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嫌です。別れません
7話
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「かあちゃん!ちょっと森に行って木の実をとってくる」
「リオ危ないからダメ!」
慌ててわたしが外に出て止めようとした時にはもうリオは森の中へと向かっていた。
「もうリオも6歳になるんだ。危ない危ないと言ってたら何にもできない子になるよ。危険防止の魔法はかけたから心配しないで待ってな」
「……はい」
わたしより魔女さんの方が過保護じゃない?思わずそう言いたくなった。
危険防止の魔法って、もの凄く大金を積まないと買えない魔法なんだよ?王族とか高位貴族から頼まれてたまにかけてあげてるわよね?
魔女さんはリオをとても可愛がっている。だからと言ってそんな簡単にリオが森に行くくらいで……
わたしが呆れた顔をしているのに気がついた魔女さんは、ちょっとムッとしながら言った。
「リオは優しくて賢い、とても可愛らしいんだ。ほんの少しでも傷ついたら可哀想だろう。あたしがかける魔法なんだから好きにしてもいいだろう?」
「魔女さん、大好きです」
思わず苦笑しながらも魔女さんに抱きつくと「あんたから好きと言われても嬉しくないよ」と突き放された。
「リオのことを考えるとそろそろ学校へ通わせないといけない歳になってきました」
この国では8歳くらいから平民も学校へ通う。簡単な算数と字の読み書きなどを教わる。と言っても毎日通うことはなく、週に2日程、数時間だけなんだけど。
それでも学校へ通えることを子供達は楽しみにしているらしい。普段は家の仕事を手伝ったり兄弟の世話をしたりと自由に過ごせない平民の子にとって学校へ通えることは友達づくりはもちろん学ぶ楽しさに夢中になれる。
わたしは神殿で暮らしていた時、高位貴族の方達との接点が多かったこともあり、学問の時間をしっかり取られていて、それはそれは厳しく勉強させられた。
おかげで計算や字を書くことだけではなく、多ヶ国語を話せるし、国々の特徴や生活習慣、貴族名まで覚えさせられた。
『明日お会いする方の為人を覚えておきなさい』
いつも神官長に言われて、書類を手渡される。
ほんの少しでも失礼がないようにしなければいけなかった。
相手の好み、性格、どんな暮らしをしているのか、爵位や家族構成まで。
たかが治療にそこまで?と一回口にしたら二日間何も食べさせてもらえなかった。
あとで他の神官がやってきて「高額な寄付が入ってくるから少しでも粗相がないようにしないといけないんだよ、お前は馬鹿か?」と言われた。
だって彼らの治療って、ちょっと足が痛いだの、最近眠れないだの、どう考えても不摂生しているだけで、乱れた生活をやめて規則正しく生活するだけで治ることが多いんだもの。
そこに色々覚える必要性はないと思うのよね。
なんて久しぶりに昔のことを思い出した。
ダンがわたしをあの神殿から連れ出してくれたおかげで今こんなに幸せな暮らしができている。
でもね、ダン、わたしはダンに会いたいの。
たまに迷いの森を抜け山を降り街に出る。
そこでダンの姿を探す。
ダンがよく通った女性の家に行ってみたけど、そこにはもうその女性は住んでいなかった。
考えてみたら、ダンの遊びの相手の名前とか住所とかよく知らない。唯一我が家に怒鳴り込んできたアイリスさんくらいだわ、はっきりと顔を知ったのは。
あとは噂とダンの体にまとわりついた香水の匂い。
噂は村の中ではもう当たり前のように話されていた。
「今日もダンの奴、女のところにいたらしい」
「ダンが今付き合ってる女、胸がデカくて尻もなかなかのもんらしい」
「俺も御相伴にあずかりたいな」
「へへっ、俺もたまにはかあちゃん以外の女を抱きたいわ!羨ましいなダンは」
そんな話がわたしの耳に入ってきた。
そして必ずと言っていいくらい女の甘い香水の匂いや化粧品の匂い、たまに首筋の赤い痕をつけて帰ってくる。
だから言った。
「わたしじゃダメなの?たまにはわたしを抱いてよ!」
だけどダンは一度もわたしを抱いてくれなかった。
ダン、知ってる?結婚してもう7年過ぎたんだよ?白い結婚は3年で離縁できるんだよ?
