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番外編 イルーダ王国編
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キリアン様が家に帰ってくると、なんだかとても不機嫌な顔になった。
「アイシャ、ここに知らない人が来ただろう?」
「え?知らない人ではないですよ?」
「アレは知らない人だ」
キリアン様がこんなに機嫌が悪くなるのは珍しい。
「キリアン様……あなたのお父様ですよね?せっかく会いに来られたのに」
「来るなと言ってあったはずなんだ。まさか名乗ったのか?」
「違います、あなたと同じ魔力を纏っていたのですぐにわかりました」
「……ハアーー、君は人の魔力の区別も出来るのか。そんなに似ていた?」
「はい、同じ魔力です、優しくて暖かい、キリアン様と同じです」
わたしの言葉にキリアン様は怒っていたはずの顔が少し和らいだ。
「君にはそう感じるの?」
「もちろんです!キリアン様の魔力はとても柔らかいんです」
「お願いだから、誰でも家に入れないで。心配するだろう?」
「キリアン様……わたしがどれくらい魔法を使えるかご存知ですよね?その辺の魔力持ちの人なら簡単にやっつけられますよ?」
「そう言う意味ではない、わかって言ってるだろう?アイツはとても強い魔力とこの国で一番強い力を持っているんだ」
「でも、でも、キリアン様のお父様です」
「違うよ、だった……だよ。もうアイツには別の家族がいる。俺とアイツは他人だ」
「だったらどうしてこの国に来たんですか?」
「それは君にとって一番住みやすい国だからだよ」
「はい、わたしもこの国が大好きになりました。その大好きな国を守ってくれているキリアン様のお父様を怖がることなんてないですよね?」
「アイシャは何も伝えていないのに全てわかっていたんだね」
「すみません、この国に来てすぐに感じたんです、キリアン様と同じ魔力を持っている大きな力を……それを辿ったら国王陛下に辿り着きました」
「どうやって辿ったの?」
キリアン様はとても興味深そうに聞いてきた。
「はい……魔力をただ目を瞑って辿っただけですよ?」
「それで最後まで辿れたの?」
キリアン様が驚いていた。
「はい……おかしいですか?」
「いや……アイシャしか出来ないかも」
「え?たぶんキリアン様も出来ますよ?簡単ですからコツを教えましょうか?」
「今度教えてもらうよ」
わたしが話を逸らすと、キリアン様はにっこり笑った。
「誤魔化されないよ、アイシャがアイツに会うのは禁止だよ?会う時は俺と一緒の時だけにして?」
「はい」
キリアン様は父親の話になるととても嫌がった。
たぶん親子の二人にしかわからない確執があるのだろう。
あんなに優しそうなお義父様なのに。
このイルーダ王国の国王陛下には王妃と第一王子、第二王子、そして第一王女様がいる。
キリアン様のお母様のエマ様がこの国の王妃だったと聞いたことはない。
お二人は結婚していなかったのか、誰にも知られない結婚だったのかわからない。
わたしの前世の記憶でも、エマ様はキリアン様と二人で小さな家で暮らしていた。キリアン様が魔力を発動したのはわたしが亡くなる日だったとエマ様に聞いた。
キリアン様は父親の顔を知らないで育ったはずだ。でも彼は敢えて暮らすのにこの国を選んだ。
それは私にとっても暮らしやすいから。そしてキリアン様の力も存分に発揮できるから。
それだけ?
