【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒

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本編

第41話

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──翌日──

昨日のセレス姉様との2人きりのお茶会は、非常に楽しかった。久しぶりの姉様との会話。何よりお元気そうで本当に良かった…。

そして私は今、コツコツと音を立てながら地下牢への階段を降りていた。お目当ては勿論ヴィアルスだ。
通路を歩いていた時、ミフェラの呼び止める声が聞こえたが一旦無視する。ミフェラとは後で話をするつもりだからだ。

ヴィアルスの牢の前で立ち止まった私は、その様子を見て驚いた。
四肢を道具で壁に固定されていたのだ。
道具自体は以前来た時からあるものだった。牢全てに備え付けられているものであり、捕らえられている者が暴れるなどの行為をした場合にのみ使用される。複数人の殺人などを行った極悪人には絶対だが…。
それはそうと、何故ヴィアルスがこのような状態になっているのだろうか。本人に聞くより、近くの監視をしている衛兵に聞いた方が早いだろうと思い、私は少し歩いて尋ねてみた。


「そこの貴方。」
「はっ、レイシア・ルーズフィルト様。何か御用でしょうか?」
「何故ヴィアルスに固定の道具を使っているのか知りたいのだけれど…。」
「それは──」


衛兵によると……、
ヴィアルスは判決が言い渡された日、衛兵達が牢に戻そうとしたら逃げようとしたのだとか。しかし手枷をされていたが為に上手く走れず、転けたところを再度捕らえられた……。なんとも情け無い話だ。
さらには牢の入口の部分を蹴ったり手で握って前後に揺すったりなど、破壊しようとしたので、危険だと判断しあの状態になったらしい。
あれだけ証拠を見せつけられたにも関わらず、自分は悪くないと言い続けているそうだ。


「教えてくれてありがとう。」
「いいえ、とんでもございません!」


再度ヴィアルスの牢に歩いて行き、呼びかけた。


「ヴィアルス殿下…、いいえ、もう殿下ではないわね。あの場で既に廃嫡は決まっているのだから。」
「……ふん、レイシアか。」
「随分と暴れたようですね。一夜明けて、少しは頭が冷えましたか?」
「黙れ。貴様は私に婚約破棄されたことを根に持っているのだろう?だからこそルーズフィルト公爵と共に私を嵌めた!違うか?」


私の質問を無視して、かなり直球で聞いてきた。
婚約破棄されたことを根に持ってはいないのだが、相変わらず誤解してくれているようだ。
私はただセレス姉様に行ったことが許せなかった。だからこそ、そのお返しをしたまでのこと。


「違いますね。私は婚約破棄されたことに何も思ってなどいませんよ。」
「ふざけたことを…!ならば何故私はこんなことをされなければならない!?」
「……自業自得でしょう…。」


その言葉しか出てこなかった。
ヴィアルスが私を誘拐するかは半分賭けだった。性格上するだろうという確信はあったが、『絶対』ではない。
もしあの時、計画通りに進んでいなければかなり厄介だった。
廃嫡させるのはもっと先となっていただろう。


「自業自得だと?!そんなわけがあるか!」


声が大きくて煩い…。
透明な分厚い板でもあれば、私との間に置きたいくらいだ。


「この私が、どうして食事もまともに与えられない場所に閉じ込められなければならんのだ!それにに入れられるなど…!」


なるほど。
ヴィアルスは『負の牢』の恐ろしさを知っているようだ──
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