わたし達は平民なんだから簡単に籍は抜ける。でもね、嫌だよ、離縁なんてしたくない。
わたしのことを愛していなくても他に女がいてもわたしはダンが好き。
あの神殿から連れ出してくれたダンに一目惚れした。
ううん、多分…死にかけていたダンを見た時から……生きることを諦めて死ぬことを受け入れていたダン。
なのにダンはとても美しく輝いて見えた。だからこの人を生かしたいと強く思った。
結婚して妻になって……リオを連れてきてくれてわたし達は家族になった。みんなバラバラで本当の家族ではないけど、わたしにとってダンは大切な旦那様でリオはわたしの大切な息子。
そして最近は魔女さんは大切な母のような人。
「あんたが娘?馬鹿言うんじゃないよ?あたしはもっと可愛げのある可愛らしい娘がいいんだよ」
とわたしのことを否定される。
だけど知ってるの。
わたしが自分の病気や怪我には治癒魔法が効かないから魔女さんはわたしのために毎日危険防止の魔法をかけてくれていることを。
でもわたしは気づかないふりをするの。
魔女さんは思っている以上に恥ずかしがり屋さんなんだもの。
だからお礼に魔女さんの好きなパイを焼いたりきのこのシチューを作ってあげるの。
そこに癒しの魔力を込めて。
魔女さんが少しでも元気でいてくれますようにとねがいながら。
そしてリオが元気で笑顔で毎日暮らせますようにと。
ダンには……怪我をしないでね、病気をしないでね、ずっと待ってるから。
と、毎日神様に祈りを捧げて過ごしている。
「リオ危ないからダメ!」
慌ててわたしが外に出て止めようとした時にはもうリオは森の中へと向かっていた。
「もうリオも6歳になるんだ。危ない危ないと言ってたら何にもできない子になるよ。危険防止の魔法はかけたから心配しないで待ってな」
「……はい」
わたしより魔女さんの方が過保護じゃない?思わずそう言いたくなった。
危険防止の魔法って、もの凄く大金を積まないと買えない魔法なんだよ?王族とか高位貴族から頼まれてたまにかけてあげてるわよね?
魔女さんはリオをとても可愛がっている。だからと言ってそんな簡単にリオが森に行くくらいで……
わたしが呆れた顔をしているのに気がついた魔女さんは、ちょっとムッとしながら言った。
「リオは優しくて賢い、とても可愛らしいんだ。ほんの少しでも傷ついたら可哀想だろう。あたしがかける魔法なんだから好きにしてもいいだろう?」
「魔女さん、大好きです」
思わず苦笑しながらも魔女さんに抱きつくと「あんたから好きと言われても嬉しくないよ」と突き放された。
「リオのことを考えるとそろそろ学校へ通わせないといけない歳になってきました」
この国では8歳くらいから平民も学校へ通う。簡単な算数と字の読み書きなどを教わる。と言っても毎日通うことはなく、週に2日程、数時間だけなんだけど。
それでも学校へ通えることを子供達は楽しみにしているらしい。普段は家の仕事を手伝ったり兄弟の世話をしたりと自由に過ごせない平民の子にとって学校へ通えることは友達づくりはもちろん学ぶ楽しさに夢中になれる。
わたしは神殿で暮らしていた時、高位貴族の方達との接点が多かったこともあり、学問の時間をしっかり取られていて、それはそれは厳しく勉強させられた。
おかげで計算や字を書くことだけではなく、多ヶ国語を話せるし、国々の特徴や生活習慣、貴族名まで覚えさせられた。
『明日お会いする方の為人を覚えておきなさい』
いつも神官長に言われて、書類を手渡される。
ほんの少しでも失礼がないようにしなければいけなかった。
