22 / 45
ルバート伯爵家。
しおりを挟む
宿屋を紹介してもらってルドルフを預かってもらうことにした。ルドルフにとっても長旅だったのでゆっくりと過ごさせてやりたかった。
その宿屋の主人は元騎士だったらしく馬好きで、馬小屋も大きい。
それに干し草だけではなく、放牧場も近くにあり好きなだけ馬の好きな草を食べることもできた。
「ルドルフ、どう?ここなら好きなことができそうかしら?」
ルドルフは鼻をわたしの顔に近づけてきた。
優しく頭を撫でてあげながら。
「別にお別れするわけではないわ。わたしもしばらく宿に泊まるからルドルフはここでゆっくり過ごして欲しいの……これからの二人のことも考えるつもりよ」
ルドルフと二人でこれから生きていくつもりだ。
だからこそ村から出ていくしかなかった。
大きな町なら元貴族令嬢でも暮らしやすいとおじちゃんが話してくれた。
「小さな村じゃしがらみが多いが、大きい町なら人も多いから隠れやすい、女子一人でもなんとかやっていける」
うん、なるほどと納得した。
ルバート伯爵家へ身を寄せるつもりはないけど、運が良ければ働き口くらいなら紹介してもらえるかもしれない。
服屋さんに戻って店主や店員と服を選んでは、どんな組み合わせがいいのか話をした。
ついでにこんな服があったらいいなぁとか、もっと袖に膨らみをつけたら?とか、スカートの長さも変えたら?とか、わたしが生きた前世の時代を思い出しながらいろんなアドバイスをしていたらあっという間に時間が過ぎた。
「楽しかったです、またこんな話ができたらいいですね」
わたしは壁にかかった時計をチラリと見て「じゃあ、ルドルフが待ってますので」と席を立ち店を出ようとした。
「お待ちください!また、明日は?ダメなら明後日?もっと話を聞きたいのです」
店主に引き止められ、少し困ってしまった。
このままズルズルとここに通っているわけにもいかない。
仕事も探さなきゃいけないし、おじちゃんの顔を立てて伯爵家にも行かないといけないし、それに、わたしの持っている宝石も換金しないとそろそろ懐具合も寂しくなってきたし。
「他に予定もありますのであと一日くらいならなんとか大丈夫です」
「よかったわ!デザイン画を何枚か用意しておくわ!それと、仮縫いで何枚かドレスも作るつもりなのでアドバイスが欲しいの」
「あの……わたしはデザイナーでもないし専門的な技術もありませんのでそれはちょっと……」
あまりの情熱的な瞳と強すぎる期待に心が引いてしまう。
だって服装を考えるのは好きだったけど、ある物で考えるだけで創り出すなんてしたことがなくて無理なんだもの。
それでも断っても諦めてもらえず二日後にまた来ることを約束して店を出た。
宿屋に戻る前にルドルフに会いに行った。
ルドルフは放牧場にいた。わたしを見つけると嬉しそうにそばにやってきた。
ずっとお互いの気配を感じる生活を続けてきたので離れているのは寂しい。
「少し一緒に馬場で走る?」
ルドルフはピタリとわたしの横にくっついてきた。
装備も慣れたもの。わたしもいつもの軽装に着替えた。
風を切って走る爽快感は堪らない。
わたしの気持ちがルドルフに伝わる。ルドルフも楽しそうに走っていた。
「ルドルフ、わたし明日は伯爵家を訪ねるつもりなの……先触れを出したら向こうから明日会いたいと返事が来たの。だから明日はここでゆっくりと過ごしていてね」
ルドルフもわかってくれて大人しく馬小屋に帰ってくれた。
わたしはそのまま宿屋に戻り部屋でゆっくりと過ごすことにした。
いつの間にか疲れていたのか眠っていたようだ。あたりが暗くなっているのに気がついてお腹が空いていることを思い出した。
「下に行ってみよう」
宿屋の一階は食事処になっていた。
店主のおじちゃんがわたしの顔を見て「食事?あっちに座りな」と案内してくれた。
夜のお店はお酒を飲む男の人たちが多い。
まだ16歳の女の子のわたしはお店の中で浮いていた。
店主のおじちゃんは心配して厨房の近くで立っていて、料理を運んでいるおばちゃんのそばに座るように案内してくれた。
「お腹が空いたでしょう?何か食べたいものはある?」
「お任せでお願いしてもいいですか?」
「ローストチキンは好き?あと……トマトのスープとサーモンのマリネがあるんだけど食べてみる?」
「はい!ぜひ!」
街はやはり料理もおしゃれになるみたい。田舎ではなかなか食べられないメニューが多い。
おばちゃんはわたしを見守るように立っていてくれて酔っ払いのおじちゃん達が絡んでこようとすると睨み「あっちに行ってなさい」と振り払ってくれた。
「安心して。うちの夫は元騎士だから危ないことは起こらないからね?」
「ありがとうございます」
旅の間はルドルフがずっと守ってくれた。そして一緒にいられなくて少し不安だけど、とても優しい人たちに出会えた。
洋服屋さんとの出会いのおかげでいい人達と知り合えた。
その宿屋の主人は元騎士だったらしく馬好きで、馬小屋も大きい。
それに干し草だけではなく、放牧場も近くにあり好きなだけ馬の好きな草を食べることもできた。
