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87話 ターナ編
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ターナの治療は、繊細な魔法のコントロールと大量の魔力、そしていつまで続くかわからない時間との戦いでもあった。
何度も疲れ果ててその度にイルマナ様とお祖父様、キリアン様が癒しの魔法をかけてくれたり、コントロールが乱れ闇に押し戻されようとした時はお祖父様が時の魔法で少しだけ時間を止めてくれた。
そして、気持ちを落ち着かせて立て直してまた治療に戻る。
キリアン様はターナが暴れず落ち着いている時わたしと代わり治療を継続してくれる。
三人がいてくれなければ一人ではとても無理だった。
そんな治療も始めてから5日目。
ターナが少しずつ落ち着きを取り戻してきた。
たまにわたしを正常な瞳で見ている。
「ターナ、負けないで。闇にのまれないで!わたしの声を聞いて!」
何度も声をかけた。
少しずつ反応が出てきた。
でもあとどれくらい続くのだろう。
さすがに疲れてきた。
体は癒しの魔法と休憩のおかげでなんとか持っているのだけど、ずっと繊細なコントロールが必要で、精神が悲鳴を上げていた。
それでもなんとか頑張れているのは、三人のおかげと……ターナが快方に向かっているから……
そして……7日目……
ターナが普通に喋った。
「…………お姉様?」
わたしを呼ぶとまたぐったりとして、眠り続けた。
「アイシャ、そろそろ最後に取り掛かろう」
お祖父様が私の肩をポンっと叩いた。
「はい」
わたしは今までは闇の塊に向かって流していた魔力をターナの全身に流し始めた。
少しずつ全体に行き渡らせて、小さくなった闇を全て消し去る。
これが本当の最後。
わたしの体力と精神がどこまで持つかだ。
2時間、4時間経過して……
スッとターナの強張っていた力が不思議なくらいふわっと抜けた。
闇が全て消えていくのを感じた。
「……………終わった」
ターナを抱きしめたまま、わたしは眠りについた。
「疲れた……」
「…………………………イ…シャ!」
目が覚めるとわたしはベッドの上に寝かされていた。
「やっと目覚めた……よかった」
横を向くとキリアン様が、涙目になってわたしの手をギュっと握っていた。
「キリ…ア…ン様?」
ーーどうしてそんな顔をしているのだろう?
今にも泣きそうになってる。
いつも冷静な人のに。
わたしの頭を優しく撫でた。
「ずっと君は眠っていたんだ」
「そうなの?あ…ターナは?」
「ターナは今は治療のため入院したよ。闇にのまれてまともな体じゃなかったから、今は弱った体の治療をしているよ」
「闇は?」
「君の頑張りは凄いね、ターナの闇は完全に取り払われたよ。お疲れ様」
「…あ………良かった、本当に良かった」
「ところでアイシャはどれくらい眠り続けたと思う?」
「一晩?」
「はぁー、二週間だよ!アイシャの大量の魔力が底をつきかけていたんだ。危なかったんだ」
「そ、そう、だったんだ」
「いくら人の命を助けるためとはいえ自分の命を犠牲にしたらだめだ」
「うん、わかった」
起きてからキリアン様はわたしにくどくどと説教を続けた。
わたしは普段冷静でしっかりしているキリアン様が少し怒り気味で話す姿が、何故か可愛くみえてクスッと笑ってしまった。
「もう、アイシャ!真剣に聞いてるの?」
「もうそのくらいでやめておきなさい」
イルマナ様が部屋に入ってきて、キリアン様を呆れながら止めてくれた。
「だって、アイシャは危なかったんですよ!」
「わたし…そんな状態だったんですか?」
「うん、まあ、アイシャは無理しすぎたからね」
イルマナ様も渋い顔をした。
「みんな心配かけてごめんなさい」
あとで話を聞くと、わたしはターナの治療が終わった後、魔力が枯渇してそのまま意識を失い死にかけていたらしい。
三人が少しずつ自分の魔力を流してくれたのでなんとか助かった。
ただ他人に魔力を与えるのはとても激痛を伴うらしい。三人もかなりの魔力と体力をターナの治療で使っていたのに、さらにわたしに魔力を流してくれたのでほんと感謝しかない。
それもかなりの激痛。
私が二週間も眠り続けたのは魔力の回復がそれほどかかったということだった。
それでもまだ完全には魔力は戻ってきていない。
体もだるい。
なのに心はとても軽かった。
「アイシャ、ターナに会いにいきたいかい?」
お祖父様の質問にわたしは首を横に振った。
「お祖父様、ターナが助かったのならそれでいいです。もうこれでお父様にもお母様にもターナにも関わることはありません」
やっと解放された。
そんな気分だった。
日常生活に戻り、わたしはメリッサと買い物に出かけたり、友達の家に泊まりに行ったりと毎日楽しく過ごした。
ターナは、お母様の住む北の領地に引っ越して向こうで暮らすらしい。
わたしにお礼を言いたい、謝りたいと何度も連絡がきたけど、会うことはしなかった。
家族として助けたわけではない、医術者として助けたのだからお礼はいらない。
謝罪も必要がなかった。
もう終わったことだし、ターナを恨んではいない。
でも会えばお姉ちゃんだってバレてしまう。
前世のアイシャであって今のアイシャではない設定でお母様とターナの治療をしたのだから。
バレているっぽいけど。
