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74話 再会編
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穏やかな時間が過ぎている。
わたしの魔力も安定してきて、いろんな魔法も使えるようになってきた。
お祖父様の前で披露すると
「アイシャは素晴らしいな」
と、孫可愛さでたくさん褒めてくれる。
でも褒められると嬉しいのでつい頑張ってしまう。
毎週恒例になった孤児院での治療は、子ども達だけではなく、病院へお金がなくていけない人たちも来るようになった。
わたしは人よりも魔力がかなり多いので、治療できることは少しでも治してあげたい。
でもわたしの魔法でどんな病気も治るわけではない。
やはり効きにくい病気もあるし、何度かに分けないと治療できない病気や怪我もある。
期待されて「あまり良くなっていない」とガッカリされることもある。
そんな時はわたしもへこんでしまうけど、今はまだ癒しの魔法も修行中の身だから、頑張るしかない。
そんな時……
お祖父様が難しい顔をしているのに気がついた。
「お祖父様……何かありましたか?」
お祖父様は「気にしないでくれ」と言って何も答えてはくれなかった。
でもお祖父様が考え込んでいる姿が増えてきて、さすがに心配になってもう一度聞いてみた。
「お祖父様……わたしでは力になれないかもしれません。でもお祖父様のそんなお顔を見ていたらとても心配になります」
「……すまない」
それでもお祖父様はわたしに話そうとはしなかった。
わたしには言いたくないことなのだろう。
またしばらく様子を伺っていた。
そんなある日、突然屋敷にお父様が現れた。
わたしが馬車で学園から屋敷に帰ってきた時だった。
屋敷の使用人達が門のところでお父様を追い返そうとしていた。
わたしは馬車を降りてお父様の元へ駆けつけた。
「お父様?どうされたのですか?」
お父様はとても疲れて顔色が悪かった。
でもわたしを見ると、突然座り込んで頭を地面につけた。
「アイシャ、わたし達はお前に酷いことをした。なのにまたわたしはお前に縋るしかない。
頼む、リサを助けてくれ、お願いだ」
「お母様?どうかしたのですか?」
「カイザ様に聞いていないのか?」
お父様はわたしの言葉に驚いていた。
「お祖父様にですか?」
お父様は何を言ってるのかよくわからずにいた。
「リサが、重い病気なんだ。このままでは助からない。お前とカイザ様しかいないんだ。頼む、リサを助けてください。お願いだ」
お父様は何度も頭を下げてわたしに懇願した。
「……お祖父様がずっと何か悩んでいたのはお母様のことだったんですね」
わたしは大きな溜息をついた。
「はあー」
そしてお父様の隣に膝をつき、お父様の肩に手を置いた。
「お父様、お母様は今どこにいらっしゃるのですか?」
「今も北の領地の母の所にいるんだが、最近はベッドから起き上がることもできなくなってきている」
「そんなに酷いのですか?」
「リサは……お前にしたことを今更ながら後悔し続けている。わたしもお前に酷いことを言ってしまった。
わたし達がお前の前に顔を出すことが出来ないことはわかっているんだ。
でも……お前なら……少しでもリサの苦しみを取り除いてくれるかもしれないと期待してしまった。
すまない、酷い父親で。だがアイシャのことを要らないとか娘ではないとか思っていない。
本当にアイシャを娘だとずっと思っているんだ。ただあの時は、家族がバラバラになってわたしはイライラしていた、アイシャに当たってしまったこと、言ってはいけないことを言ってしまったこと、ずっと後悔している」
「……お母様はわたしが眠りから覚めたことご存知ですか?」
「伝えていない、お前も知っているだろう、カイザ様からアイシャのことは一切リサに話さないと魔法で誓約しているんだ」
「では、わたしは前世のアイシャのままです。だからわたしは貴方をハイド様、そしてお母様をリサ様、ターナのことは……ターナちゃんと呼びます。家族としてではなく、前世のアイシャとしてリサ様に会いに行きます」
「……アイシャ………わかった、お願いします」
わたしはもうこの二人の娘ではない。
でも治療を待つ人がいるのならわたしは出来るだけのことをしたい。
だからわたしは娘としてではなく、他人として接することにした。
「お祖父様にはわたしから話します。ハイド様、お帰りになってください、また、こちらから連絡しましょう」
お父様は、唇を噛んで俯いていた。わたしの態度に傷ついているのだとわかる。
「わかった……連絡をお待ちします」
お父様は黙って帰って行った。
屋敷に帰ってから、お祖父様のお帰りを待った。
そして今日お父様から聞いたことを全て話した。
「黙っていてすまなかった」
お祖父様はわたしに謝った。
謝る必要なんてないのに。
「わたしのために言わないでくださったんですよね?お母様はお祖父様の娘です、わたしもお母様を助けたいです。でもまたあの頃の生活に戻るのは怖い。だからわたしは前世のアイシャとしてお母様達の前では過ごそうと思います」
「いいのか?リサに会うのは嫌なんだろう?」
「怖いです……今も思い出すだけで身体が震えてしまいます。親に捨てられることはとても辛いことでした。何年経っても忘れることはできません」
「……すまない」
「お祖父様はわたしを、わたしの心を救ってくれました。今度はわたしがお祖父様の大事な娘を助ける番です。わたしがどこまでできるかわかりませんが少しでもよくなればいいと思っています」
ーーお母様……絶対に助けるから……死なないで。
