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88話
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せっかくキリアン様に会えたのに、また離れ離れになる。
それがとても寂しくて……
「アイシャ、もう一度だけ言わせて。俺と一緒に行かない?」
もう忘れようと思った恋なのに……
わたしは俯いたまま、何も言えずにいた。
「行きなさい」
お祖父様が部屋に入ってきて、わたしに優しく言った。
「お祖父様……」
突然、お祖父様が現れてわたしは驚いたけどキリアン様はニコッと笑った。
たぶんお祖父様が扉の外にいるのに気がついていたんだと思う。
「アイシャ、カイザ様から了承を得たんだから行こう!もうすぐ中等部は卒業だよね?
まだ勉強をしたいのならバナッシユ国で通えばいいよ。住むのもうちの母の屋敷でも君の向こうの父であるウィリアム様の屋敷でも好きなところを選んで!」
お祖父様のほうを見ると、お祖父様は少し苦笑いをした。
「アイシャ、イルマナからかなり高度な医術は学んだ。あとはキリアンが教えてくれるだろう。
そろそろお前の好きなことをしていいと思う。
周りに気を遣いながら生きる必要はない」
わたしは顔を上げることが出来なかった。俯いたまま、床にはたくさんの涙が落ちた。
わたしはこの国に生まれて幸せだった。
辛いこともあったけど、それ以上に前世では得られなかった友達もたくさんできたし、わたしのそばに居てくれる信頼できる人もたくさんいた。
「お祖父様、わたし………キリアン様についてバナッシユ国へ行ってもいいのですか?」
「たまにはわたしが会いにいくよ」
「絶対?会いにきてくれますか?」
「もちろんだ、お前もたまにはみんなに会いに帰ってきてくれるんだろう?」
「……はい」
「じゃあ、アイシャは俺がもらうね」
「悪いがキリアンにやるんじゃない。バナッシユ国へ行かせてあげるだけだ」
「違うよ、俺の婚約者として連れて帰るんだ。アイシャが15歳になるのを待っていたんだから!」
「え?ええ?」
キリアン様のどす黒い笑顔にわたしは少し後退りをしてしまった。
「カイザ様には頼んでいたんだ。アイシャには婚約者は作らないで欲しいと、俺が迎えに来るから」
「クソガキ、お前のためにアイシャに婚約者を作らなかったわけではない。
アイシャがまだお前のことを想っているのに無理矢理婚約者を作ったら可哀想だからだ」
「アイシャは俺のことちゃんと想ってくれてたんだ」
わたしは顔が真っ赤になってまた俯くしかなかった。
「クソガキ、アイシャを置いて帰ったくせに何を言ってるんだ」
「仕方ないでしょう?アイシャが幸せに暮らせるように向こうでいろいろ準備しないといけなかったんだから!もうこの国にアイシャを置いておきたくないしね。カイザ様はターナを壊してアイシャに尻拭いさせるし、ハイド様はリサ様の命乞いをするし、結局アイシャは、命を救うしかなかったんだ」
「………そのことは……アイシャ本当にすまなかった」
お祖父様は辛そうに何度も頭を下げた。
「お祖父様……ターナはお祖父様が治験を行わなくてもいずれは闇にのまれていました。それが早まっただけです……なんとかターナを助けることができた、もうそれだけで十分です」
「じゃあ、そういうことで、アイシャはもらって帰るから!」
「あ、あの、卒業まであとひと月あります。みんなときちんとお別れしてからバナッシユ国へ行きたいです」
「…………仕方ない……俺はさすがに向こうの仕事放ってきてるから一旦帰るね。アイシャすぐに迎えに来るからね」
キリアン様はそれから数日後バタバタとバナッシユ国へと帰国した。
ターナを助けるために無理やりルビラ王国に来てくれたから、もうこの国に留まるのは無理だったみたい。
それでも二月も居てくれた。
かなり無理をしていたみたい。
ーーーーー
卒業式までの間、学園に通うことはあまりない。
だからみんなで街に出かけたり、お茶会を開いたりして過ごした。
北の領地で仲良くなった友達も王都に遊びにきてくれた。
