【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
24 / 156
二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【2】

しおりを挟む
「何をしているのでしょう?」

 ミーナがわたしのおかしな動きを見ていた。

 ーーそうよね?確かに何してるのかしら?

 部屋の中でウロウロ動き回っているだけだもの。
 だって、どうやってこのお城を出ていけばいいのか全くわからないもの。
 考えてみたらこの国に来てこの城からほとんど出たことがない。

 どうやって出ていくのか……どうやってリンデの森に行けばいいのか全くわからないの。

 それに、まだアイリーンはセデンに嫁いでいない。そろそろそんな話が宰相の口から出始めて、セデンに伝える頃……かな?まだかな?どうかな?うーん、わたしとセデンの関係はまだ良好?だったような……

 でも殺されるのは確かだし。

 ーーあっ!舞踏会!

 思い出したわ、そろそろ舞踏会がある。そこで美しいアイリーンがみんなに注目されて、宰相の目にとまり、セデンの第二妃として望まれるのよ!

 わたしはそれをただ指を咥えて見ていた。何もできずに、反対することもできずに。

 ふと思い出して
「ミーナ、お腹が空いたわ」と、遅い朝食をお願いした。

「はいはい、すぐにお待ちしますね?」

「お願い」

 いきなり食事のことを言ったのは彼女を部屋から追い出すため。セデンとは仲は悪くはない。だけど、この城の中でわたしのことをよく思っていない使用人も多く彼から声がかからない時は部屋の中で食事をしている。

 今わたしは一人っきりになって頭の中を整理したい。

 舞踏会の前にはなんとかこの城を出て行きたい。

 ベランダに出て見たけどこんな高いところから下には降りれそうもない。

 わたしの魔法なんてちょっとした怪我を治すくらいしか役に立たない。

 体が浮いたりなんてしないし……

 ふわっ。

 ーーえっ?う、浮いた!

 床から足が離れてる。嘘?なんで?

 なんとなく目線をベランダへ向けると……ベランダへふわっと移動した。

 ーーなんで?

 まるで魔法使いみたい。

 それに………体に魔力が……充満しているのがわかる。

 死んで時間を巻き戻したら……魔力が増えた?

 ええ?やっぱりオーグに会いに行かないと。色々聞いてみたいことがあるわ。

「失礼致します」

 ーーあっ、ミーナが!


 慌てて部屋に戻り椅子に座った。

「お食事です」

「ありがとう、ミーナは?一緒に食べましょう?」

「そう言っていただけると思って自分の分ももらってきました」

 ミーナは明るいし人懐っこいからこの城の使用人達からも好かれているみたい。

 彼女が生きていた頃は食事もちゃんと食べれていたな……ミーナはなぜ死んだのかしら?

 あの時は突然倒れて亡くなって、パニックでよく考えなかったけど、こんな元気なミーナがなぜ?それにあの頃セデンの態度もあからさまに酷くなっていった。

 わたしの前でアイリーン妃と抱き合いキスをしたり、用事もないのにセデンの部屋に呼ばれ二人の睦言も態と聞かされた。

 あの頃わたしの精神はだんだんおかしくなっていった。今考えると正常な考えなんて出来ていなかった。

 ま、セデンへの愛はもうない。それだけは確かだわ。うん!たぶん……

 ミーナと二人で笑い合いながら食べるこの時間が懐かしくて、二度と手放したくないと思う。

 ミーナはこの城を出て行きたいと言ったらついてきてくれるかしら?

 ミーナ、一人くらいならわたしが持っている宝石を売ればしばらくは養っていけそうな気がするわ。

 それにこの魔力量なら魔術師として生計を立てることもできるかもしれない。

 オーグに会いに行きたい。

 ミーナにどう話しを切り出そうかと迷っていると突然部屋に侍従が入ってきた。

「イリアナ妃、お願いです!すぐに来ていただけませんか?」

「どうしたの?」

「怪我をした騎士達がたくさん城に戻ってきているんです」

 ーーえっ?前の時にそんなことあったかしら?

 わたしの癒しの力なんてたいしたことはできないのに……それを知っていて助けて欲しいなんて……

「何があったの?」

「魔獣が……」

「魔獣?この国の魔獣は人を襲うほど強い魔獣ではないはずだけど?」

「突然変異で……かなりの騎士達が向かってなんとか倒したのですが、怪我人が多く、追いつかないんです」

「わかったわ……」

 ーーうーん、わたしの魔力が強くなったけど、魔獣も強くなって……なんだか嫌な予感しかしないわ。

 さっさと逃げなきゃ、わたしも……また殺されそうだわ。






「これは………」

 軽く考えていた。

 騎士達は血だらけで……腕をなくした者も……もう生きているのがやっとだという者もいる……

 体が震える……怖い……わたしがどこまで助けることができるの?

「早く!」
「お願いします」

 周りの期待に応えることができるの?

 手が震え逃げ出したくなる。

「イリアナ様……出来ることだけ……それだけで…」

 ミーナが必死でわたしに話しかける。

「う、うん、わかった」

 床に膝をつく。

 血だらけで横になっている騎士達の体にそっと触れる。

 ーーさっきは魔法が使えた。魔力も感じた……わたしなら出来る。

 いつものように必死で魔力を流すのではなく軽く魔力を流した。たくさんの人を助けるには無駄な魔力は使えない。

 そう思ったのに……驚くほどの回復力で騎士の酷い怪我が治ってしまった。

「……えっ?」

 驚き目を見開いていると、「次の人を!」と体を引っ張られた。

「は、はいっ!」

 もうどうでもいい、とにかくやれることだけやろう。周りの人の目など気にもせず必死で癒しの力を使いまくった。

 ほんのわずかしかなかったはずの魔力、苦手な癒しの力を不思議なくらい簡単に使いこなせた。

 早くこの城を立ち去らないといけないのに。わたしはそのことを忘れて無我夢中で助けることだけに集中していた。

しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。 問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。 もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

処理中です...