私自身も自分からお義父様に会おうなどと考えたことはない。でもせっかく会いに来られたのだからお話ししてみたかった。
でも、キリアン様がここまで嫌がるのならもうお会いしない方がいいだろう。
そして、それからはお義父様が訪れることはなかった。
なのに………
家でゆっくりと夕飯の支度をしていたら、お義父様が変装もせずに慌てて家にやってきた。
「アイシャ、すまない……キリアンに二度と来るなと言われていたんだが、どうしても君の力を借りたいんだ。キリアンには伝言を出した。お願いだ、娘を助けてくれないか?」
「娘?どうしたのですか?」
「娘が呪いを受けてしまったんだ」
「呪いですか?なぜ?」
「王家に伝わる大事な宝箱を勝手に開けてしまったんだ。きちんとした手順で開けなければ呪いがかかるように施されていたんだ」
話を聞くと魔術師達もお手上げだそうだ。
日に日に症状は酷くなっているらしい。
「残念ながらわたしが呪いを解呪できるとは思えません」
「君は妹さんを助けたと聞いた。呪いは黒魔法と同じものから出来ているんだ、君は無属性の珍しい光魔法を持っている、君しかもういないんだ」
「ターナの時の黒魔法……でも同じではないのですよね?」
「一度みてもらえないだろうか?お願いだ」
「……わかりました、少しお待ちください」
わたしは火を消して戸締りをするとキリアン様へ伝言を魔力で送った。
たぶんキリアン様は嫌な顔をする。でも優しいキリアン様なら義妹の苦しみを助けるのを止めることはしないだろう。
お義父様と共に馬車に乗り王城へ向かった。
部屋に通されるとぐったりとしている8歳くらいの女の子がベッドに寝かされていた。
女の子の体には見たことのない模様が浮き上がり、息苦しそうにしていた。
その模様が女の子の体を締め上げているのがわかる。
「全身に模様が出て仕舞えば、ディルアは呪い殺されてしまう」
そう言われてディルマ様の体を見ると、上半身には模様が出ているがお腹から下はまだ何も出ていない。
首には出ているけど顔にはまだ出ていない。
わたしはとりあえず彼女の体にわたしの魔力をそっと流してみた。
黒い重たい魔力が彼女の体の中でうごめいていた。
思わず手を離してしまった。
「どうだった?」
お義父様が心配そうに聞いた。
「これはわたし一人では難しいです、キリアン様の力が必要です」
とても一人の癒しの力ではこの呪いは解けない。
わたしが呪いを解く間、もう一つの癒しの力で治癒も同時にしなければいけない。
タイミングがズレれば呪いはもっと広がって死を早めることになる。
そのことをお義父様と周りにいる王宮魔術師の人に説明した。
「キリアンに頼むしかないのか……彼が引き受けてくれるかは……」
「キリアン様は医師です。魔術と医術を使って人を助けるのがお仕事です。あなたとの確執など病人の前では関係ありません」
わたしはキリアン様にもう一度伝言を送った。
わたしが苦手な転移魔法。
キリアン様はわたしが送った伝言を受けてすぐに転移してきてくれた。
「アイシャ、言ったよね?勝手に人を家に入れてはいけない。この人と会ってはいけないと!」
そう言って怒りながらも、キリアン様は義妹の様子を見た。
「この子?呪いを受けたのは?」
近くにいる二人の姿を見るとやはり義兄妹とはいえ似ている。
キリアン様は大きなため息を吐くと、わたしに向かって聞いてきた。
「アイシャ、今魔力はどれくらいあるの?」
「わたしは今日は何もしていないのでしっかりあります」
「わかった。だったら一気に始めよう。少しでも早い方が治療も簡単で済むからね」
「みんな出て行ってくれる?集中したいから」
わたしとキリアン様の二人になった。わたしはディルマ様の心臓に両手を当てた。
キリアン様は、ディルマ様の右手を握り、わたしの両手に手を置いた。
そして目で合図をして、そっと魔力を流し始めた。
黒魔術の呪いを少しずつ解かしていく。
一気にすれば幼い彼女の体が悲鳴を上げる。
ゆっくりと少しずつ黒くドス黒い呪いを解かす。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