屋敷は広いので、男女10人が一人一部屋に泊まってもらった。
「アイシャが住んでた屋敷の何倍もここは広いのね」
「うわあ、凄いご馳走!」
「俺、騎士団で一緒に鍛錬やりたい!」
「俺も!」
「ふふ、ここにいる間は好き勝手にしてね、みんなに迷惑かけない程度で」
わたしはクスクス笑いながら言うと
「大丈夫、アイシャが困ることはしないさ」
平民も貴族の子も北の領地では仲がいい。
お祖父様は少し驚いていたけどみんな良い子なのですぐに使用人のみんなと仲良くなった。
魔力を待っている子には魔法の基礎を教えてくれたし、王都で社交デビューを来年する友達にはこちらでのマナーを教えた。
ひと月はあっという間に過ぎた。
「また会おう」
みんなと別れる時、涙が溢れた。
いつ次は会えるのだろう。
でもまた会いたい。
ううん、必ず会うと約束して別れた。
ーーーーー
卒業式。
わたしは最後になる制服に着替えた。
メリッサが「最後ですね、綺麗にしましょう」と言って綺麗に櫛で髪を梳かしてくれた。
何もせずに長い髪の毛を下ろしたままにしてもらった。
ブラウスの下には、キリアン様からもらったペンダントをこっそりと付けた。
ロウトは、「今日は馬車でお送りさせてもらいます」と言ってちゃっかりと馬車を用意していた。
「あら?最後だから二人で歩きたかったのに」
「いや、一人で最後にとぼとぼ帰るなんていやですよ」
ロウトは頭を横にぶるぶると振って、お断りされた。
卒業式の後、アリアとスピナ、クラスメイトと抱き合って泣いた。
みんなはこれから三年間一緒だけどわたしだけは離れてしまう。
今までのように会えなくなると思うと、寂しくて涙が止まらない。
ロウトの弟のヴィズは、ニヤッと笑った。
「俺、騎士になったらバナッシユ国で暮らすのも楽しそうだな」
「え?ついて来るの?」
「俺も一応アイシャの護衛だしね。兄貴もどうせついて行くんだろう?」
そう、ロウトとメリッサは夫婦でわたしについて来るとお祖父様に宣言した。
「いいのか?アイシャのためにそこまでしても?」
「わたし達にとってアイシャ様は大事な家族です。離れるなんて考えられません!ただし、給金は増しでお願いします」
ロウトはお祖父様に賃上げ要求をして、しっかり勝ち取っていた。
だからメリッサとロウトと離れることはない。
ヴィズは国外へ行ってみたかったらしく、わたしはダシでしかない。
寂しいけど、向こうでは賑やかな生活ができそうな予感。
そして、卒業パーティーの準備で一度屋敷に戻り急いでドレスアップを侍女たちが慌ただしく用意をしてくれた。
サラサラの長い髪を巻いてアップして髪飾りをつけてくれた。
化粧もドレスに負けないようにしっかりと。
ドレスはキリアン様が贈ってくれた。
わたしの瞳に合わせた淡いエメラルドグリーンのドレス。
フリルを減らして少し大人っぽいAラインのシンプルなドレス。
その代わり髪を華やかにして、大きめの金のネックレスを付けることにした。
いくつもの宝石が散りばめられていた。
エメラルドにダイヤ、ルビー、アメシスト、サファイア、色とりどりの宝石なのにシンプルなドレスのおかげで、とても合っていた。
「このネックレス、派手だと思ったけど、凄く合ってる気がするわ」
「さすがキリアン様ですね。こんな凄い宝石をプレゼントされて」
メリッサはわたしの姿を見ながら言った。
「今日一番美しいのはアイシャ様ですね」
「メリッサ、ありがとう。貴女の中ではわたしが一番ね」
そして馬車のところに行くと………
「キリアン様?」
それがとても寂しくて……
「アイシャ、もう一度だけ言わせて。俺と一緒に行かない?」
もう忘れようと思った恋なのに……
わたしは俯いたまま、何も言えずにいた。
「行きなさい」
お祖父様が部屋に入ってきて、わたしに優しく言った。
「お祖父様……」
突然、お祖父様が現れてわたしは驚いたけどキリアン様はニコッと笑った。
たぶんお祖父様が扉の外にいるのに気がついていたんだと思う。
「アイシャ、カイザ様から了承を得たんだから行こう!もうすぐ中等部は卒業だよね?
