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弱るレオ、怒るセラ
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弱るレオ、怒るセラ
「セラは?」
開口一番、出た言葉にクシェルは予想通りといった顔をした。
「医務室におります。ですが顔色も良く、多少起き上がってご飯を召し上がることも出来るようになっています。」
足早に医務室に向かう。苦しい時に離れてしまった。寂しい思いをしていたのではないか....
ドアを開けると丁度セラがご飯を食べ終えているところだった。
起き上がって生気のある顔を見た途端、耐えられなかった。抱きしめる力が強すぎないように、必死に力を緩めながら抱き寄せる。
「レオ様....無事にお戻りになったのですね。」
「それはこっちのセリフだ。お前な、俺が一体どれだけ心配したと思って.....」
「分かっています。」
いつもと同じように淡々と言われるセリフ。だがその目はいつもとは違う。本当に、理解している目。
人払いをした部屋でやっと2人きりになった。
「お前が、いなくなったと聞いた時、血が沸騰しそうなぐらい熱かったのに失うかもしれないと思ったら血の気が引いた。こんなに恐ろしい思いをしたのは初めてだ....」
「私も、今回はダメかと思いました。と、いうよりもういいかと思いました。」
「....お前の寝顔は穏やかだった。行かせてやる方がいいんじゃないかと思うくらいに。」
「私もそうしたいと思いました。もう疲れた、痛いのも、怖いのも嫌だ。あんなところに帰りたくないと。」
「....なら何で帰って来た。」
「.....レオ様が、泣いてるのが気がかりでした。それに....思い出してしまったのです。海に、行きたかったことを。それも1人じゃない。レオ様と。」
涙腺は強い方だと思っていた。なのにこれはなんだ。セラがいなくなってからまるでその腺は壊れてしまったかのように些細な言葉で緩んでしまう。
「もう....だから死ねなかったんですよ。レオ様が泣いてたら死んでも上から見て後悔しちゃうじゃないですか。」
「俺は.....お前がいなくなったらただの傀儡だった。使い物にならず、クシェルは俺を切らざるを得なかっただろう。」
「クシェル様に切らせるわけにはいきません。そんなことになるくらいなら私が切ります。」
「....冗談に聞こえないな。」
「....レオ様は、今回の件がご自分のせいだと思われているのでしょう?」
「....当たり前だ。俺が行っていいと言ったんだ。」
「エティを信用して行かせて欲しいと言ったのは?」
「....お前だが。」
「いつかの仕返しです。レオ様は矛盾しています。結果的に私は死にかけましたがそれは別にレオ様のせいじゃありません。」
「.....俺に、出会わなかったらよかったとは思わないのか。」
「そうですね.....レオ様がくださる物が大きすぎて、そんな後悔はいつも飛んでいってしまいます。」
「俺は、お前を傷つけてばかりだ。俺こそお前と共にいる資格がないと思う。」
これ程、情けない姿を晒したのは初めてだった。ベルシュタイン辺境伯と話した。だがもしセラが望まなければ――――
「.......レオ様。」
セラが怒っている。セラの目に映る自分の顔は酷く情けない顔をしていた。
「失礼します。」
「ちょっ....おひっ!」
ほっぺをつまんで思いっきり引っ張られた。一体何の真似だ。
「私をどんな手を使っても手に入れるのではなかったのですか。」
「それは.....」
「レオ様は傲慢で、自分勝手で、横暴です。」
「それは否定はせんが.....」
「でも誰よりも優しくて、繊細で聡明な人です。私はレオ様の強さに守られて、優しさに癒されているのです。弱気になってもらっては困ります。」
死戦を超えたセラはどこかの境地に達したらしい。いつもの儚い姿は消え、真っ直ぐに強い目をしている。
「私は、死にたかったのをわざわざレオ様のためだけに戻って来たのです。今更レオ様以外のところに放り出されたって、生きる意味がありません。」
滅茶苦茶だ。セラがセラじゃないみたいで、それでもやっぱりセラだ。俺のために戻って来てくれた。本人の口からはっきりそう言った。それに応えられなければ俺は結婚を口にする資格はない。
「.......お前のいう通りだ。俺は今までよりお前を守るし、手放す気もない。ずっと、俺の隣にいてくれ。それからいつか、必ず海に行こう。」
「はい、楽しみにしています。」
「.....病人相手にキスはしてもいいのか?」
「まあ激しくなけれはいいのでは....」
「お前はどうせゆっくりしたのが好きだろ。」
ゆっくり、深く。まだセラがここに生きている実感を1秒でも長く。
「愛してる。セラ」
「私もレオ様を愛しています。」
驚いた。あっさり返ってくるとは思わなかった言葉。面食らうレオに、セラは腹を据えた顔をしている。
「図太く生き残ったのです。もう少し正直に生きねばならぬと反省しました。」
「いい反省だ。セラ.......はぁ、病人相手にあんまりやってもダメだからなあ。」
「仕方ないですね。肋骨が軋んでいます。」
「サラッと言うなよ....」
「殿下」
入って来たクシェルに思い出した。
「まさかまだ話していないのですか?」
「いや、他のことに夢中で....今から話す。」
「早くしてください。スケジュールが決まりません。」
「セラは?」
開口一番、出た言葉にクシェルは予想通りといった顔をした。
「医務室におります。ですが顔色も良く、多少起き上がってご飯を召し上がることも出来るようになっています。」
足早に医務室に向かう。苦しい時に離れてしまった。寂しい思いをしていたのではないか....
ドアを開けると丁度セラがご飯を食べ終えているところだった。
起き上がって生気のある顔を見た途端、耐えられなかった。抱きしめる力が強すぎないように、必死に力を緩めながら抱き寄せる。
「レオ様....無事にお戻りになったのですね。」
「それはこっちのセリフだ。お前な、俺が一体どれだけ心配したと思って.....」
「分かっています。」
いつもと同じように淡々と言われるセリフ。だがその目はいつもとは違う。本当に、理解している目。
人払いをした部屋でやっと2人きりになった。
「お前が、いなくなったと聞いた時、血が沸騰しそうなぐらい熱かったのに失うかもしれないと思ったら血の気が引いた。こんなに恐ろしい思いをしたのは初めてだ....」
「私も、今回はダメかと思いました。と、いうよりもういいかと思いました。」
「....お前の寝顔は穏やかだった。行かせてやる方がいいんじゃないかと思うくらいに。」
「私もそうしたいと思いました。もう疲れた、痛いのも、怖いのも嫌だ。あんなところに帰りたくないと。」
「....なら何で帰って来た。」
「.....レオ様が、泣いてるのが気がかりでした。それに....思い出してしまったのです。海に、行きたかったことを。それも1人じゃない。レオ様と。」
涙腺は強い方だと思っていた。なのにこれはなんだ。セラがいなくなってからまるでその腺は壊れてしまったかのように些細な言葉で緩んでしまう。
「もう....だから死ねなかったんですよ。レオ様が泣いてたら死んでも上から見て後悔しちゃうじゃないですか。」
「俺は.....お前がいなくなったらただの傀儡だった。使い物にならず、クシェルは俺を切らざるを得なかっただろう。」
「クシェル様に切らせるわけにはいきません。そんなことになるくらいなら私が切ります。」
「....冗談に聞こえないな。」
「....レオ様は、今回の件がご自分のせいだと思われているのでしょう?」
「....当たり前だ。俺が行っていいと言ったんだ。」
「エティを信用して行かせて欲しいと言ったのは?」
「....お前だが。」
「いつかの仕返しです。レオ様は矛盾しています。結果的に私は死にかけましたがそれは別にレオ様のせいじゃありません。」
「.....俺に、出会わなかったらよかったとは思わないのか。」
「そうですね.....レオ様がくださる物が大きすぎて、そんな後悔はいつも飛んでいってしまいます。」
「俺は、お前を傷つけてばかりだ。俺こそお前と共にいる資格がないと思う。」
これ程、情けない姿を晒したのは初めてだった。ベルシュタイン辺境伯と話した。だがもしセラが望まなければ――――
「.......レオ様。」
セラが怒っている。セラの目に映る自分の顔は酷く情けない顔をしていた。
「失礼します。」
「ちょっ....おひっ!」
ほっぺをつまんで思いっきり引っ張られた。一体何の真似だ。
「私をどんな手を使っても手に入れるのではなかったのですか。」
「それは.....」
「レオ様は傲慢で、自分勝手で、横暴です。」
「それは否定はせんが.....」
「でも誰よりも優しくて、繊細で聡明な人です。私はレオ様の強さに守られて、優しさに癒されているのです。弱気になってもらっては困ります。」
死戦を超えたセラはどこかの境地に達したらしい。いつもの儚い姿は消え、真っ直ぐに強い目をしている。
「私は、死にたかったのをわざわざレオ様のためだけに戻って来たのです。今更レオ様以外のところに放り出されたって、生きる意味がありません。」
滅茶苦茶だ。セラがセラじゃないみたいで、それでもやっぱりセラだ。俺のために戻って来てくれた。本人の口からはっきりそう言った。それに応えられなければ俺は結婚を口にする資格はない。
「.......お前のいう通りだ。俺は今までよりお前を守るし、手放す気もない。ずっと、俺の隣にいてくれ。それからいつか、必ず海に行こう。」
「はい、楽しみにしています。」
「.....病人相手にキスはしてもいいのか?」
「まあ激しくなけれはいいのでは....」
「お前はどうせゆっくりしたのが好きだろ。」
ゆっくり、深く。まだセラがここに生きている実感を1秒でも長く。
「愛してる。セラ」
「私もレオ様を愛しています。」
驚いた。あっさり返ってくるとは思わなかった言葉。面食らうレオに、セラは腹を据えた顔をしている。
「図太く生き残ったのです。もう少し正直に生きねばならぬと反省しました。」
「いい反省だ。セラ.......はぁ、病人相手にあんまりやってもダメだからなあ。」
「仕方ないですね。肋骨が軋んでいます。」
「サラッと言うなよ....」
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