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(まだ)離縁しません
中編 2
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「今日はやけに静かね?」
メイドのリナがクスッと笑う。
「お寂しいのですか?」
「そんなことないわ」
本当はフランがいなくて寂しい。
だけど今日は旦那様の元妻であるフランの本当の母シェリーゼ様とフランが月に一回会う日だから我慢しなくちゃ。
フランは今日はベッドにわたしを起こしにくることもなかった。
ウキウキしていつもの倍増しの笑顔で『行ってきます!』とお出かけした……うっ寂しい。
もちろんわたしの顔を見て『くそババア行ってくる』と挨拶されたけど。
あの言葉遣いをなんとか直さないと。
そう思っていたら、なんと、4歳児にして使い分けていた。
そうわたしにだけあんな汚い言葉を使うのだ。
お客様が来たらあの天使の笑顔で迎え入れ、綺麗な言葉で挨拶をして、きちんと受け答えをする。
そう、ちゃんと4歳でも貴族子息としての教育を受け、きちんとそれを習得していたのだ。
ただ、父親の再婚に反発して、わたしにだけあんな言葉を使っていたのだ……うっ、これもかなりショック。
旦那様とは愛なんてない。契約結婚で白い結婚。
だけどフランには少しでもいいから好かれたい。
『すまないね、アンナ』
旦那様は申し訳なさそうに謝罪してくれたけど、内心面白がっているのがわかる。
だって笑ってるんだもの、顔が。
確か無表情であまり感情を表に出さない人のはずが?
そう従姉妹のマーシャが言ってたはずなのに。
わたしが幼い頃の旦那様(兄様と呼んでた頃)は、確かにわたしやマーシャと遊んでくれる優しいおにいちゃんだった。わたしも懐いていてベッタリだったもの。
旦那様は多分覚えていないと思う。あの頃のわたしは髪をペンキだらけにしてペンキが落ちずバッサリと短くしていた。
スカートが似合わなすぎてズボンとシャツを着て男の子のような格好をしていた。
だからあの頃のわたしを絶対男の子だと思っているはず。
あのマーシャと一緒にいた子供がわたしでした。なんて絶対言えない。
黒歴史だもの。
暇でウジウジしていると、メイドのリナが部屋にやってきた。
「アンナ様、お暇ならお庭に出てみませんか?」
「そうね、そうしようかしら」
この屋敷に来てひと月。
まだまだ慣れないことばかりでゆっくり庭を見る暇なんてなかった。
庭をかけずり回ってはいるけど。
フランを追いかけ回して!
庭には色とりどりの薔薇が咲いていた。
ラベンダーやチューリップも咲いていて目を楽しませてくれる。
「ねぇ?あそこ、あの広い芝生でシートを敷いてお茶をしたらどうかしら?」
「ご用意しましょうか?」
「ううん、今ではないの。フランが帰ってきてから、明日は?天気はどうかしら?」
「明日も晴れそうですよ?フラン様、とても喜ばれると思います」
「そうかな?じゃあ、クッキーをわたしが焼いたら喜んで食べてくれるかしら?」
「フラン様はクッキーが大好きですから、お喜びになると思います」
「わたし、お菓子作りは割と得意なの」
お散歩を切り上げて厨房へと向かった。
料理長にお願いして厨房を使わせてもらえることになった。
「奥様はお菓子作りはしたことがあるのですか?」
料理長が驚き聞いてきた。
「うちは男爵だったのでそれほど使用人は多くなかったの。それにお母様は商家の娘で料理が得意だったの。だからよく使用人達と料理を作ってみんなでテーブルを囲んで食事をしていたの」
「使用人とですか?」
料理長達が驚いていた。
「ええ、そうよ。お母様の実家では使用人達がいてくれるから店も商売も上手くいくんだと言われて育ったの。だから使用人は家族と同じ感覚らしいの」
「素敵なお母様ですね」
「ふふふ、とても明るくて誰にでも優しい人だったわ。お父様はひとが良すぎて騙されて借金を抱えて……二人とも必死で働いて、事故で亡くなったの」
「すみません悲しいことを思い出させてしまいました」
「ううん、いいの。お父様とお母様の話をすることは二人がこの世に生きたことを忘れないでいられると言うことだから、たくさん二人のいいところを話してあげたいの……あっ、でも、二人の悪いところの方がたくさん思い出せるかも⁈だって二人ともほんと、お人好しで騙されても『理由があるのよ、仕方ないわ』と笑って終わるんだもの」
「アンナ様がこの屋敷に嫁いできてくださってからこの屋敷はとても明るくなりました。私どもは感謝しております」
「わたしもみんなに感謝しているのよ。両親が亡くなってまだ半年。思い出すと涙が出そうになる時もあったわ。でもここに来てからは泣かなくなったの。
フランが毎日わたしに元気をくれるし手がやけるからなかなか泣いている暇もないもの」
「フラン様も随分明るくなったし落ち着きました」
「そう?いつもクソババアとしか言われないからまだまだ、だけど」
◆ ◆ ◆
すみません。書いていて楽しくて少し長くなりそうです(大汗)
読んでいいよ~と思う方、よろしくお願いします
メイドのリナがクスッと笑う。
「お寂しいのですか?」
「そんなことないわ」
本当はフランがいなくて寂しい。
だけど今日は旦那様の元妻であるフランの本当の母シェリーゼ様とフランが月に一回会う日だから我慢しなくちゃ。
フランは今日はベッドにわたしを起こしにくることもなかった。
ウキウキしていつもの倍増しの笑顔で『行ってきます!』とお出かけした……うっ寂しい。
もちろんわたしの顔を見て『くそババア行ってくる』と挨拶されたけど。
あの言葉遣いをなんとか直さないと。
そう思っていたら、なんと、4歳児にして使い分けていた。
そうわたしにだけあんな汚い言葉を使うのだ。
お客様が来たらあの天使の笑顔で迎え入れ、綺麗な言葉で挨拶をして、きちんと受け答えをする。
そう、ちゃんと4歳でも貴族子息としての教育を受け、きちんとそれを習得していたのだ。
ただ、父親の再婚に反発して、わたしにだけあんな言葉を使っていたのだ……うっ、これもかなりショック。
旦那様とは愛なんてない。契約結婚で白い結婚。
だけどフランには少しでもいいから好かれたい。
『すまないね、アンナ』
旦那様は申し訳なさそうに謝罪してくれたけど、内心面白がっているのがわかる。
だって笑ってるんだもの、顔が。
確か無表情であまり感情を表に出さない人のはずが?