わたしはお母様が怖い。でも、死んで欲しくなんてない。
わたしの魔力も安定してきて、いろんな魔法も使えるようになってきた。
お祖父様の前で披露すると
「アイシャは素晴らしいな」
と、孫可愛さでたくさん褒めてくれる。
でも褒められると嬉しいのでつい頑張ってしまう。
毎週恒例になった孤児院での治療は、子ども達だけではなく、病院へお金がなくていけない人たちも来るようになった。
わたしは人よりも魔力がかなり多いので、治療できることは少しでも治してあげたい。
でもわたしの魔法でどんな病気も治るわけではない。
やはり効きにくい病気もあるし、何度かに分けないと治療できない病気や怪我もある。
期待されて「あまり良くなっていない」とガッカリされることもある。
そんな時はわたしもへこんでしまうけど、今はまだ癒しの魔法も修行中の身だから、頑張るしかない。
そんな時……
お祖父様が難しい顔をしているのに気がついた。
「お祖父様……何かありましたか?」
お祖父様は「気にしないでくれ」と言って何も答えてはくれなかった。
でもお祖父様が考え込んでいる姿が増えてきて、さすがに心配になってもう一度聞いてみた。
「お祖父様……わたしでは力になれないかもしれません。でもお祖父様のそんなお顔を見ていたらとても心配になります」
「……すまない」
それでもお祖父様はわたしに話そうとはしなかった。
わたしには言いたくないことなのだろう。
またしばらく様子を伺っていた。
そんなある日、突然屋敷にお父様が現れた。
わたしが馬車で学園から屋敷に帰ってきた時だった。
屋敷の使用人達が門のところでお父様を追い返そうとしていた。
わたしは馬車を降りてお父様の元へ駆けつけた。
「お父様?どうされたのですか?」
お父様はとても疲れて顔色が悪かった。
でもわたしを見ると、突然座り込んで頭を地面につけた。
「アイシャ、わたし達はお前に酷いことをした。なのにまたわたしはお前に縋るしかない。
頼む、リサを助けてくれ、お願いだ」
「お母様?どうかしたのですか?」
「カイザ様に聞いていないのか?」
お父様はわたしの言葉に驚いていた。
「お祖父様にですか?」
お父様は何を言ってるのかよくわからずにいた。
「リサが、重い病気なんだ。このままでは助からない。お前とカイザ様しかいないんだ。頼む、リサを助けてください。お願いだ」
お父様は何度も頭を下げてわたしに懇願した。
「……お祖父様がずっと何か悩んでいたのはお母様のことだったんですね」
わたしは大きな溜息をついた。
「はあー」
そしてお父様の隣に膝をつき、お父様の肩に手を置いた。
「お父様、お母様は今どこにいらっしゃるのですか?」
「今も北の領地の母の所にいるんだが、最近はベッドから起き上がることもできなくなってきている」
「そんなに酷いのですか?」
「リサは……お前にしたことを今更ながら後悔し続けている。わたしもお前に酷いことを言ってしまった。
わたし達がお前の前に顔を出すことが出来ないことはわかっているんだ。
でも……お前なら……少しでもリサの苦しみを取り除いてくれるかもしれないと期待してしまった。
すまない、酷い父親で。だがアイシャのことを要らないとか娘ではないとか思っていない。
本当にアイシャを娘だとずっと思っているんだ。ただあの時は、家族がバラバラになってわたしはイライラしていた、アイシャに当たってしまったこと、言ってはいけないことを言ってしまったこと、ずっと後悔している」
「……お母様はわたしが眠りから覚めたことご存知ですか?」
「伝えていない、お前も知っているだろう、カイザ様からアイシャのことは一切リサに話さないと魔法で誓約しているんだ」
「では、わたしは前世のアイシャのままです。だからわたしは貴方をハイド様、そしてお母様をリサ様、ターナのことは……ターナちゃんと呼びます。家族としてではなく、前世のアイシャとしてリサ様に会いに行きます」
「……アイシャ………わかった、お願いします」
わたしはもうこの二人の娘ではない。
でも治療を待つ人がいるのならわたしは出来るだけのことをしたい。
だからわたしは娘としてではなく、他人として接することにした。
「お祖父様にはわたしから話します。ハイド様、お帰りになってください、また、こちらから連絡しましょう」
お父様は、唇を噛んで俯いていた。わたしの態度に傷ついているのだとわかる。
「わかった……連絡をお待ちします」
お父様は黙って帰って行った。
屋敷に帰ってから、お祖父様のお帰りを待った。
そして今日お父様から聞いたことを全て話した。
「黙っていてすまなかった」
お祖父様はわたしに謝った。
謝る必要なんてないのに。
「わたしのために言わないでくださったんですよね?お母様はお祖父様の娘です、わたしもお母様を助けたいです。でもまたあの頃の生活に戻るのは怖い。だからわたしは前世のアイシャとしてお母様達の前では過ごそうと思います」
「いいのか?リサに会うのは嫌なんだろう?」
「怖いです……今も思い出すだけで身体が震えてしまいます。親に捨てられることはとても辛いことでした。何年経っても忘れることはできません」
「……すまない」
「お祖父様はわたしを、わたしの心を救ってくれました。今度はわたしがお祖父様の大事な娘を助ける番です。わたしがどこまでできるかわかりませんが少しでもよくなればいいと思っています」
ーーお母様……絶対に助けるから……死なないで。
わたしはお母様が怖い。でも、死んで欲しくなんてない。
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