まだ勉強をしたいのならバナッシユ国で通えばいいよ。住むのもうちの母の屋敷でも君の向こうの父であるウィリアム様の屋敷でも好きなところを選んで!」
お祖父様のほうを見ると、お祖父様は少し苦笑いをした。
「アイシャ、イルマナからかなり高度な医術は学んだ。あとはキリアンが教えてくれるだろう。
そろそろお前の好きなことをしていいと思う。
周りに気を遣いながら生きる必要はない」
わたしは顔を上げることが出来なかった。俯いたまま、床にはたくさんの涙が落ちた。
わたしはこの国に生まれて幸せだった。
辛いこともあったけど、それ以上に前世では得られなかった友達もたくさんできたし、わたしのそばに居てくれる信頼できる人もたくさんいた。
「お祖父様、わたし………キリアン様についてバナッシユ国へ行ってもいいのですか?」
「たまにはわたしが会いにいくよ」
「絶対?会いにきてくれますか?」
「もちろんだ、お前もたまにはみんなに会いに帰ってきてくれるんだろう?」
「……はい」
「じゃあ、アイシャは俺がもらうね」
「悪いがキリアンにやるんじゃない。バナッシユ国へ行かせてあげるだけだ」
「違うよ、俺の婚約者として連れて帰るんだ。アイシャが15歳になるのを待っていたんだから!」
「え?ええ?」
キリアン様のどす黒い笑顔にわたしは少し後退りをしてしまった。
「カイザ様には頼んでいたんだ。アイシャには婚約者は作らないで欲しいと、俺が迎えに来るから」
「クソガキ、お前のためにアイシャに婚約者を作らなかったわけではない。
アイシャがまだお前のことを想っているのに無理矢理婚約者を作ったら可哀想だからだ」
「アイシャは俺のことちゃんと想ってくれてたんだ」
わたしは顔が真っ赤になってまた俯くしかなかった。
「クソガキ、アイシャを置いて帰ったくせに何を言ってるんだ」
「仕方ないでしょう?アイシャが幸せに暮らせるように向こうでいろいろ準備しないといけなかったんだから!もうこの国にアイシャを置いておきたくないしね。カイザ様はターナを壊してアイシャに尻拭いさせるし、ハイド様はリサ様の命乞いをするし、結局アイシャは、命を救うしかなかったんだ」
「………そのことは……アイシャ本当にすまなかった」
お祖父様は辛そうに何度も頭を下げた。
「お祖父様……ターナはお祖父様が治験を行わなくてもいずれは闇にのまれていました。それが早まっただけです……なんとかターナを助けることができた、もうそれだけで十分です」
「じゃあ、そういうことで、アイシャはもらって帰るから!」
「あ、あの、卒業まであとひと月あります。みんなときちんとお別れしてからバナッシユ国へ行きたいです」
「…………仕方ない……俺はさすがに向こうの仕事放ってきてるから一旦帰るね。アイシャすぐに迎えに来るからね」
キリアン様はそれから数日後バタバタとバナッシユ国へと帰国した。
ターナを助けるために無理やりルビラ王国に来てくれたから、もうこの国に留まるのは無理だったみたい。
それでも二月も居てくれた。
かなり無理をしていたみたい。
ーーーーー
卒業式までの間、学園に通うことはあまりない。
だからみんなで街に出かけたり、お茶会を開いたりして過ごした。
北の領地で仲良くなった友達も王都に遊びにきてくれた。
屋敷は広いので、男女10人が一人一部屋に泊まってもらった。
「アイシャが住んでた屋敷の何倍もここは広いのね」
「うわあ、凄いご馳走!」
「俺、騎士団で一緒に鍛錬やりたい!」
「俺も!」
「ふふ、ここにいる間は好き勝手にしてね、みんなに迷惑かけない程度で」
わたしはクスクス笑いながら言うと
「大丈夫、アイシャが困ることはしないさ」
平民も貴族の子も北の領地では仲がいい。
お祖父様は少し驚いていたけどみんな良い子なのですぐに使用人のみんなと仲良くなった。
魔力を待っている子には魔法の基礎を教えてくれたし、王都で社交デビューを来年する友達にはこちらでのマナーを教えた。
ひと月はあっという間に過ぎた。
「また会おう」
みんなと別れる時、涙が溢れた。
いつ次は会えるのだろう。
でもまた会いたい。
ううん、必ず会うと約束して別れた。
ーーーーー
卒業式。
わたしは最後になる制服に着替えた。
メリッサが「最後ですね、綺麗にしましょう」と言って綺麗に櫛で髪を梳かしてくれた。
何もせずに長い髪の毛を下ろしたままにしてもらった。
ブラウスの下には、キリアン様からもらったペンダントをこっそりと付けた。
ロウトは、「今日は馬車でお送りさせてもらいます」と言ってちゃっかりと馬車を用意していた。
「あら?最後だから二人で歩きたかったのに」
「いや、一人で最後にとぼとぼ帰るなんていやですよ」
ロウトは頭を横にぶるぶると振って、お断りされた。
卒業式の後、アリアとスピナ、クラスメイトと抱き合って泣いた。
みんなはこれから三年間一緒だけどわたしだけは離れてしまう。
今までのように会えなくなると思うと、寂しくて涙が止まらない。
ロウトの弟のヴィズは、ニヤッと笑った。
「俺、騎士になったらバナッシユ国で暮らすのも楽しそうだな」
「え?ついて来るの?」
「俺も一応アイシャの護衛だしね。兄貴もどうせついて行くんだろう?」
そう、ロウトとメリッサは夫婦でわたしについて来るとお祖父様に宣言した。
「いいのか?アイシャのためにそこまでしても?」
「わたし達にとってアイシャ様は大事な家族です。離れるなんて考えられません!ただし、給金は増しでお願いします」
ロウトはお祖父様に賃上げ要求をして、しっかり勝ち取っていた。
だからメリッサとロウトと離れることはない。
ヴィズは国外へ行ってみたかったらしく、わたしはダシでしかない。
寂しいけど、向こうでは賑やかな生活ができそうな予感。
そして、卒業パーティーの準備で一度屋敷に戻り急いでドレスアップを侍女たちが慌ただしく用意をしてくれた。
サラサラの長い髪を巻いてアップして髪飾りをつけてくれた。
化粧もドレスに負けないようにしっかりと。
ドレスはキリアン様が贈ってくれた。
わたしの瞳に合わせた淡いエメラルドグリーンのドレス。
フリルを減らして少し大人っぽいAラインのシンプルなドレス。
その代わり髪を華やかにして、大きめの金のネックレスを付けることにした。
いくつもの宝石が散りばめられていた。
エメラルドにダイヤ、ルビー、アメシスト、サファイア、色とりどりの宝石なのにシンプルなドレスのおかげで、とても合っていた。
「このネックレス、派手だと思ったけど、凄く合ってる気がするわ」
「さすがキリアン様ですね。こんな凄い宝石をプレゼントされて」
メリッサはわたしの姿を見ながら言った。
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