そして、キリアン様はルビラ王国に二月ほど居たのだけど、「そろそろ帰らなきゃ」と言った。
せっかくキリアン様に会えたのに、また離れ離れになる。
それがとても寂しくて……
「アイシャ、もう一度だけ言わせて。俺と一緒に行かない?」
何度も疲れ果ててその度にイルマナ様とお祖父様、キリアン様が癒しの魔法をかけてくれたり、コントロールが乱れ闇に押し戻されようとした時はお祖父様が時の魔法で少しだけ時間を止めてくれた。
そして、気持ちを落ち着かせて立て直してまた治療に戻る。
キリアン様はターナが暴れず落ち着いている時わたしと代わり治療を継続してくれる。
三人がいてくれなければ一人ではとても無理だった。
そんな治療も始めてから5日目。
ターナが少しずつ落ち着きを取り戻してきた。
たまにわたしを正常な瞳で見ている。
「ターナ、負けないで。闇にのまれないで!わたしの声を聞いて!」
何度も声をかけた。
少しずつ反応が出てきた。
でもあとどれくらい続くのだろう。
さすがに疲れてきた。
体は癒しの魔法と休憩のおかげでなんとか持っているのだけど、ずっと繊細なコントロールが必要で、精神が悲鳴を上げていた。
それでもなんとか頑張れているのは、三人のおかげと……ターナが快方に向かっているから……
そして……7日目……
ターナが普通に喋った。
「…………お姉様?」
わたしを呼ぶとまたぐったりとして、眠り続けた。
「アイシャ、そろそろ最後に取り掛かろう」
お祖父様が私の肩をポンっと叩いた。
「はい」
わたしは今までは闇の塊に向かって流していた魔力をターナの全身に流し始めた。
少しずつ全体に行き渡らせて、小さくなった闇を全て消し去る。
これが本当の最後。
わたしの体力と精神がどこまで持つかだ。
2時間、4時間経過して……
スッとターナの強張っていた力が不思議なくらいふわっと抜けた。
闇が全て消えていくのを感じた。
「……………終わった」
ターナを抱きしめたまま、わたしは眠りについた。
「疲れた……」
「…………………………イ…シャ!」
目が覚めるとわたしはベッドの上に寝かされていた。
「やっと目覚めた……よかった」
横を向くとキリアン様が、涙目になってわたしの手をギュっと握っていた。
「キリ…ア…ン様?」
ーーどうしてそんな顔をしているのだろう?
今にも泣きそうになってる。
いつも冷静な人のに。
わたしの頭を優しく撫でた。
「ずっと君は眠っていたんだ」
「そうなの?あ…ターナは?」
「ターナは今は治療のため入院したよ。闇にのまれてまともな体じゃなかったから、今は弱った体の治療をしているよ」
「闇は?」
「君の頑張りは凄いね、ターナの闇は完全に取り払われたよ。お疲れ様」
「…あ………良かった、本当に良かった」
「ところでアイシャはどれくらい眠り続けたと思う?」
「一晩?」
「はぁー、二週間だよ!アイシャの大量の魔力が底をつきかけていたんだ。危なかったんだ」
「そ、そう、だったんだ」
「いくら人の命を助けるためとはいえ自分の命を犠牲にしたらだめだ」
「うん、わかった」
起きてからキリアン様はわたしにくどくどと説教を続けた。
わたしは普段冷静でしっかりしているキリアン様が少し怒り気味で話す姿が、何故か可愛くみえてクスッと笑ってしまった。
「もう、アイシャ!真剣に聞いてるの?」
「もうそのくらいでやめておきなさい」
イルマナ様が部屋に入ってきて、キリアン様を呆れながら止めてくれた。
「だって、アイシャは危なかったんですよ!」
「わたし…そんな状態だったんですか?」
「うん、まあ、アイシャは無理しすぎたからね」
イルマナ様も渋い顔をした。
「みんな心配かけてごめんなさい」
あとで話を聞くと、わたしはターナの治療が終わった後、魔力が枯渇してそのまま意識を失い死にかけていたらしい。
三人が少しずつ自分の魔力を流してくれたのでなんとか助かった。
ただ他人に魔力を与えるのはとても激痛を伴うらしい。三人もかなりの魔力と体力をターナの治療で使っていたのに、さらにわたしに魔力を流してくれたのでほんと感謝しかない。
それもかなりの激痛。
私が二週間も眠り続けたのは魔力の回復がそれほどかかったということだった。
それでもまだ完全には魔力は戻ってきていない。
体もだるい。
なのに心はとても軽かった。
「アイシャ、ターナに会いにいきたいかい?」
お祖父様の質問にわたしは首を横に振った。
「お祖父様、ターナが助かったのならそれでいいです。もうこれでお父様にもお母様にもターナにも関わることはありません」
やっと解放された。
そんな気分だった。
日常生活に戻り、わたしはメリッサと買い物に出かけたり、友達の家に泊まりに行ったりと毎日楽しく過ごした。
ターナは、お母様の住む北の領地に引っ越して向こうで暮らすらしい。
わたしにお礼を言いたい、謝りたいと何度も連絡がきたけど、会うことはしなかった。
家族として助けたわけではない、医術者として助けたのだからお礼はいらない。
謝罪も必要がなかった。
もう終わったことだし、ターナを恨んではいない。
でも会えばお姉ちゃんだってバレてしまう。
前世のアイシャであって今のアイシャではない設定でお母様とターナの治療をしたのだから。
バレているっぽいけど。
そして、キリアン様はルビラ王国に二月ほど居たのだけど、「そろそろ帰らなきゃ」と言った。
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