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67話
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14歳になるとそろそろ社交界に出る準備が始まる。
デビューは早くて15歳、遅くても17歳までにはするものだが、わたしはお祖父様に15歳になったらすぐにするようにと言われている。
もうドレスのデザインをデザイナーの人と考え始めた。
アリアもスピナも同じ時期に一緒にデビューしようと話している。
どんなドレスにするかお互い色々と話すのは楽しい。
一年先……わたしはどんな風に暮らしているのだろう。
最近はキリアン様が指導に来てくれても前ほど夢中で頑張れなくなっている。
だって、キリアン様はバナッシユ国にもうすぐ帰ってしまう。
わたしだってバナッシユ国にまた行きたい。
どうしてわたしはルビラ王国で生まれ変わってしまったのだろう。
青い空を部屋の窓から見上げると、大きな雲が見える。
あの雲はバナッシユ国へと続いているのかしら?
もうお父様は元気になったのかしら?
アリーちゃんやケビン君と過ごした日々が忘れられない。
ミケランはケビン君を気に入っていつの間にかケビン君と眠っていた。
そんな可愛い寝姿を見るだけで胸がキュンとなり、アリーちゃんと笑い合う日々。
もうわたしはアイシャだけど、バナッシユ国にいたアイシャではない。
笑い合うことももうない。
「落ち込んでも仕方ないわよね、キリアン様だってこの国が祖国ではないのだし。帰る場所に戻るだけだもの」
なのにどうしてなんだろう?
キリアン様がいなくなると考えるとそれだけで辛くて涙が出てしまいそう。
よくわからないこの感情は、兄を慕う妹のようなものなのかしら?
◇ ◇ ◇
「アイシャ、お前のドレスに合わせて靴やアクセサリーも買わないといけないな」
お祖父様がニコニコしながら夕食の時に言い出した。
「お祖父様、ドレスだけで十分です、あとは今ある物で足りると思います」
「何を言ってるんだ、公爵令嬢が有り合わせの物などで間に合わせるなんて、出来るわけがないだろう。
お前はほとんど我儘も言わないし、強請ろうともしない。頼む、少しでいいからわたしに贈り物をさせてくれ」
お祖父様が寂しそうにわたしを見る。
「ありがとうございます、ではお祖父様が選んでください。わたしはよくわからないのでお任せしてもよろしいですか?」
「……分かった、年寄りの楽しみを奪われなくてすんだ、楽しみに待っていてくれ」
「はい、待っていますね」
ーーお祖父様に気を遣わせている。わたしの顔色を伺い、こんな顔をさせている自分にどうしようもなく落ち込む。
どんなに明るく過ごしすように頑張っていても、お祖父様とメリッサ、ロウトにはバレてしまう。
◇ ◇ ◇
キリアン様の帰国の日が決まった。
「アイシャのデビュタントの日までなんとか引き伸ばしたかったんだけど、無理だった」
あと2ヶ月と言っていた日からそれでも伸ばしてくれて、半年ほど居てくれた。
それだけでも十分だった。
わたしが魔力暴走を起こしたことで、心配して残ってくれたのだ。
「キリアン様、ありがとうございました。無理に時間を作ってそばにいてくれて嬉しかったです」
「無理してなんかいないよ、俺がアイシャのそばにいたかったんだ」
「ねえ、アイシャ。君はあと少しで社交界デビューを果たす、その一年後には成人するよね?
あと一年と数ヶ月。そしたらバナッシユ国で暮らさないか?本当は俺の帰国と一緒に連れて帰りたいけど、カイザ様が横で睨んでるから……無理だよね?」
キリアン様はお祖父様を見て肩をすくめた。
「わたしが……バナッシユ国で暮らす?」
ーーお祖父様の顔を見ることが出来ない。
だって悲しそうにしているのがわかるから。
わたしがバナッシユ国に行きたいと言えばお祖父様が悲しむ。
わたしをずっと見守り助けてくれたお祖父様。
そんなお祖父様と別れて向こうで暮らすなんて我儘なことは言えない。
わたしは首を横に振った。
そしたらキリアン様が
「アイシャ、今すぐに結論を出さないで。俺はあと1ヶ月はこの国にいるしその後でもいい。ゆっくり考えてから返事をして」
「アイシャ、わたしには止める資格はない。お前が行きたいと言うならわたしは快く送り出そう」
わたしは返事をすることが出来なかった。
◆ ◆ ◆
『今日も女の香水の匂いをさせて朝帰りする夫が愛していると言ってくる。』
アッシュ編、書きました。
そして、リリー編もまた書きたいと思っています。
もしよければ読んでみてくださいね。
よろしくお願いします!
