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逃げた先の嘘と影
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「じゃあ、行ってくるね」
そうエレンに告げて向かったのは街ではなく西部だった。
(嘘ついちゃったな...)
顔を見られた。菓子をもらって時間を共に過ごしてしまった。ましてやその時間から幸せなどというものを感じてしまうなんて。
そんなもの、必要ないのに。
美しい重さを醸した夕焼けの空を思い出した。
また5日後。そう言った彼は恐らく町を訪れていることだろう。返事をしたのに行かなかった罪悪感が背後で揺らめいている。
(たかが村娘1人、すぐ忘れるわよ)
言い聞かせながら速度を上げた。王都に入るコネになるかもしれないとも考えた。だがそれ以上に踏み込んではいけないと頭が告げていた。
村を周り、いつものように何の収穫も得ないまま戻った。
「セラ姉!おかえり!」
集まってきた子供達を見てしまったと気づいた。
「お菓子は?」
目をキラキラさせる子供達に申し訳なさが募る。
「ごめん、お店が閉まっちゃってて...代わりに今度ハニーケーキ作ってあげるね。」
言いながら家にある材料が足りるかを計算してみる。何とかいけるだろう。
「え、ほんと!」
「うん、ほんと。明日にでも作ってあげるからね。」
「やった!セラ姉、遊んでよ!」
「ルディの稽古があるからまた明日ね。」
「ええー、ルディだけズルい!」
「ならあなたたちも稽古する?」
「それはやだ!」
「ほらね。さ、そろそろ帰んなさい。ご飯の時間でしょ。」
「はあい」
ルディの稽古を見たことのあるものならそれが生易しいものではないことを知っていた。それに耐えているルディがよくやっていると言うべきだろう。
ルディの稽古を終えて家に入るとエレンが難しい顔をして卓についていた。」
「エレン?どうしたの」
「セラ姉、なんであんな嘘ついたの?」
「嘘って?」
「店が閉まってたなんて、店は一つじゃないでしょ。」
「そうだね。考え事してて買うのを忘れちゃったのよ」
「じゃあ何で薬箱まで持って行ったの」
「.....鋭いな。スパイにでもなれるんじゃない?」
「やめてよ。どこ行ってたの?」
「西の方だよ。少し用事があってね。」
「セラ姉が村を出たがってることは知ってるよ。引き留めたのは私だもんね。」
エレンは聡い子だ。だがセラが思っていた以上にエレンはセラをよく見ていた。
「....エレン。私の家族の話はしたことがないよね?」
「うん。セラ姉は自分の話何もしないじゃない。」
「いつもはね.....。私には弟がいるんだ。妹もいる。」
「何で一緒じゃないの?」
「詳しくは話せないけど事情があってね。弟は身体が弱かった。」
「セインと一緒だ...」
「そう。だからかな。ついエレンに自分を重ねてしまった。弟は今どこにいるのか分からない。私はどうしても弟を見つけたいの。だから村にも元々留まるつもりはなかった。」
「そうだったんだ....」
「エレンは何も悪くないよ。ここに留まることを決めたのは私だからね。ただ、いつまでもいられないことは覚えておいて。」
「....うん。セラ姉がいなくなったら、私やっていけるのかな。」
「エレンは自分で思っているよりよくやれてる。読み書きも随分できるようになった。足りないところは書を読んで知識をつければいい。大丈夫だよ。」
「ありがと。でも....セラ姉がいなくなったら寂しいな。ルディなんてまた荒れちゃわないか心配だよ。」
「あの子は強いよ。寂しいのは私も一緒。寂しさにかまけて10ヶ月が過ぎちゃった....。弟が見つかったらまた戻ってくるよ。」
「ほんと?約束だよ?」
「約束。エレンは妹より妹みたいだ。」
「ふふっセラ姉は私のお姉ちゃんだよ。」
「エレン」
名前を呼び頭を撫でてやればエレンは猫のように目を細めた。
「遅くなったね。今日は帰りなよ。」
「うん、おやすみ」
エレンを見送ると一息ついた。一先ず市に行かない理由からは目が逸れただろうか。いずれ話さないといけないことだった。遅過ぎたぐらいだ。
そうエレンに告げて向かったのは街ではなく西部だった。
(嘘ついちゃったな...)
