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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。
【13】
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わたしの中で混在している。
巻き戻る前の記憶と今。同じ世界だけど違う世界。
そうわたしは亡くなる前のアイリーン様が来る前まではセデンにそれなりに愛されていたと思う。
無能なわたしを大切にしてくれた。王妃達も使用人もセデンの前でだけは、わたしを大切に扱ってくれた。
そして……この体に……月のものがなくなっていることに気が付かなかった。
もしかしたら………
そう考えると怖くなって……だけどミーナの前では気丈に振る舞った。
「ミーナ、今日ここを出るの。初めての魔法に緊張しているのよ」
「……わかりました、でも何かあったらすぐに仰ってください。必ずですよ?」
「もちろんよ、もうすぐ……暗くなる。花火が打ち上げられるわ」
ーーそう、もし…妊娠していたとしても、それなら尚更ここにはいられないわ。
でも前回とは違いすぎてる。まさか妊娠しているかもしれないなんて……
どこか離れた街で一度お医者様に診てもらおう。そう思いながらふと体がゾクっとしてしまう。
緊張からなのか、何か悪いことが起きるのか、早くこの城から抜け出したい。
だけどあともう少し。わたしの存在なんて誰も気にもしないだろうけど、もし逃げ出して途中で見つかれば……軟禁されてしまうだろう。癒しの力が失われることはこの国の人たちにとってはかなりの痛手になるもの。
わたしは一生セデンの妻という場所から逃げ出せずに飼い殺しにされるか、また矢で殺されるか……
ソワソワしながら一人部屋にいた。ミーナは部屋を出て、いつものように食後の片付けを始めた。
ーーまだ誰にも疑われていないはず。
扉のノックの音が聞こえた。
「………はい?」
ーーこの時間に顔を出すのはいつもマルセル殿下。だけど彼は今頃陛下達と挨拶を始めるために別の場所にいる。ここに来ることはできないはずだわ。
「…………」
返事がない。
「誰かしら?」
もう一度訊ねた。
「お忙しい時間に失礼致します。わたしはアイリーン・ベルサール。ベルサール伯爵の娘でございます」
ーーこの声は………
もう二度と聴きたくないあの声。可愛らしい鈴が鳴っているような声。みんなを惹きつける甘い声。
「申し訳ないのだけど知らない方を部屋に入れるわけにはいかないわ。前もって先触れを出してから日にちを決めて後日お会いしましょう」
ーーこの扉を開けるわけにはいかない。
ミーナは部屋の鍵を持っている。でも普段はしっかり鍵を閉めている。
「………突然の訪問で申し訳ありません。ですが……王太子妃殿下、大切なお話があります。聞いていただきたいのです」
「……そう、だったら、先触れを出しなさい。知らない人と話すことはできないわ」
「………チッ……」
ーーえっ?舌打ちした?
わたしは扉から離れた。
でもなんだか嫌な予感しかない。
窓を開けてベランダへすぐ出られるようにしておこう。小さな鞄一つがわたしの全て。
足元に鞄を置き、彼女が立ち去る気配をじっと窺っていた。
「行くわよ」
外から聞こえてきた声にホッとした。
でも何故アイリーン様がわたしの部屋に?
こんな奥の部屋に勝手に入って来れるものなの?いくら厳重に警備がされていないとはいえ一応王族の住む場所。
簡単に入っては来られないはずなのに……彼女はまだ誰にも見染められていない。だからセデンの妃候補にも名はあがっていないはずなのに。
ミーナが早く戻ってきてくれれば。
心の中で願わずにいられなかった。
ーー少しでも1秒でも早く……ここを立ち去らなければ。
心の中が騒つく。ここにいてはダメだと。早く逃げろと。
記憶の中のアイリーン様がわたしを見て微笑む。優しい瞳の中にある蔑んだ目で微笑みかける。
ーーああ、また……彼女に囚われてしまう。逃げたいのに……逃げられなくなる。
「な、何………?今の記憶は………」
頭の中に浮かび上がってきたのは……現実なのか夢なのか……またアイリーン様がセデンと仲睦まじくいる姿。それは巻き戻される前の記憶ではなく……『今』……でも今は二人は出会っていないし妃候補にすらなっていない。
わたしの中の記憶がおかしくなっている。
だって巻き戻って……今必死に逃げようとしているところだもの。アイリーン様に会っていないのに……何故アイリーン様がわたしの前で気持ち悪く微笑むの?どうして最近会っていないはずのセデンと二人仲良くしている記憶があるの?
おかしい……何かがおかしい……
記憶が変わり始めている。わたしの頭の中に嫌な記憶が作られてきている。
嫌だ、いやだ、イヤだ……もうあんな辛い思いはしたくない。今度こそ逃げると決めたの……オーグ……助けて……わたしは……ここから逃げたいのに……
………………また………引き摺られていく……セデンとアイリーン様が二人寄り添う世界に……もうあんな思いはしたくないのに……
オーグ………わたしの本当のお父さん……助けて………
オーグに助けを呼んだ。なのにオーグからの反応はない……やっぱり幸せになろうとした罰……?
