に話しておくつもりだ。
ああ、俺たちの大事な主をもうこれ以上辛い思いなんかさせたくなかった。
屋敷でのアイシャ様は家族の中で一人いつも浮いていた。
旦那様は娘二人に愛情を注ぐ優しいお方だが、父上である公爵様から当主として仕事を受け継いでいる真っ最中で忙しすぎた。
さらに領地での事故処理などに追われて家族の本当の姿を見ることができなかった。
今になってアイシャ様とターナ様のことを調べ始めているが遅い。
アイシャ様の心が壊れる前とは言え、俺からすれば遅すぎだ。
そしてリサ様。
リサ様が一番タチが悪い。
自分はアイシャ様に愛情を注いで大切にしているつもりだ。
だが俺から見たら違う。
娘を見る目ではない。
いや、幼い頃は確かに娘として可愛がっていた。でもアイシャ様の膨大な魔力、魔法の才能を知ってからは変わっていった。
娘に酷い態度をとるわけでも言葉の暴言を吐くわけでもない。
ただ、たまに目に嫉妬心が浮かんでいるのだ。
アイシャ様の容姿は誰もが振り返りたくなるほどの美しさだ。11歳とはいえ誰もが溜息をつきたくなる顔立ち。
そして魔力。
リサ様はこの国でも優秀だと持て囃される魔法使い。
そのリサ様が、娘の魔力にそして容姿に負けて嫉妬するのだ。
アイシャ様は、たぶんこの国でいちばんの魔力を持ち、稀にいると言われている無属性の持ち主だ。
火、水、地、風全てを難なくこなす。
そしてリサ様と同じ光魔法もこなす。
このまま成長すれば攻撃魔法・防御魔法・回復魔法・補助強化魔法も使えてしまうかもしれない。
俺たち魔力のある者にとって一番欲して、でも得られるものではない無属性。
リサ様の嫉妬心がアイシャ様を遠ざけていた。
アイシャ様は本能的に気が付いていて、少し遠慮がちに接していた。
屋敷の中であまり使用人達とも関わらないようにして部屋に閉じこもりがちだった。
だからと言って使用人に冷たくしたりキツイ言葉を言ったりする人ではなかった。
アイシャ様の貰い子だという噂が使用人の中で噂されてもアイシャ様は使用人を責めなかった。
ターナ様が新しい使用人達を自分のモノのように扱い、自分の思い通りに動かして、アイシャ様にもキツい態度を取らせた。
わざとに使用人に命令して手紙を渡さないようにして友達との約束を破らせたり、お風呂のお湯をぬるめにして風邪を引かせようとしたり、アイシャ様に聞こえるところで「貰い子らしい」と噂話をさせたり……
子どもとしては結構底意地の悪いことばかりだ。
本人にも意地の悪いことを言って、周りにいる使用人達と共に馬鹿にして笑う。
ターナ様の態度や使用人達の態度は、リサ様のアイシャ様への無言の無関心が招いている気がする。
リサ様がアイシャ様を妬み嫉妬しているからそれが周りにも自然と伝わっている気がする。
カイザ様の屋敷に来てからのアイシャ様は変わられた。
笑顔が自然で無理して笑わなくなった。
使用人に対してもビクビクしなくなった。
やっと笑えるようになったのに……
あの笑顔をお守りしたい。
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