【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【23】

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 イリアナが死んで巻き戻った世界。
 俺は彼女が幸せになることだけを願い過ごす、俺の彼女への贖罪はそれしかなかった。

 だからイリアナには会わないように心がけた。
 そしてアイリーンがこの城に現れないようにベルサール伯爵には登城禁止令を出した。

 ベルサール伯爵にはもともときな臭い噂が多かった。レンに探らせたらかなり悪どいことをしていることがわかった。しかしすぐに罰することはできなかった。

 まだまだ証拠が足りない。ベルサール伯爵家は貴族社会の中で強い発言権を持ち、財力もある高位貴族で簡単に罰することはできなかった。

 それでも疑いがあり取り調べ中ということで、登城だけは許可しない旨を言い渡した。

 巻き戻ってからできることを精一杯彼女のために動いた。そんな中魔獣が出て大騒ぎになった。
 突然変異の魔獣……アイリーンの仕業?

 たくさんの騎士たちが大怪我をして城に戻ってきた。

 医師たちに怪我人を任せて俺たちは魔獣がどうして突然変異を起こしたのか原因を調べに現地へと向かった。

 しかし何もわからなかった。現地は魔獣が暴れたため木々はなぎ倒され、荒れ果ててはいたが他に魔獣はいない静かな森へと戻っていた。

 死んだ魔獣もいつの間にか消えていた。




 城に戻るとイリアナが癒しの魔法でたくさんの怪我人を治していた。
 巻き戻る前はほとんど力を使えず母上のの治療を施すくらいしかできないと聞いていた。

 弟のマルセルが気を失ったイリアナを抱き抱えて部屋に連れ帰ったと聞いた。

 嫉妬なんてする権利は俺にはない。
 ーーわかってる……だけど…

 思わず壁を叩いた。

「くそっ!」



 マルセルが興味本位で度々イリアナに接近しているのを俺は止めることもできずただ見守るしかなかった。

 マルセルが気に留めていてくれれば俺がいくら会いに行かなくてもイリアナに対して使用人たちも酷い態度は取らない。

 それにレンにも彼女の部屋に顔を出すように伝えてある。始めは嫌がっていた連絡係も最近は嫌な顔をしなくなった。

 イリアナのことを認め始めたのかもしれない。

 巻き戻る前はイリアナに対して皆が無能だとか暗いだとか、あまり評判が良くなかった。

 いくら俺が彼女を愛していても簡単には周りの評価を変えることは難しかった。
 いや、俺自身、彼女を愛していたはずなのに一番蔑ろにしていた。







 

 花火の打ち上げの日。

 何故か嫌な予感が頭から離れない。

 そんな時アイリーンの姿を見かけた。

 出禁にしていたはずのアイリーンが何故?

 アイリーンは数人の使用人を連れてパステルカラーのドレスを着て王城内を楽しそうに歩いていた。



 俺はアイリーンの元へ思わず向かった。

「何故王城への出入りを禁止されている其方がここにいるんだ?」

 俺の問いにふわっと微笑んだ。

「今日は花火が打ち上げられる日です。一番綺麗な場所で愉しみたいだけですわ」

 ーー何を勝手なことを。

「君にはその権利はない。すぐに屋敷に帰って伯爵と共にじっとしているんだ。君たちには容疑がかかっているんだからな」

「何を言ってるのかしら?わたしは妃なのよ?」




 俺は公務のため一度陛下たちと国民に挨拶をし終えると、イリアナのところへ向かった。

 

 大きな色とりどりの花火が上がり始めた。


 
 あれだけイリアナには会わないと決めていたのに、何故か足がイリアナへと向かう。




「ああ、もうここで死ぬのもいいかもしれない」
 イリアナはベランダから飛び降りようとしていた。

 足がベランダの柵を越えようとした。


「ダメだ……イリアナ……」

 思わず声をかけてしまった……

 イリアナは振り返らずにそのままベランダを飛び越えた。

「イリアナ!」

「セデン………」
 
 あと少しで地面に激突すると思ったら突然ふわっと体が浮いた。

「イリアナ………イリアナぁ!」

 ベランダの手摺りから覗き込んでイリアナの名を呼んだ。

「あなたに名前を呼ばれたくはないわ」

 地面に立ったイリアナの声はベランダ冷たく、俺を見つめる目も冷たかった。

 巻き戻ってからの俺はイリアナに会おうとしなかった。そんな俺をイリアナは恨んでいるのだろうか?それとも巻き戻る前の記憶がイリアナにもあるのだろうか?
 
「……すまない……」

 ーーあっ、花火がどんどん上がり始めた。

 俺の意識がまた朧気になり始めた。

 俺の後ろに突然イリアナの侍女が現れた。

 侍女は笑顔で俺に近づき何故か微笑み合った。そして侍女は俺に抱きついてきた。
 俺は抵抗したいのに、突き放すことが出来ずに優しく抱きしめた。
 イリアナに見せつけるように抱き合い、キスを始めた。

 目を見開き固まったままのイリアナに向けて侍女は嗤う。

 ーーこんなことしたくなんてない!

 どんなに抵抗しようとしても体が勝手に動く。

ーーなんで!また目の前でイリアナを傷つけなければいけないんだ!

 

 
 イリアナは背を向けて体を宙に浮かし城を出て行った。





 
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