【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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離縁してください

【22】

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 アレックとは離縁しました。

 わたしは実家に帰り、今はお父様達と一緒に領地をさらに豊かに作物がとれる土壌へと変えるため、農民達と共に鍬を持ち働き始めた。

 男性恐怖症も、わたしよりもかなり年上の農民達と関わることで少しずつ治ってきた。

 おじさん達なら完全に平気だわ。

 今は大声で笑いあえる。

 アレックはもう一度わたしと関係を築きたいと言ってくれた。だけど、……断りを入れた。

 愛していたからこそもう彼とよりを戻したいと思えなかった。それくらい彼はモテる。

 次に彼を狙う女性が現れたら?わたしはまたその女性の陰に怯え過ごすことになるかもしれない。そんなことはない、そう思ってもソニア殿下がわたしに残した心の傷は思った以上に深く、アレックを愛していたからこそ、彼の近くに女性がいるだけであの頃の辛かった日々を思い出しトラウマになってしまった。



 夜会での出来事。

 アレックはわたしに話しかけてきてくれた。

 だけど周りの女性達はそんな私たちのことを放っておいてはくれない。聞こえるように噂をしてくる。

「別れたはずなのに?」
「ソニア殿下は泣く泣くお嫁に行かれたらしいわよ」
「アレック様はお優しいのね、別れた人にまで気を遣われて」

 ーーわたしとアレックの離婚した事情なんて誰も知らない。

 だからみんな好き勝手なことを言う。もうアレックと関わるのは懲り懲りだ。

 わたしが一人悪者なの?

 ソニア殿下の結婚のこと、これまでの嫌がらせのことについてバライズ殿下に全て教えていただいた。

「アレックと離縁はしないでやってくれないか?君のことを本気で愛しているんだ」

 わたしは何も言えず殿下に曖昧に微笑み返すことしかできなかった。

 アレックとは話し合った。

 何もいらない、だから、離縁するだけでいいと。

 アレックはもう一度好きになってもらう。と言ってくれた。

 でももうそれもお断りするつもり。




「アレックと離縁したのね?」
 お義母様……ううん、侯爵夫人は夜会でわたしを捕まえてそう言うとーー

「だったらうちで働かないかしら?美味しいお茶とお菓子を作ってくれるメイドが欲しかったの」と言われた。

 そばにいたミゼルとカミラが何も言えずに一緒に驚いていた。

「アレック様のお母様……なかなか凄いわね」
 カミラはわたしと同じ伯爵令嬢でもちろん侯爵夫人のことも知っている。

「うーん、まぁ、相変わらず頭の中が……」
 ーーお花畑なお人だから……

 アレックと結婚すればお義母様がもれなくついてくる。

 うーん、もういらないかも……

 おひとり様の生活に慣れてもう一年。やっとわたしの噂も消え始めた頃、ソニア殿下が妊娠されたとの話が広まりお祝いムード。


 久しぶりに王都のタウンハウスで過ごしていると、団長と娘のプリシラ様が遊びにきてくれた。

 二人のために領地で採れた果物をふんだんに使いパイを焼いた。

 最近、お茶の葉も領地で栽培して特産品として売り出そうとしている。まだまだたくさんの量は作れないけどお客様用に自分で茶葉を作り、保存しておいた紅茶を淹れた。

「美味しい」
「ああ、確かに今までの紅茶とは全く違うな」

「本当ですか?わたしが自ら栽培して、茶葉にして保存しているお茶なんです。お湯の温度、時間、茶葉の量、全て何度も何度も試してやっと見つけ出したんです。このお茶にとって一番ベストな淹れ方を!だからとても嬉しいです」

「シルビアは何を目指してるんだ?」
 団長に呆れられながら言われた。

「わたしですか?おひとり様でのんびり好きなことをして生きようかなと思いまして」

「アレックはお前に完全に振られたと落ち込んでいたぞ」

「……わたしには勿体無い人なので。彼にはいくらでもお相手を選べると思います」

「………まあ、シルビアが決めることだから……そう言えばソニア様、なんだが……」

「あっ、おめでただと聞きました。喜ばしいことで」

「んっ……あぁ、まぁ、そうだな……」

 プリシラ様は言葉を濁す団長の横でニコニコ笑いながら言った。

「誰の子がわからないんだって、学校でみんなが言ってたわ。コウノトリさんは間違えてソニア様のところへ連れてきたのかしら?」

「そうですね、コウノトリさんもたまには間違えることもあるかもしれませんね?みんな同じ卵に見えますものね?」

 ソニア殿下はやはりソニア殿下なんだわ。そう思うとなんだかおかしくて笑いが出た。

「ふふっ、ほんとそうだわ」





       終








「俺は君をずっと愛しています」

 アレックからの何度となく言われ続けた言葉に頷く日は………あるのか今のところはわからない。
















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