22 / 46
本編
第21話
しおりを挟む
「急に呼び出して申し訳ありませんね。」
「構わないわ。レーアについての重要な話なのでしょう?」
「ええ。そろそろ動き出しても良い頃かと思いまして。」
「…!」
不敵な笑みを浮かべてそう言ったお義父様。
『動き出す』というのは、王太子ヴィアルスに関する計画の事を指す。この1週間、私は公爵家から出ず、ヘクト義兄さんの仕事の時も筆跡が分からないように字体を変えるなどしていた。全ては私がルーズフィルト公爵家に居ることを悟られないようにする為だ。
最近お義父様の機嫌が良かったのは、計画が上手く進んでいたからだろう。
「お義父様、一応王太子やミフェラの現状について聞いても良いで……良いかしら。」
「勿論です。それと、そろそろ慣れてください。」
「……はい。」
お義父様は王城の現状を、詳しく教えてくれた。
私との婚約破棄後、ヴィアルスは自分が仕事をするのはおかしいと考えている為、私の時と同じようにミフェラに全て任せた。私より彼女の方が賢いと本気で思っていたようで、一部を除いて貴族達も同じ考えだったようだ。
しかしいざミフェラに仕事をさせると、何も分かっていなかった。それも当然だろう。私は王妃教育の分まで書物にて覚え、指導についた教師役の方から『教えることは無い』と言われた。作法も完璧にしていたので、誰からも教えられることなくヴィアルスの仕事もこなせたのだ。
自ら学習する気のないミフェラが、教わらずしてあの仕事をこなせるはずがない。たとえ教わったとしても無理だろうが…。
「──というわけで、王太子は1週間分の仕事が溜まっているのですよ。」
「それは……王国としては大丈夫なのかしら…。」
「問題が無いと言えば嘘になりますが、重要なものはこちらで処理しているので大丈夫です。現在ミフェラさんの評価は下がり続けており、レーアの能力の高さに気付きはじめている者も出てきました。」
「つまりは、計画通りに進んでいるのね。」
「その通りです。」
ミフェラの性格は王太子と似ている。彼女が仕事をするわけがなかった。初めは頼られたからしようとしただろうが、教えられても出来ず、思い通りにいかないことに腹を立てていくはず。そして最終的に仕事を放置した……といったところだろう。
お義父様の話によると、ミフェラの方が私より賢く、仕事も出来るのでは?と王城内で囁いていた者達は、その認識を改めざるを得なくなったそうだ。
まぁこれも全て狙い通りなのだが。
「さてレーア、次の段階に移りましょうか。」
「ええ、そうね。ここからが楽しい時間の始まりだもの…。」
そうだ……、ここからが本番だ。
セレス姉様の為、ひいては未来の王国の為にも計画の全てを完璧に遂行させなくては。
「この先、国王陛下に怪しまれない為に私はあまり干渉しない方が良さそうなので、そちらで動いて下さい。必要最低限のみ動きましょう。」
「分かったわ。ではお義母様。」
「ええ。私は社交界で噂を流せば良いのよね?」
「はい。でもお義母様から流したということは隠して欲しいの。」
「了解したわ、任せて。」
その後、翌日からの行動に備え、3人で計画の再確認を行ったのだった。
「構わないわ。レーアについての重要な話なのでしょう?」
「ええ。そろそろ動き出しても良い頃かと思いまして。」
「…!」
不敵な笑みを浮かべてそう言ったお義父様。
『動き出す』というのは、王太子ヴィアルスに関する計画の事を指す。この1週間、私は公爵家から出ず、ヘクト義兄さんの仕事の時も筆跡が分からないように字体を変えるなどしていた。全ては私がルーズフィルト公爵家に居ることを悟られないようにする為だ。
最近お義父様の機嫌が良かったのは、計画が上手く進んでいたからだろう。
「お義父様、一応王太子やミフェラの現状について聞いても良いで……良いかしら。」
「勿論です。それと、そろそろ慣れてください。」
「……はい。」
お義父様は王城の現状を、詳しく教えてくれた。
私との婚約破棄後、ヴィアルスは自分が仕事をするのはおかしいと考えている為、私の時と同じようにミフェラに全て任せた。私より彼女の方が賢いと本気で思っていたようで、一部を除いて貴族達も同じ考えだったようだ。
しかしいざミフェラに仕事をさせると、何も分かっていなかった。それも当然だろう。私は王妃教育の分まで書物にて覚え、指導についた教師役の方から『教えることは無い』と言われた。作法も完璧にしていたので、誰からも教えられることなくヴィアルスの仕事もこなせたのだ。
自ら学習する気のないミフェラが、教わらずしてあの仕事をこなせるはずがない。たとえ教わったとしても無理だろうが…。
「──というわけで、王太子は1週間分の仕事が溜まっているのですよ。」
「それは……王国としては大丈夫なのかしら…。」
「問題が無いと言えば嘘になりますが、重要なものはこちらで処理しているので大丈夫です。現在ミフェラさんの評価は下がり続けており、レーアの能力の高さに気付きはじめている者も出てきました。」
「つまりは、計画通りに進んでいるのね。」
「その通りです。」
ミフェラの性格は王太子と似ている。彼女が仕事をするわけがなかった。初めは頼られたからしようとしただろうが、教えられても出来ず、思い通りにいかないことに腹を立てていくはず。そして最終的に仕事を放置した……といったところだろう。
お義父様の話によると、ミフェラの方が私より賢く、仕事も出来るのでは?と王城内で囁いていた者達は、その認識を改めざるを得なくなったそうだ。
まぁこれも全て狙い通りなのだが。
「さてレーア、次の段階に移りましょうか。」
「ええ、そうね。ここからが楽しい時間の始まりだもの…。」
そうだ……、ここからが本番だ。
セレス姉様の為、ひいては未来の王国の為にも計画の全てを完璧に遂行させなくては。
「この先、国王陛下に怪しまれない為に私はあまり干渉しない方が良さそうなので、そちらで動いて下さい。必要最低限のみ動きましょう。」
「分かったわ。ではお義母様。」
「ええ。私は社交界で噂を流せば良いのよね?」
「はい。でもお義母様から流したということは隠して欲しいの。」
「了解したわ、任せて。」
その後、翌日からの行動に備え、3人で計画の再確認を行ったのだった。
931
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
あなた方が後悔しても私にはどうでもいいことです
風見ゆうみ
恋愛
チャルブッレ辺境伯家の次女である私――リファーラは幼い頃から家族に嫌われ、森の奥で一人で暮らしていた。
私を目の敵にする姉は、私の婚約者や家族と結託して、大勢の前で婚約を破棄を宣言し私を笑いものにしようとした。
しかし、姉たちの考えなどお見通しである。
婚約の破棄は大歓迎。ですが、恥ずかしい思いをするのは、私ではありませんので。
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します
鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ!
王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。
だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。
「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」
突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。
「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」
伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。
不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。
そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き――
「君のような女性こそ、王国に必要だ。」
そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!?
婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!?
元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる