【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ

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81話  再会編 さよなら

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お母様の体調が良くなったわけではない。
それでもお母様もなんとか頑張ろうと食事の量も少しずつ増えてきた。

わたしも癒しの魔法でお母様の体調を整えて、悪性腫瘍の場所に集中的に魔力を流した。

手強い腫瘍をなんとか少しずつ消去魔法で小さくしていく。
その時お母様はわたしの魔力により体に痛みを感じている。
顔色を変えることなくじっと我慢しているみたい。
かなりの激痛に耐えているのだと思う。
わたしも癒しの魔法を何度もかけながら治療をしてはいるが、一人で同時に二つの魔法をかけるのは難しい。

「リサ様、辛いですね。でもあと少し…頑張りましょう」

「辛くなどないわ、頑張ると約束したでしょう?」
お母様はグッと堪えて、わたしに笑って見せる。

「そうでしたね」

お母様は弱音など吐かない強い人だった。

こんな時なのにお母様との時間が持てることが嬉しいと感じている。
ーーわたしはやはりお母様のことが大切なのだ。だから完治させたらここを早く離れよう。

ーーまたわたしに対して悪い感情を抱かれる前に……
またお母様に捨てられる前に……


ーーーーーー

イルマナ様とお祖父様が屋敷に来られた。

「……よかった……やっと……」
わたしは二人が屋敷に来た瞬間、思わずポロリと弱音を吐いてしまった。

「アイシャ、よく頑張った。ここからはわたし達も一緒に治療をするから一人で頑張らなくていい。辛かっただろう」
お祖父様がわたしを抱きしめて、背中をそっと撫でてくれた。

イルマナ様も「よく頑張ったね」と褒めてくれた。

この領地まで二人が来るのに、かなり無理をして時間を作ってくれたのだと思う。

手紙である程度今の状態を説明していたので、旅の疲れも忘れて二人はすぐにお母様の診察に向かってくれた。
お祖父様は時の魔法、イルマナ様は癒しの魔法を得意としている。

二人で協力すれば思った以上の効果があった。
わたしも一緒に手伝った。

二人はある程度治ったところで、わたしにアドバイスをくれて帰って行った。

「アイシャ、長い間お疲れ様」

お祖父様から労いの言葉をもらった。

「アイシャ、よかったら学校を卒業したらわたしの元でもっと癒しの魔法を勉強しないか?」
イルマナ様から嬉しい誘いを受けた。

「わたしももっと勉強して難しい病気も治せる力が欲しいです」

いつかは一人で頑張りたい。



それからさらに完全にお母様の病気を治すのにひと月ほどの時間を要した。

お母様の顔色はとても良くなって、一人で歩くこともできるようになった。
もう死ぬことはない。

わたしはお母様に挨拶をせずにこの屋敷を出ていくことを決めていた。

「カレン夫人、わたしはそろそろ王都に戻るつもりです」

「……リサには何も言わずに?」

「はい」

「リサを助けてくれてありがとう」
お祖母様が頭を下げた。



使用人に全員部屋から出て行ってもらい二人だけで話すことにした。

「お祖母様、頭をおあげください。お祖母様がお父様とターナをこの屋敷に近づけないでくれていたのでしょう?おかげでわたしは前世のアイシャとして、二人に煩わされないで治療に集中できました。どうぞ二人を呼んであげてください。二人もお母様が心配しているでしょう?」

「………アイシャは……ターナのことを気にしてはいないの?」

わたしはこの屋敷に来てから一度もターナのことを尋ねたりしなかった。
だってもう自分の中で切り離していたから。

「……もうお父様もお母様もターナもわたしにとって……家族ではなくなってしまいました……わたしがいるとせっかく三人で幸せに暮らしているのにまた掻き乱すことになります……」

「貴女も家族なのよ?わたしの大切な孫。そしてハイドの娘、なのに……リサの病気を助けて欲しいと頼って、それで終わりなんて……」

「お母様に生きて欲しかった。だからわたしが出来ることをしたまでです。でも、あの家族に戻ることは出来ません。無理矢理戻ってもまた同じことの繰り返しなのだと思います」


「……ターナは、医療研究所へ行って治験者として数年過ごしたの…ターナが今までしてきたアイシャへの嫌がらせを本人に実体験してもらうことで、少しでも反省して変わってもらえることを期待してね。
でもあの子の心根は残念ながら変わらなかったわ……普段は大人しくていい子なのだけど……姉の貴女にはどうしても素直になれないのか自分がしたことが悪いと感じていないみたい……今はハイドと二人で王都の屋敷で暮らしているわ。
でもね、ターナはもう屋敷の外には出る事はないの。一生あの屋敷で幽閉して暮らすことになるわ」

「……わたしと関わらなければ普通なのに?」

「そう……でもね、アイシャ貴女に何度も会いに行こうとして脱走していたの……ターナは少しずつ狂っていったの……自分は悪くない、悪いのはお姉様だと、暗示を自分にかけて……もう正常ではなくなってるの。屋敷で普段大人しくして過ごしているのに突然暴れ出したりして……」

「……ターナが……」

お祖父様は三人のことをわたしには話そうとしなかった。わたしも敢えて聞こうとしなかった。

「……全く知りませんでした」

「リサもターナもそしてハイドもみんな幸せにはなれなかった……自業自得ね。
アイシャ、貴女は自分の道を行きなさい。もう家族に囚われる必要はないのよ」

わたしはお祖母様に返事をすることができなかった。

このままでいいのだろうか?
ターナを見捨てていいの?

悩みつつわたしは屋敷を後にすることにした。

帰る前に学校に行き、友人達に別れの挨拶をした。

「みんなありがとう。また帰ってきたら会いに来てもいいかな?手紙も書くから…もし王都に来ることがあったらわたしに連絡してね」

みんなと抱き合って別れを惜しんだ。

また必ず会いに来るから……






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