【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ

文字の大きさ
80 / 97

80話  再会編

しおりを挟む
お母様の体調が徐々に悪化していくのを必死で抑え込む。

なんとか踏ん張っているがわたしの力ではこれが限界。

わたしが疲弊している姿をメリッサとロウトが心配してくれる。

「アイシャ様、少し休んでご自分の部屋で寝てください」
「わたしが看病は代わります」

二人はもちろん屋敷の使用人達も、「無理をなさらないでください」
と、心配してくれる。

「ありがとう、では少しだけ休んでくるわ、リサ様をお願いね、何かあったらすぐに声をかけてください」

部屋に帰りベッドに横になった。

みんなからわたしは魔力も強く無属性で優れた魔法使いだと言われて、わたしもお母様を治せるつもりでいた。

でもお祖父様が言った通り、魔法は全能ではなかった。
全てを魔法の力だけでは治すことなどできない。
死に行く者は、どんなことをしても死んでいくのだ。

「お祖父様……キリアン様……会いたい」

二人ならわたしのこの窮地を救ってくれるかも……イルマナ様もこちらに向かってくれているのに考えるのは二人のこと。


ウトウトとしていると、メリッサが話しかけてきた。

「アイシャ様、お友達がお見えになっています」

「え?」

「お通ししますか?お断りしますか?」

「客間に通してもらってもいいかしら?」

「かしこまりました」

わたしは急いで服を着替えて、みんなのところへ向かった。

「久しぶりだな」

「久しぶり、元気でよかった」

わたしの顔を見るなりに立ち上がり、わたしのそばに来て手を握りしめる友達。

驚いてキョトンとしていると

「ずっと休んでいるから気になって……お手紙を送ったら会いにこないかと大奥様から返事をいただいたの」

「……お祖母様が?」

ーーあ、いけない、カレン夫人だった。

わたしは慌てて周りをキョロキョロ見回した。
メリッサしかいなかったのでホッとしながら、

「そうなんだ、心配かけてごめんなさい」

みんなと会うのは1週間ぶりだった。

「みんなに会えて嬉しいわ」

それからは最近の学校の出来事を話してくれた。

誰と誰が付き合い出しただの、先生が廊下で思いっきり滑って転けて大笑いしただの、いつもの楽しい話や恋の話にわたしは重たかった気持ちが少し軽くなった。

「みんな、ありがとう。そう言えば騎士団の鍛錬見に行きたいって言ってたよね?行ってみる?ロウトいいでしょう?」

「はい、大奥様にも許可を得ておりますのでご案内いたします」

「ウソ!やったあ」

「俺見てみたかったんだ」

「カッコいい人いるかしら?」

賑やかにみんなで騎士団へ向かう。

軽い気持ちだった友人達は、あまりにも激しい鍛錬をしている騎士達を見て、黙ったままじっと見つめていた。

張り詰めた重い空気、みんなの真剣な顔、普段見ている騎士達の姿とは全く違っていたらしい。

普段街を歩く騎士達は優しげにしている。

なのに鍛錬の時の騎士達の表情は、鬼気迫っている。
この鍛錬がいざという時に民を守り、自身の命も守る。だから、手も抜かないし張り詰めている。

互いに剣を打ち合う者、体術を使い組み手を組む者。
走り込みをする者。

見ているだけでもピリピリとした空気が伝わってきた。


そして………

「俺たちちょっと気軽に考えていたけど……すげえなぁ」

「うん……みんなあんなに頑張っているんだね」

「強いのは当たり前なのではなくて、必死で鍛えていたんだね」

「みんななんかごめんね。重たくなっちゃったね」

「ううん、騎士団の皆さんの普段の鍛錬をする姿見せてもらえてよかった。感謝しなきゃいけないね、守ってもらって当たり前ではないんだよね」

「うん、わたしもすぐそばにいながら当たり前になっていたかも…感謝しないといけないよね」

わたしも今日は落ち込んでばかりで悪い方にばかり考えていたけど、みんなのおかげで気分転換できたしみんな努力しているんだと改めて考えさせられた。

「みんな本当に来てくれてありがとう。お母様の容態が安定したらまた学校に行くから待っててね」

「当たり前だよ、待ってるね」

ーーわたしがここにいる存在意義なんて難しいこと考えなくてもいいのかも。
わたしが出来ること精一杯頑張って、辛くなったらみんなに会って、また頑張ればいいんだ。


わたしのことを心配してくれる人がいる。
前世のわたしにも少し前のわたしにも、あまりいなかった。

今は、わたしを見てくれて心配してくれて、必要としてくれる人がいることがとても嬉しい。

夕方お母様の部屋へ顔を出した。

「アイシャ……今日はいつもと違う?」

「はい、リサ様、焦ってなんとかしないといけないと思っていたけど……リサ様一緒に病と戦いましょう。もうダメだと諦めたらそこで終わりですよね?リサ様わたし頑張りますので、リサ様も頑張っていっぱい食べて体力つけてください!」

「わたしが頑張るのは食べること?そうね……貴女の言うことを聞いて食べるわ」

ーーお母様は本当はキツくて食欲すら無くなってきている。食べることは本人にとっては大変なこと、飲み込むのも辛いだろう。

それからは、お母様は少しずつ食事を無理してでも食べてくれるようになった。
わたしも朝のうちに騎士団へ行き癒しの魔法をかけさせてもらい、少しでも上手になりたいと練習をした。

そしてお母様のところへ行き精一杯頑張った。

あと少し、出来ることをしていればイルマナ様も来てくれる。

わたしは少しずつ自信を取り戻していった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

【書籍化決定】愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。 王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。 貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。 だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

あなたには彼女がお似合いです

風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。 妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。 でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。 ずっとあなたが好きでした。 あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。 でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。 公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう? あなたのために婚約を破棄します。 だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。 たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに―― ※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

処理中です...