顔を見られた。菓子をもらって時間を共に過ごしてしまった。ましてやその時間から幸せなどというものを感じてしまうなんて。
そんなもの、必要ないのに。
美しい重さを醸した夕焼けの空を思い出した。
また5日後。そう言った彼は恐らく町を訪れていることだろう。返事をしたのに行かなかった罪悪感が背後で揺らめいている。
(たかが村娘1人、すぐ忘れるわよ)
言い聞かせながら速度を上げた。王都に入るコネになるかもしれないとも考えた。だがそれ以上に踏み込んではいけないと頭が告げていた。
村を周り、いつものように何の収穫も得ないまま戻った。
「セラ姉!おかえり!」
集まってきた子供達を見てしまったと気づいた。
「お菓子は?」
目をキラキラさせる子供達に申し訳なさが募る。
「ごめん、お店が閉まっちゃってて...代わりに今度ハニーケーキ作ってあげるね。」
言いながら家にある材料が足りるかを計算してみる。何とかいけるだろう。
「え、ほんと!」
「うん、ほんと。明日にでも作ってあげるからね。」
「やった!セラ姉、遊んでよ!」
「ルディの稽古があるからまた明日ね。」
「ええー、ルディだけズルい!」
「ならあなたたちも稽古する?」
「それはやだ!」
「ほらね。さ、そろそろ帰んなさい。ご飯の時間でしょ。」
「はあい」
ルディの稽古を見たことのあるものならそれが生易しいものではないことを知っていた。それに耐えているルディがよくやっていると言うべきだろう。
ルディの稽古を終えて家に入るとエレンが難しい顔をして卓についていた。」
「エレン?どうしたの」
「セラ姉、なんであんな嘘ついたの?」
「嘘って?」
「店が閉まってたなんて、店は一つじゃないでしょ。」
「そうだね。考え事してて買うのを忘れちゃったのよ」
「じゃあ何で薬箱まで持って行ったの」
「.....鋭いな。スパイにでもなれるんじゃない?」
「やめてよ。どこ行ってたの?」
「西の方だよ。少し用事があってね。」
「セラ姉が村を出たがってることは知ってるよ。引き留めたのは私だもんね。」
エレンは聡い子だ。だがセラが思っていた以上にエレンはセラをよく見ていた。
「....エレン。私の家族の話はしたことがないよね?」
「うん。セラ姉は自分の話何もしないじゃない。」
「いつもはね.....。私には弟がいるんだ。妹もいる。」
「何で一緒じゃないの?」
「詳しくは話せないけど事情があってね。弟は身体が弱かった。」
「セインと一緒だ...」
「そう。だからかな。ついエレンに自分を重ねてしまった。弟は今どこにいるのか分からない。私はどうしても弟を見つけたいの。だから村にも元々留まるつもりはなかった。」
「そうだったんだ....」
「エレンは何も悪くないよ。ここに留まることを決めたのは私だからね。ただ、いつまでもいられないことは覚えておいて。」
「....うん。セラ姉がいなくなったら、私やっていけるのかな。」
「エレンは自分で思っているよりよくやれてる。読み書きも随分できるようになった。足りないところは書を読んで知識をつければいい。大丈夫だよ。」
「ありがと。でも....セラ姉がいなくなったら寂しいな。ルディなんてまた荒れちゃわないか心配だよ。」
「あの子は強いよ。寂しいのは私も一緒。寂しさにかまけて10ヶ月が過ぎちゃった....。弟が見つかったらまた戻ってくるよ。」
「ほんと?約束だよ?」
「約束。エレンは妹より妹みたいだ。」
「ふふっセラ姉は私のお姉ちゃんだよ。」
「エレン」
名前を呼び頭を撫でてやればエレンは猫のように目を細めた。
「遅くなったね。今日は帰りなよ。」
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エレンを見送ると一息ついた。一先ず市に行かない理由からは目が逸れただろうか。いずれ話さないといけないことだった。遅過ぎたぐらいだ。
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