デビューは早くて15歳、遅くても17歳までにはするものだが、わたしはお祖父様に15歳になったらすぐにするようにと言われている。
もうドレスのデザインをデザイナーの人と考え始めた。
アリアもスピナも同じ時期に一緒にデビューしようと話している。
どんなドレスにするかお互い色々と話すのは楽しい。
一年先……わたしはどんな風に暮らしているのだろう。
最近はキリアン様が指導に来てくれても前ほど夢中で頑張れなくなっている。
だって、キリアン様はバナッシユ国にもうすぐ帰ってしまう。
わたしだってバナッシユ国にまた行きたい。
どうしてわたしはルビラ王国で生まれ変わってしまったのだろう。
青い空を部屋の窓から見上げると、大きな雲が見える。
あの雲はバナッシユ国へと続いているのかしら?
もうお父様は元気になったのかしら?
アリーちゃんやケビン君と過ごした日々が忘れられない。
ミケランはケビン君を気に入っていつの間にかケビン君と眠っていた。
そんな可愛い寝姿を見るだけで胸がキュンとなり、アリーちゃんと笑い合う日々。
もうわたしはアイシャだけど、バナッシユ国にいたアイシャではない。
笑い合うことももうない。
「落ち込んでも仕方ないわよね、キリアン様だってこの国が祖国ではないのだし。帰る場所に戻るだけだもの」
なのにどうしてなんだろう?
キリアン様がいなくなると考えるとそれだけで辛くて涙が出てしまいそう。
よくわからないこの感情は、兄を慕う妹のようなものなのかしら?
◇ ◇ ◇
「アイシャ、お前のドレスに合わせて靴やアクセサリーも買わないといけないな」
お祖父様がニコニコしながら夕食の時に言い出した。
「お祖父様、ドレスだけで十分です、あとは今ある物で足りると思います」
「何を言ってるんだ、公爵令嬢が有り合わせの物などで間に合わせるなんて、出来るわけがないだろう。
お前はほとんど我儘も言わないし、強請ろうともしない。頼む、少しでいいからわたしに贈り物をさせてくれ」
お祖父様が寂しそうにわたしを見る。
「ありがとうございます、ではお祖父様が選んでください。わたしはよくわからないのでお任せしてもよろしいですか?」
「……分かった、年寄りの楽しみを奪われなくてすんだ、楽しみに待っていてくれ」
「はい、待っていますね」
ーーお祖父様に気を遣わせている。わたしの顔色を伺い、こんな顔をさせている自分にどうしようもなく落ち込む。
どんなに明るく過ごしすように頑張っていても、お祖父様とメリッサ、ロウトにはバレてしまう。
◇ ◇ ◇
キリアン様の帰国の日が決まった。
「アイシャのデビュタントの日までなんとか引き伸ばしたかったんだけど、無理だった」
あと2ヶ月と言っていた日からそれでも伸ばしてくれて、半年ほど居てくれた。
それだけでも十分だった。
わたしが魔力暴走を起こしたことで、心配して残ってくれたのだ。
「キリアン様、ありがとうございました。無理に時間を作ってそばにいてくれて嬉しかったです」
「無理してなんかいないよ、俺がアイシャのそばにいたかったんだ」
「ねえ、アイシャ。君はあと少しで社交界デビューを果たす、その一年後には成人するよね?
あと一年と数ヶ月。そしたらバナッシユ国で暮らさないか?本当は俺の帰国と一緒に連れて帰りたいけど、カイザ様が横で睨んでるから……無理だよね?」
キリアン様はお祖父様を見て肩をすくめた。
「わたしが……バナッシユ国で暮らす?」
ーーお祖父様の顔を見ることが出来ない。
だって悲しそうにしているのがわかるから。
わたしがバナッシユ国に行きたいと言えばお祖父様が悲しむ。
わたしをずっと見守り助けてくれたお祖父様。
そんなお祖父様と別れて向こうで暮らすなんて我儘なことは言えない。
わたしは首を横に振った。
そしたらキリアン様が
「アイシャ、今すぐに結論を出さないで。俺はあと1ヶ月はこの国にいるしその後でもいい。ゆっくり考えてから返事をして」
「アイシャ、わたしには止める資格はない。お前が行きたいと言うならわたしは快く送り出そう」
わたしは返事をすることが出来なかった。
◆ ◆ ◆
『今日も女の香水の匂いをさせて朝帰りする夫が愛していると言ってくる。』
アッシュ編、書きました。
そして、リリー編もまた書きたいと思っています。
もしよければ読んでみてくださいね。
よろしくお願いします!
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