あと少し、あと少し、そう思いながら魔力を流す。
二人とも話をすることはない。
聞こえるのは三人の呼吸だけ。
静かな時間がずっと続く。
ふっと体が軽くなった。
「…あっ、終わった……」
わたしはそのまま床に倒れ込んだ。
体の力が抜けてしまった。
「アイシャ、疲れたね」
キリアン様はわたしを抱きしめてくれた。
「キリアン様もお疲れ様でした」
二人で微笑みあった。
ディルマ様は、スヤスヤと眠っていた。
呪いなどなかったかのように気持ちよさそうに眠っていた。
「可愛い、キリアン様を女の子にしたみたい。もし娘が生まれたらこんな感じなのかしら?」
「違うよ、アイシャに似た綺麗で可愛い女の子だよ」
「ふふ、綺麗と可愛い、二つも入っているなんて、楽しみですね」
「そうだね、アイシャ、ごめんね。君が子供を欲しがっているのを知っていたのに……俺は親のことがあって子供なんて要らない、君と二人でいいと思っていたんだ。でも君が隣の子供達を可愛がっている姿を見て、自分達の子供がいたらって考えるようになってたんだ」
「キリアン様も子どもが欲しくなったんですか?」
「うん、アイシャに似た女の子がね」
「わたしはキリアン様に似た娘と息子が欲しいです」
ーーーーー
わたし達はディルマ様の部屋を出た。
廊下にはディルマ様を心配した王妃様と二人の王子が立っていた。
やはりキリアン様に少し似た二人だった。
お義父様はわたし達に駆け寄る。
「もう大丈夫です、今はスヤスヤと眠っています」
「ありがとう」
お義父様は、頭を下げて部屋に入って行った。
王妃様と王子もわたし達に頭を下げて部屋へと入った。
「キリアン様、帰りましょうか?」
わたしとキリアン様は疲れていたけど体は軽くて二人で手を繋いで王城を後にした。
歩くとかなりの道のりなのに、二人でいろんな話をした。
もし子供が生まれたら……
大きな家を買ってお庭にはたくさんの花を植えて、子供が走り回れるようにしたい。
お勉強も大事だけど、優しい子に育って欲しい。
剣術や体術も覚えて欲しい。
ピアノは?絵画は?
歌を歌うのも楽しい。
魔術が出来なくても、楽しく暮らすことはできるよね?
その時は魔道具の発明をたくさんしたらどうかな?
話していたら家に辿り着いた。
「夕食は作りかけだった……もう朝だけど、とりあえずある物を食べて寝ましょうか?」
わたしの提案にキリアン様は「そうだね」と言ってとりあえずお腹を満たして、わたし達はぐっすりと眠りについた。
ディルマ様を治療して魔力と体力を使い果たしたわたし達は気がつけば3日も眠り続けていた。
「アイシャ、ここに知らない人が来ただろう?」
「え?知らない人ではないですよ?」
「アレは知らない人だ」
キリアン様がこんなに機嫌が悪くなるのは珍しい。
「キリアン様……あなたのお父様ですよね?せっかく会いに来られたのに」
「来るなと言ってあったはずなんだ。まさか名乗ったのか?」
「違います、あなたと同じ魔力を纏っていたのですぐにわかりました」
「……ハアーー、君は人の魔力の区別も出来るのか。そんなに似ていた?」
「はい、同じ魔力です、優しくて暖かい、キリアン様と同じです」
わたしの言葉にキリアン様は怒っていたはずの顔が少し和らいだ。
「君にはそう感じるの?」
「もちろんです!キリアン様の魔力はとても柔らかいんです」
「お願いだから、誰でも家に入れないで。心配するだろう?」
「キリアン様……わたしがどれくらい魔法を使えるかご存知ですよね?その辺の魔力持ちの人なら簡単にやっつけられますよ?」
「そう言う意味ではない、わかって言ってるだろう?アイツはとても強い魔力とこの国で一番強い力を持っているんだ」
「でも、でも、キリアン様のお父様です」
「違うよ、だった……だよ。もうアイツには別の家族がいる。俺とアイツは他人だ」
「だったらどうしてこの国に来たんですか?」
「それは君にとって一番住みやすい国だからだよ」
「はい、わたしもこの国が大好きになりました。その大好きな国を守ってくれているキリアン様のお父様を怖がることなんてないですよね?」
「アイシャは何も伝えていないのに全てわかっていたんだね」
「すみません、この国に来てすぐに感じたんです、キリアン様と同じ魔力を持っている大きな力を……それを辿ったら国王陛下に辿り着きました」
「どうやって辿ったの?」
キリアン様はとても興味深そうに聞いてきた。
「はい……魔力をただ目を瞑って辿っただけですよ?」
「それで最後まで辿れたの?」
キリアン様が驚いていた。
「はい……おかしいですか?」
「いや……アイシャしか出来ないかも」
「え?たぶんキリアン様も出来ますよ?簡単ですからコツを教えましょうか?」
「今度教えてもらうよ」
わたしが話を逸らすと、キリアン様はにっこり笑った。
「誤魔化されないよ、アイシャがアイツに会うのは禁止だよ?会う時は俺と一緒の時だけにして?」
「はい」
キリアン様は父親の話になるととても嫌がった。
たぶん親子の二人にしかわからない確執があるのだろう。
あんなに優しそうなお義父様なのに。
このイルーダ王国の国王陛下には王妃と第一王子、第二王子、そして第一王女様がいる。
キリアン様のお母様のエマ様がこの国の王妃だったと聞いたことはない。
お二人は結婚していなかったのか、誰にも知られない結婚だったのかわからない。
わたしの前世の記憶でも、エマ様はキリアン様と二人で小さな家で暮らしていた。キリアン様が魔力を発動したのはわたしが亡くなる日だったとエマ様に聞いた。
キリアン様は父親の顔を知らないで育ったはずだ。でも彼は敢えて暮らすのにこの国を選んだ。
それは私にとっても暮らしやすいから。そしてキリアン様の力も存分に発揮できるから。
それだけ?
私自身も自分からお義父様に会おうなどと考えたことはない。でもせっかく会いに来られたのだからお話ししてみたかった。
でも、キリアン様がここまで嫌がるのならもうお会いしない方がいいだろう。
そして、それからはお義父様が訪れることはなかった。
なのに………
家でゆっくりと夕飯の支度をしていたら、お義父様が変装もせずに慌てて家にやってきた。
「アイシャ、すまない……キリアンに二度と来るなと言われていたんだが、どうしても君の力を借りたいんだ。キリアンには伝言を出した。お願いだ、娘を助けてくれないか?」
「娘?どうしたのですか?」
「娘が呪いを受けてしまったんだ」
「呪いですか?なぜ?」
「王家に伝わる大事な宝箱を勝手に開けてしまったんだ。きちんとした手順で開けなければ呪いがかかるように施されていたんだ」
話を聞くと魔術師達もお手上げだそうだ。
日に日に症状は酷くなっているらしい。
「残念ながらわたしが呪いを解呪できるとは思えません」
「君は妹さんを助けたと聞いた。呪いは黒魔法と同じものから出来ているんだ、君は無属性の珍しい光魔法を持っている、君しかもういないんだ」
「ターナの時の黒魔法……でも同じではないのですよね?」
「一度みてもらえないだろうか?お願いだ」
「……わかりました、少しお待ちください」
わたしは火を消して戸締りをするとキリアン様へ伝言を魔力で送った。
たぶんキリアン様は嫌な顔をする。でも優しいキリアン様なら義妹の苦しみを助けるのを止めることはしないだろう。
お義父様と共に馬車に乗り王城へ向かった。
部屋に通されるとぐったりとしている8歳くらいの女の子がベッドに寝かされていた。
女の子の体には見たことのない模様が浮き上がり、息苦しそうにしていた。
その模様が女の子の体を締め上げているのがわかる。
「全身に模様が出て仕舞えば、ディルアは呪い殺されてしまう」
そう言われてディルマ様の体を見ると、上半身には模様が出ているがお腹から下はまだ何も出ていない。
首には出ているけど顔にはまだ出ていない。
わたしはとりあえず彼女の体にわたしの魔力をそっと流してみた。
黒い重たい魔力が彼女の体の中でうごめいていた。
思わず手を離してしまった。
「どうだった?」
お義父様が心配そうに聞いた。
「これはわたし一人では難しいです、キリアン様の力が必要です」
とても一人の癒しの力ではこの呪いは解けない。
わたしが呪いを解く間、もう一つの癒しの力で治癒も同時にしなければいけない。
タイミングがズレれば呪いはもっと広がって死を早めることになる。
そのことをお義父様と周りにいる王宮魔術師の人に説明した。
「キリアンに頼むしかないのか……彼が引き受けてくれるかは……」
「キリアン様は医師です。魔術と医術を使って人を助けるのがお仕事です。あなたとの確執など病人の前では関係ありません」
わたしはキリアン様にもう一度伝言を送った。
わたしが苦手な転移魔法。
キリアン様はわたしが送った伝言を受けてすぐに転移してきてくれた。
「アイシャ、言ったよね?勝手に人を家に入れてはいけない。この人と会ってはいけないと!」
そう言って怒りながらも、キリアン様は義妹の様子を見た。
「この子?呪いを受けたのは?」
近くにいる二人の姿を見るとやはり義兄妹とはいえ似ている。
キリアン様は大きなため息を吐くと、わたしに向かって聞いてきた。
「アイシャ、今魔力はどれくらいあるの?」
「わたしは今日は何もしていないのでしっかりあります」
「わかった。だったら一気に始めよう。少しでも早い方が治療も簡単で済むからね」
「みんな出て行ってくれる?集中したいから」
わたしとキリアン様の二人になった。わたしはディルマ様の心臓に両手を当てた。
キリアン様は、ディルマ様の右手を握り、わたしの両手に手を置いた。
そして目で合図をして、そっと魔力を流し始めた。
黒魔術の呪いを少しずつ解かしていく。
一気にすれば幼い彼女の体が悲鳴を上げる。
ゆっくりと少しずつ黒くドス黒い呪いを解かす。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
あと少し、あと少し、そう思いながら魔力を流す。
二人とも話をすることはない。
聞こえるのは三人の呼吸だけ。
静かな時間がずっと続く。
ふっと体が軽くなった。
「…あっ、終わった……」
わたしはそのまま床に倒れ込んだ。
体の力が抜けてしまった。
「アイシャ、疲れたね」
キリアン様はわたしを抱きしめてくれた。
「キリアン様もお疲れ様でした」
二人で微笑みあった。
ディルマ様は、スヤスヤと眠っていた。
呪いなどなかったかのように気持ちよさそうに眠っていた。
「可愛い、キリアン様を女の子にしたみたい。もし娘が生まれたらこんな感じなのかしら?」
「違うよ、アイシャに似た綺麗で可愛い女の子だよ」
「ふふ、綺麗と可愛い、二つも入っているなんて、楽しみですね」
「そうだね、アイシャ、ごめんね。君が子供を欲しがっているのを知っていたのに……俺は親のことがあって子供なんて要らない、君と二人でいいと思っていたんだ。でも君が隣の子供達を可愛がっている姿を見て、自分達の子供がいたらって考えるようになってたんだ」
「キリアン様も子どもが欲しくなったんですか?」
「うん、アイシャに似た女の子がね」
「わたしはキリアン様に似た娘と息子が欲しいです」
ーーーーー
わたし達はディルマ様の部屋を出た。
廊下にはディルマ様を心配した王妃様と二人の王子が立っていた。
やはりキリアン様に少し似た二人だった。
お義父様はわたし達に駆け寄る。
「もう大丈夫です、今はスヤスヤと眠っています」
「ありがとう」
お義父様は、頭を下げて部屋に入って行った。
王妃様と王子もわたし達に頭を下げて部屋へと入った。
「キリアン様、帰りましょうか?」
わたしとキリアン様は疲れていたけど体は軽くて二人で手を繋いで王城を後にした。
歩くとかなりの道のりなのに、二人でいろんな話をした。
もし子供が生まれたら……
大きな家を買ってお庭にはたくさんの花を植えて、子供が走り回れるようにしたい。
お勉強も大事だけど、優しい子に育って欲しい。
剣術や体術も覚えて欲しい。
ピアノは?絵画は?
歌を歌うのも楽しい。
魔術が出来なくても、楽しく暮らすことはできるよね?
その時は魔道具の発明をたくさんしたらどうかな?
話していたら家に辿り着いた。
「夕食は作りかけだった……もう朝だけど、とりあえずある物を食べて寝ましょうか?」
わたしの提案にキリアン様は「そうだね」と言ってとりあえずお腹を満たして、わたし達はぐっすりと眠りについた。
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