そう従姉妹のマーシャが言ってたはずなのに。
わたしが幼い頃の旦那様(兄様と呼んでた頃)は、確かにわたしやマーシャと遊んでくれる優しいおにいちゃんだった。わたしも懐いていてベッタリだったもの。
旦那様は多分覚えていないと思う。あの頃のわたしは髪をペンキだらけにしてペンキが落ちずバッサリと短くしていた。
スカートが似合わなすぎてズボンとシャツを着て男の子のような格好をしていた。
だからあの頃のわたしを絶対男の子だと思っているはず。
あのマーシャと一緒にいた子供がわたしでした。なんて絶対言えない。
黒歴史だもの。
暇でウジウジしていると、メイドのリナが部屋にやってきた。
「アンナ様、お暇ならお庭に出てみませんか?」
「そうね、そうしようかしら」
この屋敷に来てひと月。
まだまだ慣れないことばかりでゆっくり庭を見る暇なんてなかった。
庭をかけずり回ってはいるけど。
フランを追いかけ回して!
庭には色とりどりの薔薇が咲いていた。
ラベンダーやチューリップも咲いていて目を楽しませてくれる。
「ねぇ?あそこ、あの広い芝生でシートを敷いてお茶をしたらどうかしら?」
「ご用意しましょうか?」
「ううん、今ではないの。フランが帰ってきてから、明日は?天気はどうかしら?」
「明日も晴れそうですよ?フラン様、とても喜ばれると思います」
「そうかな?じゃあ、クッキーをわたしが焼いたら喜んで食べてくれるかしら?」
「フラン様はクッキーが大好きですから、お喜びになると思います」
「わたし、お菓子作りは割と得意なの」
お散歩を切り上げて厨房へと向かった。
料理長にお願いして厨房を使わせてもらえることになった。
「奥様はお菓子作りはしたことがあるのですか?」
料理長が驚き聞いてきた。
「うちは男爵だったのでそれほど使用人は多くなかったの。それにお母様は商家の娘で料理が得意だったの。だからよく使用人達と料理を作ってみんなでテーブルを囲んで食事をしていたの」
「使用人とですか?」
料理長達が驚いていた。
「ええ、そうよ。お母様の実家では使用人達がいてくれるから店も商売も上手くいくんだと言われて育ったの。だから使用人は家族と同じ感覚らしいの」
「素敵なお母様ですね」
「ふふふ、とても明るくて誰にでも優しい人だったわ。お父様はひとが良すぎて騙されて借金を抱えて……二人とも必死で働いて、事故で亡くなったの」
「すみません悲しいことを思い出させてしまいました」
「ううん、いいの。お父様とお母様の話をすることは二人がこの世に生きたことを忘れないでいられると言うことだから、たくさん二人のいいところを話してあげたいの……あっ、でも、二人の悪いところの方がたくさん思い出せるかも⁈だって二人ともほんと、お人好しで騙されても『理由があるのよ、仕方ないわ』と笑って終わるんだもの」
「アンナ様がこの屋敷に嫁いできてくださってからこの屋敷はとても明るくなりました。私どもは感謝しております」
「わたしもみんなに感謝しているのよ。両親が亡くなってまだ半年。思い出すと涙が出そうになる時もあったわ。でもここに来てからは泣かなくなったの。
フランが毎日わたしに元気をくれるし手がやけるからなかなか泣いている暇もないもの」
「フラン様も随分明るくなったし落ち着きました」
「そう?いつもクソババアとしか言われないからまだまだ、だけど」
◆ ◆ ◆
すみません。書いていて楽しくて少し長くなりそうです(大汗)
読んでいいよ~と思う方、よろしくお願いします
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