相手の好み、性格、どんな暮らしをしているのか、爵位や家族構成まで。
たかが治療にそこまで?と一回口にしたら二日間何も食べさせてもらえなかった。
あとで他の神官がやってきて「高額な寄付が入ってくるから少しでも粗相がないようにしないといけないんだよ、お前は馬鹿か?」と言われた。
だって彼らの治療って、ちょっと足が痛いだの、最近眠れないだの、どう考えても不摂生しているだけで、乱れた生活をやめて規則正しく生活するだけで治ることが多いんだもの。
そこに色々覚える必要性はないと思うのよね。
なんて久しぶりに昔のことを思い出した。
ダンがわたしをあの神殿から連れ出してくれたおかげで今こんなに幸せな暮らしができている。
でもね、ダン、わたしはダンに会いたいの。
たまに迷いの森を抜け山を降り街に出る。
そこでダンの姿を探す。
ダンがよく通った女性の家に行ってみたけど、そこにはもうその女性は住んでいなかった。
考えてみたら、ダンの遊びの相手の名前とか住所とかよく知らない。唯一我が家に怒鳴り込んできたアイリスさんくらいだわ、はっきりと顔を知ったのは。
あとは噂とダンの体にまとわりついた香水の匂い。
噂は村の中ではもう当たり前のように話されていた。
「今日もダンの奴、女のところにいたらしい」
「ダンが今付き合ってる女、胸がデカくて尻もなかなかのもんらしい」
「俺も御相伴にあずかりたいな」
「へへっ、俺もたまにはかあちゃん以外の女を抱きたいわ!羨ましいなダンは」
そんな話がわたしの耳に入ってきた。
そして必ずと言っていいくらい女の甘い香水の匂いや化粧品の匂い、たまに首筋の赤い痕をつけて帰ってくる。
だから言った。
「わたしじゃダメなの?たまにはわたしを抱いてよ!」
だけどダンは一度もわたしを抱いてくれなかった。
ダン、知ってる?結婚してもう7年過ぎたんだよ?白い結婚は3年で離縁できるんだよ?
わたし達は平民なんだから簡単に籍は抜ける。でもね、嫌だよ、離縁なんてしたくない。
わたしのことを愛していなくても他に女がいてもわたしはダンが好き。
あの神殿から連れ出してくれたダンに一目惚れした。
ううん、多分…死にかけていたダンを見た時から……生きることを諦めて死ぬことを受け入れていたダン。
なのにダンはとても美しく輝いて見えた。だからこの人を生かしたいと強く思った。
結婚して妻になって……リオを連れてきてくれてわたし達は家族になった。みんなバラバラで本当の家族ではないけど、わたしにとってダンは大切な旦那様でリオはわたしの大切な息子。
そして最近は魔女さんは大切な母のような人。
「あんたが娘?馬鹿言うんじゃないよ?あたしはもっと可愛げのある可愛らしい娘がいいんだよ」
とわたしのことを否定される。
だけど知ってるの。
わたしが自分の病気や怪我には治癒魔法が効かないから魔女さんはわたしのために毎日危険防止の魔法をかけてくれていることを。
でもわたしは気づかないふりをするの。
魔女さんは思っている以上に恥ずかしがり屋さんなんだもの。
だからお礼に魔女さんの好きなパイを焼いたりきのこのシチューを作ってあげるの。
そこに癒しの魔力を込めて。
魔女さんが少しでも元気でいてくれますようにとねがいながら。
そしてリオが元気で笑顔で毎日暮らせますようにと。
ダンには……怪我をしないでね、病気をしないでね、ずっと待ってるから。
と、毎日神様に祈りを捧げて過ごしている。
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