【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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幼馴染が大切ならわたしとは離縁しましょう。

すれ違い、勘違い、だけどやっぱり恋じゃない。

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「ミズナ、今日は急ぎの仕事がないから家でゆっくりとしていなさい」

「えっ?えっ……はい」

 セリナさん、いや仕事以外ではお義母さん(と呼んでいる)が突然お休みをくれた。

 わたしとダレンは彼の実家のお屋敷の敷地内に新居を建てて暮らしている。

 結婚したのはひと月前。

 別に愛だとか恋だとか、そんなものはなかった。

 そう、わたしと夫のダレンとは、いわゆる家と家の繋がりのための政略結婚だった。

 別に貴族ではない、ただの平民。

 だけどお金持ちのダレンの実家、お手伝いさんや使用人もたくさんいる。

 わたし達の新居にも数人のお手伝いさんが通いで働いてくれていた。

 わたしの実家も一応住み込みの使用人夫妻はいたけど、ダレンのところに比べれば大したことはない。

 ただわたしの実家は使用人の代わりに職人さん家族がたくさん暮らしていた。

 だからわたしにはたくさんの幼馴染がいる。もちろんその中には男もいる。年上から小さな子供まで。

 みんな家族のように育ってきたからダレンがアデリーナと幼馴染で仲が良いことも仕方がないと思ってる。



 そう思ってはいるのだけど……



「ダレン!今日はお仕事忙しいの?よかったら買い物に付き合ってくれないかしら?」

 新婚家庭に朝から当たり前のように顔を出してこの一言。

 ダレンとは夫婦とはいえ別に愛はない。

 だから彼に愛する人がいても別にいいのだけど。



「アデリーナ、今日は忙しいんだ」

「あら?わたしの言うことを聞いてくれないの?酷い!」

 瞳をうるうるさせればダレンは「はあー、仕方ないな」とため息を吐いた。

「仕事の調整はするけど、昼からでもいい?」

「ええ!もちろんよ!後で迎えにきてね?」

「わかったよ」

「約束よ?」

 アデリーナはウキウキしながら家へ帰って行った。

 その後ろ姿をじっと見送るダレン。

 ーーアデリーナが心配なのかしら?それとも名残惜しいのかしら?

「チッ」

 ダレンがあんなにアデリーナの後ろ姿を見つめているのを見て、思わず、なぜか、どうしてか、舌打ちしてしまった。

 わたしは突然の休みで部屋にいたのだけど、二人の声が廊下から聞こえてきたので思わずドアに張り付き、思いっきり聞き耳を立ててしまった。

 そしてドアをそっと開けて二人の姿をこっそり覗いていた。

 うわぁ、なんだかドキドキする。

 バレないようにじっと息を殺した。

 こ、これはダレンとアデリーナの浮気?

 もし浮気確定なら離縁できる?

 セリナさんに仕事を教えてもらい、なんとなく仕事のコツも掴んできたけど、結婚してひと月で離縁?

 うーん、慰謝料もらえるかしら?後で弁護士さんのところへ顔を出してみよう。

 我が家(実家)の顧問弁護士さんは、やり手なので色々相談に乗ってくれるだろう。




 またバレないように部屋のドアを閉めた。

 ダレンとわたしは白い結婚。なので寝室は別々。普段は顔を合わせることもない。

 ここに嫁いでからは早起きして食事を摂るとすぐに商会の事務室へ行く。

 あんな居心地の悪い家にいるより働いていた方がよっぽどマシだもの。
 いつもアデリーナが我が物顔でいる新居より事務室の方が彼女の顔を見るよりよっぽどマシだわ。

 ダレンと顔を合わせたくないと言うのが本音だけど。

 朝早く事務室へ行って掃除をして、仕事の書類の仕分けをしたり、在庫チェックをしたり、やることなら探せばいくらでもある。

 だけど今日は突然のお休み。

 事務室に顔を出したのに、仕方なく帰ってきて部屋にこもっていた。

 暇なんで本でも読もうか、それとも一人で街へお出かけしてブラブラしようか悩んでいるところだった。

 まだ朝の8時半。時間はたっぷりある。

 ダレンはいつも9時くらいに出勤しているのでお互い朝はあまり被ることはない。

 休みの日はお互い好きなことをしているので顔をあわせなくて済む。

 まぁダレンは大体アデリーナと過ごしているっぽいけど。

 わたしはわたしで実家に帰り幼馴染達と過ごしている。

 狩りに行ったりみんなでピクニックに行ったり、雨の時には部屋でみんなでカードゲームやチェスをしたりして過ごす。

 そこには男も女も年上も年下も関係なく暇な人が集まってみんなでワイワイ過ごしていた。

 あとわたしの大切な庭の手入れも実家に帰る理由だけど。

 花の世話をするのが唯一の楽しみ。

 だけど今日はどうしたものか。

 とりあえずダレンが仕事に行ってくれれば夕方までわたしの快適な自由時間。

 さっさと出かけて!と、心の中で祈りつつ部屋で本を読みながら時間が過ぎるのを待った。


 なのに、どうして?本を読んでいるのに内容が全く頭の中に入ってこない。

「もう!」

 本を床に投げ出してわたしはソファに寝転んだ。

 わたしとダレンは、政略結婚。愛も恋もない。




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