巻き戻る前の記憶と今。同じ世界だけど違う世界。
そうわたしは亡くなる前のアイリーン様が来る前まではセデンにそれなりに愛されていたと思う。
無能なわたしを大切にしてくれた。王妃達も使用人もセデンの前でだけは、わたしを大切に扱ってくれた。
そして……この体に……月のものがなくなっていることに気が付かなかった。
もしかしたら………
そう考えると怖くなって……だけどミーナの前では気丈に振る舞った。
「ミーナ、今日ここを出るの。初めての魔法に緊張しているのよ」
「……わかりました、でも何かあったらすぐに仰ってください。必ずですよ?」
「もちろんよ、もうすぐ……暗くなる。花火が打ち上げられるわ」
ーーそう、もし…妊娠していたとしても、それなら尚更ここにはいられないわ。
でも前回とは違いすぎてる。まさか妊娠しているかもしれないなんて……
どこか離れた街で一度お医者様に診てもらおう。そう思いながらふと体がゾクっとしてしまう。
緊張からなのか、何か悪いことが起きるのか、早くこの城から抜け出したい。
だけどあともう少し。わたしの存在なんて誰も気にもしないだろうけど、もし逃げ出して途中で見つかれば……軟禁されてしまうだろう。癒しの力が失われることはこの国の人たちにとってはかなりの痛手になるもの。
わたしは一生セデンの妻という場所から逃げ出せずに飼い殺しにされるか、また矢で殺されるか……
ソワソワしながら一人部屋にいた。ミーナは部屋を出て、いつものように食後の片付けを始めた。
ーーまだ誰にも疑われていないはず。
扉のノックの音が聞こえた。
「………はい?」
ーーこの時間に顔を出すのはいつもマルセル殿下。だけど彼は今頃陛下達と挨拶を始めるために別の場所にいる。ここに来ることはできないはずだわ。
「…………」
返事がない。
「誰かしら?」
もう一度訊ねた。
「お忙しい時間に失礼致します。わたしはアイリーン・ベルサール。ベルサール伯爵の娘でございます」
ーーこの声は………
もう二度と聴きたくないあの声。可愛らしい鈴が鳴っているような声。みんなを惹きつける甘い声。
「申し訳ないのだけど知らない方を部屋に入れるわけにはいかないわ。前もって先触れを出してから日にちを決めて後日お会いしましょう」
ーーこの扉を開けるわけにはいかない。
ミーナは部屋の鍵を持っている。でも普段はしっかり鍵を閉めている。
「………突然の訪問で申し訳ありません。ですが……王太子妃殿下、大切なお話があります。聞いていただきたいのです」
「……そう、だったら、先触れを出しなさい。知らない人と話すことはできないわ」
「………チッ……」
ーーえっ?舌打ちした?
わたしは扉から離れた。
でもなんだか嫌な予感しかない。
窓を開けてベランダへすぐ出られるようにしておこう。小さな鞄一つがわたしの全て。
足元に鞄を置き、彼女が立ち去る気配をじっと窺っていた。
「行くわよ」
外から聞こえてきた声にホッとした。
でも何故アイリーン様がわたしの部屋に?
こんな奥の部屋に勝手に入って来れるものなの?いくら厳重に警備がされていないとはいえ一応王族の住む場所。
簡単に入っては来られないはずなのに……彼女はまだ誰にも見染められていない。だからセデンの妃候補にも名はあがっていないはずなのに。
ミーナが早く戻ってきてくれれば。
心の中で願わずにいられなかった。
ーー少しでも1秒でも早く……ここを立ち去らなければ。
心の中が騒つく。ここにいてはダメだと。早く逃げろと。
記憶の中のアイリーン様がわたしを見て微笑む。優しい瞳の中にある蔑んだ目で微笑みかける。
ーーああ、また……彼女に囚われてしまう。逃げたいのに……逃げられなくなる。
「な、何………?今の記憶は………」
頭の中に浮かび上がってきたのは……現実なのか夢なのか……またアイリーン様がセデンと仲睦まじくいる姿。それは巻き戻される前の記憶ではなく……『今』……でも今は二人は出会っていないし妃候補にすらなっていない。
わたしの中の記憶がおかしくなっている。
だって巻き戻って……今必死に逃げようとしているところだもの。アイリーン様に会っていないのに……何故アイリーン様がわたしの前で気持ち悪く微笑むの?どうして最近会っていないはずのセデンと二人仲良くしている記憶があるの?
おかしい……何かがおかしい……
記憶が変わり始めている。わたしの頭の中に嫌な記憶が作られてきている。
嫌だ、いやだ、イヤだ……もうあんな辛い思いはしたくない。今度こそ逃げると決めたの……オーグ……助けて……わたしは……ここから逃げたいのに……
………………また………引き摺られていく……セデンとアイリーン様が二人寄り添う世界に……もうあんな思いはしたくないのに……
オーグ………わたしの本当のお父さん……助けて………
オーグに助けを呼んだ。なのにオーグからの反応はない……やっぱり幸せになろうとした罰……?
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