「ルドルフ、どう?ここなら好きなことができそうかしら?」
ルドルフは鼻をわたしの顔に近づけてきた。
優しく頭を撫でてあげながら。
「別にお別れするわけではないわ。わたしもしばらく宿に泊まるからルドルフはここでゆっくり過ごして欲しいの……これからの二人のことも考えるつもりよ」
ルドルフと二人でこれから生きていくつもりだ。
だからこそ村から出ていくしかなかった。
大きな町なら元貴族令嬢でも暮らしやすいとおじちゃんが話してくれた。
「小さな村じゃしがらみが多いが、大きい町なら人も多いから隠れやすい、女子一人でもなんとかやっていける」
うん、なるほどと納得した。
ルバート伯爵家へ身を寄せるつもりはないけど、運が良ければ働き口くらいなら紹介してもらえるかもしれない。
服屋さんに戻って店主や店員と服を選んでは、どんな組み合わせがいいのか話をした。
ついでにこんな服があったらいいなぁとか、もっと袖に膨らみをつけたら?とか、スカートの長さも変えたら?とか、わたしが生きた前世の時代を思い出しながらいろんなアドバイスをしていたらあっという間に時間が過ぎた。
「楽しかったです、またこんな話ができたらいいですね」
わたしは壁にかかった時計をチラリと見て「じゃあ、ルドルフが待ってますので」と席を立ち店を出ようとした。
「お待ちください!また、明日は?ダメなら明後日?もっと話を聞きたいのです」
店主に引き止められ、少し困ってしまった。
このままズルズルとここに通っているわけにもいかない。
仕事も探さなきゃいけないし、おじちゃんの顔を立てて伯爵家にも行かないといけないし、それに、わたしの持っている宝石も換金しないとそろそろ懐具合も寂しくなってきたし。
「他に予定もありますのであと一日くらいならなんとか大丈夫です」
「よかったわ!デザイン画を何枚か用意しておくわ!それと、仮縫いで何枚かドレスも作るつもりなのでアドバイスが欲しいの」
「あの……わたしはデザイナーでもないし専門的な技術もありませんのでそれはちょっと……」
あまりの情熱的な瞳と強すぎる期待に心が引いてしまう。
だって服装を考えるのは好きだったけど、ある物で考えるだけで創り出すなんてしたことがなくて無理なんだもの。
それでも断っても諦めてもらえず二日後にまた来ることを約束して店を出た。
宿屋に戻る前にルドルフに会いに行った。
ルドルフは放牧場にいた。わたしを見つけると嬉しそうにそばにやってきた。
ずっとお互いの気配を感じる生活を続けてきたので離れているのは寂しい。
「少し一緒に馬場で走る?」
ルドルフはピタリとわたしの横にくっついてきた。
装備も慣れたもの。わたしもいつもの軽装に着替えた。
風を切って走る爽快感は堪らない。
わたしの気持ちがルドルフに伝わる。ルドルフも楽しそうに走っていた。
「ルドルフ、わたし明日は伯爵家を訪ねるつもりなの……先触れを出したら向こうから明日会いたいと返事が来たの。だから明日はここでゆっくりと過ごしていてね」
ルドルフもわかってくれて大人しく馬小屋に帰ってくれた。
わたしはそのまま宿屋に戻り部屋でゆっくりと過ごすことにした。
いつの間にか疲れていたのか眠っていたようだ。あたりが暗くなっているのに気がついてお腹が空いていることを思い出した。
「下に行ってみよう」
宿屋の一階は食事処になっていた。
店主のおじちゃんがわたしの顔を見て「食事?あっちに座りな」と案内してくれた。
夜のお店はお酒を飲む男の人たちが多い。
まだ16歳の女の子のわたしはお店の中で浮いていた。
店主のおじちゃんは心配して厨房の近くで立っていて、料理を運んでいるおばちゃんのそばに座るように案内してくれた。
「お腹が空いたでしょう?何か食べたいものはある?」
「お任せでお願いしてもいいですか?」
「ローストチキンは好き?あと……トマトのスープとサーモンのマリネがあるんだけど食べてみる?」
「はい!ぜひ!」
街はやはり料理もおしゃれになるみたい。田舎ではなかなか食べられないメニューが多い。
おばちゃんはわたしを見守るように立っていてくれて酔っ払いのおじちゃん達が絡んでこようとすると睨み「あっちに行ってなさい」と振り払ってくれた。
「安心して。うちの夫は元騎士だから危ないことは起こらないからね?」
「ありがとうございます」
旅の間はルドルフがずっと守ってくれた。そして一緒にいられなくて少し不安だけど、とても優しい人たちに出会えた。
洋服屋さんとの出会いのおかげでいい人達と知り合えた。
806
あなたにおすすめの小説
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
夫は家族を捨てたのです。
クロユキ
恋愛
私達家族は幸せだった…夫が出稼ぎに行かなければ…行くのを止めなかった私の後悔……今何処で何をしているのかも生きているのかも分からない……
夫の帰りを待っ家族の話しです。
誤字脱字があります。更新が不定期ですがよろしくお願いします。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる