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本編
第29話
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「逃げた…?一体誰が逃げたというの?」
翌朝、起きたと同時にメアから驚くべき報告を受けた。
昨夜の内に王城から逃げ出した者がいると言うのだ。誰かは容易に想像出来るが…。
「行方をくらませたのは、例のお2人です。」
「……それは事実かしら。」
「紛れもない事実です。」
やはりヴィアルスとミフェラの2人だったようだ。逃げてしまえば、より罪が重くなるとは考えなかったのだろうか。そもそも犯したことを認めていなかったのだから、逃げる必要はないはず…。
おそらくこちら側の証拠が確固たるものだと感じ、負けが確定していると理解した為、牢獄に入れられるくらいなら逃げようと考えたのだろう。
しかしセレス姉様に無実の罪を着せてまで欲しがった玉座を、あの王太子が簡単に捨てるような真似をするとは考えられない。
上手く立ち回れば、次期国王の権利は守れたかもしれないというのに…。まぁ国王にさせる気は無いが。
とはいえ逃げたのは事実。
考えられるのは、ミフェラに何かを言われた場合である。ヴィアルスはミフェラに心を奪われている様子。彼女の言うことならば、何でも聞きそうな気配だった。
或いは何か狙いがあって何処かに向かったのか…。これはなさそうだが、絶対とは限らない。
「おはよう、レーア。報告は聞いていますね?」
「おはよう。メアから聞いたわ。でもお義父様なら、既に手は打っていたのでしょう?」
「無論です。監視を付けていたので、彼らから報告がありました。『本日の昼頃には捕らえて戻る』とのことです。私達は王城で帰りを待つとしましょうか。」
玉座かミフェラかを天秤にかけ、後者を選んだということなのだろう。権力が愛かと言われれば美しいように思えるが、罪人であるヴィアルスにかける慈悲など無い。
セレス姉様にあのような行いをしなければ、私達の策略で犯罪者になることなどなかった。だが全てはヴィアルスの自業自得だ。
たとえ玉座を手に出来なくとも、王子の立場は守れていた。ミフェラと共に幸せな人生を送れば良かったのだ。
王位継承権さえ放棄すれば、お義父様の目的は達成される。
残るは私の目的だが、王位継承権を破棄した後、己の非を認めセレス姉様に心からの謝罪をすると言うのであれば許しても良かった。この場合は姉様が許すと言わなければ私は認めないが…。
「──レイシア様。たった今ルーズフィルト公爵様から連絡がありました。ヴィアルス殿下とミフェラ様を地下牢に投獄したとのことです。それと同時に、陛下の書斎に来るようにと仰せつかっております。」
「分かったわ。」
王城の一室にて待機していた私に、メアがそう告げた。
お義父様はきっと、今日私が養女であることを陛下に明かしただろう。私も明日には公爵令嬢として初の社交界に出る予定だ。故に、今日中に知っておいてもらわなければならなかった。
おそらく書斎に呼んだのは、ヴィアルスとミフェラの件だけでなく、私の養子の事も話す為のはず。
お義父様が居るとしても、陛下の御前だ。気を引き締めなければ──
翌朝、起きたと同時にメアから驚くべき報告を受けた。
昨夜の内に王城から逃げ出した者がいると言うのだ。誰かは容易に想像出来るが…。
「行方をくらませたのは、例のお2人です。」
「……それは事実かしら。」
「紛れもない事実です。」
やはりヴィアルスとミフェラの2人だったようだ。逃げてしまえば、より罪が重くなるとは考えなかったのだろうか。そもそも犯したことを認めていなかったのだから、逃げる必要はないはず…。
おそらくこちら側の証拠が確固たるものだと感じ、負けが確定していると理解した為、牢獄に入れられるくらいなら逃げようと考えたのだろう。
しかしセレス姉様に無実の罪を着せてまで欲しがった玉座を、あの王太子が簡単に捨てるような真似をするとは考えられない。
上手く立ち回れば、次期国王の権利は守れたかもしれないというのに…。まぁ国王にさせる気は無いが。
とはいえ逃げたのは事実。
考えられるのは、ミフェラに何かを言われた場合である。ヴィアルスはミフェラに心を奪われている様子。彼女の言うことならば、何でも聞きそうな気配だった。
或いは何か狙いがあって何処かに向かったのか…。これはなさそうだが、絶対とは限らない。
「おはよう、レーア。報告は聞いていますね?」
「おはよう。メアから聞いたわ。でもお義父様なら、既に手は打っていたのでしょう?」
「無論です。監視を付けていたので、彼らから報告がありました。『本日の昼頃には捕らえて戻る』とのことです。私達は王城で帰りを待つとしましょうか。」
玉座かミフェラかを天秤にかけ、後者を選んだということなのだろう。権力が愛かと言われれば美しいように思えるが、罪人であるヴィアルスにかける慈悲など無い。
セレス姉様にあのような行いをしなければ、私達の策略で犯罪者になることなどなかった。だが全てはヴィアルスの自業自得だ。
たとえ玉座を手に出来なくとも、王子の立場は守れていた。ミフェラと共に幸せな人生を送れば良かったのだ。
王位継承権さえ放棄すれば、お義父様の目的は達成される。
残るは私の目的だが、王位継承権を破棄した後、己の非を認めセレス姉様に心からの謝罪をすると言うのであれば許しても良かった。この場合は姉様が許すと言わなければ私は認めないが…。
「──レイシア様。たった今ルーズフィルト公爵様から連絡がありました。ヴィアルス殿下とミフェラ様を地下牢に投獄したとのことです。それと同時に、陛下の書斎に来るようにと仰せつかっております。」
「分かったわ。」
王城の一室にて待機していた私に、メアがそう告げた。
お義父様はきっと、今日私が養女であることを陛下に明かしただろう。私も明日には公爵令嬢として初の社交界に出る予定だ。故に、今日中に知っておいてもらわなければならなかった。
おそらく書斎に呼んだのは、ヴィアルスとミフェラの件だけでなく、私の養子の事も話す為のはず。
お義父様が居るとしても、陛下の御前だ。気を引き締めなければ──
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